さて……ルウィーの革命返しから数か月。ラステイションで鉱石採取したりルウィーで鉱石採取したりクエストをこなしたりといろいろやってたボクだけど、なんでもボクの知らないところで誘拐事件が多発しているみたいで、その対策として教会が一時的な託児所になってるんだけど……
「ぴぃぱぁんち!」
「あーぶーなーいー、狙いが人体の急所だらけなのなんなの?」
「ゆ~ちゃんごめんねぇ~あたし、この二人で手一杯だからぁ~」
「プルじゃ直撃してる可能性もあるし、万が一当たって変身なんてされたらそれこそ大惨事だからね……ボクがいろいろ回ってる間にこんなことになっていたのは露知らずだったし……っと!」
プルと話してても攻撃の手は止まることなんてない。戦闘訓練やってた頃を思い出すけど……それよりもハードかな。
「きぃっく!」
「っ……!なんったる威力!」
腕をクロスして防御したら両腕が痺れた。しかもその時手ごたえありって表情したよこの子!防戦一方だとやられる。でも下手に反撃すれば怪我させそうだし……
「いくよぉー!ぴぃ、ぱぁんち!」
「っ……!」
みぞおち狙いのパンチはどうにか受け止め、受け止め……?いや違う、まるで受け止められること前提の軽めのジャブに修正した。てことは、そこそこ不安定な体勢から放たれるのは……!
「い"っ……!?」
振り子運動の要領で放たれた脛へのキック。気づいたときには遅かった。超痛い。
「やったぁ!ぴぃのかち!」
「や、やるじゃないか……」
「ゆ~ちゃ~ん、だいじょ~ぶ~?」
「両親に直接的に暴力を受けたことがない以上まともな被弾は初めてかもしれない……痛い……」
けど子どもというのは無慈悲なもので、二の矢を構えているのが見える。いたし方あるまい。
「やっていいことと悪いことがあるんだよ……!」
変身してシェアエナジーを壁にした防御フィールドを張る。見た目はGNフィールドだね。驚いてくれたから変身解除。力の行き場所を失ったから前に流れてきて、ボクはそれを受け止める。
「悪い子はこうしてやる!こしょこしょー!」
「きゃはははは!きゃははは!」
とまぁこんな感じで……ケガさせないように仕返ししないとつけあがるとまでは言わないけど学習しないからね……
数時間後、子供たちが寝たと同時にブランさんとノワールさんが来た。もう少し早く来てくれてたら手伝ってくれたかな……とは思ったけどまぁいいや。過ぎたことだし。
「そう。大変ね、夕。」
「大変ってもんじゃないですよ……まぁ今は寝てるから無害だしかわいいけど……」
「ここまでごっそり疲れてる夕なんて珍しいわね。クエスト何個もクリアしてきた時すらピンピンしてたのに。」
「大変なんだよぉ、ゆ~ちゃんいなかったらあたし、変身してたかもぉ~」
「それはダメよ!」
「子供の成長に確実に悪影響どころか、トラウマを植え込むわね……」
「わかってるよぉ~……」
「それで、二人は遊びに来たんですね。ようこそ……と言えるほど余裕ないのが申し訳ない……」
身体にどっぷり溜まった疲労感はそうそう簡単に抜けそうにない。ほんとにクエストやってる時よりしんどいよこれ……
「風のうわさで聞いたわ。夕もプラネテューヌの女神として落ち着いたって。」
「えぇまぁ。新しく国を作ろうとは思わなかったし、変身したプルをちゃんと止められる存在がこの国にいないとダメかなって……まぁ自信はないですけど。なんせプルですから。前ちょっとちょっかい出された時はノワールさんがその身を犠牲にして……」
「なってないわよ!」
「しー!子供たちが起きちゃうよぉ~」
ツッコミで思わずヒートアップしかけたノワールさんをプルが止める。うん。そうだね。もしかしたら変身したプルよりも面倒なのがいるし……
「ごめんプル、ありがと。場所を移しましょう。」
と、立ち上がって扉に手をかけると同時にイストワールさんが慌ててやってくる。
「大変です大変です!プルルートさん、夕さん、一大事です!(;゚Д゚)」
「何事よ、イストワール。そんな血相抱えて。」
「ノワールさんとブランさんもいらっしゃったのですね。じゃなくて一大事なんです!(>_<)」
「ど~ど~、いすとわ~る、ど~したの~?」
「えぇっとえぇっと、悪い話ともっと悪い話の二つがあるのですが……(-_-;)」
「どちらも悪いのね……」
先が思いやられる。とりあえず軽い方から聞こう。
「じゃあ普通の悪い方から。移動した先で話します。」
「それではテラスでお話ししましょう。皆さんにも関係あるお話ですのでついてきてください。('ω')」
イストワールさんに連れられてテラスに向かうけど……子供たち起きたらどうしよ。まぁ職員さん入ってくれるでしょ。というかもうプルがお願いしてた。助かるよ。
「それで、悪い話の内容は?」
