原作でノイントが限界突破した主人公に互角の戦いを繰り広げていた~みたいな部分があったので、原作主人公のステータスより平均的にやや上で、技能が盛り盛り(恐らく能力的にはこれ以上と思った方がいいかと)の形にしました。
商業都市フューレンの街並みを、壁から顔を覗かせた日の光が照らす。
窓際のベッドで寝かされていたノイントも目元に光を当てられて目を覚ました。
昨夜の倦怠感や体の痛みは消失している。
「………………」
記憶を手繰り寄せると睡眠中の彼女を見に老人の医師が起きていたことを思い出す。
夜中に何度も何度も自分の寝室から足を運んだからだろう、老人はまだ起きていない。
更に記憶を遡ると、彼女が恐らく生まれて初めて感情を意識した相手の顔が過ぎる。
(南雲ハジメ………)
何処かで聞いたことあるような……でも、その時は有象無象の一人に過ぎなかったような…。
そんな事を思っていると、ノイントの腹がぐぅと鳴った。
彼女は今までそんな事なかったのに、何故だかこの腹の音を誰にも聞かれたくないと思った。
頬を朱に染めてベッドから起き上がろうとした彼女は、ある事に気が付く。
「脚部損傷を確認、応急処置の痕跡有」
この家に運ばれて来るまでは骨の剣みたいなものを、今は只の添え木に包帯が巻かれている。
複雑骨折には至っていないようだが、杖も無しに歩くのは厳しいだろう。
彼女はそっと包帯を取って添え木を外し折れた足の先を床につける。
目を閉じて意識を集中すると、折れた足の正確なデータが脳裏に浮かんできた。
それらを数値化して必要な工程を繰り返し記憶領域に保存、再生を繰り返して―――――――
ボキッ!
「―――――――ッ!!」
鈍い音を鳴らした骨から激痛が走り、ノイントは表情を歪めて思わず息を呑んでしまった。
するとそこへ音を聞きつけたであろう寝室の老人と玄関の前にいたハジメが駆け込んでくる。
痛みが収まるまで立ち上がるのは困難と判断したノイントがベッドに腰掛けているのを見て、老人は彼女が何をしたのかすぐに察して慌てた。
「なんて無茶を……!」
「問題はありません。骨折していた箇所の再生は本日中に済みます」
「いや、そういう事じゃなくてだね………兎に角、足を出して」
無表情で当たり前のことをしたと言わんばかりの彼女に老人の医師は呆れてしまう。
そしてすぐに足を診せるように言って、懐から魔法陣を描いた布を取り出して足に載せる。
「天の息吹よ、満ち満ちて彼の者に清浄と癒しを齎さん―――”天恵”」
太陽の光とは違う、淡い光がノイントの折れていた足を包み込んだ。
魔法陣の布を老人がしまうと、彼女の足は普通に動かせるようになっていた。
ハジメは果物の籠を机に置いて自分が言う事じゃないのでは?と思いつつも彼女を叱った。
「自力で骨折を治すのは止めとけ、変な癖がついちまうぞ」
「――――――癖とは、具体的にどんな事でしょうか?」
ハジメの言葉に疑問符を浮かべたノイントに対して、老人の医師が答える。
「折れた骨を無理やりに戻そうとすると、その骨の周囲が傷ついてしまうんだよ。そうなると折れた骨が戻っても、最悪の場合は筋肉や神経に痺れが残って十全に働かなくなってしまうんだ」
「……それは知りませんでした。医学知識として記憶しておきます」
「そうしなさい。―――しかし君も、最新の医学に詳しいなんて驚いたよ……」
「あ、あぁ~……まぁこんなでも俺、一応ハンターなんで……その辺のことも齧ってるんですよ」
確かに訓練所では狩りの最中に骨折などがあった場合に備えて応急処置を教えられている。
しかし自力で骨折を治した場合の
それを馬鹿正直に答えられる筈もなく、彼は愛想笑いをするしかなかった。
気を取り直して、老人の医師はノイントの傷の具合を確かめる事に。
それを聞いてハジメは自分がこの場にいるのはまずいだろうと席を立とうとするが……
先にノイントが着せられていた服をバサッと脱ぎ捨ててしまった。
「ちょっ――――――!?」
「診察をお願いします」
一瞬、ほんの一瞬だが不可抗力でハジメは彼女の素肌を見てしまう。
顔を真っ赤にして弾かれるように後ろを向いたハジメは部屋を出て行く。
老人の医師は苦笑して「もう少し恥じらいを覚えなさいね」と彼女に言った。
しかしノイントは一連の流れが理解出来ずにキョトンとして首を傾げるのだった。
*
それから話はとんとん拍子で進むかと思われたが、一通りの診察を終えて彼女から話を聞き終えた老人の医師に部屋へ入るよう言われて入った。
部屋を出る前に老人に予め見舞いの品を彼女へと言っていた為、簡潔に自身が空腹であることを訴えた彼女はベッドの上で上半身を起こした状態で果物を皮ごとむしゃむしゃと頬張っている。
両手で果実を抱えて口元をモゴモゴ動かす彼女に小動物のような愛らしさを感じるハジメだった。
「……それで、彼女のことなんだがね…………」
暗い表情の老人の医師が了承を得るようにノイントへ視線を向けると、彼女はコクリと頷く。
そうして数分間、老人の医師から語られた驚愕の事実にハジメは唖然とする。
聞き終えたと同時にこう思ってしまった。
(
正確には怪我をする前はモンスターに襲われていたらしいのだが、彼女自身も含め空を飛んでいたとか突拍子もない事を言い出したので老人の医師は記憶障害の影響で混濁しているのだろうと。
名前がノイントである事、記憶を失う直前に誰かに会っていたような事、モンスターに襲われて負傷した事、それ以上のことは何も分からなかったのだ。
老人の医師の提案でステータスプレートで身分を確かめようとしたのだが――――――
「なんというか……その、表示されたステータスの数値があまりに人間離れしたものでね。故障とは考えにくいんだが……君も見てくれれば分かるよ」
