ウオオオォォォ限界突破ァァァ!(眠気を跳ね除け)
推奨bgm MH3Gより「零下の白騎士」
オルクス大迷宮第二十階層にまで駆け下りてきたハジメとルゥム。
松明の灯りがあっても、先の視界が見えないことに彼は内心焦りを感じた。
(こんな状態でマリアンナさんは俺達を先導してくれてたのか……!?)
老山龍砲を展開して通常弾Lv3を込めると、指先が震えてることに気づく。
ギリッと奥歯を噛み締めて、震えを抑えようとした彼の肩をルゥムが突いた。
無表情のままジッと見つめる彼女の瞳から心配の色が伝わってくる。
「………?」
「ルゥムさん……。大丈夫です、いけますっ」
「………(こくっ)」
先輩の前でカッコ悪いところは見せたくない。
あの樹海での特別任務を除けば、二人で動くのは久しぶりだ。
幸いにしてルゥムは太刀、ハジメはヘビィボウガンと得意距離が対極にある武器だ。
ルゥムの動きを阻害しないよう、ハジメは精密射撃を心がける。
―――ギィ、ギィィ!
「っ!ルゥムさん」
「………」
暗闇から聞こえてきた鳴き声と共に、ルゥムに飛び掛かってくるギギネブラの幼体ギィギ。
既に柄に手を掛けていたルゥムは抜刀からの袈裟斬りで真っ二つにそれを切り裂いた。
地面に飛び散る血飛沫と、ルゥムの白い防具が赤い染みを作る。
ハジメは横にステップを踏んで、腰だめに構えながら叫んだ。
「まだ来ます!数、10以上!」
「………!」
老山龍砲の完全展開と同時に前に向かって松明を放り投げたハジメ。
お陰でルゥムはジリジリと距離を詰めて来るギィギの姿を全て捉えられた。
脱兎の如く駆け出して、抜刀したまま走る彼女は腰を低く落として鬼哭斬破刀を横薙ぎに振る。
―――ギィィィ…!
―――ギェェェ!
「……ッ、すごい……!」
抜刀ダッシュからの回転斬りは通常、練気というものを溜めた方が強力な一撃を繰り出せる。
しかし相手が小型のギィギであれば、それも必要ないほど鬼哭斬破刀は強い。
波打つ刃の紋様が松明の火に照らされて煌き、血飛沫が刀身の上に跡を残して撥ねる。
(――――――って感心してる場合か!!)
すぐさま照準を覗き込んで狙いをつけたのは、ルゥムの死角―――本人はそう思っていないだろうけど―――に潜むギィギ。引き金を引いた直後にドォン!と腹の底を震わせる発砲音とから空気を貫いて通常弾Lv3が飛んでいく。
―――ピギィッ!?
暗闇に潜んでいたつもりのギィギはまさか自分が撃たれるとは思っていなかったのだろう。
悲鳴を上げて血を噴き出した後に暫くバタバタ暴れていたが…やがてくたっと息絶えた。
「よし。……っ!?ルゥムさん、上!」
「………!」
顔を上げたハジメの目が捉えた天井の違和感、紫色に妖しく光るそれが目だと気づく。。
彼が声を上げて、ルゥムが上の気配に気づき、天井のそれが襲い掛かるのは、ほぼ同時だった。
黒から一転して松明の光に照らされたそれは白いブヨブヨした皮に変色する。
先ほど仕留めたギィギと似ている姿とモンスター図鑑になった特徴からすぐに察しがついた。
「こいつが……ギギネブラ……!」
―――ヴゴォォルルル…!
