日本神話「遺憾の意」三大勢力「へ?」   作:凧の糸

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お久しぶりです。なかなか書けなかったけど、ようやくです。



それではどうぞ


追記:誤字修正ありがとうございます。気づきづらいのでとても助かっています。





胎動

 

 

 

「はあー、やっと休みだ」

 一応、学生であるので休みは何より好きである。ベットで寝ようとするとメールが届いた通知音がピロリン!と鳴った。

 

 

 

「……誰だよ?」

 億劫ながらに開く。非常に簡潔な九文字が綴られていた。

 

 

 

「ここに来てください」

 位置情報込みで真羅十蔵の名前を使用して送られてきたメール。

 

 

 

 

「明日行くか……」

 夜中は少々面倒なので、休日を利用して奈良県某所まで新幹線などを乗り継いで行く。駅から降りて三十分ほどバスに揺られていく事でその場所の近くまで着くことができた。

 

 

 

 

 

 

「ここか、集合場所は」

 とある公園の東屋だ。近くには誰もいない。それもそのはず、山間な上に今日の天気予報は雨の降る確率が高かった。ひんやりとした風が吹き下ろしてくる。

 

 

 

 

 

 ベンチに腰掛けて待っていると、向こうから黒い布を頭からかぶった人間らしき者が一人やって来た。

 

 

 

「こんにちは、真羅士郎。」

 男の声と女の声が混ざったような奇妙な声質だ。高性能なボイスチェンジャーを使ったってこうはならないだろうと思う。

 

 

「何のようだ、十蔵の名前を使ってまで」

 

 

「彼からの伝言です」

 

 

「……また伝言かよ、最近多いな」

 

 

「エクスカリバーと堕天使に注意しろ、とのことです」

 

 

 

「エクス、カリバー?」

 あまり聴き慣れない単語をここまで呼び出して聞かせるとはどう言った了見なのだろう。それに堕天使がどうしたと?

 

 

 

ポカンとした顔を察して丁寧に説明を始めた。

 

「エクスカリバーはブリテンのアーサー王が使用していた魔法の剣です。過去には三大勢力の教会側が保有していましたが、過去の大戦で使用された折に破壊されたため破片を七つの剣に仕立てました。しかし、エクスカリバーの特性、及び湖の貴婦人への返還等を考慮するとニセモノである確率が高いと認識されています。」

 

 

「俺はそんな剣触った事もないぞ。まさか盗ってこいとか?」

 一番考えられそうだが、厳重に保管されている物を強引に盗みたくは無かった。だが、そうでもなさそうである。

 

 

 

「いいえ、違います。教会、堕天使の動向よりエクスカリバーが駒王町に集結する可能性が高いと算出されました。よって根深い呪い第二段階の使用が許可された事を今をもって通知します。」

 驚いて使者の言った事をもう一度聞き返したが、嘘偽りは確かに無かった。

 

 

「……自分で言うのもなんだが、正気か?あまり勧められない。よく許可が降りたな」

 今使っている第一段階もかなり凶悪な効果を持つのにこれ以上の出力上げは必要ないと……言い切れないな、奇妙なはぐれ悪魔(呪いが効かない奴)が居たのだし。いや、それでもやっぱり過剰に思えてしまう。

 

 

 

「なあ、十蔵に伝えてくれないか」

 暗い雲から雨が降り出して、お互いの声にしとしとと降る雨音が混じっていく。

 

 

「何でしょう」

 

「『どうして椿姫の事を黙ってた』そう伝えてくれ」

 

「御意に」

 

 使者は東屋から出て何処かに行ってしまった。俺は本家に寄ってから帰る予定なので、次のバスの時間まで二十分ほどあった。

 

 

 

 

 

 

 

「何処ほっつき歩いてんだ……?」

 

スマホから覗く、タイトルに真羅十蔵と書かれたデータにはMISSING(行方不明)という文字が踊っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 腕時計を覗けば、もうそろそろ時間だ。カバンにスマホをねじ込んでバス停まで駆け出す。

 

 

 

 

 ひんやりとした雨が髪や服にべったりと纏わり付く。

 

 

 

 

 

 

 これまでの問題を全て洗い流してくれたらどんなに良いことか。あり得ない事を思いながらやって来たバスに飛ぶようにして乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します」

 事前に当主に訪問する事を尋ねると、面会可能であると返事が来た。久々の本家。当主の部屋の使い込まれて深い色をした扉は昔と何ら変わりない。

 

 

「座りたまえ」

 

「どうも」

 早速俺は話を切り出した。

 

「聞きたい事があります。」

懐のスマホを操作してある画面を見せた。

 

「十蔵は何処に行ったのでしょうか?」

 

「……」

 すっと黙ってしまった。

 

 

「……彼の希望から行方不明扱いになっている。それだけか?」

 

 

「では、もう一つ」

 本当に聞きたかった事。

 

 

 

 

「当主……いや、貴方たちは一体何を企んでいる?」

 

「企んでいる……とは?」

 

 

「明らかにおかしい。三年前からの駒王町への突然の派遣、堕天使との遭遇率の高さ、呪いが効きづらいはぐれ悪魔、山程疑問に思ってきたが先程十蔵の使者に会った、それで確信しました。駒王町で何がしたいんですか?」

