モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 幕間にばかり気を取られて本編が疎かになってました(超小声)


譲れぬ先の為に命を燃やせ

 

 半透明の青白い巨大な竜が吠えた事で、防具のスキルに耳栓の付いていないハジメと防具を身に纏っていないアレーティアの二人が耳を塞いでその場で硬直する。

三半規管を揺さぶられてクラクラする二人の意識を、ルゥムが間髪入れずに軽くつま先で二人の足元を蹴飛ばすことで正気に戻す。

 

「っ!!ルゥムさん、助かります…!」

 

「…ありがと!」

 

「………(こくっ)」

 

 頷くと同時にルゥムは物陰から飛び出して竜の方へ走り出した。

ハジメも老山龍砲を展開し、顔半分で覗き込むようにして竜の弱点を探る。

ルゥムより先に竜の前脚に辿り着いた教授が神封龍剣【絶一門】で切りつけると、竜は通常のモンスターと同じように赤い血を滲ませはするが、切られた箇所はすぐに再生した。

 

―――グオオォォォン!!

 

 竜は初めて感じる痛みに鳴き声を上げながら、足元の教授に対しもう切られた方とは反対側の前脚で薙ぎ払う。対する教授は即座に剣を抜いたまま盾を構え、迫りくる前足の爪をガキン!と受け流して後ろへ下がった。

 

「攻撃しても即再生するほどの生命力…コレは間違いなく古龍種ですね。幸い生まれたばかりで戦い方をほとんど知らない今が好機です。一気呵成に畳みかけますよ」

 

「………!」

「はいっ!」

「了解!」

 

 入れ替わるようにルゥムが鬼哭斬破刀を抜刀したまま駆け抜けていき、四つ足で支えられている胴体の下にある空間へ潜りこんで後ろ脚に突きを放つ。

しかし柔らかな肉質の前脚に対し、後ろは体重の半分以上を占めるであろう尻尾の重量も支えているからか、かなり硬い肉質で突きで裂かれた箇所からあまり血は出なかった。

 

 二人が攻撃を仕掛けている隙にハジメが狙いを付けたのは頭部だった。

教授の声を聞いた時、目の前のモンスターが古龍種であると仮定する。

 

 ハジメの脳裏に過ぎるのは初めて戦った古龍種ラオシャンロンとの激闘。

目立った攻撃を仕掛けてこなかったが、巨大さゆえに苦戦を強いられた相手だ。

アレに比べれば目の前の古龍はその二分の一ほどの大きさしかないと思えるが、その分先ほどの前脚の薙ぎ払いのスピードを見た限り、攻撃の機敏さは飛竜種のそれと同程度に考える。

あの繭から出てきた時に放った光線も使ってくる可能性を視野に入れ、遠距離武器であるヘビィボウガン使いのハジメが狙うべきは――――――

 

「虫のような複眼付きの…頭!!」

 

 ズドォン!と砲声が鳴り響き、徹甲弾Lv3は寸分の狂いもなく飛んでいった。しかし竜の複眼は自らに向かってくるそれに気づいてか、僅かに顔の位置を動かす。

一発目の弾は頭部に当たらず、その後ろで窮屈そうに畳まれた翼で爆薬が炸裂する。

ハジメは苦い顔をして「そう上手くはいかないよな…!」と竜を睨む。

 

「ハジメ…援護する!」

 

「頼む!」

 

「――――――”蒼天”!」

 

 アレーティアが掲げた掌の先に浮かび上がる青い炎の塊。

巨大なそれが周囲の龍脈の結晶を溶かしながら竜の顔へ肉薄する。巨大な火の塊を躱し切れずに竜は頭部の後ろへと伸びる黒い角で受け止めた。

 

―――オオオォォォッ…

 

 初めて竜が怯むような様子を見せて、アレーティアは驚き目を丸くする。

今まで一部の例外を除いたモンスターに対し有効打とはならなかった魔法の攻撃。

極端に火に弱いモンスターであればダメージを与える事は可能だと分かっていた。

そして目の前の竜がいま見せた行動は、間違いなく火に弱いモンスターのそれである。

 

「!?効いてる……!」

 

「火属性が弱点属性なのか?なら―――!」

 

 再び物陰へと身を隠したハジメは手間を惜しまず再装填に入った。

自動装填によって装填済みだった徹甲弾Lv3を取り出してボウガンポーチへ戻し、その手で中から火炎弾を取り出して弾倉へ押し込んで装填を終える。この間凡そ一秒半。

 