ギギネブラの紫色の目は、離れた所にいるハジメより眼前のルゥムに注目した。
彼女が手にした武器から滴る血、辺りの地面に転がる我が子の死体が全てを物語っている。
両翼を大きく広げ、後ろ足で立ち上がったギギネブラはその巨体で彼女を潰そうとした。
「くっ……!」
ハジメは老山龍砲を構えて胴体に目掛けて発砲した。
ドォン、ドォン、ドォン!と三発の通常弾Lv3が全てさらけ出された内側の赤い面に突き刺さる。
しかしこれだけ高威力の通常弾Lv3ですら、ギギネブラが怯む様子はなかった。
迫ってくる不気味な飛竜の巨体を前に、ルゥムは鬼哭斬破刀を斜めにして突きの構えを取る。
キィン!と一瞬の金切り音と共に華奢な彼女の体がギギネブラの視界から消えた。
彼女は見切り斬りで後ろへ踏み込んで距離を取り、刃を前から後ろへと逸らして腰の位置で構え、更に持ち方を変えて逆袈裟斬りで倒れ込んできたギギネブラの下顎に相当する部位を切り裂いた。
―――ヴギゴオオォォッ!?
切り裂かれた箇所から青白い電撃が迸り、ギギネブラは怯み声を上げて後ろに仰け反った。
更に一歩踏み込んでルゥムは左の翼と胴体の隙間に向かって踏み出して、身体を半回転捻る。
見切り斬りの成功によって練気は最大まで溜まった、それによって繰り出せる太刀の大技が一つ。
”気刃大回転斬り”による強力な横薙ぎの一撃は翼の根本に深い傷を作った。
刃は練気の力を伝わらせることにより、白く淡い光の練気を帯びている。
振り抜いた鬼哭斬破刀を鞘に戻すことも出来たが、ルゥムはそれをせずに抜刀したまま駆け出す。
直後、ギギネブラの体色が白から黒に明滅して両足で踏ん張る素振りを見せた。
「やべっ、咆哮かっ!?」
老山龍砲を畳んで背中に背負った状態で、ハジメは鼓膜が裂けないように両手で耳を塞ぐ。
ルゥムはギギネブラに対し、何の構えも見せず淡々とした様子で抜刀したまま走って距離を取る。
―――ヴゴオオオオォォォォォッ!!!
「ぐ、おぉぉ……んのヤロォ……!」
耳を劈く甲高いギギネブラの咆哮に頭の中で耳鳴りがするハジメ。
再び老山龍砲を構えるが、先ほどの攻撃で通常弾Lv3では大したダメージにならないと学習して、一発装填のみだが威力重視で徹甲榴弾Lv3を装填して狙いを定めた。
その間にギギネブラは両手足を使って跳躍し、べたっと壁に張り付いて移動する。
ルゥムが抜刀したまま走って戻ってきた頃には、その姿が消えていた。
ハジメも松明の光が届く範囲までは捉えていたのだが、あっという間に見失う。
「……っどこに、いった……?」
あの様子ではまだ体力の三分の一も削れていないだろう。
虎視眈々と気配を殺して襲い掛かろうとしているギギネブラを想像してハジメは焦る。
しかし焦っている彼の背後で、きらりと光るものを見たルゥムが考えるより先に動いた。
「なっルゥムさん、何を――――――!?」
「………!」
ジャキィン!と突如暗闇から鋏が伸びてきて、ハジメのいた空間を切り裂いた。
それより少し先にハジメの腕をルゥムが掴んで引っ張ったことで鋏は空を切るだけに終わった。
今のはギギネブラの特徴にない攻撃だとすぐにハジメは気づいて嫌な予感がする。
明かりの届かない壁際、いつの間にか出来ていた横穴からヌッと現れる異形のモンスター。
血に汚れたリノプロスの皮を纏い、毒々しい色の棘を背中に生やした蜘蛛。
(聞いたことがある…他のモンスターの皮を纏う蜘蛛…呼び名は―――)
「影蜘蛛……ネルスキュラか……!」
―――ギシャアアアアアアァァァァッ!!
ここは二十階層……壁や天井這いずり回るギギネブラ……つまりはそういう事だ……
というかルゥム姉貴一人ならこいつ等同時でも余裕で倒せたという……
感想、質問、ご指摘等お待ちしております。
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