並行世界の先導者   作:Feldelt

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第十四話 そしてまた日は昇る

ボク以外の女神三人が戦闘に入る。ボクは吹き飛ばされた影さんのそばに移動したから少し三人の動きは鈍くなったけど……思ったよりも誤差だった。あるいは完全に打ち消されたと思い込んだか。どちらにせよ好都合。影さんが生きてさえいれば直せる。治す、ではないよ。ボクの権能は直すのほうが正しいんだ。

 

「生きてますか、影さん。」

「……」

 

虫の息だった。なんとか呼吸している程度。全身打撲だ、無理もない。

 

解析(アナライズ)……再構築(リクリエイション)。」

 

人間の身体を解析すれば、それが本来元あるべき形質も読み解くことができる。あとはその通りに、作り直すだけ。

 

「完了。ッ……結構、疲れる……!」

 

やっぱりシェアエナジーによる解析と再構築、なんなら女神相手なら再接続でシェアエナジーを供与、シンクロさせることだって可能だ。でも、ボクは信仰がないはずなのに……なんでここまで使えるんだ……?

 

「考えるのはあと、か。」

 

やっぱり苦戦している、わけではないが今一つとどめが足りないみたいだ。やれやれ。じゃあ、モードチェンジといこう。上の羽の接続を解除し、下の羽を新たに接続する。青色だったラインは赤……いや、オレンジ色に変わって、上の羽はさしずめ運命の名を冠すあの機体のように開き、虹の羽を展開する。光の翼というべきかな?それだと勝利のほう?まぁなんでもいいや。つまりはそういうこと。まぁ、このモードになると周囲に干渉はできなくなるからなおさらアクダイジーンのフィールドの影響は受けるんだけど……些事だよ、もはや。

 

「夕……お前、形態が変わったのか……?」

「へぇ、面白いわねぇ、夕ちゃん。」

「一体全体どんだけ能力もりもりなのよあなたは!」

「あはは……今のボクはさしずめ、グロウスハート・コンバットフォルムといったところかな。ちなみに青い方はコンソールフォルムだよ。さて、向こうでできたことがこっちではできないけれど……」

 

足元に紋様を展開してボクの周囲にいくつかの武器を構築する。だいたい剣だけどね。

 

構築(クリエイション)。さぁ、行くよ。」

 

紋様を消し、二本の刀を持ってアクダイジーンに突撃する。一度構築してしまえば武器はそこに残るから……あとは適宜拾っていけばいいかな。

 

「ぬぅ、なんだこの女神は……!」

「そんなこと言ってる場合かな?」

 

二刀流の戦い方はお父さんでよく見てる。そもそもボクの短剣も二刀流だし、刀身が長くなっただけだ。まぁそのせいで立ち回りとかが変わるんだけど……この戦いの主役はボクじゃない。

 

『はぁぁぁぁぁッ!!!』

 

そう、あくまで主役はブランさん。ボクが演出したのは露払いとヘイト管理。ボクの大立ち回りで奴の注意が完全にボクに向いたのなら、女神三人の集中砲火で叩き落せる。地獄に。

 

「ぐおぉぉぉぉっ!?」

 

完全に崩壊するパワードスーツ。足元に転がってくるアクダイジーン。ボクは刀の刃を奴の首筋に向けながら言った。

 

「投降しろ。命だけは残してあげる。」

 

こうして、ルウィーの慌ただしい一日はのちにルウィーの革命返しと呼ばれるようになったとかならないとか。

 

 


 

 

「というわけで、ここからはボク、凍月夕と、」

「ラステイションのノワールがお送りするわ。早速だけど夕。貴方の女神の力は一体何なの?」

「ボクの話よりもカメラに映ってるおっさんと女神二人に言及すべきじゃないかなぁ。現場の音声はあまりにも凄惨だからマイクが入ってるのはボクたち二人だけだけどね。」

「ほんっと楽しそうに痛めつけるわねプルルートもルウィーの女神も……」

「前者はともかく後者は無理もない話だよ。それにある程度ルウィーの信仰が戻ったわけだし、飽きるまで暴れさせていいんじゃないかな。」

「あぁ見えて手加減というか、殺さない程度には出力抑えてるものね……七賢人なんかにはしたくもないけど、少し同情するわ。」

「それはわかるかも……」

「それじゃあ二人に言及したことだし、貴方の権能、少し話してもらうわよ。」

「えぇ……まぁ、少しだけならいいけど……」

 

正直、ボクにもわかってない力がいっぱいある。グロウスハートって名前もあの時ぱっと出てきたものだし……成長と夕刻の女神かぁ。

 

「大雑把に言えば、シェアエナジーに干渉する能力……ちょっと違うか、シェアエナジーで物体に干渉する能力……これもちょっと違う?うーん……」

「どっちもとんでもないこと言ってるわよ。」

「あはは。要は青色のとき、コンソールフォルムの時は直接戦闘が苦手な代わりに物体解析や解析をもとにした再構築で主に物や人を直したりすることができるんだ。対象が女神なら、シェアエナジーを分け与えることもできるよ。裏を返せば奪い去ることもできるんだけどね。」

「怖いこと言うわね……」

「まぁね。で、赤い方、コンバットフォルムの場合直接戦闘に特化して、武器を構築して戦うんだ。単純な構造のものだったらすぐ作れるけど銃とか可変武装はプロセッサユニット内部で作って武装コンテナみたいな感じで取り出すことができるよ。」

「あのくっついた大きい羽はそんな機能があったのね……」

「今日使ったのはそんなところだね。話して思ったけどこれ七賢人の誰かに聞かれてたらまずいかもしれないや。まぁこれ以上にボクはいろいろできるし……大真面目に七賢人とドンパチしてもいいかなとは思ってるよ。ボク個人は、だけど。」

「夕こそ結構危ないこと言うじゃない……って、いつの間にかプルルートの独壇場になってるわよ!?もう映さなくていいんじゃない!?」

「それもそうですね。それじゃあボクたちはこの辺で。」

 

 


 

 

 

それから数時間後、アクダイジーンは厳重警備の牢屋に投獄され、ルウィーは再び影さんを大臣にして再始動。一応の一件落着を迎えた。

 

「その、ありがとう。夕。プルルートも。」

「どぉいたしまして~」

「礼には及びませんよ。ボクがやりたかったことをしただけです。」

「ちょっと、誰かひとり忘れてないかしら?」

「ラステイションのノワール。悪いね、君の言動や態度にはこの件への感謝を込めてもマイナス評価しかできないのが現状だ。勘違いしないでほしいのはちゃんと感謝はしているよ。言ってしまえばお互い自業自得みたいなものだし。」

「影。」

「へいへい。……三人とも気をつけて帰ること。一応感謝状を両国には送っておいたから国に戻り次第確認してくれ。それじゃあ。」

「うん、わかった。」

「またね~、ブランちゃん~」

「はぁ、もう二度と来ないわよ。せいぜいちゃんと貸しを返しに来なさいよー!」

 

 

「少し、表情が柔らかくなったな、ブラン。」

「貴方には、そう見える?」

「あぁ。だって笑ってるじゃないか。大臣凍月影、その笑顔を守るために、またこき使われることとするよ。」

「ふふっ、大口を叩いたわね。それじゃあお望み通り、こき使ってあげるわ。影。」

 

 

 

 

 

 




次回、第15話「新興信仰の侵攻」

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