モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 少し前に感想で頂いた意見を参考にアンケートを用意しました。
補足して説明するとこの作品が完結になって「モンスターハンター・トータス2」が出るだけなので投稿ペースは今までと変わりありません。
ただ本編と幕間で分けていたのを次作では時系列に合わせて書こうかなと考え中です。


踏破

 抑えていた力を解放する竜の体だけでなく、周囲の環境にも変化が現れていた。

足下に熱を感じたルゥムと教授は瞬時に判断を下して後ろへ跳ぶ。

竜の足元で龍脈の結晶で埋め尽くされた地面が赤熱化している。

 

(話には聞いていたけれど、噂以上だ…!)

 

 教授が対象()を古龍種と仮定したことを思い出し、ハジメは忌々し気に舌打ちする。

巨躯が引き起こす災い(ラオシャンロン)戦闘機もどきの災害(バルファルク)とは違って、目に見える範囲で環境に大きな変化を与える存在。近接武器使いの二人にとっては相性最悪かもしれない。

彼に出来る事は変わらず、遮蔽物を利用して頭部への攻撃を加えること。

だが同時に彼は天井を見上げ、震動する空間全体に嫌な予感を感じていた。

 

(アレがなりふり構わず暴れて、此処が崩れたら…不味いな)

 

 四人と一匹は仲良く陽の光が届かない奈落の底で生き埋めになる。

流石にハジメ一人の錬成だけで崩落する広大な空間一つ分の質量をカバーする事は出来ない。

彼は傍らで息を整えて次の魔法を撃つ準備に入ろうとしているアレーティアに告げた。

 

「アレーティア!さっきと真逆のデカい水属性魔法撃てるか!?」

 

「ん、詠唱に時間かかる…!」

 

 ハジメは頭の片隅で竜の使う属性をずっと考えていた。先ほどの光線で火球を食らった時のような熱を感じたことから、火属性ではないかと思ったが、アレーティアの蒼天を食らった時は明らかにダメージが通っていた。火属性への耐性があるとは考えにくい。

しかし竜の様子が変わって周囲の地面が熱を帯びたことで彼はある可能性を考えた。

 

 モンスターの中には特定の条件で肉質や属性耐性が変化するモンスターがいるという。この竜にもそれがあったと仮定するなら、今の状態で同じ魔法をぶつけて確実にダメージが通るとは限らない。ならば、と彼は遮蔽物越しに前の二人に向かって叫ぶ。

 

「了解だ、その間に奴の注意を逸らす!――――――お二方!!」

 

「承知しました」

「………!(こくっ)」

 

 竜の標的は赤熱化した地面から逃れたとはいえ、近くにいる二人に狙いを定めている。

青白い巨躯を震わせながら、声を上げて竜は左右に展開した二人目掛けてブレスを放つ。それを紙一重のタイミングで躱し、二人は全く同じ方向…尻尾の方へと走っていく。

 

「我、深淵より言霊を携えて侍る者。母にして支配者たる全の内よ、万物を飲み込む咢を開け!」

 

 アレーティアの詠唱が始まると同時にハジメも覚悟を決めて遮蔽物から転がり出る。

出ると同時に腰溜めに構えた老山龍砲の銃口を向け、狙いを定めずに引き金を引く。

銃砲が鳴り響いて、狙いを付けずに飛んでいった弾丸はがら空きの胴体へと突き刺さった。

しかし状態変化の影響か、弾は翼や頭部より深く鱗と皮の奥に隠れた肉を抉る。

 

―――グルオオォン!?

