ペルソナEvolution1 ツキバネカオルの仮面 作:創作魔文書鷹剣
バベルスを吹き抜ける風、陽も射さず雨も降らない裏世界にあるはずがない風。その風を発するのはペルソナの力、天地 亮が目覚めたペルソナ能力「ラツィエル」がバベルスに旋風を吹かしていた。
「不思議なモンだな・・・今初めてやったはずなのに、ずっと前から慣れてる物みたいに感じるぜ。」
吹き上がる風が亮の髪をかき上げる。
「ラツィエル・・・この力、使わせてもらうぜ。」
亮は己の拳に風を纏わせ、その拳をシャドウに向けて降った。その瞬間シャドウの巨体を暴風が穿ち、文字通り風穴をこじ開けた。
「なんという・・・このタイミングでペルソナ能力に目覚めるとは・・・」
「すごい・・・」
1人と1体が戦う術を失いかけていた相手を一撃で貫き、容易く消滅させてみせた亮。金色に輝くその両眼が元の色に戻った時、彼は薫達に声をかけた。
「・・・で?何がどうなってんだよ?」
「ですよね・・・」
とりあえず彼に色々説明するべく、一同は表世界に戻った・・・
《月羽宅》
「なーるほど・・・裏世界にバベルスにシャドウにペルソナね・・・」
クリフォトの長く難解な説明をひとしきり聞いた後、亮はとりあえず若干だが理解した。彼の理解力が高くて助かった、これが低かったらもう・・・
「そうですそういう事です。と、いうわけで・・・天地様も我々と一緒に戦っていただけませんか?」
「・・・拒否権は?」
「あるような・・・無いような・・・?」
「いや、今のはちょっとイタズラしただけだ。やるよ、やるから。」
思っていたよりもあっさり首を縦に振る。普通の人間ならば戦いの場に身を置く事など躊躇して当たり前なのだが、彼は何故かその決断を簡単に下してしまえた。流石にちょっと怖い。
「俺とお前らにしか出来ないんだろ?じゃあやるしかねえよ。」
「おぉ・・・正直そんな簡単に協力していただけると思っていなかったんですが・・・ホラ、いつまで隅っこでじっとしてるんですか薫。」
クリフォトに引き摺られる型で亮と対面した薫。今この対面は薫が心の内で待ち望んでいた瞬間のはずだが、いざその時が来ると何をどうすればいいかやっぱり分からない。いや来る前もわかってなかったけど。
「えっと、その・・・あの・・・」
「・・・なあ、お前ってこの前話した事あるよな?」
「え?いや・・・うん・・・」
「・・・マジで?」
裏世界云々の説明を受け入れた彼にもこれは衝撃だったようだ。目の前にいる内気で無口な少女は自分がいるクラスに現れた転校生で、今もこの前も同じ様な雰囲気でロクに喋らなかった。だが裏世界においてはクリフォトを実力行使で黙らせるようなヤバい奴・・・いくらなんでもキャラが違いすぎる。
「・・・お前って、ホントはあんな感じなの?」
「いや・・・あれは、違くて・・・」
「あ、違うんだ。」
「あの・・・わたくしを蚊帳の外にするのはやめていただけます?」
「うるさいちょっと静かにしろ。」
「・・・ハイ。」
哀れ、クリフォトはさっき薫がいた部屋の隅っこで蹲るのであった。
「正直俺は裏世界やペルソナがどうとかよりも、お前のキャラ変が気になって仕方ないんだけど。」
「え、え・・・えっと・・・」
「・・・まあお前がよくわかってないなら別にいいや。それより「線」やってる?」
「・・・線?」
「そ、俺も一緒に戦うんだから連絡しやすい方がいいだろ?メールよりも普通に楽だしな。」
因みに「線」とはいま日本中で使われている大人気のコミュニケーションツールである。電話やメールよりも使いやすいと評判で、使っていない奴を探す方が難しいぐらいである。断じてL○NEではない。
「ちょっとケータイ貸してみ?」
「ん。」
「ここをこうして・・・ホラできた。」
薫のケータイに追加された「線」のアプリ。その中に搭載された「友達通信」なる機能に亮の名前が登録されている。今のところただ登録されているだけなのだが「友達」というワードが薫の心に刺さる。
「友達・・・」
「そ、俺たちもう友達みたいなものだろ?」
「・・・うん。」
若干素っ気ない態度だが内心では滅茶苦茶喜んでいる。欲しい欲しいと前から思っていた「友達」が遂にできたのだ。なんならちょっとだけ表情にも出てる。見た目の変化が微妙すぎるけど。
「じゃあ、これからもよろしくな、えーっと・・・月羽、でいいか?」
「・・・うん。」
薫にとって初めての友達、この出会いが何をもたらすのか・・・今はまだ、誰も知らない。
都合の良いところで切ってしまった。本当に私の構成力はカスですね。