モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 あれやこれやと書いていたら長くなってしまった。
これにて第四章前半戦が終了、トレイシー、エタノ、カルトゥスらは暫くの間は出てこないかな?
それもあって途中で欲が出てしまい…
何はともあれ、本編どうぞ!


苦悩の夜と別れの朝

 

 集会所での話し合いの後、ハジメ、優花、リンネ、ノイント、ミュウの五人は宿に戻った。

寝る前にミュウが「ハジメお兄ちゃんと一緒にねるのー!」と駄々を捏ねたが、ハジメには立派な体つきに成長した彼女を含め数人の女性と理由もなしに同じベッドで眠る度胸は無くこれを拒否。

 

 ノイント、優花の説得もあってか、ミュウは素直に言う事を聞いた。

一番の年長者であるリンネはどうしていたかと言うと…

 

「ええ~別に良いじゃない、何か減るもんでもなし」

 

「減りますよ、主に俺の理性と男としてのプライドが」

 

「そんなもんクソくらえよハジメ君、さっさと捨てちゃいなさい」

 

「無茶言わないで下さい。まだ俺は(けだもの)呼ばわりされるつもりはないですよ」

 

 と全員で同衾することに乗り気だった為、ハジメに呆れられていたという。

 

 全員が寝静まった後、別室で一人部屋を取っていた彼は眠れずに蝋燭の灯りを点けて、明日の朝から再開する護衛の旅の進路(ルート)を確認しながら、その後の事を考えていた。

 

(ミュウを故郷に送り届ける…そのためにも、砂漠越えとエリセンまでの案内が必要だ)

 

 砂漠が広がるアンカジ公国には、王国と帝国にある街道のような固定の道というものが存在しない。砂漠の上に道を敷こうとするのは、荒野や草原とは勝手が違う。

棲息するモンスターの生態も、昼夜の環境も今までとは別物になる。

過酷な環境であろうと、ハジメ一人なら耐えて、道を迷いながらであろうと目的地まで辿り着くことは容易かもしれない。

しかし、旅の項目にミュウの安全を最重要事項と付け加えれば話は変わってくる。

 

(錬成である程度の拠点を作る練習をしないとな…)

 

 フューレンからホルアドまで、ホルアドからウルまでの道のりだけでもいい。

錬成師の特性を徐々に理解してきたハジメは、その特性を生かした旅を考えている。

少なくとも、今後は雨風凌ぐ程度の旅は容易だろう。

 

(問題はモンスターだ。…ノイントにミュウを守ってもらいながら、砂漠の強敵を相手に俺がどの程度までやれるか…不確定要素が多過ぎる)

 

 古龍バルファルクの乱入がハジメの脳裏に過ぎった。

ああいったイレギュラーへの対応も、ハジメ一人なら何とかなる。

しかし人を守りながらという前提条件がつくと、かなり厳しいものになってしまう。

 

(移動手段、それに護衛も要るか…)

 

 移動手段に徒歩は論外、馬での移動も砂漠越え出来る馬などそういない点から除外。

必然的に乾燥地帯でも棲息するアプトノスやアプケロスといった草食竜モンスターが足代わりに必要となってくるのだが…

 

(…はぁ…こういう時に限って、聖教教会の教義とやらが足枷になるなんてな…)

 

 最悪の場合は遠回りになるがホルアド経由でフューレンまで逆戻りして、帝国領から来る商人かフューレンのハンターズギルドに頼んで足になる輓獣を一頭借りるしか手はない。

幸いなことに護衛の特別任務さえ終えればハジメの懐はかなり余裕ができる。

後ろ向きに考える事を止めて、彼は次に護衛について考えた。

 

(ハンター…しかいないよなぁ。…うぅ、同業者に頼むのも気が引けるが…)

 

 こればっかりはハジメも自分の弱さを呪いたくなるが、仕方のない事だ。

ミュウの家族に返す時、彼女が怪我の一つでもしていたら謝っても許されない。

ただでさえ「魔王に魔法かけられてミュウちゃんが15、6歳くらいまで成長しちゃいました」等という、とんでもない話をしなければならないのだから。ハジメはこめかみに指を当てて呻いた。

 

(頼むから、ホルアドには少しくらい腕の立つハンターがいてくれ…!)

