モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 今回は例の封印部屋を守るあいつ等の代打を紹介します。
封印部屋のあいつ等だけは支配種だとしても大迷宮の創造主とは無関係のものなので、倒したら復活はありません(今後出番がないとは言っていない)
どちらもハジメが挑んでたら瞬殺されてたやべー奴らになりました。


大迷宮の真実? 後編

 

「私が彼女…アレーティアと出会ったのは十日ほど前のことです」

 

 教授は鍋に水を入れて、それを火にかけながらそう言った。

アレーティアは着ている毛皮の服の裾をきゅっと握り締めてその時の記憶に浸っている。

 

「ここから更に下へ潜ること第五十階層、下に続く階段とは別の方向に扉がありました。そこを守る二頭の支配種を狩猟し、私は彼らの体内から不思議なものを剥ぎ取ったのです」

 

 懐を漁って教授が取り出したのは野球ボールサイズの珠…支配種の魔石だ。

以前ゲブルト村で似たようなものを見た事のあるハジメはやや顔を顰めつつそれを見た。

 

「扉を守っていたのは”ロロ・ゴウガルフ””レイ・ゴウガルフ”二頭でした」

 

 紅白の体毛を持つロロ・ゴウガルフの別の呼び名は”赤闘獣”

藍色と漆黒の体毛を持つレイ・ゴウガルフの別の呼び名は”青闘獣”

四足歩行を常とする牙獣種の大型モンスターなのだが、ハジメは二頭の名前に聞き覚えがない。

 

 教授が取り出したモンスター図鑑は、ハジメも見たことがない特別な代物だった。

そこには一般の下位・上位ハンターには討伐依頼が出されないモンスターが記載されている。

駆け出しの自分がそれを見ることにギルド規則上の問題はないのか?とハジメが質問すると、教授は「口外しなければ問題ありませんよ」と返す。

以降説明の間、教授は二頭をそれぞれロロガルフ、レイガルフと略称で呼ぶ。

 

 余談だがレイ・ゴウガルフの名前を聞いた時にハジメは親友(レイ)のことを少し思い出した。

ハジメもガタイの良いハンターだったが、レイもそれに負けず劣らずのムキムキだった。

髪の色もやや青みがかってたところが青闘獣とも共通点があるなと密かに笑みを浮かべる。

 

「ロロガルフには水属性、レイガルフには火属性が効果的と言われています。個として見ればどちらも大人しいモンスターなのですが、二頭が揃うと興奮状態になり、闘争本能を剥き出しにして暴れることで、かなりの被害報告がギルドに寄せられていました」

 

 更に教授はページを捲って、二頭が持つ他の牙獣種に見られない最大の特徴を挙げた。

 

「この二頭は()()を攻撃に用いるモンスターでもあるんですよ」

 

「磁力…ですか?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()。―――これも一部のハンターしか知らない情報ですがね」

 

 ハジメが訓練所に居た頃、ハンターとして学ぶ基礎知識に磁力なんて項目は無かったのだ。

しかし磁力が何なのかは故郷の一般教養として教わっていた。

磁石や電流が発生させる磁場、その内にある磁極の性質…同じ磁極を退け合う力、異なる磁極を引き合う力…それが磁力である。

 

 二頭の体毛は通電性の高い針金のようなものであり、異なる電荷を帯びているという。

一頭だけなら何の反応も起きないが、二頭が一対となって干渉することで磁極が生まれる。

そうして得た磁力を使って、二頭は連携攻撃を他より更に優れたものに昇華していたのだ。

 

「…分かってやってるなら、二頭ともかなり知能が高いんですね…」

 

「知識としての理解ではなく、恐らく本能に自分達が持っている力はこういうものだと刻まれているのでしょうね。……さて、そんな二頭をなんとか私は討伐する事に成功した訳ですが―――」

 

 しれっと、さっきまで超危険と説明していた二頭のモンスターを倒したと口にする教授。

この世界にはまだ概念として発見されていない、本能を刻むもの…遺伝子情報。

改めてモンスターという存在が生物学的に非常識なものと思い知らされる瞬間だった。

 

「アレーティアは扉の中の部屋……そうですね、封印の部屋とでも呼んでおきましょうか。部屋の中心に光る立方体の石があって、その中に彼女は下半身を埋められていたのですよ」

 

「……埋められていた?」

 

「ん……教授、私が事情を話す」

 

