若干、作者の実体験といいますか……自虐も混じってるんですが……似た者は仲良くはなれても、根本的に違う部分が必ずるんですよね。だから何処かで同じような体験をして、分かり合うことは出来ても、2人で同じ道を進もうとしたら、何処かで必ずぶつかってしまうんです。
だから作者はボッチの道を進んだんですけどね!!(開き直り)
「――――――清水……どうしてお前が……」
呆然と元クラスメイト、清水幸利を見つめるハジメ。
優花から聞いていた話の通りなら幸利は王国を出て、魔人族の下に行ったという。
彼女の言葉を全て鵜呑みにするつもりはなかったが、少なくとも自分と同じように
「お互いに、話したい事は沢山あるだろうからさ……まぁ付いて来いよ」
「………あぁ」
そう言って踵を返した幸利は闘技場のハンターが入る為の入り口とは別に設置された、ギルド職員しか立ち入れない特別な場所へと向かって歩き出す。
ハジメは闘技場内から聞こえる鳴き声に警戒しつつも彼の言葉に答えて後ろについていく。
ハジメと幸利の間に面識はあっても言葉を交わした記憶は殆どなかった。
それもその筈、クラスメイト達から嫌われていたハジメに関わろうとする者など
良く言えば無害、悪く言うなら見て見ぬフリをしてきた傍観者の1人。
優花から―――本人にとっては不名誉だろうが―――ハジメの後任みたいな形となった幸利の事を聞かされてからは、少しだけ申し訳ないと思う気持ちが彼の中にはあった。
と頭の中で考えを巡らせていたハジメを見向きもせず幸利は唐突に話しかけてきた。
「言っておくがよ南雲、俺はお前がいなくなったから虐められた~なんて、お前を恨んだりしてないからな?そんなんじゃお前に白崎を取られたとか思ってる檜山達と同レベルだし」
「そいつはありがたい……正直、お前にその事で文句の一つでも言われるんなら、頭の一つくらいは下げてから俺もお前含めクラスメイト達との関係をバッサリ絶つつもりだったんだが……」
平静を装いながらもハジメは内心、幸利の淡々とした口調に驚いている。
記憶に残っている以前の彼は自分ほどじゃないが、極力人前では目立たないように小声でボソボソと喋り、特定の誰かと関わり合いを持つような男子だった。
幸利はハジメの言葉を聞いて少しの間を置いた後、笑いながら言った。
「―――ッハハ!その言い方じゃお前、今は
「……お前と同じように、俺も色々とあったんだよ」
「色々か……そうだな。あぁ、そうさ、俺も色々あったんだ……」
闘技場の中から聞こえてくるモンスターの鳴き声が近くなってきた。
ハジメはじわじわと臨戦態勢を整えながら、外の明るい光が差し込む場所へと踏み込んだ。
*
―――グオオオォォッ!
―――ギィエェ!
―――ギィエェ!
闘技場の中を支配していたのは橙色の毛皮が生えた鳥竜種だった。
二頭の小型モンスター”イズチ”を率いるのはリーダー格の”オサイズチ”
刃尾と呼ばれる発達した尻尾を持ち、ついた呼び名は”
それが闘技場内で他の小型の鳥竜種……マッカォやジャギィといった小物を圧倒していた。
「……これは」
「あぁ、まだ完全な支配にまで行き届いてないんだ。……それが終わるまで話をしてやるよ」
支配という言葉でハジメは内心「あぁ…」と悲しむような哀れむような声を漏らす。
凶暴なモンスターを支配する術を持つ種族は魔人族だけである。
幸利が魔人族側の人間になってしまった事を、ハジメは嘆かずにはいられなかった。
同時に、自分が彼に手を出せない事もしって歯痒さを覚える。
そんな事も知ってか知らずか、幸利は近くの岩に腰掛けてゆっくりと話し出す。
「最初にな……驚くとは思うけど、この世界の真実の歴史って奴を教えてやるよ」
「………真実の歴史………?」
*
数百年規模で続く種族間での争いは仕組まれたことだった。
この星ではない何処かから漂着した”エヒトルジュエ”によって作られた各種族が崇める神とは全てがエヒトルジュエの眷属であり、彼は星に生きる者達を眷属の駒に見立てて争わせたのだ。
争いの中で多くの種族が滅び、エヒトルジュエの眷属も消失する。
そんなアルヴに対抗する人間の神エヒト、エヒトルジュエの偽りの名であるという。
ハジメ達、異世界人が連れてこられたのはエヒトルジュエが戦争を面白可笑しくする為だった。
まだ話す事は残っているが、幸利はそこで一旦息をついて闘技場の方へ無言で視線を送る。
徐々に精神を蝕まれていくオサイズチが苦しみながらマッカォの一体を刃尾で串刺しにしていた。
「……何だよそれ……」
「…………」
「神エヒトってのは宇宙人で?俺らはそいつの玩具にされる為に此処に連れてこられたと?」
「嘘だと思うならそれでいい、ただ俺はその話をエヒトの眷属だったって
「……眷属」
次に幸利が話したのは魔国ガーランドの首都バルバルスでエーアストから聞いたままの事。
真・神の使徒と呼ばれるエヒトルジュエが生み出した人型の存在で、歴史の歯車がエヒトルジュエの思い通りにいく為に裏で暗躍していた者だという。
そして次の瞬間、真・神の使徒の共通点を彼が口にした途端、ハジメは驚愕で目を見開いた。
「みんな同じ顔で、
(……ッ!!?まさか――――――)
脳裏に過ぎったのはノイントの後姿。
