モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 今回の話だけで原作の外伝「零」の歴史も大幅に変わっているということが判明。


オスカー・オルクスの警告

 

 教授の声に反応して部屋の扉が勝手に閉まり魔法陣が作動する。

咄嗟に罠を警戒したハジメとアレーティアが身構えるも、先んじてこの部屋の調査を終えている教授がそれを手で制して遺体の方へ視線を促す。

いつの間にか眼鏡を掛けた黒髪の男が人受けの良さそうな笑みを浮かべてそこに立っていた。

 

(後ろの遺体が着ている服と同じ。ということはこの人が…)

 

(オスカー・オルクス……)

 

「数多の厳しい試練を乗り越え、迷宮に隠されたこの屋敷にまで辿り着いた君達にまずは敬意を。そして初めましての方は初めまして、もし()()()()()()()()()()()()()()()()()()とだけ挨拶を。私はオスカー・オルクス。この大迷宮の創造主であり、反逆者と呼ばれた者の一人だ」

 

 ローブ姿で優雅に一礼をするオスカー・オルクスを見て、ハジメ達はある事に気づく。

突然魔法の光と共に現れた彼は現在(いま)を生きる存在ではないということ。

生前の姿を何かの魔法で記録したのだろう。四人の目は喋る彼の姿を透して椅子に座ったまま沈黙している亡骸を捉えている。

 

「さて、試練を乗り越えて此処まで辿り着いたのは誰なのか?それを私が知ることは出来ない。人間か、亜人か、魔人か、それとも……私達を反逆者に仕立て上げた神か?」

 

 最後の言葉を発する瞬間だけ、柔和な笑みを浮かべていたオスカーの目が鋭くなった。

エヒトルジュエの事だと分かったハジメだけが強く奥歯を噛み締める。

 

「私がこうして息絶える前に記録を残しているのには色々と理由があるけれど、先に重要じゃない事柄から話しておこうかな。最初に一番重い話をすると後の話が頭に入らないだろうからね」

 

 そう言ってオスカーが語り始めたのはこの世界の歴史。

商業都市フューレンでハジメが幸利から、幸利が使徒エーアストから聞いた話と同じ。

創世神を騙るエヒトルジュエと眷属によるトータス盤上遊戯。

それに気づいた者達、解放者が反逆者の汚名を着せられて消えるまでの話だった。

 

「これを聞いているのがこの世界の人々であることを前提に私は話を進める。いきなりこんな事を伝えられて混乱するのも無理はないだろう。けれど、君達は何も心配しなくていい」

 

 オスカーの言葉を聞いてハジメはその言い回しにある違和感を感じる。

()()()()()()()と彼は言った。まるで()()()()()()()()()()()()()を知っているかのようだ。

そして最後に「何も心配しなくていい」と彼は言った。解放者達は神エヒトルジュエの打倒に失敗し、数千年経っても未だに盤上遊戯は続いているというのに何故そんなことを?

次の瞬間オスカーは今まで一番いい笑顔で特大の爆弾発言を投下する。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

(………ッ!?)

 

「あんなのに敗れた私達がこんな事を口にすると負け犬の遠吠えにしか聞こえないだろうけど。所詮はあれも外来の、それも器を持たない無形の偽神だ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そして()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ニコニコと笑うオスカーの言葉には嘘をついている様子が感じられない。

 

「だからこの件に関してはこの大迷宮の奥底まで辿り着いた者に、一応真実の歴史を知る者として伝えるべき事を伝えておこうと思ってね。それを公の歴史に記すかどうかは君次第だ」

 

 それから少し興奮気味だったと自覚したのか映像のオスカーは咳払いをする。

 

「…さて、それじゃ次の話に移ろうかな。改めてこの大迷宮を突破した者へ、その無謀ともいえる勇気と類稀なる強さに敬意を表して、私から幾つか贈り物を進呈しよう」

 

 オスカーは自分の手を顔の横へスッと上げ、手の甲を見せつけるようにした。

その手の薬指には遺体と同じ指輪が嵌められている。

 

「これはこの屋敷の閉ざされた部屋を開ける為の指輪だ。そして、この部屋にある魔法陣と照合することで外のある場所へ転移する為の指輪でもあるんだ。誤ってこの部屋で最初に発動させてしまわないよう気をつけてくれ。此処とは別の大迷宮に挑戦するつもりなら…その時もこの指輪は必ず役に立つだろう」

 

 言い終えると手を下ろしてから、オスカーはふと懐かしむような笑みを浮かべた。

映像の中の彼は遠い目をして自らの過去に思いを馳せているようだ。

 

「……これは私の、極めて個人的な願望ではあるけれど。もし此処を訪れたのが狩人であるなら、此処に眠る道具と書物はきっと君達の狩りを大いに助けるだろう。この後に語る言葉も、願わくば彼らの技を継ぐ狩人にこそ聞いて欲しいと思っている」

 

 呼び方は変わっているが、それがハンターを指すものであると三人はすぐに気づいた。

特に技という言葉にはルゥムと教授が強く反応していた。

しかし直後に真剣な表情でオスカーは恐ろしい事を口にする。

 

「では手短に…最後の話に入ろう。心して聞いてくれ……たとえ神エヒトルジュエが居なくなったとしても、トータスは滅びるかもしれない……」

 

「なっ…!?」

「………ッ!」

 

 ハジメは突然の滅亡宣言に言葉を失い、アレーティアも目を見開いて息をのむ。

先のこの話を聞いていたであろう教授は俯き、ルゥムは無表情のまま何かを考える。

 

「これは神の悪戯や人の意思に因るものなんかじゃない。……恐らくは避けて通れないもの。必然的に起こりうることなんだ。この世界に生きとし生けるものが、自然のままに生きる限り。…私達はあらゆる手段で、滅びの元凶を突き止めようとした。そして、古くから大陸の西で語り継がれる御伽噺と、東の民に伝わるわらべ歌に辿り着いた」

 

 その御伽噺とわらべ歌が記された書物も、閉ざされた部屋にあるとオスカーは言う。

彼は少しの沈黙を置いて、意を決した表情で四人を見据えて言った。

 

「これを聞いてどうするかは君の自由だ。滅びを止めようと動くなら、その道標を私は書物の中に示しておいた。滅びを必定と受け入れるなら、残された時間を悔いのないように過ごしてくれ。――――――生命(いのち)ある者へ、自由の意思と旅立ちの風、輝ける星の導が君の下に在らんことを」

 




 例のクソ野郎が野望成就できなくてご満悦のオスカー(故)
御伽噺…わらべ歌…あっ、ふーん(絶望)
最後の一文は原作台詞の一部と、モンハンシリーズの曲タイトルから抜粋して作りました。

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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