前編ではまだモンスターは出てきませんね。主人公であるハジメ君が離脱したことによるクラスメイト達のリアクションを軽く書いてみました。
檜山君よかったね!ワンチャンあるよ!(なお、大迷宮の中身は地獄)
幕間の物語 ありふれたハジメのいない話・前編
これは、南雲ハジメが死にかけて眠り続けた時の間に起きた出来事。
よくある話だと、誰もが思うだろう。彼らが無能と罵った
この世界の魔物は、等しくハンターに狩られるモンスター。
しかしモンスターの中にも、狩られるだけの存在ではないものがいる。
偶然の一致か、名無しの作者の悪意あるプロットか……彼らはハジメより先に伝説と対峙する。
*
「これよりオルクス大迷宮の攻略を開始する!―――と言いたいところだが、君たちに一つ言っておきたい事がある」
宿場町ホルアドの奥、長い歴史を誇る遺跡のような入り口のオルクス大迷宮にメルドはいた。
石段の上に立って神の使徒たちを見渡す彼の言葉には、訓練のときよりも重みが増している。
天職”勇者”の天之河光輝は豪華絢爛な鎧に身を包み、勇者のためにと王国の宝物庫から出した、これまた派手な飾りのついた両刃の直剣を手にして自信満々な笑みを浮かべている。
隣では両手に鉄よりも頑丈な鉱石で作られたナックルダスターを嵌めた光輝の友人、坂上龍太郎が同じように獰猛な笑みを浮かべて実戦の興奮に胸を高鳴らせていた。
「此処に集まる君たちなら分かると思うが……南雲ハジメは諸事情あって今回の訓練には参加できなくなった。―――詳しい説明は訓練終了後にする!」
メルドの言葉を聞いて神の使徒たちがざわついた。
そのリアクションを予想していた彼は一言「静まれぇっ!」と声を張り上げて黙らせる。
静まり返った神の使徒の中、檜山大介は複雑な心中にあった。
実は彼、前夜にハジメの部屋を訪れていた白崎香織の姿を見ている。
その光景を目にした大介は頭が真っ白になった。
(――――あの野郎……!南雲の奴……!オタクで怠け者の、無能がぁっ……!)
彼にとっては新鮮な好きな女子がネグリジェ姿で、彼の毛嫌いするオタクで無能と罵ったハジメの部屋に入ろうとしている姿。
ドス黒い嫉妬の炎が心中をかき乱し、ハジメへの怒りは殺意へと移り変わる。
その後も大介は、ハジメと香織が話し合う一部始終を見ていた。嬉しそうに部屋の前から去っていく香織を目にした彼は、今すぐハジメの部屋に押し入って彼を絞め殺そうかと考えたくらい怒り狂っていた。
オルクス大迷宮でハジメに恥をかかせて、徹底的に痛めつけてやろうと考えていた。
しかし大介の企みは思ってもない形で実行されることはなかった。
彼の中では魔物に襲われて怯える筈だったハジメは、既にホルアドを去っていたのだから。
やり場のない前夜の怒りをどこに向けようかと考えていた大介の視線は、自然と香織に吸い寄せられていた。彼女も相当にショックを受けた表情であからさまに不安そうな顔をしている。
これはチャンスだ―――大介の中で片思いの悪魔が囁く。
ハジメという邪魔が存在しない今、オルクス大迷宮で香織との距離を縮めるきっかけは幾らでもある筈だ。そうすれば彼女も自分の好意に気づいてくれるだろう。
南雲ハジメなんていう大迷宮攻略から逃げ出した腰抜けより、自分の方が好きになってくれる筈。
大介のテンションは、混乱と不安に包まれたクラスメイト達の中でひと際高まっていた。
*
(南雲君……どうして……?)