「はい。先ほど、この大陸の三か国に向けて同時に宣戦布告が発せられました。(+_+)」
「宣戦布告?」
「穏やかではないわね……影からも同様の連絡が来たわ。」
「うちも副官から来たわ……でもまって、この大陸で新しい国ができたなんて話聞いてないわよ。夕は、プラネテューヌの女神として落ち着いたってあなたが言ったことだし……」
「思うことは多々あれど、さすがに宣戦布告はしませんよ。」
「含みを感じるわね……じゃあいったいどこから?」
「海の向こうに新しくできたリーンボックスという国だそうです。あぁでも厳密には宣戦布告というか、宣戦布告をしたいから一度各国女神全員に来てほしいということらしいです。(;'∀')」
「まどろっこしいなぁ。うん、とってもまどろっこしい。それで、もっと悪い話っていうのは?」
「それは、夕さんが帰る準備が整ったということです。向こうの私との通信も実は今待機状態なんですよ。('ω')」
「へぇ……帰れるんだ……そっか。」
「そう、夕。帰るのね。」
「えぇ、ゆ~ちゃん、帰っちゃうの~?」
「……短い間だったけど、楽しかったわよ。」
そっか帰れるんだ。帰ったら多分お父さんもお母さんもボクが女神になって驚くだろうなぁ……でも。帰っていいのかな。今抱えている子供たちの相手とか、さっきの宣戦布告の話もそう。プラネテューヌの自転車操業も心配だし、七賢人だって完全に潰してない。それなのに、ボクは帰っていいの?
「……イストワールさん、向こうとお話できますか?」
「はい、できますよ。少々お待ちください。(・ω・)」
『繋がりました。お久しぶりです、夕さん。』
「向こうの、イストワールさん。そうですね。ちょくちょくお父さんやお母さんとお話はしてたけど、あなたとお話するのは、本当に久しぶりです。」
『はい。もう、そんなに大きくなられたのですね。影さんも茜さんも、さぞ驚くことでしょう。』
「それなんだけど、イストワールさん。ボク、もう少しここに残るよ。」
『えっ!?』
伝える、ボクの意思。このままじゃ帰れない。やり残したことというか、やるべきことがまだいっぱいある。
『それが、ゆーちゃんの決めたこと?』
「うん。」
『そっか。いーすん、ゆーちゃんがいいって言うなら、いいんじゃないかな。』
『母親である茜さんがそんなこと言っていいんですか!?』
『いーのいーの。それに、移動にシェアを使うんじゃギアちゃんが大変でしょうし、節約できるんじゃない?そもそも最近のギアちゃんしんどそうだし……』
『それは、そうですが……』
「……ネプギアさんは、どうなの?」
『ギアちゃん?だいじょーぶ、いつも通り仕事して、クエストやって、いろんな人とお話して、必死に頑張ってる。えー君も手伝ってるし。』
「そっか。凄いなぁ……」
ボクの世界のたった一人の女神、ネプギアさんは一人で頑張ってる。ボクが帰って、女神として国を作っても……どうなんだろ。ボクの世界は変わるのかな。それとも……それを考えたくないから帰らないっていうのもある。
『ともかく、いいんだね。ゆーちゃん。』
「うん。ボクはボクのやるべきことをやるよ。」
『……無理だけはしないでよ。お願いだから。』
「わかった。」
『ほんとだったらえー君もギアちゃんも呼びたかったけど、仕事だからねぇ……二人には私から言っておくよ。それじゃあゆーちゃん。気を付けて。』
「うん、お母さんも。」
通信が切れる。帰れたのに帰らなかったことでお父さんやネプギアさんはどんな反応をするだろうか。怒るかな。
「ゆ~ちゃん、いいの~?」
「プル……うん、いいの。ボクが決めたことだから。」
「そうは言うけれど……あなたのお母さん、相当心配そうな顔してたわよ?」
「そうだね……昔、とんでもない無茶をお父さんはしでかして今もその影響が残ってるからなぁ。きっとそれに重ねられてるのかも……」
「後遺症の残るレベルの無茶……相当ね……」
「精神も相当にやられてるみたいだし……いや、ちゃんと正気だけど……」
「一度ちゃんと聞いてみたいわね、あなたのご両親の話。」
「あはは……ブランさんが聞いたら驚きそうなことが一番最初だから、とりあえず宣戦布告でもされに行きません?あわよくばその場で返り討ちとかできそうだし。」
「思うけどたまーに夕って血気盛んよね。身体が闘争を求めてるのかしら。」
「そうなんじゃないかなぁ。」
と、話がひと段落ついたところでいざ行かん海の向こうへ!ってことになるんだけど……ひとつひっかかる。なんでわざわざ引き付けてから宣戦布告するのかと。
「嫌な予感はするけれど、行くしかないか。」
「れっつご~!」
次回、第16話「緑の大地と五人の女神」
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