夢現恋神~かくてアルファの死を禁ず~   作:水と油も使いよう

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第4話

 

多勢に無勢をして、状況は均衡状態にあった。

機先を制していたこと、また、カウンターを盾に戦えるという位置取りが、

現時点でストライフの圧倒的不利に歯止めをかけていた。

ストライフは銃撃戦を繰り広げながら、状況を分析する。

 

 

まず、第一に賊はどうやらただの銀行強盗ではないらしいということ。

単に賊の銀行への乱入を見逃していたのではなく、そもそも、

銀行の奥から、賊は出てきている。

加えて、人質は解放され、それでも賊は逃げる様子も見せず、

現状でこの場に留まる意思があるらしいときては、ほぼ確定だろう。

 

第二に、疑問点、なぜ、マリア――このアーコロジーを管理する人工知能――、はこの賊を鎮圧しないのか。

本来、この手の”おいた”は即座に治安維持用のレーザーで無力化され、

後は警察なりなんなりに捕縛されてお仕舞いのはずだ。

集団での実銃保持、およびその利用を、マリアが承認している?

だとしても、俺はどうだ?

俺自身はマリアから、所持の許可は得ているが、

フロントガラスの破砕を初めとして、明らかに許容外の実銃使用をしている。

にもかかわらず、現状でおとがめなし。

先ほど銃撃戦の片手間に手近な端末で確認した限りでは、この件を除いて、マリアは平常運転だった。

つまり、この状況は全てが黙認されているらしい。

 

最後、賊の正体。

先ほど、銃弾をお見舞いしてやった、入り口付近の数人が起き上がる様子がない。

ヘルメットまで被っている以上、ヴァンピーアなら昏倒はしても、そろそろ起き上がってもいいはず。

まさか――。

 

 

そこまで、考えて、敵を確認すると、賊の1人が先ほどまで人質がいた方向に銃を構えている。

ハッとして、そちらを確認すると、少女が1人こちらを見て突っ立っているではないか。

 

「くそったれ!」

 

そのまま、銃弾をばらまいて威嚇すると、少女の方へ飛びつく。

先ほどまで少女がいた場所に銃弾が飛ぶが、間一髪、少女を抱き締め、

2人して転がるように、近くに倒れていたデスクの陰に隠れた。

 

「馬鹿かお前は、逃げろ、って言ったろうが」

 

「わかってるわよ、馬鹿!!

 ああもう、ばかばっか。

 あたしが一番の大馬鹿よ、わかってる、文句あんの!?」

 

呆けた顔から、目に光が差したかと思えば、逆ギレかましてくる少女に唖然として言葉も出ない。

とにかく、この状況を何とかしなくてはならない。

言い負かされたと思われるのは癪なので、舌打ちだけ返して、銃撃戦へと意識を戻した。

端的に言って、完全に劣勢。

先ほどまでは横に広いカウンターを盾に、意地の悪いモグラ叩き、もちろんストライフは叩かれる側、

その要領で、叩く側を混乱させていたが、今隠れているデスクでは、逃げ場はなく完全に袋の鼠だ。

震える少女を抱えながらどうしたものかと、思案していると、

 

「撃ち方止め!!」

 

言葉とともに、一斉に射撃が止まる。

 

「隊長、いったい何事かな?」

 

「拠点制圧後、銃を持った男がそこのフロントガラスから乱入、

 人質は解放され、現在、そこに鼠が2匹立てこもっております」

 

「なるほど……、おいそこの2人、よかったな、命拾いしたぞ、見逃してやる」

 

「しかしっ!」

 

「隊長、気持ちはわかるよ、10名程か犠牲が出たな。

 加えて、鼠相手でも全力を出す姿勢は俺としては、悪くない、と思うがな。

 鼠にかまけて、鬼に横腹抉られるのはつまらんだろう」

 

そう区切ると、こちらに向けて続けてきた。

 

「まあ、そういうことだ。個人的には礼を言っておこう。

 良い前哨戦になった。

 部下達も舐めてかかると痛い目を見ると身に染みただろう

 あと、見逃すが、何もしなければ、だ。弁えろよ」

 

そう言うと、こちらから離れていく足音が聞こえる。

 

一難は去ったものの、男の達の気が変わっては勝ちの目はない。

ストライフは少女の手を引き、その場からこそこそと離れると、

広場の様子を確認できる場所に隠れた。

 

 

 

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