魔法少女1日目
「うぅ、尿意が……」
初めて魔法少女になってディストを倒して戻ってきたところで、タイラントシルフはぶるりと身を震わせてトイレに駆け込んだラン。怒涛の展開が終わったことで緊張の糸が切れたのかもしれないラン。
「あ、アレがないです……」
トイレからは照れの混じった声が聞こえたラン。女の子の身体になってから色々と慌ただしくて、タイラントシルフはしっかり自分の身体を確認してなかったラン。今更になって、改めて自分が女の子になったことを理解したみたいラン。
それからも魔法少女についての説明を聞きながら、どこかそわそわして落ち着きがなかったラン。
「いいんでしょうか……。でも、自分の身体ですし、まさか入らないわけにもいきませんし」
夜になってから、タイラントシルフはうんうんと唸り始めたラン。
なにをそんなに悩んでるのか聞いてみたら、お風呂に入るのが恥ずかしいし罪悪感を感じるってことみたいラン。
どうせこれから毎日見ることになるんだからそんなの気にする必要ないラン。
「本当に、本当に女の子になってしまったんですね……」
お風呂から出てきたタイラントシルフが顔を真っ赤にしながらぶつぶつ呟いてたラン。
随分と長いお風呂だったからのぼせちゃったみたいラン。
長風呂には気を付けるように言ったら更に顔を赤くして怒り出したラン。意味わからないラン
魔法少女3日目
「ふあーあ」
朝、タイラントシルフが大きなあくびをしながら顔を洗ったり歯を磨いたりしてるラン。
トイレに入る前は一瞬だけ躊躇するみたいに硬直するけど、結局はちゃんとできてるラン。
そわそわすることはなくなったラン。女の子になったとは言っても、出不精のタイラントシルフは他人に見られるわけじゃないから日常生活にはあまり変化がないラン。だから気にしないっていうより気にならなくなったんだと思うラン。
会社も休職扱いにしてるから、そもそもタイラントシルフが元は男だって知ってる存在は今のところ僕しかいないラン。
それでもトイレとかお風呂みたいに女の子の身体と正面から向き合わなきゃいけないのはまだ苦手みたいラン。
でも、それも時間の問題だと思うラン。
魔法少女6日目
「今日のご飯はこれにしましょう」
昼過ぎに目を覚ましたタイラントシルフがベッドに寝っ転がりながらマギホンを弄ってるラン。
女の子としての生活にも慣れて、自然体で過ごせるようになったのはよかったけど、自堕落な生活をするようになったのは良くないラン。
歪みの王がいつ現れるかはわからないラン。規則正しい生活をして健康を維持してくれないと困るラン。
やっぱり、他人の目が必要ラン? 機会があったらあの子たちと接触させてみた方がいいかもしれないラン。
魔法少女9日目
「さくっと終わらせたいです。新型って何なんですか……」
ここ最近、ディストを倒すのにじっくり時間をかけているのが不満なようで、タイラントシルフは寝転がってソーシャルゲームをやりながら愚痴を言ってるラン。
新型が何なのか、なんてそんなのこっちが聞きたいラン。ディストは本当にわからないことだらけラン。
それはともかくとして、あの子たちが良い感じにピンチに陥ってくれたのは丁度よかったラン。タイラントシルフの性格をある程度はかることも出来たし、救援は間に合ったし、すべてがうまくいったラン。
でも、眠れなくなるのは嫌だからピンチの時は教えろ、なんて言ってたけど本音かどうかはわからないラン。少なくとも悪人ではないみたいだし、照れ隠しの可能性はあると思うラン。要観察ラン。
魔法少女12日目
「そろそろ私も魔法界に行ってみようかと思います」
タイラントシルフが珍しく自主的に出かけて行ったラン。
探検したいから一人で行くって言うのは多分嘘ラン。でもだからって何ができるわけでもないラン。放っておいていいラン。
手続きが滞ってるのは本当だからさっさと終わらせるラン。
それと、エレファントに迫られてタイラントシルフも何か思うところがあったみたいラン。タイラントシルフはどうも消極的すぎるラン。エレファントくらい強引な子に連れまわして貰った方が良いかもしれないラン。
魔法少女13日目
タイラントシルフが負けかけたラン。本当に焦ったラン。
ここでタイラントシルフを失うのは痛すぎラン。エレファントが間に合って本当に良かったラン。
やっぱり今後は誰かと組ませた方が良いかもしれないラン。この辺で実力が近いのは……、エクステンドとかラン? ただ、タイラントシルフがそれを受け入れるかが問題ラン。こんなことになったわけだし、大丈夫だと思うけど心配ラン。
とりあえずディストの魔術の影響でタイラントシルフはしばらく目を覚まさないみたいだし、根回しだけしておくラン。
魔法少女16日目
「出てけぇぇっ!!」
追い出されたラン。タイラントシルフが何をそんなに怒ってるのかよくわからないラン。でも仕方ないラン。初めて死にかけたからパニックになってるんだと思うラン。
やっぱり負の感情を抑制する魔術は非変身時も機能するようにしておいた方が良いと思うラン。なんでディストと戦ってるときに限定されてるラン? 魔法少女システムには非効率的な部分が多いラン。今度意見をあげておくラン。
これからどうしようラン。こっそりタイラントシルフの傍にいても良いけど、ばれたらまた怒られそうラン。あんまり機嫌を損ねて自棄になられても困るラン。
魔法少女??日目
「こっちの方が良いでしょうか? それともこっち? うぅ、よくわかりません」
追い出されてからしばらく経って、タイラントシルフが今どんな状態なのか気になったからこっそり見に来たラン。
そしたら大きな姿見の前で女の子の服を自分の身体に合わせながら困ったように声をあげてるラン。
なにがあったラン? タイラントシルフは男物のブカブカのTシャツ一枚で外に出かけるようなズボラだったはずラン。それがどうして女の子の洋服を選んでるラン?
「恥ずかしいですけど、エレファントさんは喜んでくれるでしょうか……」
タイラントシルフは少し頬を赤くして複雑そうな声を出してるラン。女の子の服を着るのにはやっぱり抵抗があるみたいラン。でも、なんでこんなことになってるのかはわかったラン。
エレファントの仕業ラン。たしかに積極的で強引なあの子なら何か影響を与えてくれると思ってたけどまさかここまでになるとは思ってなかったラン。
でも、まあ良いラン。身も心も女の子になって元の姿に戻りたくないと思えば、それだけ魔法少女の活動にも身が入るラン。そのために口調と思考にまで干渉して女の子らしさを引き出そうとしたラン。目論見は成功ラン。
今後も引き続きこっそり観察を続けながら、タイラントシルフのサポートに戻れるように動くラン。
一章完全終了です。
二章も書き終わってからまとめて投下します。
最低でも四ヶ月くらいはかかると思います。