 

「お前の相手は俺だ!!」

 

 挑発するようにその場で老山龍砲を畳んで背負ったハジメが走り出す。

怒りでギョロっと目をひん剥いた竜は迷う事なく彼を追いかけて歩き出した。

歩く間も一秒に満たない照射型の光線攻撃を口から吐き出して来る。

 

「く、おおぉぉぉっ!」

 

 ハジメもそれを食らわないようにと、走りながら上手く避ける方法を考えて実行する。

あの光線は確かに脅威だが一部のモンスターが使うような追従性(ホーミング)はない。

強いて竜も逃げる獲物の走る先を狙って攻撃をするくらいは考えているのだから、それに合わせて走る方向を変える…以前ハンターになる前にランポスから逃げた時のようにジグザグに走ることで照準が定まらないようにしているのだ。

 

「だあああらっしゃぁ!」

 

 間一髪、スタミナが限界値を迎えて走れないと思った直前で彼の目についた人が隠れられそうな遮蔽物に飛び込んだお陰で追従してきた竜の光線攻撃を全て躱す事が出来た。

それと同時にアレーティアの魔法詠唱も全て完了した。

 

”轟水”!!」

 

 彼女が横に広げた両手の先から水が濁流となって溢れ出し、竜に波状攻撃を浴びせる。赤熱化した地面が急速に冷めていき水蒸気を立ち昇らせて、竜の体にも少なからず怯みが入った瞬間を二人のハンターは逃さず追撃。

 

「標本が多いに越した事はありませんね―――!」

 

「………!」

 

 教授の神封龍剣【絶一門】による連撃と、ルゥムの鬼哭斬破刀による刺突からの兜割。

柔らかな肉質の竜の尻尾が強烈な斬撃に耐えきれず、バサリと後ろの方が千切れた。

竜が悲鳴を上げる隙も逃さず、太刀を構えたままルゥムは思い切った行動に出る。

 

 近くの龍脈の結晶の塊へ足を掛けて空中へ跳躍し、更に他の結晶体に飛び乗った。

そうして竜の頭よりも上に位置取りをしたところで躍り出て、竜の頭目掛けて空中での斬撃を放つ。横切り二連からの縦斬りに繋げ、着地と同時に下顎を狙った気刃大回転斬り。

 

―――オオォッ、オオオォォォォ!

 

 致命傷を食らって倒れてもおかしくない筈なのに、竜は倒れず戦う意志を貫こうとする。そこに遮蔽物から再び顔を出して、弾倉に狙撃竜弾をセットし匍匐姿勢となったハジメが叫ぶ。

 

「もういいだろ……!これでもう……終われ!!!」

 

 ドパンッ!という砲声から飛んでいった弾丸が竜の頭、首、胴体から背中にかけて貫いた。

体内を貫通していくと同時に弾丸から分離した小型爆薬が立て続けに爆発を巻き起こす。

遂に竜は体を動かす力を失い、傷ついた箇所から血を垂れ流しながらズンと倒れ込む。

命尽きる竜を前にして、ただ一人教授だけが哀れむような言葉を誰にも聞こえない声量で呟く。

 

「貴方が悪い訳ではありません。ただ是も、自然の巡り合わせに因るものなのですよ」

 

 真・オルクス大迷宮第百階層、最後に立ち塞がった竜の討伐に見事成功した四人。

ハジメは勝利の余韻と戦闘後の興奮から落ち着いて一息入れようとしたが――――――

 

「っアレーティア!!」

 

 不意に視界の端で捉えた、攻撃の余波で崩れたであろう龍脈の結晶の塊が落ちた先。

落石に気づかず、そこで魔力切れを起こして立てずにいるアレーティア目掛けてハジメは叫んだ。

彼女が呆けた表情で振り向くと同時に彼女に覆い被さった直後。

 

「がっ!?」

 

 ゴッ!と後頭部へ鈍い痛みが走ってハジメの意識は暗転する。アレーティアに傷一つ無かったのを見て、彼は安心したように笑って目を閉じた。

 

 




 モンスターハンターワールド・アイスボーンの主人公リスペクトな最後。
余談ですがアレーティアの詠唱はヴァルキリープロファイル2の大魔法詠唱を幾つか参考にして作りました(オリジナルとか無理ぽ)
今回はアンケート等の結果も見つつ、本編と幕間の詰めに入ろうかなと思います。
感想、質問、ご指摘等お待ちしております。

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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