あの人間とは思えないステータスプレートの表記や外見が幸利の話に出てくるそれと一致する。
ハジメは動揺を悟られない為に片方の手で口元に手を置いたが、特に注目される事はなかった。
エーアスト他、真・神の使徒の多くは魔王アダムによってエヒトルジュエの下を離れたという。
魔人族の現状は神アルヴを信奉する者達と絶対的な強さを持つ魔王アダムに従う者に分かれる。
幸利はアダムの下についていると誇らしげに話した。
「―――フゥ……こんなに話したのは、何年ぶりだろうな……いや人生初かもしれねえなぁ。……どうだ、南雲……今までの話の中でなんか聞きたい事はあるか?」
「……そうだな、頭の中を整理しながら一つずつ教えてくれ」
「あぁ、構わねえぜ」
最初の質問はハンターとして、支配のやり方について知ることだった。
幸利は彼が内心ではどう思っているかなど知らず快くそれを教え始める。
闘技場内では苦しむオサイズチを部下のイズチ達が心配そうに歩み寄っていた。
他の鳥竜種は殺し尽くされ、死にかけがビクンビクンと痙攣している。
話は最初のエヒトルジュエが始めた眷属を神と崇める種族同士の争いの遡った。
”解放者”と呼ばれる多種族からなる、打倒エヒトルジュエを掲げる者達の話。
彼らは神々に特に近い直系の子孫とされ、魔法や技能に人並み外れた才を持っていたという。
しかし彼らの目論見はエヒトルジュエに見抜かれ、眷属達は解放者を世界に破滅を齎すもの、世界に生きとし生けるもの達の敵”反逆者”と蔑まれて眷属の神に煽動された民衆に討たれた。
彼らは自分達で神を倒せない事を理解して、いつか遠い未来に自分達がなし得なかった神殺しを、誰かがやり遂げる事を信じて七人の生き残りは
「俺達が挑んだ―――――あぁ、そういえば南雲は前の日に居なくなったから名前しか知らないよな――――――王国の宿場町ホルアドにある”オルクス大迷宮”ってのが、元々は反逆者達の住処の一つだったらしいぜ……当然、人間達は知らない事実だが」
オルクス大迷宮は王国に居た頃、ハジメが調べた限りでは強力な魔物が潜む未知のダンジョンとしか書かれていなかった。……恐らくは神による歴史の改竄の影響だろう。
途中で出てきた神代魔法というものが支配を可能にしていると幸利は語る。
”変成魔法”と呼ばれるものが、モンスターの精神支配と使役を可能にしていると。
それ以上の詳しい話を彼も聞いていないと言った為、ハジメはそこで最初の質問を切った。
「清水、お前はその真実の歴史を知って……これからどうするつもりなんだ?」
「当然、助けてくれた礼も兼ねて、魔人族に力を貸すよ」
答えは出したというのに、幸利は愚痴っぽくこれまでの自分が置かれていた状況を話した。
檜山達に虐められた事で、ハジメと同じ立場になった事で、彼の痛みを知り、彼ともっと話をして仲良くなれれば良かったという後悔に始まり、同じように逃げ出したこと。
それを聞いて少しだけハジメは胸の奥が締め付けられる。
彼に対する嫌悪ではなく、同情と哀れみ、そして互いの置かれている状況が違えば、彼の言った通り仲の良い同好の士として笑い合い語り合えたかもしれないという後悔。
次の瞬間、幸利はハジメと決定的に違う先の話を口にした。
「
「楽しい事……?」
幸利は昨夜、宿屋でアダムとした話をハジメにも伝える。
人生とは物語である、自分がどんなに他人と違っていようとそれを個性と受け入れ、その個性を以て自分が主人公の物語を広げられるかがこの世界では試せるのだと。
勇者に選ばれなかったことに端を発した卑屈な思いは、ハジメも幸利も同じだった。
特にステータスが一般人並だったハジメの心の苦しさは計り知れない。
やや芝居がかった口調と動きで幸利は片方の手を外套の余り袖からスッと出した。
闘技場内の争いはもう終わっている。オサイズチの完全な支配が完了し、長の言うことに従うだけのイズチも場内を見下ろす場所にいた幸利に頭を下げる。
「俺と一緒に来い南雲。俺らを見下してきたあいつ等の度肝を抜いてやるんだ……!」
復讐という言葉を使わないのは、幸利がそれを使うのは小物のようだと思い込んでいるから。
彼が浮かべた表情は優しさに満ちて、友人を遊びに誘うような無邪気さがあった。
ハジメは表情にこそ出さないが、どんどん胸が痛みを訴えている。
(こいつは……俺と似ている……それは分かってる……)
何もかも嫌になって逃げだした先で、2人はお互いを救ってくれる誰かに巡り合えた。
時は違えど、場所は違えど、救われて、新しい自分の道を一歩先に踏み出した2人。
ただそれでも――――――
「すまない清水……俺はその手を取れない」
その手を取れるとしたら、ハジメがハンターを選ばなかった道ですかね。
何らかの事情があって元の世界に帰る目的を持った彼が、偶然清水と出会い、こんな話をして分かり合い、もしかしたら心の奥底で燻ぶっていた復讐という感情に火を点け、同じような道を歩いたかもしれません。
結末が幸せと最悪のどちらを迎えるのかは、分かりませんが……
感想、質問、ご指摘等お待ちしております。
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