唐突ですがこの前書きでハジメと勇者達の時系列をばご紹介。
(原作のオルクス大迷宮前夜)ハジメ離脱
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(ゲブルト村で目を覚ますハジメ)勇者一行ベヒーモス戦~敗北
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↓この辺で湖の街の女主人の話
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(モンスターの襲撃を受ける村)勇者達まだ失意なう
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↓(この間にハジメがハンターになる話)
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王国に皇帝と皇太子ご案内 ←いま此処
オルクス大迷宮で神の使徒たちを襲った古龍”ベヒーモス”との戦いから一か月の月日が経った。
王国騎士団長メルド・ロギンスは聖教教会が管理する治療院で目を覚まして職務に復帰。
しかし神の使徒たちは一度の敗北と頼りにしていた騎士数名の死という事実を目の当たりにして、すっかり気力を挫かれてしまい、訓練に顔を出す者は半分以下になってしまった。
勇者パーティーは一人も欠ける事なく訓練に参加。
永山パーティーは女子二名、辻綾子と吉野真央を除く男子だけが訓練に参加。
小悪党組はリーダーの檜山を除く全員が参加しているが、集中力には欠けていた。
大迷宮で起きてしまった悲劇の発端は、檜山の転移トラップ発動によるものだった。
王国と貴族は彼らの失敗を責めようとはしなかったが、騎士の損失を考えればお咎め無しという訳にもいかず、檜山は王宮の一室で軟禁状態にされている。
当然これに勇者パーティーのリーダー、光輝は納得がいかずに抗議したが、メルドの「死んだ騎士の遺族にも同じ事が言えるのか」という言葉で黙り込んでしまった。
天職が”作農師”だった愛子は王国首都から離れ、農業が盛んな町や村を訪れている。
彼女の身の安全を守るという建前で神の使徒から逃げたくなった園部優花、菅原妙子、宮崎奈々、相川昇、仁村明人、玉井淳史の6名は愛子についていった。
最初は戦力が不足した王国に渋い顔をされた愛子達は「行方不明になった南雲ハジメの捜索」も付け足して聖教教会の教皇イシュタルを納得させた。
―――無能なぞ探して何の得になるのか。
―――錬成師など代わりは幾らでもいよう。
―――既に死んでいる……いや、魔物に襲われて骨も残っておるまい。
王国や貴族はいなくなったハジメと、彼の身を案じる愛子達に聞こえぬよう陰口を叩いた。
メルドは愛子達に全てを話した。
ハジメがいなくなった事と、その理由を。
光輝は憤慨して「皆を見捨てて逃げた卑怯者」とハジメを罵った。
それを聞いたメルドに殴られ、雫にも胸倉を掴まれたが光輝は態度を崩さなかった。
小悪党組も光輝の意見に賛同しようとするが、泣き崩れる香織を前にして怒りを露わにした雫に睨まれて、全員が口を噤んだ。
永山パーティーの面々は何も言わなかったが、表情だけは暗かった。
彼らもハジメを「怠け者」だとは笑っていた自覚はあった。「無能」と檜山に笑われたハジメをもしかしたら知らず知らずのうちに同じように笑っていた気さえする。
だから何も言えなかった。ただもう……関わり合いにならない方がいいのだと悟った。
愛子はそれを聞いて静かに泣き崩れた。メルドの言葉で「坊主に対する俺やお前たちのフォローが、逆に坊主を追い詰めていた」と言われた時にショックを受けた。
彼女は教育者としての経験がまだ浅い。
だから子供の複雑な心情を理解したつもりで、言葉を選んで優しく平等に接したつもりだった。
底抜けの明るさで振舞い、異世界に召喚されたという特殊な事象においても普段通りに接してさえいれば何とかなる。
その楽観的な姿勢が、一人の教え子を手の届かない遠くに追いやってしまった。
*
大迷宮で神の使徒たちが魔物に敗北したという事実を、王国は公にしなかった。
言える筈もなかった。神の使徒なんて大層な呼び名で国と教会が喧伝した者たちが、大迷宮の魔物相手に尻尾を撒いて逃げ出した挙句の果てに、王国の騎士を数名犬死させた等と。
だが人の口に戸は立てられない。あれだけ意気揚々と大迷宮攻略に挑んでいた神の使徒たちが姿を見せなくなったことに、国民たちは物事を前向きに考える者たちと、後ろ向きに考える者たちの二種類に分かれて不安に包まれていた。
そんな時だった、帝国の使者が神の使徒たちの前に現れたのは。