 算出という奇妙な言い回し、第二段階の使用許可、三大勢力の集結と綺麗に揃いすぎている。あの時、イッセーのポケットに入っていたチラシが偶然発動したことも全てが疑わしく感じてしまう。

 

 

 

「……君に問おう。その問い次第だな」

 

「分かりました」

 当主はゴホンと一つ咳をつき、遠くを見るような表情で言った。

 

 

「君もよく分かってるだろうが、言わせてもらう」

 

 

 

 

 

 

「三大勢力を見て、どう思った?」

 

 

 

「……あまり好ましくないです。我々の任務で嫌なモノは散々見てきましたから」

 

 

「成る程ね……悪くはないが……」

 白い髭をじりじりと弄ると、当主は目を閉じてため息をつく。

 

 

 

 

 

 

「かいつまんで話すと三大勢力を日の本から追い出すか、弱体化が目的だ」

 

 

「……そうですか」

 

 

「我々は三大勢力が入ってくる事には反対だが、日本神話側は自らの方針と彼らとの古い約定から認めざるを得なかった。」

 

 

 

 

「聞いた事ありませんが……?」

 約定なんてものがあった事に、少なからず驚いた。あまりそういった物には詳しくないが、間違いなくロクな内容で無いのは当主の顔だけで理解できた。

 

 

「それもそうだろう。私も前の当主に聞かされた時は腰を抜かしてしまったからね。」

 手元のタブレットを触り、プロジェクターを起動させた。そこには駒王町を上空から撮った風景と、コンピュータだかで合成されただろう緑色をしたラインが延々と引かれていた。

 

 

 

「約定には霊脈上の土地の要求を始めとして、様々な内容があったらしいが、時間の経過とともに無効や失効になったらしい。他にも山のように問題があるが……ここで言うには時間と私の脳の血管が足りなさ過ぎる。駒王町を渡したこと、緊急事態以外の三大勢力管理地への干渉禁止を最低限覚えておけば良いだろう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪魔も奇妙な生き物だ。自分たちが滅亡したくないからと、悪魔の駒を作ったら他人を貪るだけの強者に成り下がってしまった。他種族をコレクションしたり、戦いを共にしたりして楽しむ、なるほどそれも良いだろう。だが肝心の数はちっとも増えず、問題が余計に増えてしまったのはお笑い草だ」

 悪魔を模したチェスの駒を片手でさらさらの砂粒にしながらそう言った。

 

 

 

 

「光にこそ気をつけろ。強すぎる光は目を眩ませて、深き闇を生み出す」

 真羅に伝わる格言のようなものの一つ。どう捉えるかは人それぞれ。

 

 

「了承しました。それでは任務に戻ります」

 

 

 

「待て、餞別だ」

 退出しようとした俺に、箱から腕時計のような物を取り出して投げ渡す。

 

 

「こないだ開発されたバイタルカウンターだ。細かな生命力の調整が必要な第二段階にはピッタリだろう。ついでにウェアラブル端末としての機能も付けてある。誕生日プレゼントというやつだ」

 

 

「……ありがとうございます。壊れてしまうでしょうが、出来るだけ大切に扱います」

 

「とびきり頑丈だ。柔い攻撃は通らん」

 今度こそ、引き止められずに俺は本家を出て、駅から新幹線に乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やべ、金が……」

 現金主義の人間にとって、奈良旅行の浪費は痛手でしかなかった。仕事ではなくプライベートなので勿論経費では落ちない。以前にやろうとしたら烈火の如く怒られた。あんなのは二度と思い出したく無い。

 

 

 

 

 

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「しまったな。だいぶ遅くなった……」

 雨が降っていて新幹線や電車が遅れてしまったのだ。ようやく動き出して駒王に着いても既に今は夜中。

 

 

 

 歩いて帰っていると少し先に変な二人組がいた。明らかにバレバレな教会の戦士の格好をして、何かしているみたいだ。この先に我が家があるのにわざわざ迂回するのも面倒くさく、見えないフリをしてそろりそろりとすり抜ける。

 

 

 

 二人は女性で同じくらいの年頃の印象を受けた。羽織っている白いコートは魔術的な作用で内側を隠す事が出来るらしい。教会の戦士の二人が言い合いをしているのは閑静な住宅街には異常でしかなく、大抵の教会の戦士(変態)は何処か頭のネジが外れているので積極的に関わりたくは無かった。

 

 

 

 

 

「ただいま帰りました」

 二人はとっくに寝ているだろうから、慎重にドアを開けて小声で言った。廊下を通り、リビングに入る。

 

 

 

 

「!!」

 テーブルの上に置き手紙。

 

 

『冷蔵庫に入れておくのでレンジでチンして食べて下さい。のりたまであれば、ふりかけも使っていいですよ』

 仮初の平穏でも、俺はーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冷たいご飯は暖かくて、美味しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 





次回はコカビエル戦。一大決戦みたいな形になり、原作から大きく乖離する可能性が高いです。

ただ三大勢力が酷い目に遭うだけという訳では無い事を了承していただきたい。

三大勢力をどれくらいボコるか

  • ほどほど
  • 遠慮なく
  • ひかえめ
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