最初に書いておきます、ただの作者の息抜き回です。
踊り子さんの詳細が知りたい方は「ファイヤーエムブレムIf」をプレイする事をおススメします。
踊り子さんの容姿だけでも知りたいって方はファイヤーエムブレム、アクアで調べれば出てきますよ(アーティファクトの下りは似たようなもので独自解釈です……)
作者は暗夜のズンドコverが好きです。
商業都市フューレンの観光スポットを私は彼と手を繋いで歩いている。
治癒師の老人は私が怪我を治したばかりで出歩くことに苦言を呈していたが、私は彼がフューレンを見て回るという話を聞いて同行を申し出、強引に承諾を得た。
……どうしてそんな事をしたのか、思い返しても理由が分からない。
道行く人々は私の銀色の髪が気になるのか、それとも同じ銀色の髪で背の高い彼に注目しているのか、自然と私達に視線が集まっていた。彼はどうやらそれを気にしているようだった。
「……とりあえず服屋に行くか?ノイント、先生がくれた服だけじゃ何かと不便だろうし」
「……そう、ですね……特に服装への拘りはありませんが、替えがあった方がいいとはあの人からも助言を頂きました……しかし私はお金が――――――」
私は名前と僅かな記憶以外、
だから治療費の支払いの話が出た時、私はどうすれば代金を支払えるかと聞いた。
すると老人は「大した事はしていないから支払いは要らない」と言った。
けれどそれは彼の労力に対する報酬を支払わないという事になる。何故だか分からないけれど、それは認めて良い事ではないと思ってしまった。……私は1ルタも持っていないというのに……
「気にするな、それくらいは俺が出すよ」
まただ。彼はあっけらかんと言って治療費を立て替えてくれた。
老人は何やら渋っていたが、彼が小声で―――私に聞こえないように話していましたが、全て聞こえていました―――私の素性を隠すための協力者への必要経費だと言って納得させた。
私は恐らく彼と老人に感謝しなければならない……けれど、疑問が残る。
「しかし、それでは先ほどの医師様の所と立て続けに2回、私は貴方に借金をしてしまう。貴方にとって負担になるのではありませんか?見ず知らずの赤の他人でしかない私に……」
「そりゃあ俺だって……見ず知らずの赤の他人にホイホイ金を出したりするお人好しじゃねえよ。ノイントを助けたのが俺で、ノイントが他に頼れる人が居ないと分かった以上は、助けた俺が最低限の衣食住くらいは提供するのが義務だと思った――――――これが理由じゃダメか?」
「………理解不能です」
「そうかい。まぁ……ありがた迷惑だって言うんなら、その時は勝手にしてくれ」
ぶっきらぼうに言った彼は目に入った服屋へ私の手を引いて歩いていく。
私は不思議なことに……胸の奥をドキドキさせながら彼に着いて行くことしか出来ない。
記憶が殆どない私だが、人間という生き物が利己的なものであると認識していた。
自分が得をしない事には関わらず、利他的に見せては見返りを求めようとする。
無知で、強欲で、恥知らずで、傲慢な生き物……嘗てはそう思っていた。
彼の行動や発言には何処か人としてのズレを感じる。
お人好しじゃないと言う癖に、助けた相手に見返りを求めず施しを与えた。
世に云う聖人君子かと思いきや言葉遣いや性格の所々に年相応の人間らしさがある。
不可解であっても、
「いらっしゃい、何をお探しかね?」
「彼女に服を何着か見繕ってくれませんか、代金は俺が支払います」
「あらあら可愛らしい子ね……デートかしら?」
「……違いますよ。……ほれ、ノイント」
いつの間にか私抜きで話が進んでいたようで、彼は手を離して後ろから押してくる。
彼に代わって従業員が手を差し出したので、私は反射的にそれを握った。
……特になんてことはない、普通の温もりがある人間の手だ。
……さっきまで握っていた彼の手は何か特別だとでも言いたいのだろうか、私は……
「どんな服が似合うかしらね~」
「――――――」
それから数十分間、私は慣れない人間との会話を彼らの感情、常識とやらに振り回されながら何とか着る物を試着しながら購入する事に成功した。
……とても、疲れた……人間とは衣服を選ぶだけで此処まで非効率的になれる生き物なのか?