 

 竜人族のハンターことカルトゥスはこの町で暫くお別れとなる。

彼は帝国皇女トレイシーと共に帝都まで引き返さなければならない。

そこで改めて彼は竜人族と帝国の友好を結ぶ為に、色々頑張るようだ。

 

 ハジメが彼から聞いた話によると、ホルアドにはそこそこハンターがいるらしい。

公国へ依頼を受けにいったり、火山で鉱石を掘りに行くハンター達が必ずホルアドを拠点代わりにしているからだと、カルトゥスは言っていた。

 

 気軽に火山へ足を運べるようなハンターであれば、かなりの凄腕だろう。

最低でも一人、万全を期してハジメ含む四人のフルメンバーなら確実に砂漠越えができる。

 

(ミュウを預けた後は…()()を連れて、ホルアドに戻るか…)

 

 此処で羽ペンを持つ手を止めて、急遽ハジメの旅に同行を申し出たティオの話を思い出す。

あの時、彼女がどうして自分の旅に同行したかったのか理由は分からなかった。

後になって考えれば、真・神の使徒であるノイントがかつての記憶を取り戻して昔のような非道に走らないか見張る為だろうと思ったが、その可能性は低いだろう。

 

 ティオが言った以前の目的を果たす為かと、ハジメに代わってトレイシーが聞いたが、彼女はそれを含めて他にも理由があると述べた。

これからの自分を戒める為…それがどうしてハジメの旅に同行するのか、理解出来なかった。

 

 集会所を出て宿屋に戻る道すがら、ノイントに尋ねた。

既にその気はないとはいえ、一度は彼女を殺そうとした相手が一緒に来る。

 

 普通なら絶対に嫌ですとお断りするだろう。

しかしノイントはあっさりティオの同行は「構いません」と肯定した。

何故?と聞いたハジメに、彼女はこう答えた。

 

「今後もし私が以前の私のような振舞いをしないよう、止められる人が傍に居て監視する必要があると思います。…恐らく彼女は自身の再起をすると同時に、私を見定めたいのかもしれません。私は彼女の考えは正しいと思います。それを否定する理由も権利も、私にはありません」

 

 ハジメが考えていた事と同じ理由を答えながら、ノイントは付け加えて「同行の許可を求められたのはハジメです。決定権は貴方にしかない」と告げた。

答えは結局保留、出立の朝に出すということでその場はお開きとなった。

 

(どうすりゃいいんだよ…)

 

 結局のところ、最後にイエスかノーか答えるのはハジメという事だ。

ノイントが襲われているのを見た時はカッとなって怒りを向けている。

しかしその後の話しているティオの姿を見たハジメは、彼女に哀れみを感じた。

 

 幸利の話を聞いた時とは別なのかもしれないが、もし彼女と同じような目に自分が遭っていたら、間違いなく同じ行動を取るだろうと思った。

両者に遺恨がないというのであれば、旅の仲間が増えるのに問題はない訳で…

 

(っだぁぁ!頭の中がグチャグチャだぁぁっ!)

 

 眠っている四人を起こさないよう、ハジメは声を殺して両手で銀髪を掻き乱す。

それから間もなく灯りの少ない宿屋の一室を見て以前の記憶が蘇る。

ホルアド、クラスメイト、一人の宿部屋から連想した、あの日の事を…

 

「……はぁ~……問題はそれだけじゃないか」

 

 フューレンに来た時はあまり意識していなかったが、ホルアドや王都という単語を聞けば、嫌でもハジメの脳裏に優花除いたクラスメイト達の顔が思い浮かぶ。

訓練所時代はトラウマに近い状態で疲れた時の悪夢に出てくる度に内心キレて顔に靄を掛けようと必死だったが、今はあの時ほど感情を乱されることはない。

 

(…園部のせいだな…あいつには、申し訳ないと思うが…)

 

 悪い印象に極振りしていれば、無関心で思い出すこともなかっただろう。

しかし優花との再会から色々な話を聞いて、ほんの少し関心を持ってしまった。

この旅で最大の難所がフューレンからホルアド、ウルまでの道のりである。

ウルには恐らく優花の帰りを待っているであろう畑山先生他数人のクラスメイト。

 

