モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 眠気と先の展開組み立て+修正で脳内エスカトンジャッジメントや。


神の使徒救出作戦(第十五階層)

 

(どうして…どうしてこんな事になってしまったのだろう…)

 

 騎士クーパーは目の前で行われる使徒だった子どもの口喧嘩を眺めながらそう思った。

勇者パーティーの三名が重傷を負い、永山パーティーは一名が行方不明、一名重傷。

小悪党の四人の内、檜山大介と中野信治は死亡が確認された。

 

 残る二人、近藤礼一と斎藤良樹は目の前で生きながらの地獄を味わっている。

体の中に子蜘蛛が残っていたのか、時折吐いては苦しんで、騎士が治癒魔法で助けて…

それを何度か繰り返して、二人は声を上げる気力もなくやつれていた。

 

 殿を務めたメルド団長は何とか戻ってきたけれど、毒により片目と片腕を失った。

勇者パーティーの生き残りである雫が全員を纏め上げて、今はなんとか第十五階層まで戻れた。

素人同然の治癒で、重傷者達が危篤状態に陥らないよう誤魔化してきたが…限界が来ている。

 

 そんな時、使徒の一人が発した言葉が口喧嘩のきっかけを生んでしまったのだ。

 

「おぇ…ゲホッゲホ…おい吉野、()()()()()()()()より俺を優先して治癒しろよっ」

 

 もう子蜘蛛は残っていないにも関わらず、微量な毒の影響か…礼一は吐き続けていた。

そんな彼の視線の先では毒に苦しんで地面に横たわる辻綾子に対し、涙を堪えながら懸命に看病をする吉野真央の姿があったのだ。

苦しみから逃れたい…ただそれだけの理由で親友を侮辱された真央が一気にキレる。

 

「ふざけないでよ!!!そもそも綾子がこうなったのも、みんな、全部!あんた達が勝手な事したからでしょ!?運良く自分だけ助かって、何様のつもりよアンタ!!」

 

「はぁ!?なにキレてんだよテメェ!いいからさっさと治癒しろって言ってんだろ!」

 

「五月蠅い!あんたなんか中野や檜山みたいに死ねば良かったんだ!!」

 

「このッ――――――!」

 

 金切り声を上げる真央に対し、礼一は脇腹を抑えながら空いた手で殴りかかろうとする。

綾子の体に覆いかぶさる形で殴られることから逃れようとした真央だったが―――――

 

「いい加減にしろよテメェェェェッ!!!」

 

 傍で真央と同じように綾子の身を案じていた野村健太郎が怒りを露わに飛び掛かる。

礼一の胸倉を掴んで岩の壁に押し付け、彼の鼻っ面に向かって本気の頭突きを食らわせた。

 

「ぶげっ…!?て、めぇ野村ぁ!」

 

「散々人に迷惑かけといてッ、お前ら…ここまで死なねえように治癒かけてきた吉野に向かって何だよその態度は、アァ!?綾子が死に損ないだと!?もういっぺん言ってみろ!今すぐお前も斎藤も殺してやりてぇの我慢してんだよ俺はぁっ!!」

 

「ハァ!?なんで俺までソイツの巻き添え食わなきゃいけねえんだよオイ!」

 

「おい止せ斎藤!今は喧嘩してる場合じゃ―――」

 

「うっせえんだよ永山ぁ!そもそもテメェんとこの愚図が悪ぃんだろおが!」

 

 健太郎の罵倒の中に自分も含まれていると知って、良樹が横から掴みかかろうとする。

それを永山重吾が力づくで引き止めようとするが、仲間のことを侮辱されてついカチンときた。

相手が怪我人であることを承知の上で、重吾は掴んだ良樹の腕に強く力を込める。

 

「がっ―――あああああぁぁぁ!?て、めぇ何しやが…る!」

 

「謝れ!…俺に唾吐くのも殴りかかるのも構わねえっ…だけどなぁ…!俺の大事なダチを愚図呼ばわりしてんじゃねえよ!今すぐ健太郎と吉野に、辻に謝れ!!」

 

「―――ちょ、ちょっと皆何してるの!?やめてっ!!」

 

 第十五階層の魔物が襲ってこない仮の安全地帯で起きた永山パーティーと小悪党二人の衝突。

その大声は離れたところで見張りと水汲みにいっていた他の使徒にも聞こえていた。

真っ先に戻ってきた結界師の谷口鈴が制止の声を上げるが、誰も耳を貸そうとしない。

 

 健太郎は礼一に力で押し返されて馬乗りにされ、顔を何度も殴打される。

逆に良樹は重吾を殴ろうとして、その腕を逆に掴まれて投げ飛ばされ地面に叩きつけられた。

真央は堪えていた激情が溢れ、目を覚まさない綾子の胸に縋りついて泣いている。

 

「お前達何をしてるんだ!?」

「永山君!近藤君達も!!今はそんなことしてる場合じゃないでしょ!?」

 

 オロオロしている鈴の後ろから、雫とメルドが現れた。

雫は一人で見張りをしながら焚火の薪を集めに、メルドがそれに着いて行ったのだ。

最初は怪我人であるメルドに動かないよう雫から止めていたのだが、彼は頑なに聞きれなかった。

その後、未だに苦悶の声をあげて離れたところで看病を受けている光輝や龍太郎とは違って、タフなメルドであれば問題ないだろうと雫が半ば折れてそれを承諾したのだ。

 

 切り落とされた腕の傷口には彼の鎧の背に付いていた騎士団長の証であるマントを引き裂いて包帯代わりにし、治癒をかけた事で出血は止まっているが、痛みはまだ治まっていない。

 