しかし、私が新しく着た黒のワンピース姿で彼の前に出た時――――――
「……似合うな……」
本心が咄嗟に口から出てしまったようで、彼は手で口を覆い隠しながら大袈裟に咳払いをした。
従業員はそれを見てクスクス笑っていたが……私は無性に恥ずかしくて頬が熱を帯びた。
結局その店で服を5着も買ってしまい、靴も含めて合計16000ルタと聞いた時は不安を感じた。
彼は全く動じることなく支払いを済ませて、買った服を手にした私が出て来るのを待っている。
「――――――ありがとう、御座いました」
「……あぁ」
これで私の買い物は終了だろう………………多分。
町中を歩くと、また私と彼は視線を集める。
今度は女性用として、ちゃんとした服を着ている私に視線が集中した。
それと同時に哀れむような視線も向けられる。
仕方がない……とはいえ
目が覚めてから少し経って分かった事なのだが、私は片目が完全に見えなくなっていた。
どうやら空中でモンスターに襲われた時に受けた傷が、眼球を完全に破壊していたようで、老人の治癒魔法を以てしても目だけは治らなかったのだ。
「この後は……本当にいいのか?」
「はい。貴方からの提案でしたので、拒否する理由が私にはありません」
「……確かに提案したのは俺だが……ノイントは気になったりとかは―――」
「???」
「――――――しないみたいだな。……分かった」
彼は私が何を気にすると思っているのでしょう?よく分かりません……
これから先、私と彼が向かうのは一般の催し物で使われる円形広場。
アンカジ公国で人気の劇団が舞台を開くらしい。
劇団も舞台も私にはよく分からないものだが、彼も「人生初だ」と言っていました。
……私と彼の初めて……あまり意味があるとは思えませんが、とても喜ばしい事です。
*
「――――――人気とは聞いてたが、こんなに人が集まるなんてな……」
私達が到着すると、既に円形広場は大勢の人でごった返していた。
主催者側と思われる人間が臨時で雇った者に入場者の招待状を確認する等して、私と彼は驚くべき事に円形広場の中央の一番前の席へ案内された。
少し気になったのが、案内をする女性と彼が知り合いだったらしい。
親しく話している2人を私がじっと見つめていると、少しだけ事情を話してくれた。
女性は元貴族の妻だったが夫の死後、貴族の地位を奪われて今は日雇いの仕事をしているという。
子どもがいるらしく、もし会う機会があったら会いに来てくれと彼に言っていた。
私達が座って暫くの後、観客のざわめきが静まり返った。
円形広場の奥から、水色の長髪を靡かせた女性が軽やかな足取りで現れる。
それに合わせて音楽が鳴り響く……円形広場の裏で演奏をしているようですね。
白を基調とした彼女の髪の色と同じ色の装飾が施された踊り子の衣装。
胸には青い光を放つ宝石の埋め込まれた金のペンダントが下がっている……
観客の誰もが気づいていないけど私にはすぐに分かった……あれはアーティファクトだ。
「――――――♪」
歌と共に踊り始めた彼女の指先から、透明な水が溢れて来る。
物理法則に従って水は落ちるかと思われたが、そのまま彼女の周りで浮遊していた。
踊り子が歌いながら左右に体を振ると、水もそれに倣って左右に広がる。
恐らくはあの胸のペンダントが、それを可能にしているのでしょう。
踊りと歌のテーマは繁栄と衰退。
白い衣装を身に纏った透き通るような歌声の今は繁栄を表している。
人の世は、国は、安寧と平和を享受するのは薄氷を踏むが如し。
崩れる時は一瞬で、人はその瞬間まで繁栄を当たり前だと思っていた――――――
「―――!――――――!」
弦楽器を中心にしていた繁栄から一転して打楽器の音が響いた。
驚くべき事に、踊り子は舞台から降りることなくその場でふわりと一回転して、気がついた時には衣装は純白から漆黒へと変わっている。観客から息を呑む声が聞こえた。
歌声は力強く、聞いている者に熱を感じさせた。
彼女を渦巻く水はさっきよりも多く、宙で波打っている。
衰退の訪れ、飢餓や貧困に始まり、荒ぶる人の怒りは争いへと発展していく。
最後に浮遊していた水が一気に収束して円形広場の上に巨大な水の輪が広がった。
歌の終わり、演奏の終わりに合わせて太陽の光を受けた水が一気に爆ぜる。
霧散したそれを浴びながら観客は盛大な拍手を送った。
周りに倣って私は拍手を送りながら、傍らに座る彼の様子を見る。
