モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 大変長らくお待たせ致しましたぁぁぁ!!
ぶっちゃけ言い訳するなら昨日は昼過ぎまで寝ていたのと夜中に書いてる間に寝落ちしてましたぁぁぁ!と、それはさておき…幕間の初期で出していた二人組、いよいよ登場です。


頂点に立つ者との出会い

 

 ホルアド集会所はフューレン集会所に比べ、賑やかな声が離れていても聞こえてきた。

周りのから向けられる嫌悪の視線もこの辺りでは鳴りを潜めているようだ。

ハジメは肩に圧し掛かる重みが減ったような気がして、フゥと息を吐く。

 

(やっぱ王国嫌いだ……)

 

 今のところ王都、フューレン、ホルアドの三大都市で良い思い出が碌に見つからなかった。

ノイントに出会い、ミュウを助け、ティオを旅の仲間に加え、フューレンで行われた踊り子の公演を見に行ったこと等は良い思い出に分類されるが、全部フューレンだけで起きた出来事である。

 

(リンネさん普通に過ごしているのなら、ウルはまともな町なんだろうけど…)

 

 当然だが、ここで云うところの()()()とは、ハンターに対する住民の態度である。

流石にその人が住むところに対して「ハンターの扱いはまともですか?」なんて聞けない。

そんな事を思いながらハジメは活気のあるホルアド集会所の入り口を目にして胸を躍らせた。

 

 入り口を通って真っ直ぐ突き当りに向かうと、そこには定番の三人交代制での受付嬢の姿。

右手にはギルドが設置したアイルーキッチンと宴会用の机と椅子がズラリと並んでいる。

左手には兼用しているのか、武器・防具の生産と販売を担う鍛冶屋とアイテムショップ。

真ん中には螺旋階段があり、二階部分はどうやらハンター達の宿屋になっているらしい。

 

 外の空気から一変、咽るほどの食い物や酒の匂いと鉄と油の臭いが混ざり合ったカオス空間。

常人なら咽て引き返しかねない場所だが、ハジメにはこれが心地よく感じた。

利用したことのあるハンター達なら誰もが口を揃えて言うのだ実家のような安心感があると。

 

「おっ、この辺じゃ見ねえ顔だな?そこの坊主、余所から来たのかい!」

 

「はいっ、依頼を受けている最中でブルックの町と、フューレンを経由してきました!」

 

 入り口から一番近いところにあるテーブルに着いた一人のハンターが話しかけてきた。

ハジメと同じボーンメイルの全身装備で、傍らには骨系の狩猟笛が置いてある。

一目見てハジメは彼が自分より格段ランク上の上位ハンターであると察した。

 

 装飾の細かな違いと装飾品の煌きから”ボーンメイルSシリーズ”だと分かる。

狩猟笛も一見するとただの”ボーンホルン”にしか見えないが、これが曲者。

大型飛竜から採れる竜骨【大】や上質な堅骨を素材にして作られる”ハードボーンホルンⅢ”

 

 丹念に手入れをされていながらも、武器と防具には無数の傷痕が残っていた。

酒で酔っ払ってそれ以上の判断材料はないけれど、ハジメは彼が猛者だと察する。

ハジメの答えに目を丸くしてボーン装備の狩猟笛使いは更に話を続けた。

 

「ブルックからぁ!?ってえ事はお前さんあれか!老山龍を見たのか?」

 

「はいっ!ええと…信じて貰えるか分からないですけど、老山龍と戦いました!」

 

 そう言ってハジメは自信満々に背中に引っ提げていた老山龍砲を見せた。

ボーン装備の狩猟笛使いはガハハと笑って「そうか、そりゃあご苦労様だ!」と言う。

どうやら酔いが回り過ぎていて、古龍と戦って生き延びたハンターが目の前にいるというとんでもない事を認識していないようだった。

 

「おっと、その様子じゃ手続きに来たんだろ。邪魔して悪かったなぁ!」

 

「いえ、大丈夫です!それじゃ、俺はこれで!」

 

「おう!ようこそ新顔のハンターッ!!―――ヒック」

 

 高らかにジョッキを掲げて宣言した後、吃逆と共にボーン装備の狩猟笛使いは机に突っ伏した。

ハジメは周りから飲んだくれに絡まれてご苦労様だと苦笑される。

彼自身、あまり絡まれることを嫌がってはいなかったので同じように苦笑で返す。

 