 今まで黙って話を聞いていたアレーティアがゆっくりと口を開いた。

教授は「大丈夫ですか?」と言い、彼女は「大丈夫」とだけ返す。

ハジメとルゥムの目を彼女の紅い瞳が心の内まで見透かすように見つめる。

 

「今から311年前の話になる。……まだ、吸血鬼族が沢山いた時の話。私は12の時に先祖返りがあって、”魔力操作”と”自動再生”の力に目覚めた」

 

「……自動再生?」

 

 聞き慣れない単語にハジメが首を傾げていると、アレーティアはゆっくりと立ち上がる。

素足でペタペタと歩いて教授の下までいき、彼が差し出したナイフを受け取った。

固唾を飲んで見守るハジメの前で、彼女は躊躇う事なくナイフで自分の手首を切った。

 

「っ!!?おまッ――――――」

 

「…見てて」

 

 映画のような凝った演出のように派手な出血はしない。

ただ傷口からじわっと滲み出た血が彼女の細くて白い腕を伝って零れ落ちるかと思われた。

ところが血は落ちる寸前で制止して、そのまま映像の巻き戻しように血は彼女の傷口の中へと戻っていき、ナイフでつけられた傷も数秒の後に完治して痕も残っていなかった。

 

「……マジかよ……お前、不老不死なのか?」

 

「ん……ちょっと違う。自動再生は私の体内にある魔力量が安定していないと十分な効果を発揮出来ない。魔力が枯渇して攻撃を受ければ傷は完治出来ないから私は死ぬ。……でも不老っていうのはアタリ、私の肉体年齢は12の時から変わっていない」

 

「成程、道理で―――」

 

 大人びた口調の割に自分達より背も低く、華奢な体をしている訳だ。

そう言いかけてハジメは彼女が年上ということもあり、失礼なことを言うべきではないと寸でのところで思い止まって、口に出しかけた言葉を飲み込む。

アレーティアはそれを気にする様子もなくナイフを教授に返して座り直す。

 

「……話を戻す。私は17の時に王位に就いた。けれど――――――」

 

 一瞬だけ、アレーティアの表情が悲痛に歪んだのをハジメは見逃さなかった。

同じようにそれを見たルゥムがそっと手を伸ばして彼女の頬に触れようとする。

無表情で何を考えているか分からないが、彼女なりに心配しているのだろう。

しかしアレーティアはそれを手で制して「ん、ありがとう…」とだけ言う。

 

「…私の治世は長く続かなかった。私の叔父が王位の簒奪を臣下達と企てて、私を殺そうとした」

 

「――――――!」

 

 彼女の語る衝撃的な内容に、ハジメは驚愕に僅かな怒りをその叔父とやらに心内で向けた。

まだ二十代にもなっていない身内である彼女を、地位欲しさで殺すなど正気を疑う。

その時のアレーティアがどんな気持ちだったか、考えるだけで腸が煮えくり返る思いだ。

ハジメの表情をチラと見たアレーティアはそれを察して優しく微笑みかける。

 

「…ハジメは優しい…でも、もう終わった事だから…」

 

「……そう、か。たしかに…俺が感情的になっても意味はない事だよな…悪い」

 

「意味はなくても価値はある。……私の事を、心配してくれた」

 

「………」

 

 最終的にはそういう事になるのだが、ハジメは照れくさくて頬を赤くしてそっぽを向く。

クスクスとアレーティアは笑ってから軽く咳払いをして「話を戻す」と言った。

 

「当時最強の一角だった私を殺すことが出来なかった叔父は、私を眠らせてから封印の石で私の体を動かせない状態にして、あの部屋に運んだ。…それが私が23の時の出来事。でも――――――」

 

 そう言葉を続けたアレーティアの目には真っ直ぐと、強い光が灯っていた。

 

「私は叔父が私を封印したのは別の理由があると思ってる」

 

「別の理由?」

 

「叔父は王位簒奪に動く前と後で人が変わったようだった。今にして思えば、あれは私に王位を取られて悔しかったからなんて小さな理由じゃなくもっと別の……()()()()()()()()()()()()()()

 

「……何かって……それは――――――」

 

「…それがまだ分からない。300年間、暗闇に封印された中で考え続けていたけれど…私は答えを出せなかった。そんな時に―――」

 

「私があの部屋を訪れて、彼女を解放したのですよ」

 

 教授がアレーティアの言葉を遮って話をし始める。

解放の下りはなんともシリアスな出会いとは真逆の笑える場面だったらしく、封印の石を物理的に破壊するしかないと判断した教授が持っていた”グレートピッケル”全てを犠牲にしてアレーティアはグレートピッケルが自分に刺さらないことを祈りながら封印の石から抜け出せたのだという。