移動手段を馬や魔法に限定する王国とは違い、生活の中でモンスターの力を借りる帝国の使者は、アプトノスの牽く荷馬車を連れた商人たちと共に王宮に姿を見せる。
国民達は表情を強張らせて、悪意のある視線をアプトノスに向けている。
彼らにとって魔物・モンスターは害あるもの。魔人族に操られた凶悪な生き物でしかない。
しかしそれは大きな間違いである。
確かに魔人族は一部の肉食モンスターを操って人々を襲っているが、帝国の学者達による研究で、トータスに生息するモンスターの多くが生態系の一部として過去数百年前から紡がれている生命だと断言した。
それを王国と民、教会の信仰に縋った者たちが認めようとはしなかった。
モンスターは全てが悪。いずれ魔人族を滅ぼした後にはモンスターも滅ぼすつもりでいる。
荷馬車のに混じる帝国の皇族のみが使う事を許される馬車の中で、王国の国民を小窓からひと睨みして鼻で笑う男がいた。
「ハッ!アプトノスにビビって神に祈りを捧げるたぁ。愚かな王も民も相変わらずなようで安心したぜ―――――そうは思わねえか、親父殿よ?」
老いた皇帝の後継者として帝国の民から信頼も厚い男”バイアス・D・ヘルシャー”
側室の子でありながら、純粋な武力を皇帝に示して皇太子の座を勝ち取った。短く刈り上げられた焦げ茶の髪をボリボリ掻き毟り、バイアスは向かいに座る
男はキョトンとした顔で周囲を窺った。誰も車内の会話を聞いていない事だけ確認して―――――――細身の執事とは思えない重々しい口調でバイアスに言葉を返す。
「既に先代の皇帝からモンスターは全てが害ではないと説いて何十年経つと思っている。奴らの愚かな頭は鳥竜種のそれにも劣るものと、分かり切った事を言わせるな」
「クククッ、そんな愚かな奴らと国交を断たずに付き合い続ける親父殿もご苦労様だぜ。俺なら――――――魔人族を滅ぼすより先にこの国を火の海にしちまうけどなぁ?」
「俺とてそれを考えなかった訳ではない。だが国民への示しがつかん上にあの男がそれを良しとしない。旧友の望まない未来を創る愚かな皇帝として、歴史に名を刻みたくはないのでな」
魔法で染めた髪の色を指先に摘んで確認しながら、オールバックに整える男。
バイアスは男の言う「旧友」を脳裏に過ぎらせて納得したように笑みを浮かべる。
帝国最強の名を皇帝と競った武人。彼は前線から退いた後、”ハンターズギルド”を立ち上げた。
帝国の誰もが彼の実力を疑わない。その立場は帝国皇帝に認められる貴族以上の”特権階級”
既に数百人いるハンター達の生みの親であり、バイアスが心変わりをしたきっかけをくれた男。
旧友の話題からハンターを連想したバイアスの脳裏に、また別の男の姿が過ぎった。
皇太子になる事を夢見て我武者羅に強くなろうとしたバイアスに父親である皇帝以上に強い男というものを魅せてくれた”英雄”のハンター。
その男が今は帝国を離れ、バイアス達の訪れた王国にいるという事を思い出す。
今日こそ成長した自分をあの男に認めさせようと勇んだバイアスは即座に車から立ち上がって扉を開け放とうとするが、外から扉をノックされて動きを止めた。
「バイアス皇太子殿下、王国側の準備が出来たのでお迎えに上がりました」
「――――――チッ……」
「お前が何を考えているか何となく察した。……今は政務を優先しろ」
「へいへい分かってますよぉー……」
扉が開き、帝国軍の兵士がバイアスの姿を見るなり背筋を伸ばして敬礼を送る。
バイアスは片手を上げて「楽にしろ」と言って馬車から降りて、凝り固まった身体の節々を回す。
続く執事風の男は先ほどまでの重々しい空気は何処にいったのか、恭しくバイアスの斜め後ろに立って目を閉じている。
「よし、案内しろ――――」
「はっ」
兵士に連れられたバイアスが歩き出すと執事風の男も歩き出す。
まるで”本当にバイアスの従者”であるかのように振る舞う男に、その正体を知るバイアスと一部の兵士だけが笑いをこらえるのに必死だった。
執事風の男はそれらしく振る舞っているが――――――時折窮屈そうに肩を竦ませていた。
*
「おぉ、よくいらっしゃいましたなバイアス殿」
「ん――――そちらもお変わりないようで何よりだ、エリヒド国王」
王宮の謁見の間にて、ハイリヒ王国の王族に出迎えられるバイアス。
玉座から立ち上がった国王”エリヒド・S・D・ハイリヒ”は、朗らかな笑みを浮かべる。
エリヒドに続いて立ち上がったのは王妃”ルルアリア・S・B・ハイリヒ”
玉座から少し離れた位置に置かれた豪華な装飾の椅子に座るのは王の娘と息子。
”リリアーナ・S・B・ハイリヒ” と ”ランデル・S・B・ハイリヒ”
まだ14歳でありながら王女としての責務をしっかりとこなすリリアーナは、ドレスのスカートを指で摘んで優雅に一礼をする。
