ペルソナEvolution1 ツキバネカオルの仮面   作:創作魔文書鷹剣

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 スピード感を意識したい、少なくとも今年は。


訓練は大事、他2本

《4月19日(木)晴れ》

 

 今日はペルソナ能力を使う練習をするとクリフォトに言われ、特に抵抗も無く裏世界へとやってきた薫。既に裏世界に順応しているのは薫が無関心なだけか、それとも気質的にここの空気感が気に入ったのか・・・

 

「一昨日のようにペルソナ能力を使った途端気絶したのは、まだ貴女の体が力に適応出来ていないからです。準備運動を経て徐々に力に順応していけばあのような現象は起きなくなりますし、何よりいざという時に気絶されては貴女の命が危ういですからね。」

 

「それで?準備運動ってのはどうやるの?」

 

「簡単でございます、ペルソナ能力を行使する時間を伸ばしていくだけです。」

 

 簡単と言われて早速やってみる薫だったが、これが予想以上に難しい。ペルソナ・・・「エヘイエー」が実体を保っていられるのは数分が限界で、しかも数分という時間の間自分は棒立ちしたままだ。更に加えて一度限界まで実体を保ったら疲労困憊で脚がガクガク震え始める。このザマじゃ気絶するのは当然だと自分を卑下してしまいそうになるが、これで諦めるほど薫は弱くなかった。

 

「ハァッ・・・ハァッ・・・もう一度ッ!」

 

 既に満身創痍の体に鞭を打ち、感覚が弱り始めた指先と脚に無理矢理力を込める。強引な力の行使はそれに見合うだけの反動が伴う。数秒程度で限界が来た薫は力無く崩れ落ちた。

 

「うぅ・・・ハァッ・・・」

 

 今すぐにでも立ち上がって練習の続きがしたいのに、脳の命令に対して四肢と本能が拒否反応を起こす。体に力を入れようとしても力が抜けていって立ち上がれない。自分の体と格闘する様を危険と判断してか、クリフォトが止めに入った。

 

「今日はこれまでで構いません。これ以上はただの自殺です。」

 

「・・・。」

 

 薫は何も返す言葉が出ずに地に伏せていた。強すぎる疲労に抗えない姿を見て、クリフォトは彼女に対する認識を少しだけ改めた。

 

(ペルソナ能力に覚醒した直後に披露したあの強さに対して、今の薫は「他」のペルソナ能力者が覚醒した直後と変わらない程度の技量しかない・・・あの時に垣間見た強さが制御のタガが外れた状態なら辻褄は合いますが・・・)

 

 どうしても拭いきれなかった。クリフォトの薫に対する認識が、大きな誤りを孕んでいるような不安感が・・・

 

(そのあたりも含めて経過観察しましょう・・・どの道目を離すわけにはいきませんし。)

 

 クリフォトが一人でアレコレ考えてる間、薫はずっと息を切らせて寝っ転がっていた。力が足りない自分に憤りを覚えながら・・・

 

《4月20日(金)雨》

 

 ただでさえ今日は雨のせいでいつもより気分が暗いのに、昨日の疲れを引きずっているせいで薫のテンションは尋常じゃなく低下している。見た目には何の変化も無いが心の中ではいつもよりネガティブな感情が3割増しなのだ。

 

「昨日はお疲れ様でした。まだ慣れない体であれほどペルソナを使っては体もガタガタでしょうから、本日はお休みです。」

 

 休みと言われて嬉しいといえば嬉しいが、早くペルソナ能力を制御できるようになりたい薫はあまりゆっくりしていられなかった。そもそも娯楽と呼べる物が無さすぎるこの家では携帯を弄る事ぐらいしか暇をつぶす手段が無い。引っ越してきた当初は気にならなかったが、改めて考えてみればこれは大きな問題だった。

 

(何か置いた方がいいのかな、でも何置けばいいんだろ・・・よく考えたら何か置いたところで使うのは私よりもアイツ(クリフォト)か。)

 

 冷静になって考えてみれば学校に行っている間家にいない薫と違って、ニーt・・・この家に居座っているクリフォトの方が暇な時間は長いのだ。だとしたら自分の暇をつぶすために用意した物がクリフォトの暇つぶし用になってしまうという訳で・・・

 

(いいや、後で。)

 

「薫〜?今ちょっとだけわたくしの事下に見てましたよね〜?」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

「なにか言ってくださいよッ!?」

 

《4月21日(土)曇り》

 

 漸く体の疲れも癒えてきた。ガタガタだった体が治った側からペルソナ能力の練習を始める。今日はどういう訳か一昨日よりもペルソナを実体化できる時間が伸び、更に疲労で動けなくなる現象も改善されて限界までペルソナ能力を行使しても倒れたりする事はなくなった。

 

「ペルソナ能力の強化は筋肉と同じ・・・限界まで酷使した事による疲労を回復する際の反動で以前よりも強くなるのです。貴女の場合伸び代がたっぷりですから、成長度合いも大きいという訳です。」

 

「なるほどねー・・・」

 

「この分なら明日にはシャドウと戦える状態になりますね、今日はほどほどに練習した後はお休みしましょう。」

 

 シャドウと戦うと言われて、正直薫はその事を好意的に受け止めてきれてはいなかった。また気絶してしまうんじゃないかと不安でならなかったが、その反面今の自分には小さな自信と確かに感じる「力」があった。今ならば、結果は違うかもしれない。

 

「力は使いよう・・・適切な訓練を施したペルソナ能力者ならば、手にした武器を十全に使いこなせましょう。」

 

「つまりこの剣も上手く使えるようになるって事?全然実感湧かないけど・・・」

 

 剣を握ったところで実感の欠片も湧かない薫だが、クリフォト曰く以前よりも強くはなっているらしい。含みのある言い方なのが不安だが。

 

「まあいいや、実際にやってみればわかるでしょ。」

 

「ポジティブですねぇ・・・」

 

 薫の練習はまだまだ続く・・・




 3日同時消化しなきゃやってられない。
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