Kenshi ~その世界で生き抜くため~   作:心愛さん

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幕間 リドリィの冒険:ハブ編

 ホーリーネイション領を南西に進んだところに、ハブと呼ばれる町がある。

 ホーリーネイションは案外と過ごしやすい国ではあったのだけど、イマイチ刺激に欠けるというかね‥‥‥私はもっとこう、冒険がしたいわけですよ。

 未知の遺跡を巡ったり、危険と隣り合わせのスリルを味わったり。

 もちろん、本当に危険な場所には近づかないけどさ。

 例えば以前見つけた失われた武器庫の地図。

 ぜひ調査に向かいたいところだけど、生憎とそこは酸性雨の降る地域らしいのだ。

 私が着ているロングコートなら多少の酸性雨は弾いてくれる優れものなのだけど、1人で行くのは無謀すぎる。

 もう1人か2人くらい、同行してくれる仲間が欲しい。

 できれば酸性雨をものともしないスケルトンやハイブが理想なのだが、流石にホーリーネイションの都市で、スケルトンやハイブを探すわけにもいかない。

 そういうわけで、ハブにやってきた。

 元々は割と大きな町だった形跡が残っているのだが、今はその建物の大半が崩壊している。

 まるでドリンのようだ。

 いや、ドリンの方が街を守る侍がいるだけマシかも知れない。

 ここにいるのは、ホームレスのような者たちだけだ。

 

「とはいえ、こういう場所でこそ貴重な情報にありつけたりもするんだよねー。大きな都市では得られない裏情報ってやつとか?」

 

 とりあえず酒場が一軒あった。

 ちゃんと営業しているようなので、入ってみる。

 狭い店内で、意外と多くの人が酔っ払いながら盛り上がって話していた。

 

「わしはな、ゴリロと取っ組み合いの喧嘩をしたことがあるんじゃ。いつか伝説の怪物を見つけてやるぞい」

「俺ぁバグマスターに挑んだことがあるんだぜ。もうちょっとで勝てるとこだったんだが、いやー惜しかったなあー」

 

 酔っ払いたちが冒険譚を口々に語っている。

 まあ酔っ払いの武勇伝なんてほとんどがテキトーなデマなのだが、そこに一風変わった人物が紛れていた。

 

「私は、ヨルハ部隊で機械生命体と戦ったことがある」

 

 ちょこんと行儀良く席に着き、酒の1滴も飲まずにそんなことを語る銀髪の少女。眼帯のようなもので目元を隠しているのも変わっているが、何より変わっているのはその服装だ。

 ‥‥‥この子、スカートを履き忘れてる!!

 そのせいでまるでレオタードのような際どい下着が丸出しで、酒場の男たちの視線がその臀部に釘付けだ。

 いや、男たちだけじゃないな。

 私だってつい見ちゃうもの。

 

「む? 信じていないな? 嘘じゃない。いくつもの戦いを経て、何人もの仲間を失った。そして私はある日、全てに嫌気がさして任務を放棄した。そしてそんな私には、新たな目標ができた。そうだ、漁師になろう、と」

 

 ‥‥‥え。この子は何を言ってるの?

 

「漁師になろう。そう決めたあの瞬間から、私の第二の人生が始まった。追っ手から逃れ海を渡り、やがてこの大陸に辿り着いた」

 

 淡々とした口調で話を続ける彼女だが、話の展開が急すぎてついていけない。

 そしてなぜスカートを履いていないの。

 ホームレスだってボロ切れくらいは巻いているというのに。

 

「ね、ねえ。貴方‥‥‥とても言いにくいんだけどさ。スカートはどうしたの?」

 

 我慢できずにそう尋ねる。

 

「ん、ああ。スカートか。自爆したら吹っ飛んだ。修復できなくて困ってる」

 

 ごめん、何を言ってるのか分からない。

 自爆ってなに。

 

「自爆は自爆だ。戦闘用アンドロイドにはそういった機能も備わっている。‥‥‥いや、備わっていた。なぜかこの大陸に着いてからは使えなくなった」

「アンドロイドって何だっけ。あー、新種のスケルトンってこと?」

「あのような機械生命体と一緒にされるのは不本意だけど、まあ大体合ってる。そうだ、君。機械生命体がどこにいるか知らない? もし知っているなら、ヤツらの居場所を教えて欲しい」

 

 急にそんな事を言われてもね。機械生命体‥‥‥まあ要するに壊れたスケルトンの事だろうけど、その居場所なんて。

 ‥‥‥あ! あるじゃないか、ちょうどいいのが。

 私は失われた武器庫の地図を少女に見せた。

 

「えーっと。多分この場所にいると思うよ。その機械生命体。私も行ってみたいと思ってたんだけど、流石に1人じゃ怖くてさー。実は一緒に行ってくれる人を探してたんだよね」

 

「なるほど、デッドランドか。ここから東にいった場所になるな。距離もそこまで遠くない。分かった、一緒に行こう。私は2B」

「2Bさんか。変わった名前だね。私はリドリィだよ。よろしく」

「よろしく、リドリィ。あと、2Bでいい。私の名前に、敬称は必要ない」

 

 そんな事を言ってくれる2B。

 ずいぶん変わった子だけど、この子なりに仲良くしようとしてくれてるのかな。

 かなり分かりづらいけど。

 

「うん、分かった。よろしく2B」




 幕間の物語、読んで頂きありがとうございます。感想で既に正解が出ていましたが、2Bさんです。こちらdrm9900氏のmod、『Nier_autoMata TYPE 2B (尼尔机械人形 TYPE 2B)』とゆう/Yuu氏のmod、『2B 微調整 & 日本語化』によるキャラクターです。作中にある通りスカートを履いていないのですが、これはTennosuke氏のmod、『2B clothes for human』でスカートを作成することができます。とても完成度が高く、2Bが意外とkenshiの世界に馴染んでいるのでおすすめのmodの1つです。さて、次回はちょっと間が開くかもしれません。なるべく1ヶ月以内には書き上げるつもりです。

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