仮面ライダーZ   作:いゆ

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DEBUT

「俺は正義の味方、仮面ライダーZ。」

 透也はドライバーを軽く撫で、丸山のほうを見る。

「好きにやればいい。」

 丸山がそういうとZは使徒のほうへ走っていく。Zは言われたように好き勝手闘う。

 しかしあまりにも好き勝手すぎるので、かえってダメージを与えられていないのだった。

「なんで!」

 透也は仮面ライダーであること以外はいたって普通の大学生なのだ。闘い方などわかるわけがない。喧嘩もしてこなかったくらいだ。

 Zの攻撃に刺激され怒った使徒達は四体で反撃を始める。Zは逃げられないし、勝てない。戦闘力が圧倒的に足りなかったのだった。

「まあ、素人はこんなところか。」

 Zが襲われている横で丸山が言う。そして丸山はそこに落ちていたパイプを使い使徒と戦いだす。

「どういうことだ...?」

 丸山は変身も何もせず、ただパイプ一本でどんどん使徒を圧倒していく。

「私一人にやらせる気か?」

 はっとなったZは立ち上がり一体と闘う。丸山の闘い方を参考にリズミカルに攻撃すると、みるみるダメージが与えられ壁にまで追い詰めた。そして無意識か意識的か、Zは飛びあがる。

 空中でドライバーのボタンを押し、音声を鳴らす。

『ORIGINAL BREAK!!!』

「これが俺の必殺技!はぁああああああ!!」

 Zはキックの体勢になり、そのまままっすぐ使徒のほうへ向かっていく。

 無音だ。

 使徒は大爆発を起こしその中からボロボロになった人が出てくる。

 音は大爆発が起きた時点で戻ってきた。

 Zは、音楽のライダーである。品のない音は出さないのだった。

「なかなかやるな。」

「もちのろん。」

 透也はドライバーを外し変身を解除する。

「じゃあ、私はここで君との関係をなかったことにさせてもらう。」

「え?」

「当たり前だ。私といたことはチュートリアルということで。君の命のためだ。」

 そういうと丸山は目にもとまらぬ速さでその場を立ち去った。

「ここからが本番なのか...」

 透也は呟いた。

 

 透也は家に帰ると、ドライバーを机の上に置いてベッドに横たわった。

「冷静に考えるとなんかやばいものもらっちゃったかもしれないな...」

 彼はラジオを付けると、好きな芸能人がやっている番組にチャンネルを変える。そして一時間もたたないうちに疲れて寝落ちしてしまう。

 

 朝、いや、昼。透也の部屋の机の上にはやはりZドライバーがあった。

「夢じゃないのか...」

 透也は一応、バッグにドライバーを入れて外へ出た。

 彼は一人暮らしの家から外に出ると、横断歩道を一つ渡ったところにあるアパートの二階に上がった。

 202号室のベルを鳴らす。するとドアが開き寝ぐせのついた男が出てくる。

「どうしたの透也、いきなり来て。」

 男の名前は如月陸羽。透也の幼稚園からの幼馴染で、親友である。彼は大学には進学せず、ずっと親の仕送りで生活している。そんな彼だがついこの前一人で海外旅行へいってきたばかりだった。

「陸羽、ちょっとこれ見てほしいんだけど。」

「どれ?」

 そういって透也はバッグからZドライバーを出し、陸羽の机へ置く。

「ヒーローのおもちゃかなんか?見たことないんだけど。」

 陸羽は手の上で回しながら言う。

「これ、おもちゃじゃないんだ。名前はZドライバーって言って、仮面ライダーに変身できるんだって。」

 陸羽は手を止め、近いのに遠い目でドライバーと透也を眺める。

「親友として信じるよ。けどどうして透也がもってるの?」

 陸羽にあっさりと信じてもらいうれしい透也は、陸羽に丸山のことを話した。

 陸羽は透也の話をうなずきながらきき、完璧に信じているようだった。

「それじゃあ透也は正義の味方なんだ。」

「うん。」

「そのドライバーが悪の組織ドレインが作ったものだとしても。」

「まあ、うん。」

 透也は心のどこかで不安になりながら答えた。

 陸羽は妙に温かい目で透也を見て、言う。

「ねえ透也、嘘みたいなことなんだけどさ。」

 透也は陸羽の発する文字の一つ一つがとても冷たいことに気が付き、ドライバーに手をのせる。

「そのドライバー俺にくれない?」

 陸羽は透也の手をドライバーから離そうとする。だが透也はドライバーを握りしめ自分のほうへもっていく。

「俺ら親友じゃん??お金も払うからさぁ。」

 さっきの暖かい眼差しからは一転し、陸羽の目はつり上がっていた。

「まさか...陸羽...」

 透也がドライバーを腰に当てると、ドライバーは自動で腰に巻き付く。

 すると陸羽は缶を口に当て、中の液体をすべて飲み込んだ。

 ごくごくと音がする。口からは中身がたまにあふれ出る。

「その感じだと使徒の変身方法は見たことないんじゃない?見せてあげるよ、透也。」

 陸羽は部屋の中でどんどん体を使徒に変化させてゆく。その姿は妙に芸術的で、美しかった。

「透也、俺達親友だろ...!!」

 陸羽だった使徒は透也に向かって走っていく。使徒が壁にぶつかると壁のほうが破壊されるのだった。

「俺は陸羽とは親友だったが、使徒とは親友じゃねえ!!」

 透也は変身アイテム《フォームレコード》を持ち、Zドライバーに挿入する。

「変身!!」

『Z!ORIGINAL! KAMEN RIDER!』

 透也は仮面ライダーZとなった。

 Zは使徒と一緒に陸羽の家のベランダから公園へ飛び移り、闘う。

 Zと使徒は子供の喧嘩のように殴り合う。

 そしていよいよ、Zは必殺技を使おうと飛び上がるところまできた。

 Zはドライバーのスイッチを押し音声を鳴らし、キックの標準を使徒に合わせる。そしてキック、だが、Zは昨日の爆発の中から出てきた人を思い出してキックのタイミングを逃したのだった。

 Zはそのまま地面に着地し、使徒は逃げ出した。

 彼は変身を解除して、使徒の後を追うことにした。

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