彼は終始食い入るように踊りを見ていたが、今はぽかんと口を開けて放心状態だ。
最後にもう一度、踊り子が優雅に一礼して奥へ消えて舞台は終わった。
*
「とても有意義な時間でした……誘って頂いた事、改めてお礼申し上げます」
「楽しんでくれたなら、俺も誘った甲斐がある」
円形広場は人が減ってきているが、まだ私と彼は席に座ったまま。
頭を下げる私に対して彼は微笑み頷いてくれた。……なら、どうして――――――
「
実はまだ彼からあの問いかけの返事を貰っていなかった。
問いかけた直後、彼は「何で俺なんだ?」と聞いてきたが、私は「分からない」と答えた。
嘘ではない、本当に自分でもどうして彼についていくと言ったのか分からないのだ。
ただ、彼についていけば……何かが分かるような気がした。
そして彼は私にそれ以上の追及はしない代わりに「少し答えを出す時間をくれ」と言った。
町を散策して買い物をし、こうして彼が誘ってくれた舞台を見て……私は彼に迫る。
まるで……心の何処かで離れてしまう事を恐れているかのような……
私は本当に、どうしてしまったのでしょう……
「俺は明後日にはフューレンを出る。そこからはホルアドを経由してウルに、ウルから先は……まぁ、着いてから考えるって感じだな……」
私は何も言わず、彼の答えが出るのをじっと待つ。
指で頬をポリポリ掻きながら彼は困った風に眉を寄せて、遠くを見ながら言った。
「俺はハンターだ。危険な場所に足を踏み入れる事が多いし、ノイントを連れてそういう場所に行ったら、多分ノイントを守り切れない……それでも――――――」
「それでも、もし良いなら……と聞くおつもりでしたら、私はそれを肯定します。貴方の邪魔にはなりません。私に出来る事なら何でもします……だから――――――」
言葉を被せて、私は彼にそんな事を言い放った。
我ながら浅ましい悪知恵が働いたのだと思う。……誰の影響なのやら……
またぽかんとしていた彼は少し笑って、一つだけ訂正を求めた。
「
「???」
「ノイント、今まで俺の名前を呼んでなかっただろ。これからの旅に同行したいって言うのなら、敬称とかは要らないから……名前で呼んでくれ」
「分かりました。――――――――――――ハジメ」
言われなければ分からない事もあるというが……確かにその通りだった。
私は彼と自己紹介を交わしてから、ようやく名前で呼び合うことが出来たのである。
これで私がこれからどうするのか方針は固まった……であれば――――――
「つきましては……ハジメ、一つお聞きしたい事があります」
「うん?なんだ、答えられる範囲でなら答えるぞ」
「この都市の地下には人が住んでいるのでしょうか?」
「なんだいきなり?……いや住んでるって話は聞いたことないが」
……成程、それでは
舞台を見ている最中に気が付いたのだが、その反応は徐々に弱っている。
私がそのことを告げると、彼は真剣な表情で聞いてきた。
「フューレンの地下は下水道になってる。……人がいるんだとしたらヤバい……!」
下水道とは雨水や汚水を地下に集め、公共用水域へ排出する為の施設です。
つまりは物凄く不衛生な場所。そんなところに人が居たら何かしらの病気に罹る。
どうしてそこに人がいるとか疑問を後回しにして、彼は駆け出した。
周囲の人に話を聞いて、下水道へと通じる道を聞き出す。
脇目も振らず走り回った彼に、私は何も言わずついていった。
――――――あぁ、死にかけていた私を助けた時も、彼は今の顔をしていたのでしょう。
とても美しい……尊くも儚い命の為に熱を帯びて突き動かされる彼の魂に眩しさを感じる。
私には無いものだ。私には
ノイントさん片目無くなりました(今は包帯で隠してるだけ)
ハンターの装備で眼帯はあるんですが……素材がね……ハジメ君じゃキツい。
踊り子さんの元ネタ動画は調べればいっぱい転がってると思うので、よかったらどうぞ!(途中でゼィゼィ苦しんでるオッサンが映るけど気にしてはいけない……)
原作でも下水道から救われた幼女ですが、あの文明の下水道とか確実に病原菌かなんか貰って死にかけても不思議じゃないんですよね……幸運値高いわあの子。
そろそろ他の連中も動き出すかな……というか動かさなきゃダメかな。
感想、質問、ご指摘等お待ちしております!
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