 二人の声でようやく両者は手を止め、口を閉ざして険しい表情のまま互いに離れた。

声を荒げて彼らを叱責しようとしたメルドだが、毒の痛みにより苦悶の表情を浮かべる。

雫が咄嗟によろけた彼の体を横で支え、代わりに怒った。

 

「みんなパニックを起こしたいのは分かるよ!?分かるけど…ッ!まだ私達は大迷宮から抜け出せていないの!?こんなところで無駄に体力を消耗したら、また犠牲者が増えるのよ!?」

 

「…八重樫の言う通りだ…悪かったな…少し頭に血が上り過ぎた」

 

 重吾が素直に謝っているのに対し、礼一と良樹は悪態を突いてそっぽを向く。

流石に雫はこれ以上ここに留まっているのも良くないと思い、メルドに指示を仰いだ。

 

「…メルドさん、動きましょう。…この先魔物との戦闘は、私が全部引き受けます」

 

「馬鹿を言え。お前も体力をかなり消耗しているだろう…最悪、俺が盾になる」

 

「それは絶対にダメです!…此処で、リーダーシップを取れる人がいなくなるのは…」

 

 色々と問題児ではあるけれど、クラス全員の言う事を聞かせられたのは光輝だけだった。

雫が代わりとなってどれだけ動いても、最終的には光輝の判断に全員従っている。

自分の至らなさと、こんな結果を招いた現状に苛立ちを感じ、雫はガシガシと頭を掻き毟った。

あまりに痛ましい彼女の様子に、メルドは掛ける言葉が見つからなかった。

 

「お前ら、移動するぞ…!」

 

 

 両足を失って、未だに目が覚めない光輝は即席で作った担架に乗せられている。

騎士二人が交代で担架を運んで、恵理がそれに追従しながら治癒を使って容態を安定させていた。

 

 頭を打って、出血は止まったが包帯を巻いたまま目を覚まさない白崎香織。

彼女は雫が前を一人で、後ろを鈴と龍太郎二人掛かりの三人態勢で運んでいる。

 

 綾子は健太郎が背負い、時折真央がそれを支えている。

負傷者は隊列中央に陣取って、出来るだけ前寄りに進んでいた。

先頭を松明を持った片腕のメルドが進んで警戒し、一番後ろで重吾が奇襲を警戒する。

これが今の彼らに出来る精一杯の隊列だった。

 

「――――――っ!?」

 

 不意にメルドが足を止めて視線の先に異変を発見した。

暗闇が続く道の先、第十四階層に繋がる階段から足音と、微かな灯りが見えているのだ。

松明を足下に捨てて、彼は苦い表情をしながら剣に手を伸ばす。

 

 後ろで手の空いている騎士も前に出てきて、震える手足のまま剣と盾を構える。

しかし…階段の先に現れたのは松明の灯りと、それに照らされる女性の人影だった。

 

「だ、誰かいるのか…!」

 

 メルドの呼びかけに向こうは気づいたようで、足早に駆け寄ってくる。

魔物ではないが、相手の正体が判明しない以上は警戒を緩めないメルド。

向こうも彼が警戒していることに気づいたのか、途中で足を止めて言葉を返す。

 

「神の使徒の皆様とお見受けしますが…間違いありませんか?」

 

「っ!!そうだ、お前達は―――」

 

 距離が数メートルにまで近づいたところで、その女の姿が露わになる。

黒を基調とした膝丈まである鋼鉄のロングブーツが松明の灯りで煌きを放つ。

 

 左脚は布で覆われているのに対し、右太腿は素肌を曝け出して、鼠色のショートパンツはヒップラインを強調し、焦げ茶色のベルトで締めている。

左脚の横だけ黒い鋼のスカートアーマー、右足はサッシュのようなものが揺れていた。

 

 フードの付いたホルターネックのようなデザインで、首から胸の谷間が露出していた。

左腕は肩に黒い鋼のショルダーアーマー、腕をナックルガードで覆っている。

逆に右腕は皮のショルダーアーマーから先は素肌を晒し、右手の親指、薬指、小指だけを露出させたオープンフィンガーグローブを嵌めている。

 

 アンバランスで暗めのイメージを与える暗殺者のような装備だが、メルドは直感で気づいた。

どれだけ肌を晒して弱点を見せつけていようとも、()()()()()()()()と。

ダラダラと汗を流す彼に対し、女はフードを取っ払って名乗る。

 

「神の使徒救出の為にホルアド集会所より参りました。私達はハンターです」

 

「……ハンター……だと!?」

 

 ハンターを名乗る女、マリアンナの後ろから他の三人の姿が続々と現れた。

身の丈より巨大な太刀を背負う小柄な少女ルゥム、松明に照らされて不気味な青い瞳を宿した巨大な両刃の剣を背中に背負っている、全身朱色の鎧に身を包んだ男ミッドガル、そして――――――

 

「………あれだけイキってた奴らが、このザマか……」

 

 足元を灰色の鋼のブーツと薄紅色のスカートで覆い、骨に飾り付けをして腹回りを露出させた胴防具に、頭を猪の頭骨を模した兜で覆い、背中には巨大な飛び道具を背負うハジメの姿があった。

 

 呆然としているメルドの脇を通り過ぎながら、ハジメはボソッと悪態を突く。

まだ誰一人として、彼の正体に気づいている様子はなかったのだ。…今のところは…

 

 




 しれっとディスるのを忘れないハジメ君であった……
野村君は知らず知らずのうちに女子二人の好感度を上げ、小悪党組で生き残れた二人は救いようのなさをここぞとばかりに曝け出すするのだった……

感想、質問、ご指摘等お待ちしております。

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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