(…人生は山あり谷ありって…本当にその通りだな…)

 

 単なる(ことわざ)なのだが、今のハジメはまさにその状態かもしれない。

二種類の意味を持ち、人生は良い事もあれば悪い事もあるという意味と、災難が続き踏んだり蹴ったりという意味で使い道が分かれている。

 

 ゲブルト村から始まり、帝国の人達やハンターに加えて、優花や清水、良いことはあった。

けれどもモンスターに殺されかけたり、何度か死にかけたり、トラブルに巻き込まれたり。

そして今もトラブルの火種を抱え込んだり、その一歩手前に足かけたりと…

悪い事も起こっているし、これから先も必ずあるだろうと嫌な予感が止まらなかった。

 

(避けて通る事は必ずしも出来るとは限らない……よなぁ)

 

 考えたくもない、本当に心の底から勘弁して欲しい、クラスメイト達との偶然の再会。

何を言われるかは想像に難くない。想像するだけで頭痛と胃痛に襲われそうになる。

ハジメは椅子の背もたれに寄り掛かって首だけ後ろに仰け反り、ぼぅっと天井を見上げた。

 

 当初は彼も面倒事をとことん避ける為に、何でもするつもりだった。

それこそ恩着せがましいと言われようが、優花を盾にして何とかやり過ごそうとか考えたり、事後承諾にはなるがトレイシーの名前を出して神の使徒達の実質的な保護者の立場にあるメルド・ロギンスと騎士団、そして彼らの上司にあたる王族と貴族に圧力をかけて黙らせる方法も考えていた。

しかし……

 

(いざ、そういう気にはなれないってのが…なんとも…)

 

 泣いていた優花の姿を見たら、罪悪感が芽生えてそんな事は出来ないと思った。

トレイシーに対しても、きっと彼女は「構わん、やれ」くらいには言ってくれるだろうけれど、人間族の未来を見据えて色々な事を慎重に運んでいる彼女の足を引っ張るような真似はしたくない。

 

 優しさ…なんて言ったら聞こえはいいが、結局のところハジメは甘いのである。

人に言葉で押されれば、よほどの事がない限り押し切られたり、流されたりしてしまう。

クラスメイト達と和解するなんて選択肢はこれっぽっちも考えていないが、せめて自分が無関心であろうとするように、彼ら彼女らにもそうあって欲しいと思わずにはいられない。

 

(……やめよう、考えたら……また昔みたいになっちまいそうだ)

 

 深く考えれば考えるほど、嫌な方向にしか想像が働かない。

これ以上は夢に出そうだとハジメは頭を左右に振って思考を切り替える。

それから一睡もすることなく…彼は先の事を考え続けるのだった。

その考えの殆どが、些細な出来事をきっかけに全て無駄になってしまう等とは、今の彼には予想も出来なかっただろう。

 

 

 商業都市フューレンを囲む石の壁を、地平線から顔を出した陽の光が照らす。

まだ住人達の殆どが寝静まる中、動き回っているのはごく一部の人間達だけ。

ハジメは出立の最終確認等をリンネに一任して、ある所に顔を出していた。

 

「暫く会えなくなるが、達者でなエタノ」

 

「ハジメ様も、どうか健やかに、幸多き日々が訪れますよう」

 

 ユンケル商会の構える店の裏で狐人の少女エタノと別れの挨拶をするハジメ。

表では商人達と協力してエタノの部下が力作業にこき使われていた。

握手を求めた彼に対してエタノは微笑み、その手を取り―――

 

「お許しを」

 

「っ!?」

 

 握手の為に差し出した腕を引っ張られて、前のめりに倒れそうになる。

彼が両足で踏み止まるより前にエタノの手が肩に触れた。

彼女はスッと顔を横に向けて、ハジメの頬に軽く唇を押し当てる。

 

「んっ…」

 

「………なっ!え、エタノ!お前、こんなところで何を……!?」

 

