あ、作品とは特に関係ない上に大したことじゃない告知ですが作者がようやっと無職から脱却しました(嬉しいと悲しいの相反する感情が殴り合い中)
投稿ペース云々はどうなるか分かりませんが、必ず週一は守りつつ可能な限り二日に一話ペースは守りたいと思っています(内容が濃い薄いは別として)
第六十階層の番人”レーシェン”は侵入者の存在に気づいていた。
下の階層へ続く入り口に自らの縄張りを主張するトーテムを立ててはいるが、六十階層全てを覆う樹木、草の根に至るまでが彼の支配する領域なのだ。
足音を聞いて、それがヒトであるとすぐに分かった。
レーシェンがこの階層を縄張りと決めるより遥か昔、
一度か二度か、自分と同一の存在が前にもこの階層を支配していたように錯覚するが、いくら探しても同朋の姿は見当たらない。
住み心地の良し悪しを誰かに聞かれれば、可もなく不可もないと答えるだろう。
従える小さな獣は無数に沸き出てくるし、樹木は陽の光がなくとも青々と成長する。
その理由をレーシェンは知らないし、知る必要もないと考えた。
―――ただ自分は、縄張りを侵す者に制裁を下すだけ。
姿を見せず森の精霊と呼ばれていたものは、侵入者を排除しようと目を覚ます。
六十階層の樹木が、そこに生きるものが、彼の者の声に応えて動き出した。
侵入者達はまだそれに気づいていない。
*
「…では我々は先行してトーテムの破壊に向かいます」
「了解です。…お二人ともご武運を」
「………(こくっ)」
五十九階層へ引き返す階段の脇に、荷車と荷物を置いてハジメが錬成で壁を作って隠す。
その間に教授が作戦を説明して、ルゥムを引き連れてトーテムの方へと向かった。
教授の作戦とは、四人の中で唯一レーシェンと交戦経験がある教授と、彼に続いて最も戦闘力の高いルゥムがレーシェン本体と戦いこれを撃破、その後から合流するハジメ、アレーティアが階層内に散らばっている小型モンスターの一掃というものだった。
「――――――よし、こんなもんか」
「ハジメ、準備出来た?」
「ああ、俺達も行こう」
「ん!」
荷車の場所は四人にしか分からないよう印をつけて階層の壁と一体化させた。
アレーティアを連れて、ハジメは教授達とは違う道を歩き始める。
すぐに鬱蒼とした草が足下を覆ってハジメは気にしなかったが、アレーティアは擽ったいのか色っぽい声を上げて身悶えする。
「……っ、んっ……!」
「……大丈夫か?」
「んっ…平気」
「…そうか、後ろの警戒を頼む」
「了解」
老山龍砲を展開して、ハジメは荷車でも通れそうな道を覚えながら辺りを見る。
木の陰に他の生き物の気配がないか、此方を襲って来ないかを警戒していた。
教授から聞いたレーシェンの特徴から、恐らく弱点属性は火だろうと彼は考える。
肉質の方も戦った限りでは斬撃、打撃のどちらも感覚的に変わりがなかった事を踏まえて、ボウガンの弾も問題なく通るだろうとのことだった。
二人が樹海に入って五分ほど経って、突如辺りを震わせるほどの唸り声が階層全体に響いた。
―――オオオオオオォォォォォ……!
「ッ!?今のは…」
「…始まった」
飛竜や牙獣とも違う、嗄れ声の老人を彷彿とさせる咆哮は間違いなくレーシェンのものだ。
アレーティアには聞こえなかったが、ハジメの耳に他の小型モンスターの悲鳴も聞こえた。
恐らくは先行した教授達が戦闘を開始したのだろう。
再度気を引き締めて二人が歩みを進めようとしたその瞬間―――
―――ガァッ!
頭上から聞こえた鳴き声に二人が顔を上げると、木々の上から何十匹もの黒い鳥が襲ってきた。
それらは全てレーシェンが魔法によって操っている眷属である。
老山龍砲を上に構えてハジメは引き金を引こうとするのだが…
―――ギャ、ギャッ!
