今年も残すところ五日間…作者の執筆が鋭い差し脚を炸裂させられるかどうか…!
有馬記念をリアルタイムで見れなくてメンタルが大分やられましたが軽傷です()
高地が広がる王国の中央、まるで隕石が落ちた後のクレーターのような場所にその町はあった。
商業都市フューレンが三国の品々を売買する所なら、此処はその中継地点だ。
”宿場町ホルアド”の賑わいに荷馬車から顔を出してミュウの目がキラキラ光っている。
「わぁ~…わぁ…っ!」
「ミュウ、あまり身を乗り出してはいけませんよ」
前のめりになったミュウの体を支えようと、肩を掴んだノイントがそう告げる。
ミュウは「うん!」と元気に返事をするが、目は建物の方に向けられていた。
微笑ましい光景に目を細めて微笑むティオと優花。
そんな柔らかな空気の中…ハジメは荷馬車の奥、荷物の間に身を潜めている。
目を閉じて仮眠を取っているようだが、内では周囲の声を拾って警戒していた。
「ハジメ君は外を見ないのかな?」
荷馬車を牽く馬をゆっくり歩かせながら、手綱を持ったまま御者席からリンネが声を掛ける。
ハジメはチラと顔を上げて一言「察して下さい」と告げてボーンヘルムを深く被った。
王都と宿場町は
彼に以前の事を思い出すつもりがなくとも、自然と町の風景が記憶を呼び起こしてしまう。
その度にハジメは胸の奥が締め付けられるような感じがして、極力外を見たくなかった。
リンネは「そっか、なら仕方ない」と返して前に向き直る。
二人のやり取りが行われているあいだ、他の四人の意識が向けられていた。
唯一その事情を知らないミュウだけがハジメの変わった様子に首を傾げている。
優花も彼と同じように、この場所では再会を避けたいと願うばかりだ。
*
「―――それじゃアタシは荷物と荷馬車を預けて来るから、先に皆は宿屋で休んでて」
「はーいなの!」
「「分かりました」」
「うむ」
町の中心から少し離れたところにある少し高級感のある宿屋。
入り口から少し離れたところで五人を下ろし、リンネは一人で荷馬車を預けにいった。
ミュウとティオは素性を隠すために全身を外套で覆ってフードを被る。
辺りには冒険者や商人の姿もあり、彼女らと似たような恰好の者も多いため目立つ心配はない。
寧ろ町中でも老山龍砲を背負い、防具を着たままのハジメの方が目立っている。
「俺は集会所で色々と手続きを済ませてくる。…二人はミュウと一緒にいてやってくれ」
「任せて下さいハジメ」
「了解じゃ」
「???ハジメお兄ちゃん宿屋に来ないの?」
「ん、ちょっと用事を済ませて来るだけだから…すぐ帰るよ」
ミュウの頭を優しくポンポンと叩いて安心させるようにハジメは笑顔を見せる。
彼と一緒に居たかったのか、ちょっと不満そうな顔をしていたが…渋々ミュウは従った。
ノイントが先頭に立って宿屋の中に入ろうと歩き出す。
不意に優花が足を止めて、既に背を向けたハジメに向かって声を掛けた。
「南雲っ」
「どうした?」
「あ、いや……何でもない……」
「???そうか、それじゃ後で」
優花が不安そうな表情をしているのを見て、ハジメは彼女の心中を何となく察する。
荷馬車の中で縮こまっていたさっきまでの彼の様子を見て、彼女なりに心配しているのだろう。
だからハジメは敢えて何も気づかないフリをして、平然と笑みを浮かべて歩みを再開した。
雑踏の中、人や行き来する馬車を避けて歩くハジメはすぐに刺すような視線に囲まれる。
ホルアドに入る手続きの時、彼がハンターだと知った途端、衛兵たちの嫌悪感に満ちた表情。
それと全く同じ、或いは似たような感情がすれ違う人々から何度も向けられた。
(フューレンは中央から離れたところにある。帝国からもかなりの人間が移住してるから、こんな風に見られることは少なかったんだけどな。まったく……勘弁して欲しいもんだ……)
