決死の演技(偽)   作:ムラサコ

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続けて書けたので投稿します!

夜凪景(偽)は夜凪景(真)に会合し、様々なことを話します。
話題は夜凪景(偽)の幇助器具へと移り――素晴らしい魔法アイテムに夜凪景(真)の好奇心が暴走します。

なんやかんや巻き込まれてしまい、(偽)は(真)からようやく解放された所から物語が始まります。

憔悴の一言ですね。


次のレベルへ?

 夜凪景の演技、稀代の才能と培ったスキルの層が生み出すそれは、私の想像を遥かに凌駕した。

 

 ――それこそ、涙が出てしまったほどだった。

 

 ただ、彼女の好奇心に巻き込まれて悲惨な目に遭ってしまうと知っていたのなら、この涙はすぐに引っ込んでいたわ。

 

 自信を持って言える、あのときの私の甘さといったら、角砂糖を蜂蜜で煮詰めたレベル。

 

 ……あれ、想像してみたらおいしそうね。

 

 今度作ってみようかしら?

 

 

 

 

 

 ―――夜凪景としての体感時間は、10年という月日を超えた―――

 

 

 

 

 

 私は釣りをしている。原作でも黒山墨字が釣りとしており、夜凪景が演技の練習をしていた井の頭公園だ。

 

 本当なら今日は学校に行かないといけないのだけど、今日だけはごめんなさい、許してという思いで休むことにした。

 

「…………燃え尽きたわ」

 

 大好きな揚げ物を食べ過ぎて胸焼けしてしまったときの同じ状況ね、私。

 

「しかし、超便利ですね。これ」

 

 私の隣の少女は、血界戦線の世界から拝借した世界を渡る幇助器具を太陽にかざしながら呟く。

 

 彼女の名前は絹旗最愛。とあるシリーズに登場する大能力者(LEVEL4)

 

「これさえあれば好きな国どころか、次元だって渡れますよ。売ったら億や兆を超軽く超えますよ」

 

「売れるものじゃないわ。存在してはいかない物質だもの、それ。ないものに価値は付けられないわ」

 

「ヘルサレムズ・ロットなら売れますよ?」

 

「……売ったら元の世界に戻れないんじゃない?」

 

 それもそうですね、と絹旗は私に幇助器具を返す。

 

 どこでも行くことが出来るし、世界だって渡れるアイテム。

 

 私はこの幇助器具を使い、自分を見つめなおす旅へと出た。とどのつまり、頭が良い人から人生のアドバイスを貰い出向いた。

 

 もちろん、私も長生きしているし、人より人生について語れるだろうという自負がある。けど、夜凪景という才能を持つ少女は非凡であり、その特質性まで私が持っているとしたら、夜凪景と同じ非凡な人からのアドバイスを貰いたいわけなのだ。

 

「……今は、ゆっくり休みたいわ」

 

 使った結果、満足を超え燃え尽き症候群となってしまった私である。

 

 自分が非凡ではないかと疑ったのが間違いだったわ、あれと同じようにブレーキが壊れているのかもしれないと思うのは、過度なストレスよ。

 

「寝ていればいいじゃないですか?」

 

「寝られる精神状態じゃないわ。ゆっくりとした時間を過ごしたいの」

 

「超若者とは思えない言葉ですね」

 

 そして、このとあるシリーズに出て来る絹旗最愛と私の自分探しの旅との関連性は、一切ない。

 

 ……偶々、バッタリ会い、知り合ったという経緯。

 

「初めて会ったときは超驚きましたよ。私以外に、この世界に来た人がいるんじゃないかと思っていたんですが、まさか主人公だったとわ。超思えませんでした」

 

「主人公というのは止めて欲しいのだけれど。抵抗があるわ」

 

「超了解しました」

 

 頷いた絹旗は「ところで――」と以前から言い続けていた要望を口に出す。

 

「原作会合はいつですか?」

 

「しないわよ」

 

 キラキラして目で私を見つめる絹旗がどれだけ『アクタージュ』という作品が好きだったのか伝わってくる。

 

 好きな芸能人を目の前にしたファン。私だってピカチュウと出会ってしまったら勢いで抱き着いてしまうので、その気持ち分かるけど……

 

「私はあなたの好きな夜凪景とは別人よ。オレンジジュースと思いきやみかんゼリーなのよ」

 

「超分かっていますよ。ですが、貴方の才能は演技することを求めているのではないですか?」

 

 詰まらなそうに、絹旗は毛先をいじる。

 

 これまでの冒険談を絹旗に話していた。私がどのように見えるのか。長い時を生きていた私が青い、普通の女子高校生のようには見えないだろうにしても、どのように見られているのかを聞くために。

 

 同世代であり、共通点を持つ絹旗最愛からの言葉は、ごく一般的と言える言葉だった。

 

「使わなければ腐るもの。それは才能でも超同じです。貴女が今燃え尽き症候群なのは、花に十分すぎるほどの水を与えてしまったからですよ。また、乾けば水を欲します」

 

「そのために、原作に沿って生きろというの?」

 

「それは超あり得ません。貴女の言う通り、私の好きな夜凪景ではありません。ですが、貴方は夜凪景と同じの物を持っていて、夜凪景の一部が確かに貴女の中にあります」

 

「……よく分からないわ」

 

「超考えすぎなんですよ、貴女。どれだけ生きていたのか知りませんが、せっかく若くなったんですから、先のことは考えず行動したらいいじゃないですか」

 

「若者の特権ね」

 

「そう、期間限定のそれです。使わないままで終わるのは、超勿体ないと思いませんか?」

 

 ……絹旗最愛の私を真っ直ぐ見る目は、どこまでも綺麗だった。

 

 どうして悩んでいるのか、本当に不思議そうな目で私を見ていた。

 

 ……考えすぎ。その言葉に納得しているわけではないけれど。

 

「そうね、超勿体ないわね」

 

 期間限定という言葉には、凄く惹かれたわ。

 

「絹旗」

 

「なんですか?」

 

「貴女、中々の策士で、タラシね」

 

「超了承しかねますが、初めて名前を呼んでもらえたということで黙認しといてあげましょう」

 

「……貴女の名前、最愛じゃない?

 

「……いえ。そのキュートすぎる名前で呼ばれるのは正直耐えかねますので、絹旗でお願いします」

 

 ……地が出たわね。

 

「前向きに検討して貰えるということで、貴女に一つお願いが」

 

「夜凪、もしくは景ちゃんで呼んでくれたら聞いてあげるわよ」

 

「では、景。あなたの幇助器具で生きたい世界があるのですが」

 

 行きたい世界、この場合は創作の世界だと思う。

 

「……絹旗はどこの世界に行きたいの?」

 

「私の趣味、その出発点とも言える世界、『Fate』の世界です」

 

 ……奈須きのこ、の!?

 




憔悴している場合ではなかったみたいです。

頑張れ夜凪景(偽)、貴女の未来は明るいはず!


次回、Fate世界線へと渡る夜凪景(偽)。

果たして、彼女は無事に生還出来るのか。

どこに行くのか、先の見えない夜道のように真っ暗です。

誰か、街灯点けて!




私の考える最強の主人公は、所詮貴方の頭の箱庭の最強に過ぎない。

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