モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 例の如く此処までの階層は全カットで(いつか書きます…多分)


第九十九階層:全てを越えた先で

 

―――オオオォォ……ッ

 

「―――ハァ、ハァ―――ハァ」

 

 力尽きるリオレウスの巨体を前に、ハジメは肩で息をするように苦悶の表情を浮かべていた。

真のオルクス大迷宮最深部の手前、第九十九階層の戦いは厳しいものだった。

 

 レーシェンを越えた先から今に至るまでの階層全てに言えることだが…

各階層はそのモンスターの生態に合わせた環境で過ごしやすい状態を整えている。

しかし六十一階層から先は、闘技場のような場所にモンスターを解き放って、定期的に餌を与えて生き永らえさせるという仕組みを隠そうともしない不気味な空間が続いた。

 

 加えてこれまで表の階層から暫くは見られなかった飛竜種の上位個体も出現するようになった。

ただの上位個体一頭なら四人の連携で乗り越えることも容易だったかもしれない。

それが場合によっては二頭同時、三頭別種連続など階層一つの危険度の跳ね上がり方をする。

 

 ポーチ内の弾を全種類ほぼ全弾急所に撃ち込んで倒れたリオレウスの上位個体だった。

幸いにも弾は階層を下る毎に行っていた採取のお陰で無限にあるから問題はなかった。

 

 問題は下位防具でしかないハジメが上位個体を一人で相手にすること。

大したことない上位種の一撃が下位のハンターにとっての致命傷である。

彼は掠り傷一つ負わない覚悟で狩りに臨み、苦労の末リオレウスを倒したのだ。

 

 ハジメがリオレウスを相手に生き残れたのは、決して豊富とは言えないけれど確実にダメージを蓄積してくれる毒などの状態異常の弾や、何度も窮地を救ってくれた閃光玉、何よりもリオレウス側にとって狭い洞窟内で戦うという不利を強いられたことが勝てた理由だろう。

 

(俺、軽く百回は死んでるな…あの人達が居なかったら…)

 

 上位個体のリオレウス討伐を一人任されて死ぬ気で奮闘した末勝利を勝ち取ったハジメに対し、教授とルゥムが何を相手にしていたかというと―――

 

「ご苦労様でした。流石に太刀使いがいると狩りが長引かなくていいですね」

 

「………(こくっ)」

 

 辺り一面が血の海に染まって、二人はその中に倒れ伏したモンスターの素材を剥ぎ取っている。

体の表面は長い年月をかけて色素の抜けた白い毛や鱗で覆われ、首や胴体の内側に本来の通常種に残っていた薄い黄緑色が残って、角の先端と翼膜は赤黒い色に染まっている。

三本の尻尾、翼の後部に生える鉤爪付きの触手のような器官も特徴の一部だ。

 

 飛竜種”ドラギュロス”と呼ばれるモンスターの辿異種個体と二人は戦い、勝った。

冥雷と呼ばれる()()()()()()()()()()()()()を用いることから”冥雷竜”とも呼ばれる。

後に教授の調査で判明するのだが、二人が討伐したドラギュロスは上位個体だったものが長い年月をかけて成長し続けた結果、辿異種に至ったとのこと。

 

(あの二人、俺より激しい動きで戦ってたのに…すげえ余裕っぽいな)

 

 戦闘中に他の戦い目を見る余裕なんてハジメに無かったが、それでも偶々視界の端に映り込んだ光景は古龍種でも相手にしているんじゃないかと錯覚するくらいに凄まじい光景だった。

赤黒い雷の中で荒れ狂う辿異種のドラギュロスと相対する二人の動きは既に人外のそれである。

 

 ハンター自体が人間なのか色々疑わしい部分はあるけれど、例外の人達は別格だ。

結果的に足を引っ張ることは無かったが、ハジメは悶々とした気分を抱えずにはいられない。

 

(…この先が、教授の言っていた…)

 