「ようこそハンターさん、クエストの受注ですか?」

 

「いえ、今日こっちに着いたばかりなので、その手続きをしに」

 

「分かりました、書類をお持ちしますので少々お待ちください」

 

「はい!」

 

 受付嬢の安定した美しさと営業スマイルにハジメもだいぶ慣れてきた。

受付口の脇にずれて張り出されたクエストの募集項目をぼんやり眺めている。

帝国に比べてモンスターの被害が少ないから、あまり狩猟等のクエストはないものだと思っていたハジメだが、受注されたクエストの大半が狩猟の色付けをされていて驚いた。

 

 鳥竜種の群れの狩猟、土砂竜の討伐または撃退、亜種の牙獣の捕獲等々…

駆け出しでも狩れるような相手から、上位ハンターしか対処できないような危険な相手までいる。

そうして視線で張られたクエスト用紙にばかり目がいっていたハジメは気づかなかった。

彼に向かってトテテ…と小走りで駆け寄ってくるキリン装備の太刀使いの少女の姿に。

 

「うおっ!―――っルゥムさん!?」

 

「………(コクコクコク)」

 

 胸の後ろ辺りに手を回して抱き着いてきたのは先輩ハンターのルゥムだった。

ゲブルト村を先に出ていった彼女はその後、別件で遠くに行っていたのは知っている。

それがまさかホルアドで偶然再会するとは誰が予想出来ただろうか。

 

 再会の驚きと、突然抱き着かれた驚きの半々でハジメはオロオロしていた。

その間にルゥムは片方の手をハジメの後頭部へと回し、そっと自身の方へ引き寄せる。

鎖骨の辺りに顔半分を埋める形になって、思わずハジメは赤面して離れようとした。

 

「ちょ、ルゥムさん!再会して嬉しいのは分かるんですけど、流石にこれは―――」

 

「………」

 

 相変わらず無言で、ルゥムはハジメの頭を優しく撫でまわす。

彼女もキリン装備で銀髪、ハジメもハンターになってからイメチェンで銀髪。

周りの見物人はまるで二人が()()()()()に見えた。

 

「…んん…そろそろ恥ずかしいんですが…ルゥムさん?」

 

「………(こくり)」

 

 満足したのか、ハジメの言葉に頷いてからルゥムは身を離す。

周りの男ハンターが口笛を吹いて囃し立て、女ハンター達はそれを見て呆れる。

ハジメは嬉しいやら恥ずかしいやらで顔を真っ赤にして視線を逸らす。

ルゥムは周りがどうして騒いでいるのか分かっていないのかキョトンと首を傾げる。

そんな中、声を掛けづらそうにしていた受付嬢とハジメは目が合う。

 

「―――あのぉ…手続きの書類~」

 

「…あぁっ!?すいません、今いきます!ルゥムさん、また後で…!」

 

「………(こくっ)」

 

 思わぬ人物との再会を果たし、熱い抱擁と愛撫を頂戴したハジメ。

こんな事で動揺する自身の未熟を恥じて、精進すべきと戒めるのだった。

そんなルゥムとハジメを遠目に見ているハンターの影が二人。

 

「へえ?剣鬼の嬢ちゃんがあんな風に誰かに関わるなんて初めて見たぜ」

 

「見たところあの少年は駆け出しのようですが…気になりますか、サー?」

 

「そりゃあ興味津々にもなるぜ。…あんな()()()()()ブラ提げてやがるんだからなぁ」

 

 

 自分の名前を書いたり、ハンターランクが21に上がったりと、色々あった手続きも終わる。

最後に待たせてしまった受付嬢に謝罪の言葉を残して、ハジメは受付口に背を向けた。

先ほどの壁際でルゥムは大人しく立ったまま待っていた。

ハジメは少し帰るのが遅くなるかもしれないけど、ルゥムの太刀の師であるリンネのことや、自分が古龍と戦った等の近況報告も兼ねて彼女に話をしようと改めて声を掛けようとして―――

 

「よお兄弟!真昼間から女と乳繰り合うなんてやるじゃねえか!」

 

「は…えっ!?」

 

 突然後ろからそんな事を言われて、振り返る前に腕を回されて肩を組まされるハジメ。

彼が最も驚いたのは、声をかけてきた者の気配を()()()()()()()()()()ことだ。

呼吸、足音、身に纏う防具の擦れる音、心臓の鼓動、ハンターならそういったものを耳で拾える。

普段から意識してそういったものを聞いて反応する訓練を課していたハジメが背中を許した。

 