 その間に四本足の肉質を理解したルゥム、教授がそれぞれ別の部位へ攻撃する。

武器のリーチが長いルゥムは自らが竜の攻撃を避けつつ竜に攻撃を与えられる胴体の下に立ったまま、逆袈裟に竜の胴体目掛けて太刀を振り上げた。

 

 ルゥム同様に片手剣を抜刀したまま走って、教授は尻尾の先端近くまでいった。

ゆらゆらと揺れる膜に覆われた尻尾の大きさは、軽く振り下ろすだけで人を叩き潰せる。教授はバックステップで後ろへ一度下がってから跳躍して勢いのつけた上段斬りを放つ。

 

 胴体は前脚ほどではないが硬くはない、尻尾も同様に二人の武器で十分肉が切れた。

切り口から飛び散る血を二人は体で受けながら竜の血の熱を感じる。

それは生まれたばかりの赤子が生きようと足掻く生命の源。失われれば失われるほどに竜は冥き河へと誘われていく。

 

―――オオオオッ!!

 

 そんなのは御免だと言わんばかりに竜は吼えて反撃へ転じた。

胸をチクチク刺して来る者に対し前足を左右交互に振り回し、そこから追い出そうとする。

同時に尻尾を叩きつけて周囲の地面に溜まった龍脈のエネルギーを活性化させた。

二人は一旦距離を取って、再び龍脈の結晶の塊の間へと姿を隠す。

 

「―――隙あり…”蒼天”!」

 

 アレーティアが体内の魔力量の残りを気にしながら再度蒼天を発動する。

やや遅れてハジメも火炎弾を装填した老山龍砲の砲口を竜へ向けて引き金を引く。

ズドォン!という発射音を青い炎の塊の衝撃波が覆い隠す。

蒼天の直撃と火炎弾の命中で頭部にダメージを与えられたとハジメは確信する。

…が、その瞬間竜の目がアレーティアに向けられている事に気づいて叫ぶ。

 

「アレーティア!!すぐに身を隠せ!!」

 

「ッ!?」

 

―――ギギャオオオオォォォォォ!!!

 

 竜は前脚を広げて四つ這いの姿勢から更に腰を低く落とす。

叫び声に合わせて開いた口から放たれたのはあの凄まじい光線。

繭を引き裂いて多方面に放たれた時とは訳が違う。極太の光線が放たれた先に立っているアレーティアの腕をガッと掴んでハジメは結晶体の中へ引き寄せる。

 

「っあっつ!」

 

「ハジメ…!!」

 

「心配すんな、ちっと頭の飾りが灼けただけだ―――ッイテテ…!」

 

 間一髪アレーティアの小柄な体躯は結晶体の中に納まったが、その際に少し顔を出してしまったハジメは光線の余波でボーンヘルムの一部が猛烈な熱波に襲われた。

心配する彼女の手前、強がっては見せたが確実に内側の肌も灼けているだろう。そんな風にハジメが思っていると―――

 

「………!(こくっ)」

 

 ファサァッと紐で縛っていた袋を解いて粉塵を巻き散らすルゥム。

彼女の持っていた”生命の大粉塵”は四人の僅かに減らされていた体力を回復する。

光線の衝撃からアレーティアを守りながら、スッと頭部の痛みが引いていくことに気づいたハジメは衝撃波に負けない大声で感謝を述べた。

 

「ありがとう御座いますルゥムさん!!」

 

「………(こくこく)」

 

 光線を撃っている間の竜は無防備である。教授とルゥムの二人が再び距離を詰めて攻撃を繰り出す頃には光線も勢いを衰えさせて、衝撃は収まりつつあった。

 

「…よし!アレーティア、まだいけるな!?」

 

「……ん!戦える!」

 

「っしゃ!このまま全力で畳みかけるぞ!」

 

「ん!!」

 

――――――グルゴオオオオオオオオォォォォォッ!

 

 二人の言葉に遅れて竜の体に変化が生じた。

再びの咆哮と共に竜の胴体から何かが噴き出している。

炎のように見えたそれは全て、竜がこの日生まれ落ちる瞬間まで体内に蓄積し続けていた龍脈の膨大なエネルギーそのものであった。

 

 本来目に見えるようなものではないそれが実体を持って体外に流出するというのは異質であり、教授は瞬時にこれを竜の怒り状態ないし全力へ移行したのだと判断する。

彼にとっては予想外だが、奈落における最後の狩りが終わろうとしていた。

 




フロンティア基準のクソつよハンター二人、主人公補正+駆け出しという名のそこそこ経験豊富なハンター、規格外の吸血鬼(魔法戦なら作中最強)vs生まれたての古龍(原作より大幅弱体化)

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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