 

「あの時は大変失礼致しました。他に手段も無かったもので―――」

 

「……もう二度とあんな目に遭うのは御免」

 

 それから封印を解いた事で、部屋の天井から更に支配種のモンスターが襲ってきたという。

”多殻蟹”の呼び名で知られる大型の甲殻種”タイクンザムザ””金冠サイズ”による強襲。

教授は封印を解かれたばかりで歩くのもやっとだったアレーティアを守りながら戦うというハンデを背負いながらも、数時間に及ぶ激戦の末、これを倒した。

 

 因みに教授が調べたところそのタイクンザムザは”剛種”だったらしい。

もしこれが辿異種だったら、今頃アレーティアは死んでいると彼は言う。

剛種でも駆け出しのハンターであるハジメからすれば、十分恐ろしい存在なのだが…

 

(そんなのがゴロゴロいるのか……この大迷宮)

 

 ふとハジメの脳裏に過ぎる、あの紅いアオアシラの恐ろしい姿。

包帯を巻かれた自分の腹に視線を向けると、既に切り裂かれた傷痕は癒えていた。

しかしあばら骨と臓物を引き摺り出されたような痛みの感覚は今でも忘れられない。

 

「……聞いてもいいですか、俺を襲ってきたあのアオアシラについて」

 

「あれは”紅兜アオアシラ”という”二つ名”を持つ特殊個体ですよ」

 

「……特殊個体?」

 

 通常種にはない特徴や性質を持ち、戦闘面で大幅に危険度が増した個体。

二つ名とは火竜リオレウスの火竜などの別名や、大空の王者といった異名とも違う。

この二つ名を持つ特殊個体を狩るには、ギルドから狩猟許可を得る必要がある。

また、特殊個体の中でも更に異常な強さを持つものは超特殊許可に分類されて、これを討伐できるハンターは例外と呼ばれる者達くらいしかいないという。

 

 紅兜アオアシラは通常種のアオアシラよりも巨大な体を持ち、肉質が硬くなっている。

通常種が苦手とする爆音への耐性も獲得しており、小手先の技は通用しないという。

 

「君が生き延びたのは本当に幸運でした。彼女の魔法による背後からの援護がなければ、私一人で助けようと動く間に貴方はアレに食い殺されて死んでいたでしょう」

 

「……改めて、お礼を言います。助けて頂き、ありがとう御座いました」

 

「何度も言いますが礼には及びません。当然のことをしただけです」

 

「ん、私も目の前で困ってる人がいたから助けた……ただ、それだけ」

 

 それから話を進めると、ルゥムが教授と出会ったのはハジメを助けた直後だったという。

彼よりも先に目を覚ました彼女は、近くにハジメの姿がなかった為、探していたらしい。

心配をかけたことについてハジメが謝ると、彼女はフンフンと首を横に振る。

 

 教授が「君はもう休んだ方がいいでしょう」とハジメに言って、調査報告は終わった。

ハジメは横になって天井を見つめながら、ふと気になったことをアレーティアに尋ねる。

 

「そういえば、アレーティア…さんは俺より年上なんだ…ですよね?敬語とか―――」

 

「敬称も敬語も私には必要ない。今の私はただの吸血鬼族のアレーティアだから」

 

「……了解だ。それじゃ俺は少し寝るよ……おやすみアレーティア、教授、ルゥムさん」

 

「ええ、火の番は私に任せて下さい」

 

「………(こくっ)」

 

 




 アレーティアの言う叔父が何かに焦っていたとは一体何だったんでしょうか……?
原作通りのアレの狙いに気づいてか、それとも……吸血鬼族が滅んだのはもっと別のry

 磁力のモンスターについては後々出てくるので知らぬフリをしているか、どうしても気になる方はモンハンWikiとかで調べてみるのも面白いかも?(磁力の説明とか作者の知能が中学生以下なので間違ってるかもしれないというのは此処だけの話)

 余談ですが、作中に短く説明していた教授によるアレーティアの封印から脱出させる下りは初期の頃はハジメがやる事になってました(原作のような魔力がない以上はこれしか手段がないと、泣く泣く採掘したばかりのマカライト鉱石を犠牲にしてグレートピッケルを調合、アレーティアに半泣きされながらエンヤーコラサーと封印石を細かく砕いで解放に至ります)
作中のハジメがスヤァ…したように作者もこれからスヤァ…(※投稿時間)

感想、質問、ご指摘等お待ちしております。

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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