そう言って老人の医師は食事中の彼女に承諾を得てハジメにステータスプレートを見せる。
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ノイント 2200歳 女 レベル:100
天職:使徒
筋力:15000
体力:15000
耐性:15000
敏捷:15000
魔力:15000
耐性:15000
技能:魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+効率上昇][+身体強化][+魔素吸収][+集中強化]、全属性適性[+魔力消費減少][+効果上昇][+持続時間上昇]、全属性耐性、高速魔力回復、物理耐性、精神耐性、状態異常耐性、遠見、剛力、縮地、先読、気配遮断、魔力感知、気配感知、熱源感知、限界突破、言語理解
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「何だこれ…」
素でそう口に出してしまったハジメは咳払いしてステータスプレートを返す。
ツッコミどころが多すぎて理解が及ばないのか、一つ一つ整理していこう。
まず名前は問題ない、彼女が名乗った通りノイントで間違いない。
問題はその隣、2200とはどういう事なのか、見た目はどう見てもハジメと同じ年頃の少女にしか見えないのに……まさか
そう彼が思った瞬間、ノイントの視線がじっと彼を見つめていて焦って目を逸らす。
(……流石に本人を前にロリBBAは失礼だったな……よし、これは何かの間違いだと仮定しよう)
ステータスプレートが壊れた等という話はあまり聞いたこともないが、彼は無理やり納得する。
そして天職:使徒とはどういう事だろうか?神の使徒と何か関係があるというのか?
彼女にそれを問いかけても「分からない」としか返ってこなかった。
次、ステータスの数値が老人の医師曰く「人間の常識を大きく超えている」そうだ。
これに関してはハジメも―――嫌々だが―――勇者こと天之河光輝のステータスを覚えていた為、数値だけなら彼女が彼の数百倍も強いという事実に困惑する。
そして技能についてなのだが、老人の医師からとんでもない事を聞かされた。
「魔力操作は普通の人間が会得出来る技能ではない。魔人や魔物にしかない能力なんだよ……」
(そういや王国の図書館にあった本にそんな事が書いてあったな……)
しかしそれでは彼女の説明がつかない。
彼女は魔人特有の見た目とはかけ離れた、どこぞの貴族令嬢かと思うくらい美しい容姿だ。
それにモンスターが魔力操作を持っている等という話を、ハジメは訓練所で聞いていない。
恐らくは王国側の知識ではそうなっているのだろうと話半分に聞いていた。
そうなると彼女は魔人族……ではないにしても、それに近い別種族という事になる。
であれば老人の医師が知る限り、人間には存在しない天職を持っている事にも説明がつく。
問題はその事実を二人以外の人間が知ってしまったら、どうなってしまうのか――――――
「恐らく彼女は異端審問に掛けられて、処刑されてしまうだろうな……」
籠の中の果物の半分を食べ終えたというのにまだ食事をするノイント。
そんな彼女から少し距離を置いたところで老人の医師がそう告げる。
ハジメはそれを聞いて苦虫を嚙み潰したような表情で頷く。
此処で聖教教会に対する嫌味の一言でも吐きたい気分だったが、形式上の信者である老人の医師を前にして言うのは流石にまずいと判断して口を噤んでいた。
「この事は誰にも言わない方がいいだろう。君も協力してくれるかね?」
「勿論です。元々は俺が彼女を此処に連れて来た……責任を負う義務があります」
「――――――君はまだ若いというのに、しっかりしているね。……後は彼女次第か……」
それから数分後、食事を終えたノイントは膨らんで顔は満足そうにしている。
だが汁気たっぷりの果物を手で掴んで齧っていた彼女の口元や手は汚れていた。
老人の医師が苦笑して、ハジメは「これで2200歳はねえな」と内心微笑ましく思いつつも、相変わらず無表情な彼女に対してハンカチを取り出して言う。
「ほれ、これで口と手を拭いとけよ」
「???」
「そうやって汚れていたら君自身も君と対面する人も不快に思うだろう?マナーというものだよ」
老人の医師の言葉でなんとなく理解したのか、彼女はハンカチで口や手の汚れを拭き取る。
少し落ち着いたところで老人の医師は意を決して彼女に問いかけた。
これからどうするか考えているのか?
君の素性は伏せておいた方がいいが、それだと町の行き来が難しくなる。
もし君が嫌でなければこの家に暫く住んで貰うことも構わない。
老人の医師の提案にノイントは少し俯いて何かを考えていたが――――――
不意に老人の医師の後ろで様子を見守っていたハジメと目が合う。
「貴方と……」
「ん?」
「貴方についていく事を、許可して頂けないでしょうか?」
今回だけの登場になるかもしれませんが、老人の医師は常識人です。
宗教としての考えを理解しつつも、医学の前では等しく救わない命などない。といったスタンスで、善人悪人問わず助けてしまう優し過ぎる人だと思って下さい。
ノイントの骨折治療(物理)は某ガンダムの主人公みたいなものです。
技能には表示されていませんが、彼女の自己治癒力みたいなものは原作のユエ程じゃありませんがモンスターのそれにも引けを取らないものかな?
感想、質問、ご指摘等お待ちしております!
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