一方で10歳の幼いランデルはまだ王族としての立ち振る舞いに慣れていないのか、頭を下げていてもチラチラと姉であるリリアーナや後ろで控える侍女に「もう頭を上げてよいか?」と聞いた。
「事前に連絡は受けているが、今日ここに来たのは戦況の報告で合っているかね?」
「はい―――――先日、我が帝国軍率いる一個中隊が魔人族の支配種と思しきモンスターと交戦。これを退ける事に成功、当面の間は魔人族の侵攻が勢いを衰えさせるものと報告を受けております」
「おぉ、そうか!それではウルの稲作も滞りなく進められそうだな!」
エリヒドの喜ぶ声に呼応するように、謁見の間の端で足音を立てずに動き回る従者の者たち。
彼らは今、王国領内を農作地域改善と未開拓地域での開拓を仕事とする愛子を護衛している教会の騎士”神殿騎士”たちとの連絡を取り合っているのだ。
恐らく愛子が次に向かうのは件のウルの街になるのだろう。
彼らの事情など小耳に挟んでも自分たちに関係のないことだと頭の中で切って捨てるバイアス。
彼はエリヒドの態度に妙な違和感を覚える。後ろにいる執事風の男も同様に目を細めていた。
以前、バイアスと後ろの男が王宮を訪れた時に国王は”神の使徒”の話ばかりしていた。
やれ勇者が召喚されて世界は救われるだの、神エヒト様への信仰はより深くあるべきだの。
聞いていたバイアスが思わず寝てしまいそうな話ばかりしていたエリヒドが、先ほどから話すのは自分達の報告に対する感情の表ればかりで、神の使徒の話をしようとしない。何か引っかかる―――そう思ったバイアスは内心笑みを浮かべて口を開いた。
「ところで国王陛下。件の神の使徒は如何お過ごしでしょうか?」
謁見の間の空気が一瞬にして凍った。エリヒドの言葉がピタリと止まった。
バイアスは内心「あぁ、こりゃアタリだ」と笑いたくなる気持ちを堪えて反応を待った。
後ろにいる執事風の男は「また悪い癖だ……」と内心呆れてしまう。
バイアスという男、過去に色々あって粗暴な立ち振る舞いはしなくなったものの、他人が隠し事をしていればそれを弄らずにはいられないという性悪な癖を持っているのだ。
「と、突然どうしたのかねバイアス皇太子?……勿論、元気にやっているよ」
「これは失礼致しました。国王陛下があれだけ賞賛する神の使徒、勇者様ですから。既に我が帝国軍以上に輝かしい活躍をなさっているものと気持ちが逸ってしまいました、国王陛下のお気に障ったのであればご容赦頂きたく……」
「う、む……気に…しないで構わぬ」
明らかにリアクションが苦しいエリヒドを見て、内心笑い転げるバイアス。
この馬鹿息子はどうしてやろうかと内心頭を抱える執事風の男。
謁見の間の王族は一同に顔を暗くして目を逸らして俯いていた。
更にバイアスは事態に混乱を招く、衝撃の一言を言い放つ。
「そういえば
カランカラン―――エリヒドが持っていた杖から手を放して落としてしまった。
それを聞いた途端に王族―――特にリリアーナが悲しそうに目元を抑えてしまう。ランデルは姉を気遣い、姉を泣かせた原因であるバイアスをキッと睨み詰める。
すぐに従者の一人が駆け寄って床に落ちた杖を拾い上げて埃を払い、エリヒドの前に差し出す。
杖を受け取ってエリヒドは大きく息を吸って気持ちを整える。バイアスは敢えて言葉を続けることなく、エリヒドの反応を待っていた。
「……今は王宮の訓練所で神の使徒様達と鍛錬に励んでいる。彼も多忙でな……」
「成程――――――王国の騎士団長というのは私が王宮へ些事を報告に来る事を労う挨拶よりも、神に選ばれた勇者様達を前に剣を振るって汗を流す方が好ましい……と」
「……皇太子殿下……。少々言葉が過ぎますぞ」
流石にそろそろ止めなければ面倒だ。そう思って後ろに座っていた執事風の男がバイアスを諫める。バイアスは「申し訳ない先ほどの言葉は忘れて頂きたい」と何事もなかったかのように背を向けて謁見の間を去ろうとする。
「無駄話が過ぎました。国王陛下……これにて失礼を」
「……………若造が……ッ!調子に乗りおって……!」
ゲス野郎成分が減って好戦的な親父そっくりの皇太子様です。
これから帝国絡みの話には彼がかなり登場してきます。ちょっと重要人物です。
ちなみにプロットの段階ではこの後、お忍びで訓練場に来た皇太子が勇者一行に喧嘩を吹っ掛けるという話もありましたが、それは後に取っておく事にします。
そろそろハジメ君ハンターにしないとタイトル詐欺って言われそう…(小並感)
感想、質問、指摘等どんどん待ってまーす!
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