あと一話くらいで目標にしていた彼女との出会いは達成ですかね……?
今回の話を一言で纏めるなら ドスプーさんつおい 以上です。
副題はアテネの将軍ティモテオスの(目を覚ますと勝っていた…)という話より抜粋。
暗闇の中、瓦礫の山のような場所にハジメは気を失って倒れていた。
傍らには老山龍砲が転がっており、アイテムポーチやその他装備品も無事なようだ。
天井からぴちゃんと零れ落ちた水滴が額に当たって、彼の瞼がゆっくり開かれる。
「……っ……俺は……」
あの大爆発の後、何が起こったのか…ハジメは定まらない視界の中ゆっくり思い出す。
ベヒーモスの放った巨大隕石による衝撃を受けて、橋は崩壊していた。
辛うじてルゥムの腕を掴んで落ちていた隕石の裏に二人で隠れるも、崩壊した橋から逃れることは出来ず、二人そろって奈落の底に落ちて――――――
「ルゥムさん―――!!」
カッと目を見開いて意識を覚醒させたハジメが叫んで辺りを見渡すが、彼女の姿はない。
手探りでなんとか老山龍砲を探り当てた彼は、灯りを求めて瓦礫の山を滑って降りる。
(大丈夫だ……あの人がそう簡単にやられたりはしない……!)
不安にならないよう自分に言い聞かせて、ハジメはついに灯りになるものを手に取った。
「…火打石か、助かった。これで――――――」
二つの火打石同士を打ち鳴らすと火花が散って火打石自体が燃え出す。
原理はよくわからないが、恐らく石の中に発火成分が含まれているのだろう。
腕防具越しなら多少熱い程度で火傷はしないとハジメはそれを手に持って辺りを照らした。
「――――――ぅっ!? 」
思わず悲鳴を上げそうになったハジメは自分の口を手で覆って後退る。
先ほどまでただの瓦礫の山だと思っていた彼の寝ていた場所、それは異様な光景だった。
山のように積み上がっているのは
名前も分からない羽虫や蛆が集って、彼はようやく悪臭の中にいると気づく。
「……ルゥム……さんっ」
死体の山の中に彼女がいないことを祈り、ハジメは火打石を持った手で死体の山を照らす。
この時、彼は気づかなかったが…死体の中にはかつて大迷宮攻略に参加したメルドの部下達だった亡骸もあった。
(頼む、頼む頼む頼む……無事でいてくれ……!)
抵抗感はあるものの、ハジメは死体の山を動かしてその中に彼女がいないことを願う。
ハジメは死体の鎧や兜が異様に外側から力を加えられて凹んでいたことや、兜に刻まれた三本爪の痕に、嫌な予感を覚えつつもルゥムを探す。
しかし、探している間に彼の耳は近づいて来る異様な足音に気づいた。
「ッ!!」
地面を擦る足音は四本足、音の大きさから推定して牙獣種だが……
いつまでも火打石を持ったままでは戦えないと、ハジメは火のついたそれを音の方へ投げた。
そして見た――――――
(――――――ッ!?こいつ、は――――――)
青い色の毛を生やしたずんぐりとした体、毛の一部が剛毛で血のように赤く逆立っている。
舌を出したまま悠然と歩く姿には通常種であれば愛嬌もあるだろうが、目の前のそれにはない。
ハジメは必死に頭の中でモンスター図鑑に該当するモンスターを探して、その答えに辿り着く。
牙獣種分類、青熊獣”アオアシラ”の筈だが……
(亜種…?いや、違う……
アオアシラに亜種がいたなんて話は聞いた事もないが、目の前のそれは明らかに通常種と違う。
体の大きさは記録に残る最大サイズを軽く上回り、腕の太さも尋常じゃない。
ハジメの本能が今までにないくらい激しく警鐘を鳴らしていた。
(こいつは……このアオアシラは……ヤバいッ)
―――グウアアアアアァァァァァッ!!
通常種には無い筈のバインドボイス、それをまともに食らってハジメは後ろに吹き飛んだ。
咄嗟の反応が遅れ、ゲホゲホと彼が咳き込んでいる間に紅いアオアシラは仕掛ける。
―――グウゥゥゥ……!