 自分の頬にキスをされた事でハジメは目を大きく開いて動揺する。

すぐに顔を離してエタノは悪戯が成功した子供のように笑った。

それから彼女は彼の肩を支えていた手を離して、握手していた手に持っていって、彼の手を両手で包み込むようにしてから頬を赤らめて口を開いた。

 

(わたくし)…待っています。…貴方様が応えて下さるのを…ずっとお待ちしております」

 

「………」

 

 ハジメから答えを聞くより先に、手を離してエタノは店の中に消えていった。

一人ぽつんと残されたハジメは彼女の唇が触れた頬に手を当てて立ち尽くしている。

最後に後ろを向いた彼女の尻尾と耳が、激しく揺れているのが印象的だった。

 

(―――――――――頬で良かった)

 

 唇だったらと想像するだけで下腹部に血が溜まりそうになる。

ハジメはブンブンと頭を振って、気持ちを切り替えてその場を後にした。

 

 

「や、お帰り!エタノちゃんにお別れの挨拶は~って、どうしたの?顔赤いよ?」

「…………何でもありません」

 

「―――あっ!ふぅん「何もありません!」…まだ何も言ってないんだけどなぁ」

「…何にもありませんでした…ッ」

 

 王国側に出る門の前に何頭かの馬が整列していた。

それはハジメ達と途中まで同じ道で、王都に向かうリリアーナ王女護衛である。

 

 顔を赤くして戻ってきた彼を見るなり、リンネは事情を察した。

老人の医者アランのところに、治りかけの腕を診せにいっている優花に心の中で「一歩リードされたよ、優花ちゃん…ファイト!」と謎のエールを送るリンネ。

程なくして優花、彼女の付き添いにいっていたノイントが戻ってくる。

 

「ただいま戻りました~……リンネさん、どうしたんですか?」

「いつもより頬の口角が上がって、声のトーンも高めに聞こえるのですが…」

 

「うん?べっつに~…何でもないよ~?ねえ~ハジメくぅーん」

 

「ああ、何でもないぞ園部、リンネさんが早朝テンションではしゃいでるだけだ」

 

 ミュウはどうしているかというと、時間になっても宿屋のベッドで眠っていた為、ノイントが抱っこして荷台まで持っていき、まだ荷台の中でスヤスヤ眠っている。

やけにハイテンションなリンネとは対照的に淡々としている風なハジメ、二人の様子が変なことに優花とノイントは顔を見合わせて首を傾げるが、特に怪しむこともなく荷台に座ろうとした。

優花の包帯が取れていることにハジメが笑顔を浮かべて聞いた。

 

「腕、治ったのか園部?」

 

「アラン先生に包帯はもう外しても大丈夫だって。ただ、重いものを持ったりとか変に力を入れすぎるとまた悪化するから、暫くは安静にって」

 

「そうか……良かったな。…ノイントはどうだ?」

 

「特に体の異常は見られないそうです。火傷痕も昨夜の内に修復が完了したので。……ただ、失った眼球だけは治らないと」

 

 そう話すノイントの片目には黒い眼帯が巻かれていた。

髪の内側を通して後頭部で両端にある金具を使って留めるタイプのものらしく、たまに外して洗ったりする必要があるらしいと彼女は説明を付け加えた。

 

「……そうか。それでその眼帯を……」

 

「はい。…似合っていますでしょうか?」

 

「……あぁ、服の色と同じで良いと思うぞ」

 

 決して暗い雰囲気にはならず、淡々と感想を求めて来るノイント。

ハジメもそんな彼女の様子を見て遠慮することなく―――ただ眼帯=カッコいいと思う自分の中二心だけは流石に不謹慎かもしれないという心の声もあって隠し―――買い直した黒のワンピースと合わせて統一感があると褒めた。

彼女はペコリと頭を下げてお礼を言い、片手で優しく眼帯の縁を撫でた。

 

 傍らでそれを見守る優花も笑顔だが…目線だけは複雑な心境を物語っている。

そんな中、カルトゥスとティオを連れたトレイシーが見送りに現れた。

竜人族である事を隠すために、カルトゥスは集会所で初めて会った時と同じフードを、ティオは着ている服の色に合わせて黒い外套を頭からすっぽり被っていた。

 