 九十九階層を越えた先、まだ誰も足を踏み入れたことのない第百階層が待ち受けている。

表の階層が百階層で行き止まりだった事を考えると、真のオルクス大迷宮の百階層の先には幸利の言っていた解放者の住処と神代魔法の手がかりがある筈だ。

 

 これまで侵入者をとことん潰しに掛かってきた階層の番人たちを思い出すと、この先に待ち受ける最後の強敵がどの程度のものか想像も出来なかった。

 

第五十一階層からハジメが獲得(採取含む)した素材一覧(第六十階層除き)

・盾蟹の堅殻4個    ・盾蟹の尖爪3個     ・朽ちた真紅の角5本

・鎌蟹の堅殻2個    ・鎌蟹の尖爪3個     ・鎌蟹の堅脚5本

・鎌蟹の鋏3個     ・竜頭殻5個       ・矛砕の爪5個

・矛砕の甲殻5個    ・紅兜の毛1束      ・紅兜の甲殻4個

・紅兜の怒髪6束    ・白兎獣の剛毛1束    ・白兎獣の上耳3個

・白兎獣の凍爪3個   ・白兎獣の堅腹甲2個   ・雪鬼獣の剛毛3束

・雪鬼獣の上皮3枚   ・雪鬼獣の尖角6本    ・雪鬼獣の堅腕甲3個

・黒狼鳥の上鱗6枚   ・黒狼鳥の堅殻1個    ・黒狼鳥の剛翼3個

・黒狼鳥の地獄耳4個  ・尖ったクチバシ1個   ・黒狼鳥の尻尾6個

・隻眼の鱗2枚     ・隻眼の甲殻4個     ・火竜の上鱗2枚

・火竜の堅殻5個    ・火竜の剛翼5個     ・火竜の逆鱗1枚

・火竜の骨髄2個    ・火竜の翼爪4個     ・火竜の尻尾5個

・火竜の体液3個    ・雌火竜の上鱗3枚    ・雌火竜の堅殻3個

・雌火竜の翼膜3枚   ・雌火竜の上棘6個    ・雌火竜の逆鱗2個

・紫毒姫の鱗6枚    ・紫毒姫の甲殻1個    ・岩竜の堅殻4個

・岩竜の堅胸殻2個   ・岩竜の剛翼5個     ・岩竜の尻尾3個

・岩竜の涙3個     ・桃岩竜の堅殻1個    ・桃岩竜の剛翼4個

・鎧竜の堅殻5個    ・鎧竜の頭殻4個     ・鎧竜の剛翼1個

・鎧竜の骨髄5個    ・ブヨブヨした皮2枚   ・怪しげな牙6本

・アルビノエキス7個  ・アルビノの唇4個    ・アルビノの中落ち3個

・一角竜の堅殻6個   ・一角竜の堅甲1個    ・上質な真紅の角3本

・モノブロスハート4個 ・轟竜の上鱗4枚     ・轟竜の堅殻3個

・轟竜の尻尾5個    ・轟竜の鋭牙1本     ・轟竜の尖爪3個

・電怪竜の上皮5枚   ・電怪竜の鋭爪3個    ・風漂竜の上鱗3枚

・風漂竜の上皮3枚   ・風漂竜の尖爪2個    ・風漂竜の翼膜1枚

・風漂竜の尾膜4枚   ・風漂竜の逆鱗4枚    ・獰竜の鱗6枚

・獰竜の上鱗2枚    ・獰竜の骨3本      ・獰竜の上骨1本

・獰竜の皮3枚     ・獰竜の上皮4枚     ・獰竜の牙1本

・獰竜の穿牙4本    ・獰竜の刃尾4個     ・獰竜の上刃尾5個

・獰竜の角4本     ・獰竜の尖角6本     ・獰竜の血6個

・冥雷竜の憐鱗2枚   ・冥雷竜の憐殻3個    ・冥雷竜の憐鉤爪3個

 

・竜骨【中】13本    ・竜骨【大】16本       ・堅牢な骨9本

・堅竜骨12本      ・上質な鳥竜骨15本      ・異形の骨20本

・竜の爪52個      ・竜の牙45本         ・いにしえの龍骨1本

・猛毒袋2個       ・強力麻痺袋2個        ・爆炎袋4個

・電撃袋3個       ・鳥竜玉1個          ・竜玉4個

 

