「これで、終わり。」
クエストを受けてはクリアして報告をすることを繰り返すこと二日間。
装備は快調、お母さんはすごいなぁなんて思いながら報酬を貰っては帰る。なんか、もうすでにクエストハンターなんて二つ名がついちゃったって話をちょくちょく聞くんだよなぁ、ボクはやるべきことをしているだけなのに。なーんて思いながら教会に帰る。
「ゆ~ちゃんおかえり~、噂は聞いてるよ~。」
「クエストハンターっていう話?ボクは普通にやるべきことをやってるだけなのに……」
「その量がえげつないのよ。」
「えげつないって……これでもいつもやってる量より少なめなんだけどなぁ。」
お父さんが外に出れないって制約がある以上クエストはボクかお母さん、あるいはネプギアさんしかやらないし……お母さんも仕事で忙しかったりするからやる人はボクくらい……
「それで少なめ……?てことはあなたのいる次元は相当にクエスト発行量多いのね……」
「何せ女神が一人しかいないから……」
でも、こっちは女神は二人……でもクエストの量は向こうより少ない……
「それにみたところ荒廃は進んでいない……逆か、発展途上の世界線と見たほうがいいのかも……」
「……それは夕の見てきた範囲でだけの話よ。プラネテューヌができる前……いいえ。今もなお、ルウィーやプラテューヌの女神を信仰せず、国の外で女神の加護を受けずに苦しい生活環境に身を置いている人たちがいるわ。」
「そう、なんですか。ボクの次元で、かつて国があったところに少しだけ似ています。」
「そうなのね。なんか真逆ね。あなたがいた次元は、どことなく寂しくて……こっちの次元は、まだまだこれから……」
「ノワールさんは、女神になりたいんですか?」
「そうね、なりたいわ。だから毎日メモリー・コアのあるところへ行っているのよ。あぁ、メモリー・コアっていうのは女神メモリーを生み出すものね。で……あれ、女神メモリーの話ってしたかしら?」
「まだ、ですね。その文脈から判断すると、女神になるためのアイテムですか。」
「ええそうよ。夕のおかげで前より早い時間に行けるから……って、長話もしてられないわね。それじゃあ私は行くから、プルルートをお願いね。」
「わかりました。」
と、返事したはいいものの……プルはぐっすりお昼寝中。やれやれ。
「そういえば……ボクをこっちに連れてくるときに開いた転移門を開いた……こっちのイストワールさんはまだ見てない……」
周囲を見回す。寝ているプル、いっぱいあるぬいぐるみ、ノワールさんが片づけた書類の山、ボクの荷物とプルが作ったボクの服……これまだ作りかけかな。あとは……ドアから聞こえるノック音。
「プルルートさんプルルートさん、開けてくださいー(*'▽')」
「あ、えーっと、プルは今寝てて……って、イストワールさん……?」
開けていいものかと思ったけどこの声は聞き覚えがある。
「あ、これはどうもありがとうございます<(_ _)>えーっと、あなたは確か、夕さんですね?」
「はい。凍月夕です。」
「凍月……まさか彼と同じ苗字の人が来るのは予想外でしたが……(゚Д゚;)」
「彼……?」
「あぁいえ、夕さんをこちらに呼ぶに際して転移門を開いたのですが、その転移門の基礎理論やデータをくれた協力者がいるんです(*'ω'*)」
「なるほど……」
少なくともこの次元にはボク以外の凍月って苗字の人がいるってことがわかったけど……お父さんかな…・・・いや、厳密には影さんか。この次元にもボクはいるのだろうか。
「むにゃぁ……わぁ、おかえり~いすとわ~る~」
なーんて考えているとプルが起きる。
「おかえり~じゃないですよ!なんでいっつもお昼寝してるんですか!(゚Д゚)」
「だって~、ゆ~ちゃんとノワールちゃんがお仕事すぱ~って、片づけちゃうから~」
「任せっきりなのもどうかと思います!(´-ω-`)」
「それより~、いすとわ~るはどうしたの~?」
「あぁ、お買い物に行っていたのですが単三電池をまとめ買いしたらそれはもう重くて重くて……帰るのにみっかもかかってしまいました(*_*;」
「も~、体ちっちゃいんだから無理しちゃだめだよ~」
とはいえ……これでやっとお父さんとお母さんに連絡ができる……
「それじゃあ、早速なんですけどイストワールさん。ボクの次元と連絡、とれますか?」
「はい可能です。ですが……現在彼への情報伝達ができない以上、みっかはかかりますよ?」
「三日……わかりました、お願いします。」
「三日経った……こっちに来てからだいたい一週間、向こうはもう、七年経ってるのかな……」
「時間の流れが違うの?」
「はい。事前情報ではこっちの一日が向こうの一年に等しいと……」
「本来ならあなたももっと大きくなっていた頃ね……」
「夕さん夕さん、来てくださいー、向こうの次元とつながりましたー(´▽`*)」
「本当ですか!?」
イストワールさんの声を聞いて急いで部屋に向かうと、そこにはお母さんとイストワールさんがノイズ交じりのディスプレイに映っていました。
「お母さん!」
「おー、ゆーちゃんだー。ほんとにゆーちゃんだー。久しぶりだねー。」
「うん、久しぶり……ボクとしては、一週間ぶりなんだけど……」
「こっちは一年ぶりだねー、まあ予想通り把握通りかな?」
「あれ、七年じゃないの……?」
「んー、えー君の見立てによると、そっちとこっちが独立している場合、そっちの時間速度はこっちの約365倍。でも歪みによって繋がったことで時間流エネルギーはこっちに流れてきた。さて、365×7÷7は?」
「365。」
「そ。だからこっちが一年しか経ってないってわけ。現在はだいたい52倍。そっちの5日後にこっちは52日経つ。それで10倍速。……つまりそっちで半月経てば……」
「時間の流れが、揃う。」
「そーいうこと。だからゆーちゃん、あんまり心配しないでだいじょーぶ。」
「そっか、よかった……」
「そこにいるのは、そっちの女神?って、ノワール!?いや、別人か……取り乱しちゃってごめんね?それで、えっと……ゆーちゃんを、お願いね?」
それだけ言ってお母さんとの通信が切れました。
「よかった……」
「あの人が~、ゆ~ちゃんのおかあさん~?」
「私のことを知ってたのは驚きだけど……」
「時系列の弊害を早急に解消できた……はいいけど、そっから先の進展はないかぁ……」
「まぁ、心配事がなくなったのはいいことなんじゃない?さて、それじゃあ私はいつも通りメモリー・コアに向かうわ。」
「あー、じゃあノワールさん、ボクもいっしょに行っていいですか?クエストの目的地がそこらへんで、でも場所がわからなくて……」
「それじゃああたしも行く~」
「まぁ私も夕も行ったらそうなるわね……わかったわ、早めに出発できるってことはゆっくりでも間に合いそうだし……行きますか。」
というわけで、お母さんとの通信で安心したボクはまたクエストをするために三人で移動することにしました。そこでまさかあんな目に遭うなんて……ボクはまだ知らなかったし、知りたくもなかったよ。
次回、第七話「誕生、黒の女神」
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