「また暫く会えなくなるな、錬成師」

 

「次に会う時は、帝都…ですかね?」

 

「フッ…さてな。…海人の子を頼むぞ」

 

「はいっ。必ず故郷まで無事に送り届けます」

 

 ハジメの言葉に笑みを浮かべて、トレイシーは横目でティオを促した。

彼女は周りに人の目がないことを確かめてから静かに口を開く。

 

「…昨夜の妾の頼みは…聞いて貰えるかの…」

 

「……一晩中、寝ずに考えた」

 

 彼がそう言うと荷台の中から「寝ずにって…」と彼の体調を気遣う優花の声がした。

ティオも彼がそこまでするとは思っていなかったのか「す、すまぬ…」と謝る。

しかしハジメは「気にすんな」と言ってから一旦目を閉じて間を置いた。

 

「――――――俺の目的を果たすまでなら、構わない」

 

「…っ!」

 

 その言葉にティオの表情はパァッと明るくなった。

しかしトレイシーを挟んで隣にいるカルトゥスから厳しい目を向けられて、直後にハッとした表情で咳払いを一つして答える。

 

「ん゛ん゛っ!…すまぬ、恩に着る。これからはおぬしを…何と呼べばいいのじゃ?」

 

「そこは特に考えてなかったから、お好きなように。…ハジメでも南雲でも、錬成師でも…。逆に聞くけど俺は?…一応年下だし、敬称つけてティオさん…って呼んだ方がいいのか。あと敬語」

 

「いや…なんというか、(じぶん)を倒した者にさん付で呼ばれるのはどうにもむず痒い…妾のことは呼び捨てで構わぬのじゃ。敬語も必要ない」

 

「分かった、そんじゃこれからよろしくティオ」

 

 そう言ってハジメはティオに手を差し出した。

ティオはゆっくり頭を下げてから、彼の手を掴んで軽く握った。

 

(―――場の空気読んで何も言うつもりねーけど、この人(ティオ)って真正面からこうしてじっくり見るとドえらい美人だな…何がとは言わないけどデケェし…)

 

(…これが…妾を倒した強き者の手の温もり…。そして、妾を再び立ち上がらせてくれる手じゃ。――――――しかし、本当に…(おのこ)の手とは…こうも熱いものか)

 

 お互い思う所は多々あれど、ゆっくりと手を離した。

それからティオは優花、リンネに改めて挨拶をして握手をし…

最後に荷台の中で静かにその時を待っていたノイントと向き合う。

 

「…ティオ・クラルスじゃ…改めて、これから宜しく頼む」

 

「ノイントと申します。此方こそよろしくお願いします」

 

 お互いに笑顔とはいかないが、友好の意味で握手だけはしっかりとした。

それを見守っていたハジメ、優花はほっと安心で一息つく。

 

 それから間もなく、リリアーナ王女護衛の馬が走り出したのを見てリンネ達も動く。

一歩離れたところからトレイシー、カルトゥスらが手を振っている。

馬車がガタゴト揺れる中でも、相変わらずミュウは眠っていた。

―――――と、そこへバタバタ蹄を鳴らして町中から追いかける馬が二頭。

 

「む、お前は――――――」

 

「悪いな皇女さん!報酬頂いたんで俺達もおさらばだ!」

「――――――ッ!」

 

 そう言って手を振りながら横を走り去ったのは黒の冒険者レガニド。

その後ろを無言で追走する銀の冒険者アレックスは目だけで別れを告げる。

事情はある程度把握しているトレイシーは「あぁ」と納得して頷く。

 

 カルトゥスは空を見上げて、凶星がまだ姿を姿を現していない事に安心しつつ、胸中に渦巻く妙な胸騒ぎをずっと気にしていたのだった。

 

――――――そう遠くない未来、誰かの魂が天に召される。

 

 




 エタノの件はまだディープでも口吸いでもないのでセーフ()
そろそろお待ちかね、勇者君達の幕間も書きますかね(死神の足音)
さぁて状況がこうなった以上はもう形振り構わずぶっ飛んでいきましょう!

感想、質問、ご指摘等お待ちしております。

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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