「香織、大丈夫?顔色悪いけど……」
香織の心中はこの場にいる誰よりも混乱して、不安に包まれていた。
友人の八重樫雫がそれを見て心配そうに声をかけるが、香織はそれに気づかない。
しかし光輝は香織の心中を少し間違った解釈で察したのか、声を大きくして言う。
「香織!優しい君の気持ちはよく分かる……。だが、今は元の世界に帰る為、この世界の人たちを魔人族から救うために俺達は強く在らねばならないんだ!メルド団長の言う通り、南雲が大迷宮の攻略に参加しないのは、何か事情があっての事だろう。―――個人的に言わせて貰えれば、自分だけ危険な場所から結果的に逃げ出した南雲の奴を許せない気持ちが俺にはある……。でも!今は目の前の事に集中するんだ香織!」
「ちょっと光輝、そんな言い方は―――「う、うん……そうだね光輝君。ありがと」香織……」
「そうだよかおりん!いつもみたいに笑顔がないと、かおりんらしくないよ~!」
「南雲君がいない分、私達みんなが頑張らなきゃ……元の世界には帰れないんだから」
香織の脳裏には、昨夜のハジメとの違和感を残した会話が何度も繰り返し再生されている。
しかし何時までも周りに心配をかけさせる訳にはいかない。
一度大きく息を吸って緊張や不安を解きほぐした香織は、普段通りの笑みを浮かべた。
「みんな心配かけてゴメンね!もう大丈夫だから!」
彼女がそう言って、誰もがほっと安心して笑みを浮かべる。
女子の何人かは、香織がハジメに対して好意を抱いている事を知っていた。それゆえに彼女が不安そうにしているのだと察していた。
光輝は「香織が心優しい女性だから、クラスメイト達の目の前から突然いなくなったハジメを心配している」と考えていた。
それゆえに、ハジメに対する悪辣な評価は無意識のうちに彼の中で渦巻いていた。
「準備はいいな!?―――――では出発する!」
再び号令をかけたメルドが先頭を歩きだして、彼の率いる騎士、神の使徒たちの順番で続く。
真剣な表情で眼前のオルクス大迷宮へ入っていくメルドの心中は複雑な気持ちだった。
本当なら、ハジメがいなくなった真実を彼らに伝えるべきだ。
伝えたうえで、彼を無能と罵っていた者たちに彼に対する評価を訂正させて、不和をなくすことがメルドか此処にはいないが王宮で帰りを待つ畑山愛子の役目だった。
しかし余計な不安や混乱を生んで、オルクス大迷宮への攻略を行うことは出来ない。
それが原因で万が一、不要な事故や負傷を生んでしまっては笑い話にもならない。
だから、あえてメルドは問題を先送りにした――――彼の判断が間違っていない事を祈る。
*
ホルアドの住民たちが神の使徒を連れてオルクス大迷宮へと入っていく騎士を見て声を上げる。
「あれが魔人族を倒してくれる勇者様たちだ!」「きっと大迷宮の魔物を倒して帰ってくる」
「神エヒト様より賜った神の使徒に感謝を!」「おぉ、エヒト様に祈りを!」
「………っはぁ~ん?あれが神の与えた勇者――――ねぇ~……」
誰もが歓喜の声で満たされる中、気だるげな声で呟く男がいた。
宿場町ホルアドの「ハンターズギルド・ホルアド集会所」の二階バルコニーに座る一人の男。
小さくなってオルクス大迷宮の暗闇に消えていく神の使徒を、つまらなそうに眺めている。
その手には昼間っから働く人には似つかわしくない、泡立つ酒の入った木のジョッキが握られており、男は喉が渇けばチビチビと傾けて呑みながら、鼻の下に泡の髭をつくっていた。
「餓鬼ばっかじゃんヨ~使い物になんのアレ?正直、二十層いけるかあやしいゾ、アレ~」
「ならば助けの手を差し伸べては。王国と教会から援助要請は出ているのでしょう?」
酒を飲んでぼやく男の隣で本を読んでいた眼鏡の女がきっぱりと答える。
男は「冗談キツいぜ」とゲラゲラ笑いながらジョッキを机に置いて笑顔で返す。
「俺は国も
「……ん”ん”っ!――――下品ですよ、口を閉じなさい。
英雄―――その言葉を聞いた男は照れくさそうに笑って椅子に座りなおす。
女は男の言葉に少々驚いた様子で、頬を赤らめながら読んでいた本に目線を戻した。
「そういや
「彼女なら帝国ギルド本部の要請で、辺境最優の生まれ故郷で活動しているそうですよ。なんでも帝国の亜人を奴隷化する働きとは別のアプローチで、フェアベルゲンとの交流を作りたいとか」
次の瞬間、男は飲みかけだったビールを噴き出した。
女は彼がそうすることを事前に察知していたのか、本を自分が座る椅子に避難させている。
そして彼女自身は机の下に立てかけてあった彼女の武器である
「アッヒャッヒャッヒャッ!それマジで言ったのか、あの
―――――
「笑い過ぎでそのまま死んで貰っても構いませんよ?――――――まぁ、確かに無謀な挑戦ではありますが。ガハルド皇帝は馬鹿ではありません。異世界からの勇者召喚の一報を聞いてから、世界に何らかしらの変化を与えるべきと、お考えあっての事でしょう」
「その為にトータス最強と謳われるハンターの一人を派遣とはねぇ……ま、何事も運次第だな」
すっかり笑い疲れた男は椅子に身体を預けてぐったりしている。
そんな男の様子に呆れた女は読書に戻りながら、男が次に行うことの結果だけを目で見届けた。
男は懐を弄り―――六つの面に様々な模様が描かれた賽子のようなものを取り出して指で弾く。
空中でクルクルと回る賽子が男と女の間に置かれたテーブルの上を転がって、上の面が出た。
「―――――――いつの世も、物事を最後に決めるのは運だ……勇者君たちに幸あれ」
後半で出てきた二人組の内、一人はまだ細かい設定が決まってません。
女性の方はイメージとして、モンスターハンターワールドのチュートリアルっぽい映像(新大陸へ向かう船の中)に登場した本を読んでる女の子がイメージです。
???「アイボー私はー!?」
アンタぁ黙っとれ!
いよいよ次はモンスターだらけのオルクス大迷宮攻略が始まります。
感想とか待ってまーす!
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