 栗色の髪をオールバックにした、深緑色の目のハジメよりやや背が高い男。

回された腕に纏った防具は一見火竜リオレウスの見た目をした防具だが、ちょっと違う。

色合いは赤というよりは朱、リオレウス防具特有の鎧っぽさが無くなっている。

横目で肩に回された腕防具が微かに光を放っているのも通常の防具にはないギミックだ。

 

「ちょいとお前さんに興味が沸いてよぉ、一緒に飲もうぜ兄弟!」

 

「いや、ちょっとあの…今そういうのは…!」

 

 ハジメがオロオロしていると、男の手をルゥムがツンツンと突いた。

無表情だが何となく意味は伝わる「その手を退かして?」といった所か。

男はヒュウ♪と口笛を吹いてルゥムの顔をじっくり眺めようとする。

 

「無愛想で知られる剣鬼の嬢ちゃんをここまで誑し込むたぁ…」

 

「た、誑しっ!?人聞きの悪い事を言わないで下さい!」

 

「彼の言う通りです。貴方はもう少し言葉遣いに気をつけて下さい、サー」

 

 今度は横からスッと現れた女性が冷ややかな視線を男に投げかけて、その腕を掴む。

また直前まで気配を感じなかった事にハジメは思わずぞっとする。

この二人は何者なのか?そんな彼の疑問に、男を引き剥がした女性が静かに名乗った。

 

「貴方とは初対面ですね。初めまして、私は”マリアンナ・ベスタ”と申します」

 

(…ベスタ…?その名前、何処かで見たような…)

 

「そしてこちらが――――――って…」

 

 マリアンナが腕を掴んでいた男の姿はいつの間にか消えていた。

キョロキョロと辺りを見渡すと、少し離れたテーブル席を一つ貸し切っている男の姿。

ケラケラと笑いながら、何処から持ってきたのか狩人ビールを四人分準備して。

 

「…なんか…自由人…ですね、あの人」

 

「…重ね重ね失礼を…()()()()()()()()()()()()()()()でありながら、あのような…」

 

「―――――――――――――――頂点?」

 

 マリアンナの言葉にハジメは唖然として自分の耳を疑い、男に視線を向けた。

その時ようやくハジメは男の装備の全身を見て、通常のリオレウス装備ではないと確信する。

男の肩の後ろからヌッと顔を覗かせる大剣の柄も明らかにとんでもない代物だ。

ルゥムが無言で席に着こうとするのに続いた彼に、マリアンナは男の名を伝える。

 

”サー・ミッドガル”…それがあの方のハンターネームです」

 

「よろしくなァ?後輩クン」

 

 未だ到達した者は数人しかいない、ハンターランクの上限999に名を刻んだ者。

クエスト成功率100%、討伐したモンスターの数は万単位、その殆どが上位個体を超えるG級個体(マスターランク)、希少種、二つ名、歴戦、剛種、覇種、辿異種、そして古龍種…

人間族の国が一つも滅んでいないのは彼の活躍に因るものと言っても過言ではない。

例外の中の例外、真の英雄、最強の矛…それがサー・ミッドガルだ。

 

 

 オルクス大迷宮の入り口で見張りをしている兵士は異変に気付いた。

ズズズと引き摺るような音と片足だけの足音、荒い息遣いが暗闇から聞こえる。

二人の兵士は顔を見合わせて慌てて剣を抜いて盾を構えた。

しかし暗闇から現れたのは人…いや、それは人と呼ぶにはあまりに惨い状態だった。

 

「ハァ…ハァ…っぐ…ハァ…!」

 

「お、おいアンタ!大丈夫か!?」

「大迷宮から出てきたってことは…アンタ神の使徒の…!」

 

「―――たっ、すけて…!みんなをっ…!早くッ」

 

 目が見えていないのか、或いは声が聞こえていないのか。

二人の兵士が引き留めようとするのを無視して、血に塗れた装束の少年は歩く。

彼の通った後には、点々と血の染みが続いていた。

 

 




 サーの防具はレウスはレウスでも辿異種のレウス防具です。
最後に出てきたのは一人逃げ…もとい助けを呼びに行った某暗殺者君ですね。
ポケモンで表記するなら「ひんし」ハンターの体力表示ならあと一ミリか二ミリの状態で何とか辿り着けたようで。

感想、質問、ご指摘などお待ちしております。

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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