王国民の大半はハンターを嫌う、正確には聖教教会とその信者。
唯一絶対の神であるエヒトが愛するのは人間族だけで、亜人族や魔人族は人間の出来損ない、魔物は更にそれより劣った種であると見下し、自然に生きることを認めようとしない。
帝国はそんな考えに異を唱え、亜人も魔人も、モンスターですらも生存競争の相手として見ており、必要な時は殺す事もあるが、むやみやたらに絶滅させようとはしなかった。
両者が相容れないのは必然、加えてハンター発祥の地が帝国であることも気に入らないようだ。
(向こうさんからすりゃ、俺達ハンターは小綺麗な衣服に身を包んで暢気に日々を送ってる王国に紛れ込んだ薄汚い蛮族、金食い虫ってところか)
似たような職業である冒険者がそういう目で見られないのは貴族との繋がりがあるから。
また聖教教会の経験な信徒の中から冒険者になった者もいて、その逆もあったらしい。
冒険者は依頼さえあれば、亜人だろうと魔物だろうと平気で虐殺する事も厭わないという。
…もっとも、魔物に挑もうなんて物好きは数十年の間でかなり減ったらしいが…
(……まぁ、
神の使徒としてホルアドを訪れた時は信者や住民から期待に満ちた眼差しを向けられた。
王都でも王城でも神山でも、戦争をすると決められた時からずっとそうだった。
あれには自分達の未来が明るくなった事に対して使徒への感謝とは別に安堵も含まれていた。
(自分達は死なずに済む、代わりに戦ってくれてご苦労さん…ってか)
今更あんなところに戻ろうとは毛ほども考えないが、それでもクラスメイトの奴らには元は同じ立場に置かれていた者として、ほんのちょっぴり同情する。
何時かは最前線に放り込まれて、阿鼻叫喚の地獄で殺し合いをするのだから。
相手がモンスターだけならハジメも依頼を受けるという形で手を貸すくらいは考えても良かった。
だが相手は魔人族…つまりは人間と殆ど同じ姿形、生態をした
どのような形であれ、ヒト同士が殺し合う光景なんて彼は想像もしたくなかった。
自分の手をヒト殺しの血で染めてから、故郷に帰ってマトモでいられる自信がない。
恐らくPTSDのようなものを患って、生涯覚めない悪夢に苦しめられる事になっただろう。
(…俺が伝えた故郷の知識とか諸々…役に立ってくれりゃいいんだが)
今この瞬間も最前線で戦っている人間の兵士達がいる。
そんな彼らの負担を軽減すべく、皇女トレイシーに対し、ハジメは地球のことを話した。
トータスと地球でどれだけ文明に差があり、違いがあるのか正確には分からない。
しかし異世界にない知識や技術が、何らかの形で貢献する事だけは確かだ。
(……あ~やめやめ!暗い顔してると後ろ向きな事ばっかり考えちまうな)
自分に出来る事は殆どやった、これから世界がどう変わっていくかなんて分からない。
故郷に帰る方法というハジメの旅最大の目的が、実現するかもしれない現実味を帯びてきた。
ハジメはふと立ち止まって、町の中心部の奥にある神殿のような入り口の場所に目を向ける。
あの日、使徒を辞めなければ向かっていたかもしれない場所…優花曰く地獄のような場所。
そこには故郷に帰る方法があり、それを得る為に向かわなければならない場所。
”オルクス大迷宮”の入り口、底無しの暗闇に向かってハジメは口端に笑みを浮かべながら呟いた。
「待ってろ大迷宮……いずれ中身を丸裸にして、俺が望むものを手に入れてやる……!」
やだっ真昼間の往来で丸裸なんて口にするハジメ君のえっち♡
(その後、老山龍砲でぶん殴られて肉塊となった作者が発見された)
感想、質問、ご指摘等お待ちしております。
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