決死の演技(偽)   作:ムラサコ

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2話目に登場した男性の名前が出ます!
自分が好きな漫画の登場人物です。アニメにもなってます。
気付いた人がどれだけいるのか、想像すると楽しいです。
今話で正体が分かるので、推理したい人はまだ読まないのを勧めます。

ヒント、探偵です!



未来からの福音

 そんなこと出来るんですか――絹旗最愛の言葉に私は「出来る」と確信を持って言った。

 

 アクセルワールド然り、SAO然り。電脳世界にて本来の時間から体を切り離し、脳だけが倍速された時間を過ごすことが出来る。

 

 現代の世界ではVRMMOなどの機器さえもないのだけれど、未来なら話は別なのだ。

 

 私は未来に希望を託し、100年計画で私の人格データ全てをゲームに保存し、それを持って疑似的なデスゲームを行うこと考えた。

 

 本当のデスゲームではない、これはデスゲームだと思わせるだけ。

 

 SAOの茅場昌彦が創造したアインクラッド。あれをモデルに参加したプレイヤーに現実よりも何十倍も加速させた中でゲームを行う。

 

 これにより、現実での一日でプレイヤーに嘘のデスゲームを行わせ、文字通り命を懸けたゲームをしてもらい――――最終場面のそこで、私と彼らは戦うのだ。

 

 その私が敗北するまでのデータを、100年前の過去の私の脳に送ることでこの計画は完了する。

 

 家庭教師(かてきょー)ヒットマンREBORN!の未来編の要領だ。今のタイムマシンの研究でも、肉体を持つ人間よりも情報媒体としてのデータならば過去未来を超えられる可能性が高いと呼ばれている。

 

 失敗する可能性――というよりも、成功する可能性が限りなくない。他の人が見れば、その机上の空論の虚しいことに笑ってしまうわ。

 

 だけれど――血界戦線の血界の眷属(ブラッドブリード)

 

 それと戦う牙狩り。

 

 文豪ストレイドッグスの江戸川乱歩。

 

 本物の未来の夜凪景。

 

 Fateの英雄王、ギルガメッシュ。

 

 彼ら彼女の出会いが、私の100年計画の完遂を予感していた。

 

 そして――目の前の景色がぐにゃりと潰れた。

 

 

 

 

 

 

 

 夜凪景、中学二年生。

 

 もちろん、偽物の私である。

 

「……まさか、200年計画になっているとは思わなかったわ」

 

 200年振りのルイとレイの幼い姿に「キャーー!!」空に奇声を上げたのが、記憶を受信した瞬間。

 

 あれから時が経った。二人を寝かしつけ、寝る前に外に出た私は、ふと夜空を見上げながら呟いた。

 

 それに反応し、一人の少女が声をかける。

 

 少女といっても、私よりも年上の高校生。

 

 彼女は私の計画の賛同者の一人であり、私と同じように未来から記憶を受信した、所謂未来人の一人である。

 

 近く来ているので会おうという話になっていた。ルイとレイにも会わせたかったのだが、都合が悪く今の時間帯だ。

 

「その過程は夜凪さんが一番分かっているのではないでしょうか」

 

 さん付けなのは、未来の彼女は私のマネージャーみたいな立ち位置で、記憶を受信した彼女が言うにはそのときの気質が抜けないだとか。

 

 職務柄というものなのね。

 

「倫理的な問題と、ラスボスである私が強すぎたせいってことは、もちろん知っているわ。それを踏まえて、改めて言ったのよ」

 

 彼女の質問に答える。

 

 敗北を知りたいという慢心者のエゴと鬱憤を詰め込んだラスボスキャラ。そのゲームは、全てのスキル、能力値はプレイヤーの創造力によって蓄積され決定する。

 

「演じる役者、画家や小説家、音楽家のような芸術性の高い方はもちろん、無限の可能性を持ち、何より元気が有り余っている若者向けでしたが、貴女は別格でした」

 

「当然よ、ラスボスなのだから」

 

「だからこそ、貴女というラスボスを倒すのに10年かかりました。それで、その成果はどうでしたか」

 

「望み通り敗北は出来たわ。だけれど、思っていたよりも違った。まさか、あんな小さい子に真正面から否定されるなんて」

 

 Fate/kaleid/liner、プリズマ☆イリヤの主人公、イリヤスフィールを想起される少女だったなと思い出して私は思う。

 

 

『だって、貴女泣いているじゃない』

 

『泣いている子に勝利したって、私は嬉しくない』

 

『貴女を救って、それから私は勝つんだから』

 

 

 その瞬間に、私は自分が始めから敗北――勝負の舞台ですら立っていないことに気がついた。

 

 今思えば、当然だわ。だって、勝ちたい相手がいないんだから。

 

 相手がいなきゃ、勝負することも適わない。

 

 私はそのステージで敗北した。

 

 勝負にすら出ていない。その事実に気づいたとき、私を襲ったのは果てしない悔恨だった。

 

 屈辱だった。惨めだった。自分が許せなかった。

 

 ――今度こそ、勝ちたい、もう負けたくない。

 

 本心から出た言葉。望みを得、本当の意味で勝つためにエクストラステージを作り、勝負に出た。

 

 現実丸ごと巻き込んだ、ARだ。

 

 VRMMOのVR。このバーチャルリアリティーとは違い、現実世界のベースに電子情報を追加し世界を拡張させるARだ。

 

 SAOのアリスのように仮の肉体を持って、私は戦い――そして敗れた。

 

 未来の私の最後は、確かに笑っていた。

 

 それが何より嬉しいことで――今でも微笑んでしまうこと。

 

 私の自慢だ。

 

「それで、どうして貴女は昔の自分に記憶を送ったんですか?」

 

「……そんなの、知らないわよ。私は確かに高校一年生のときに記憶が過去に飛ぶように設定したはずだもの。おかげで、あのときの幇助器具がなくなってしまったわ」

 

 あれは本当に、奇跡の出会い。

 

 あの機会は二度と来ないと思って間違いない。

 

「便利だったけど、この世界には釣り合いが取れないアイテムだったわ。文字通り、戦場が魔法少女が現れるみたいな?」

 

「バンバン、使っていましたけどね」

 

 彼女の発言を聞き流し、私はせっかく昔の時間に来たのだから何かしたいと考える。

 

「あ! そういえば、あのときの女の子が良いところのお嬢様だったじゃない! 私、あの子の御先祖様に会ってみたいわ!」

 

「ご先祖様って、生きているんですから」

 

 面倒そうに呟く彼女は、それでもしっかりと調べてくれた。

 

 

 

 

 

 

 そして、私はイリヤスフィールを想起させる女の子のひいおばあちゃん――今の時間軸の女の子が病院で入院していることを知る。

 

 

 

 余命、一年とのことだった。

 




正解、当たっていましたか。
敗北を知り、勝利の欲求を得た夜凪景(偽)。
彼女の祖先である女の子がの余命僅かであることを知り――どうするのか。

救いたい気持ちのまま、夜凪景(偽)は才能を使う。




救うことは救われること、その意味は大きい。
でもそれが、あなたの言葉なら小さなことでいい。
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