夢現恋神~かくてアルファの死を禁ず~   作:水と油も使いよう

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第10話

 

「戦わないとは言ったが、そもそも、銀十字、不死軍団に遭遇したらどうすんだ?」

 

彼女はカバンから、怪しげな効果音とともに、タブレット端末を取り出した。

 

「また、レトロだな」

 

ヴァンピーアの住居区では、全てホログラムディスプレイが端末代わりであり、

投影装置も町中の至る所に設置され、半ばライフライン化されていた。

 

「お気に入りだよ。君の銃もなかなかだよね。また今度見せてね」

 

「と、それより本題、本題。

 結論から言うと、遭遇しない」

 

そう言うと、端末の画面を見せてきた。

 

そこには、アーコロジーの地図、と赤い点の集合、青い点の集合、

それに大きく黒い点が一つ、最後に白い点の集合、……勢力図だろうか。

 

「赤は不死軍団、青は銀十字、黒はクルースニク、白は私たち」

 

「なるほど、でもどうやって?」

 

「マリアのデータをハックしてちょちょいと」

 

「お前、マギなのか?」

 

「ううん、違うよ。古典までは一通り、統一は意味不だね」

 

指を頭の上でくるくる回してリンダが答える。

 

「他のやつが利用してたらどうするんだ」

 

自分たちが見れるということは、裏を返せば、他からも自分たちの動きが丸見えということだ。

 

「うーん、たぶん大丈夫じゃないかな。

 ヴァンピーアはマリアをハックなんてしないだろうし、

 これヴァンピーアの生体認証経由だから、銀十字もしばらくは使えないと思う」

 

「なるほど、まあ、向こうも俺達を狙うメリットはないだろうし、

 逆に狙ってきたら勢力図(マップ)で丸わかり。

 そうなればそうなったで動けばいいか」

 

「そそ」

 

そう切ると、リンダは勢力図を見ながら行き先を指示した

そして、ダンピール一行は出発から、数時間後、マリアの謁見室へ到着していた。

 

扉が開き、ダンピール一行が中に入ると、マリアのホログラムが現れた。

 

「こんにちは、ストライフ、ナラカ」

 

「ナラカ、権限借りるね。

 こんにちは、マリア

 単刀直入に言うわ、アーコロジーのゲートを開けて」

 

「ごめんなさい。それは承認できないわ」

 

「じゃあ、ゲートの開け方は?」

 

「当アーコロジー全人口の10分の1以上の著名にて、ゲート開放のための投票会開催。

 その投票で、全人口の過半数以上の投票が必要になります。

 なお、トワには一定数の票倍率が加算されます」

 

「時間がないの。このアーコロジーは間もなく倒壊する。

 緊急なのよ。」

 

「ヴァンピーア住居区では、そのような報告を受けていません」

 

そこまでのやり取りでリンダは舌打ちすると、マリアに背を向け、手近な端末に向かった。

そして、数分、よしっ、と声を漏らすと、リンダは立ち上がった。

 

「みんな、交渉は、まあ、わかってたことだけど失敗。

 というわけで、大胆にいきましょ」

 

そう言うとと謁見室から出て、先ほど来た道を戻っていった。

 

「何を調べてたんだ?」

 

「アーコロジーの破壊に関する制約条項」

 

そう区切ると、補足を続けてきた。

 

「今、銀十字は好き放題に銃器使ってるけどさ、本来ならどうなる?」

 

「当然、マリアに鎮圧されてお縄だな」

 

「そう、つまり今はマリアの統治機能は一時休止状態。

 たぶん、派手な兄弟喧嘩始めた程度にしか思ってないんでしょうね。

 それで、不介入を貫いてるってわけ」

 

なるほど、だから、俺も好き放題ぶっ放せてたってことか。

 

「ゲート、開けてくれないなら、ぶっ壊すしかないでしょ」

 

そう言ってリンダが笑うと、ダンピールの面々が先ほどまでは、背負っていたリュックに入っていたらしい、

ダイナマイト、ドリル等を掲げて、笑っている。

 

「良い根性してるよ、まったく」

 

「ふふん。とはいえ、アーコロジー破壊行為だからね、鎮圧されるかもしれないでしょ。

 だから、どの程度の”おいた”ならお目こぼししてもらえるか確認してたのよ」

 

マリアが話に取り合ってくれなかったのが、腹に据えかねているのか皮肉交じりだ。

 

「ただ、問題は、ゲートに向かうには中央広場を一度通らないといけないの」

 

「それは、難儀だな」

 

「そうよ、今見たとこ、三者見事に入り乱れてるわね」

 

「また、こっそり行くのか?」

 

「そのつもりだけど、みんな、何が起こるかわからないから、それだけは十分覚悟しておいて」

 

 

そう言うと、全員頷いて、中央広場に向かって走った。

 

 

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