ペルソナEvolution1 ツキバネカオルの仮面 作:創作魔文書鷹剣
裏世界は風も吹かず、陽の光も刺さず、僅かな命が芽吹く事も無い。まさしく「異界」なのである。だがそんな暗く無機質な世界にも、一陣の風が吹き抜ける事がある。それはペルソナの風、疾風属性を司る天地亮のペルソナ「ラツィエルの力。
「斧に風を纏わせんのと、右手から直接風吹かすのと・・・武器経由しただけで随分違うんだな。」
「ペルソナウェポンはペルソナ能力の属性を増幅する事に特化していますし、特に疾風属性は武器があった方がやりやすいと思いますよ?」
「私も剣使った方が出しやすいよ、手から氷出してると冷たいし。」
「まあ、お2人の属性は広範囲に拡散する性質がありますからね。一点に集中させるも最大まで拡散するも武器を媒体にした方がパワーコントロールもしやすいですし。」
漸くまともな話をしだしたクリフォト、それでも若干白い目で見られてる気がするのは気の所為だろうか。薫も亮もイマイチ彼女の事を信用できていない様子だが「正体不明の人間っぽい何か」としか言いようが無い上に、居候の身で幾らか偉そうなのが余計にイラッとさせる。
「なんだか視線が痛いような気がしますが・・・まぁそれよりも、シャドウのお出ましですよ。」
シャドウは3体、天井から垂れ下がるように一行を睨みつけている。対して薫達も2人と1体、即ちタイマンである。
「来ましたよっ!!」
滴り落ちる3体のシャドウ、それが地に降り立つ前から戦闘は始まっている。敵が臨戦態勢になってから戦う馬鹿はいない。
「うわなんだコイツスライムかよ!!全身ドロドロじゃねーか!」
「ドロドロ過ぎて物理攻撃が効かない。だったら・・・」
氷結戦姫の柄に結ばれた1束の糸。その先端を掴んで剣を丸ごと振り回し、剣から生じる冷気の渦を作り出す。
「凍れ!」
冷気の渦は剣を中心に拡散し「大吹雪」となってシャドウを襲う。如何にドロドロの体を有していても凍ってしまえばお終い、そのまま全身砕いてトドメだ。
「月羽やるなぁ〜、俺もやったるか!」
液状のシャドウ、疾風属性を使う亮の「ラツィエル」とは相性の悪い相手である。しかし、それは無策に力をぶつければの話。考え方次第でその相性は覆る。
「液状の体でもッ!強風で吹き飛ぶ事に違いはねえだろうよッ!!」
亮の斧にも氷結戦姫と同じ糸束が付いている。つまりこちらも振り回して使う事が可能なのだ。剣から生じる風が渦を作り「竜巻」となった風を更に一点に集中させる。
「貫け!」
ただでさえ一点に集中した風の貫通力は圧倒的、加えてその風が竜巻なら・・・如何に液状の体だろうと、貫通して吹き飛ばされればお終いである。
「即興で貫通力高めたけど、以外と上手くいくモンだな・・・クリフォトが言ってた『武器の使い方をインストールする』ってのは結構融通が効きそうだな。」
そんな事を言っているうちにクリフォトもシャドウを倒していた。
「御二方、素晴らしい才覚に御座いますね。」
その背後には、真っ暗な「闇」に覆われて分解されるシャドウの姿があった。
「ねえ、あれ何?」
「よくぞ聞いてくれました・・・あれは『闇属性』に分類される力、6つある属性の中でもっとも強力で・・・凶悪な力です。」
「俺らにも使えたりしねーの?」
「それはペルソナの適性次第ですね。使える属性は適性によって決まるので、御二方のペルソナが闇属性に適性があれば使えますよ。」
「「ふーん。」」
ペルソナ能力は以外と奥深い・・・そんな事を思いながら一同は前に進む。道中でクリフォトから闇属性と対を成す「光属性」についての話を聞いた。彼女が言うには闇属性の力と似て非なる属性であり、異なるプロセスを踏みながら「分解されて消滅する」という結果は変わらないのだとか。
「なにも2属性使える方が強いって話ではないんですよ。1属性に特化した方がスペックに余裕があって高火力の技を出しやすいですからね。」
「クリフォト、あれ見て。シャドウいるよ。」
暗くて狭い通路を抜けた先には、今までとは対照的な純白の装飾が施された大部屋があった。そして一同の目の前に現れたシャドウは1対の翼を蓄え、今にも飛び立たんと羽ばたいている。
「シャドウって飛べる奴いるんだな。」
「まあ種類によりますよっ!」
飛べるシャドウもいるにはいる。だがこのシャドウは少々事情が違った。翼から抜け落ちた羽が意思を持っているかのように飛び回り、2人と1体を撹乱して暴れ回る。こう数が多くては対処も簡単じゃない。
「こんなに細かくちゃ俺の風を集中させても当たんねぇ!しかも拡散させたところでちょっと散らかるだけだ!何か別の手段が必要だ!」
「そうは言ってもですね!この羽燃やしても効果無し、闇属性は動きが速すぎて捉えられません!」
「ああもう、ちょこまかしてて・・・」
案の定と言うべきか、この羽は薫の冷気でも凍らなかった。視界を埋め尽くさんばかり勢いで増える、燃やしても凍っても吹き飛ばして効き目が無い無数の羽。その鬱陶しさに薫の堪忍袋が限界突破した。
「腹立つなあっ!!」
その叫びと同時に薫の手から小さな光が溢れ出し、その光は何もかも飲み込むほどに強くなった。亮もクリフォトも強すぎる光に目を開けられず、ようやく目が開けた頃にはシャドウが消滅していた。
「あー・・・スッキリした。」
「か、薫!?貴女のエヘイエーに光属性の適性が!?」
「スゲーな月羽!こんなタイミングよく使えるようになるのかよ!?」
「・・・え?いや、ちょっとイライラしたからペルソナ使おうとしただけなんだけど・・・」
今のは明らかに光属性の力である。それはつまり、薫のエヘイエーが光属性の適性を持っていた事になる。だが本人は無自覚に放ったモノのようであり、エヘイエーに適性があった事さえ知らない様子だった。
「ペルソナ能力者は自分のペルソナに何属性の適性があるか、勘でわかる場合もあるみたいですが・・・これだけ強い適性があるのに、無自覚なままなんて・・・」
「月羽・・・お前、もしかして天才?」
「うーん・・・よくわかんないけど、多分エヘイエーって凄いペルソナなんでしょ?」
随分久しぶりに投稿したなぁ