 意外なことに、第五十階層を越えてからは採掘と虫捕りのポイントが見つからなかった。

これにハンター三人はやや落ち込んだが、既に五十階層を越えた辺りから荷物がギッチギチだったことを考えれば、この程度で収まったのが寧ろ幸いだったのかもしれない。

 

(…少し前から気になってたけど、洞窟内がやけに明るいな…)

 

 辺り一面から生える半透明の角ばった青白い結晶体に目を向けるハジメ。

教授曰くその結晶体から零れ落ちたりしたものが”龍脈の結晶”と呼ばれるもの。

龍脈とは何なのか彼は詳しくは分からないと言い、恐らくはモンスターの中でも生態が謎に包まれている古龍種に関係するものだろうと言っていた。

古龍種が持つ特異なエネルギーに似たものが、この青白い結晶体にも含まれている。

 

(…この結晶の中が光って洞窟内を照らすくらい、エネルギーが蓄積されてるってことだよな…?けど、前までの階層じゃ光ってる様子はなかった…)

 

 下層へ進むにつれて松明が要らない明るさになっていたのだ。

その理由の答えは、恐らく最下層にあるのだろう…ハジメはそう思った。

剥ぎ取りを終えて2人と、荷車で待機していたアレーティアの下へ合流する。

 

 程なくして、進む一行の前に巨大な石の階段を降りた先に扉が現れた。

先頭を歩いていた教授が立ち止まって振り返り、両手を広げながら口を開く。

 

「さて…此処までが私の知るオルクス大迷宮。此処から先、この巨大な扉を開いた先は全くの未知です。…皆さん、覚悟は宜しいですか?」

 

「………(こくっ)」

 

 教授の問いかけにまず答えたのはルゥム。

彼女にとってこれまでの激闘も、普段のクエストと何ら変わりない。

ただ傍らで表情を固くする少年に彼女の瞳は向けられていた。

 

「ん、覚悟ならとっくに出来てる」

 

 次に返事をしたのはアレーティアだった。

彼女は封印部屋から解放されて、この四人の中で誰よりも外へ出たがっている。

先の事をどうするかなんて今は考えている余裕がない。

ただ前へ、ただ外へ、数百年ぶりの自由を謳歌したがっていた。

 

「…進みましょう。その為に此処まで来たんです」

 

 最後に返事をするハジメは脳裏に覚悟完了の四文字を思い浮べた。

ハンターになった頃から常にそれは掲げてきたが、今回は特に命懸けの状況である。

極力自分から死ににいくようなことは自重して、一刻も早く地上で待つノイント達の下へ。

 

 そして…恐らくは最下層の奥にある、神代魔法と大迷宮についての手がかり。

それらを手に入れられたなら、ハジメにとって希望の光が差し込むだろう。

 

 各々の言葉を聞いて教授はコクリと頷いて、石の扉に手をかけた。

明らかに人間サイズ用に造られていない石の扉は、仕掛けによって作動する。

仕掛けで地面が振動し、ハジメはキッと扉の奥を睨みつけた。

 

 開かれた扉の奥から真っ直ぐ見つめられないほどの眩い光が発せられる。

顔全体を防具で覆っている教授は平気だが、三人は手で光を遮った。

その時…ドクンと跳ねる心臓の音が、光の奥から聞こえたような気がした。

 




 サブタイトルと文章からモンハンプレイヤーなら分かる、オルクス大迷宮のラスボス。
幸い?なことにこの場にカルトゥスさんが居ないから例の展開は起こらない…かも!

 辿異種ドラギュロスに関してですが、元は上位(或いはそれに近いG級個体)だったのが数百年(数千年?)の時を経て辿異種と相成りました(その度に傍らでブチ殺され続けた上位リオレウス君がいたとか…)

感想、質問、ご指摘等お待ちしております。

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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