「ぐっ…!?」
執拗にハジメの目玉を抉ろうとボーンヘルムに爪と嘴を食い込ませる黒い鳥の群れ。
老山龍砲がどんな武器か認識しているのか、引き金に掛けた彼の指に食いつくものまで現れた。
一方でアレーティアは両手を上に突き出して魔法を発動させる。
「”
彼女を中心に無数の火を纏った針のようなものが現れて、頭上の黒い鳥の群れに向かっていく。
二人に急降下していた黒い鳥の群れはそれを躱せず直撃したものは悲鳴をあげて落ちていた。
掠めたものにも火が燃え移り、二人に襲い掛かるどころじゃなくなっている。
「っの野郎ぉ!!」
ハジメは弾を撃つのではなく、銃身ごと振り回すことで黒い鳥の群れを追い払った。
五、六匹集っていた内の三匹は回避が間に合わずに鈍い音がして辺りの草むらに叩きつけられる。
アレーティアの火属性魔法から逃れた黒い鳥達は一斉に木の上へ戻って姿を隠す。
「ハジメ…!」
「平気だ、奇襲に驚いただけで傷は大したことない」
そう言って彼は老山龍砲の引き金を握る筈だった手の様子を見る。
アロイアームでガードされている表側には爪で引っ搔かれた痕が残っていた。
しかし黒い鳥達は襲ってくる前から防具の僅かな隙間を狙って攻撃しているようだった。
(鳥達の知能が高いのか、或いは――――――)
それを考えようとしていたハジメだが、不意に足元の違和感に気が付く。
地に付いた足の裏から伝わる小刻みな震動…それが何を意味するのか瞬時に把握して叫んだ。
「ッ!!!アレーティア、
「っ――――――!?」
彼が叫ぶのと同時に、アレーティアの足下の地面からある物が飛び出してきた。
それは先端が針のように鋭い木の根。
本来は栄養を地面から吸収し、木の成長を促す筈のものが意志を持って彼女を襲ったのだ。
ドスッと鈍い音がして木の根は彼女の背中から胸の中心を貫く。
驚愕で見開かれた彼女の瞳と同じ色、真っ赤な血が木の根の先端を濡らしていた。
「ご、ぁっ……!」
「アレーティアァァァ!!」
血を吐き出して苦悶の表情を浮かべるアレーティアに駆け寄るハジメ。
しかし地面から他の木の根が生えてきて彼の行く手を阻もうとする。
憤怒の表情で彼は老山龍砲を振り回して木の根を容赦なく破壊して叫ぶ。
「邪魔だ退けぇっ!!」
「カハッ、コホ…ッ」
アレーティアは叫ぶ声も上げられず、木の根がズズッと地面に戻っていくと彼女の体は地面に崩れ落ちて暫くピクピクと痙攣していた。
ハジメが邪魔する木の根を破壊し、彼女を抱き起して声を掛ける。
「おい、しっかりしろアレーティア!!」
「………っ」
一瞬の焦りからハジメは彼女が身に宿す自動再生の力を忘れていた。
映像の逆再生が行われるように辺りの草に飛び散った彼女の血が、再び彼女の体の中へ戻ろうとしていくのを見て彼はハッとした表情でそれを思い出し安堵の息を吐く。
しかしまだ木の根は襲ってくる。
彼は振り返ってそれを睨みながら悪態をついた。
「クソっ……なんで俺らの方にまで…!」
この攻撃がレーシェンの手によるものだとハジメも気づいていた。
しかしレーシェンは今、教授達と戦っている筈だ。
遠く離れた二人の気配まで、レーシェンが感じ取ったとでも云うのか…?
(…今は考える場合じゃねえ!)
幾らアレーティアが自動再生で助かると言っても限界がある。
草木に囲まれたこの場所が不利であると悟って、ハジメは彼女を背負ったまま走り出す。
木の根が絡みつこうとするのを左右に走ってフェイントをかけることで回避した。
「…ハジメ…もう、平気」
「アレーティア!」
「後は、自分で走れる…から…」
「今は手ぇ離す余裕がねえ、しっかり掴まってろ!」
「……ごめん」
「気にすんな…!」
鬱蒼とした木々の中を駆け抜けて、二人は岩肌が剥き出しの場所までやって来た。
すると木の根の追撃はパッタリと止んだが、代わりにとんでもないものが現れる。
―――オオオォッ
「…マジかよ…俺らを先にやろうってか…!?」
何もない空間から突如湧き出した黒い靄が巨大な人の形を作り上げる。
鹿の頭骨を彷彿とさせる頭部、両手の鋭利な爪、ボロボロの腰巻き。
全長5mはある細身のヒト型、樹木の怪物…レーシェンが二人の前に立ち塞がった。
今回アレーティアが使用した魔法”緋雨”に関してですが、原作で使用した”凍雨”の火属性バージョンみたいな感じです(完全オリジナルかって言われるとそうでもない気がするのでこの場にて説明をと思い至りました)
今更な気もしますが自分で書いてる間と投稿した後に「え、これで大丈夫なの?」って不安に襲われることがありますね(これが極限に達するとモチベーションが下がって投稿頻度が疎らに、最終的に失踪という流れ)自信を持てと言われても中々そこに至れないのが辛いところ…
感想、質問、ご指摘等お待ちしております。
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