(―――ッ!しまっ、避けられな―――)
唸り声を上げて突進してきたかと思えば、突如紅いアオアシラは後ろ足で立ち上がる。
そのまま片腕を引いて、禍々しい赤黒い棘を生やした腕甲と爪がハジメに迫り――――――
「……が、ぁ……っ」
ザシュッとハジメの胴体に爪が食いこんで、肉と骨を引き裂きながら振り抜かれた。
ハジメは白目を剥いて口から血を吐き出しながら力尽きてその場に崩れ落ちる。
溢れ出す血を見つめながら、ハジメの視界は徐々に暗くなっていく。
(――――死ぬ、のか。こんなところで……俺は……?)
命の恩人の無事も確かめられず、待っているであろう仲間達のところにも戻れずに?
一度は捨てた人生を、どんな苦難も乗り越えて、新しい生き方で続けようとした矢先に?
(――――――嫌だ)
両親のいる故郷に帰りたい、その前にお世話になった人に恩返しもしたい。
ハンターとして強くなりたい、巡り合ってきた先輩達のような、凄いハンターに……
(―――死にたく―――ねえ―――まだ俺は何も―――!)
迫りくる紅いアオアシラを、ハジメは倒れたまま血まみれの顔で睨みつける。
しかし大量の出血と痛みが限界に達して、ハジメの意識は遂に暗闇の中へと沈んでいった。
*
―――グウゥオオオオォォォッ!
真・オルクス大迷宮の第一階層を縄張りにするそのモンスターは勝利の雄叫びを上げていた。
少し前と同じように上から落ちてきた人間を何時もと同じように始末した。
なんてことはない。彼の者が爪を振り回せば、硬い岩であろうと無惨に砕け散るのだ。
やわな人間を仕留めるくらい造作もないこと……彼の者はそう思っていた。
――――――それが既にこの世を去ったオルクス大迷宮の創造主によって「お前は常にそう在れ」と始まりの世代から延々と命じられた意思とは知らずに……
美味とは言い難いが、腐らない内に仕留めた獲物を食べてしまおう。
紅いアオアシラはそう思って動かなくなった人間の青年にゆっくり近づいて――――――
「”蒼天”」
凛とした幼い少女の声が紅いアオアシラの後ろから響き渡り、頭上から青い炎が降り注ぐ。
悲鳴を上げて紅いアオアシラが仰け反り、後ろから聞こえた声に向かって吠える。
しかし暗闇の中、紅いアオアシラはその声の正体を見つける事が出来ない。
更に畳みかけるように、別方向から違う人間の声がした。
「フム、特殊許可の二つ名個体とはいえ…所詮はこの程度ですか…」
声の主が何かを放り投げて、それは壁に当たって跳ね返り、紅いアオアシラの眼前に落ちた。
次の瞬間、目の眩むような閃光が紅いアオアシラの瞳から一時的に視力を奪う。
声の主はその隙に紅いアオアシラが食べようとした青年の体を担いで走り去った。
紅いアオアシラが足音を頼りに走り出そうとするのに対し、再び少女の「”蒼天”」という声と共に青い炎が紅いアオアシラの周辺に降り注いで動きを止める。
「あの攻撃を食らって、まだ息があるとは。
「ん……教授、隠れ家に戻る?」
「勿論ですよ。そろそろ彼女も目を覚ましているでしょうから」
「………
「人間ですよ。肌の色も肉の色も血の色も、全て人間と同じで出来ています。…しかし中身に関しては私にとっても未知の領域。今は答えることが出来ない私をどうかお許し下さい…
「――――――その呼び方はしなくていい。私以外にもう、同族はいないから」
まさかの展開に作者自身が「ほえ~」となってます。
一応補足ですが、最期に出てきた某メイドインアビスの黎明卿みたいな口調で閃光玉投げてる人について知りたい方は「幕間の物語 執務室のある物より、一部抜粋」を参考にして下さい。
誰よりも早く、この世界の真実に辿り着いた方です。
アニメ版ありふれのOP「FLARE Void_Chords feat.LIO」を作業用で流して、かなりの駆け足だったけど…やっと…此処まで辿り着けたんやなって(物語的には序盤)
感想、質問、ご指摘等お待ちしております。
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