モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 清水君の気持ちになりきって書いてみました。
後半作者の勢いと性癖が混じっているのは内緒……。

追記:檜山君が町を出歩けてる理由を真ん中辺りに追加で書き足しておきました。
   簡単に言えば教会が圧力かけて、王国が渋々了承したって感じです。
   メルドさんや一部のクラスメイトはよく思わないかもしれませんが
   テンプレながら勇者が許したので全部解決という感じで補完して下さい(汗)


幕間の物語 清水幸利は勇者になれないと自覚する

 きっと、あいつも今の俺と同じ気持ちになって逃げ出したんだろうな……今なら、いや今だからこそ分かるよ南雲……。

もっと早く俺が声をかけて、お前と同じ趣味だった事を打ち明けていれば、俺もお前も苦しみを分かち合えたのかもしれない。

 

 けど、そうはならなかった。俺は檜山達に絡まれたくない、天之河や取り巻きに目をつけられたくない、目立ちたくない一心で全部見て見ぬふりを続けていたんだ。

 

 思いがけず異世界召喚なんて貴重な人生経験をして、俺はついに自分が追いかけた幸せに手が届いたと勘違いした。

闇術師なんて、根暗で臆病な俺にピッタリの天職じゃないかと自嘲する。

 

 大迷宮で騎士の人たちが死んで、メルド団長も重体。

その時分かったんだ……俺は主人公なんかじゃないんだなって。

あの完全無欠な勇者の天之河ですら手も足も出ない魔物を前にして、俺は自分が助かることしか考えられなかった。

 

 それから訓練は日に日に厳しくなった。加減してくれていたメルド団長の不在を理由に天之河の奴が主導で進めやがった。俺は無能と罵られた南雲がいなくなって、天職とステータスがあいつの次に低い事を理由に檜山達のパーティーに有無を言わさず加入させられた。

 

 そこから先は言わなくても分かるよな?

南雲を憂さ晴らしのサンドバッグにしてたアイツ等が、今度は俺を虐めるようになったのさ。

 

 人の痛みを知れたら人生は変わる…だったっけ?

前にインターネットの掲示板で挙がった名言の一つだ。

初めて目にした時はそんなことはないって鼻で笑った。

だけどここに来て、あいつが行方不明になって、また昔みたいに俺が虐められる側になって…名言は正しかったと思えるよ。……今更過ぎて、笑っちまうよな……。

 

 復帰したメルド団長の快気祝いと称して、俺達はホルアドで買い物をする事になった。

俺も南雲のように逃げ出す事にした、今しかチャンスはないと思う。

大迷宮に潜ったら今度こそ、俺は死ぬかもしれない。

 

 もう苦しい思いをしたくない……痛いのも辛いのも、もう沢山だ……!

 

 

 

「オラオラ清水~!ちゃんと荷物運べってーの」

「天之河にチクってやろーか?お前が荷物運びサボってましたーってさぁ!」

「ぎゃはははっ!」

 

 

 天之河の余計な提案で、パーティーメンバーは最低2人組で行動する事を義務付けられた。

恐らくアイツだけで決めた事じゃない。教会か王国側の人間が、これ以上僕らの中から脱走者が出ても困るから、お互いを監視させて逃げられないようにする……そんな腹積もりだろう。

檜山達は笑いながら荷物を押し付けて、娼館や武器屋などを好き勝手に見て回っている。

 

 何故、軟禁状態だった檜山が町を平然と出歩けているのか?

教会が王国に対して圧力をかけたからだ。神エヒトが遣わした神の使徒をぞんざいに扱うなど、神エヒトに対する侮辱であるとかなんとか……。

……神の名前出せば何でも許されるなんて、碌でもないな。

 

 重くなった荷物を、帰りの馬車の荷台に押し込んで振り返る。

俺が逃げ出そうなんて考えているとは思いもしない檜山達は、僕を視界に入れていない。

……今か……。フードを深く被って人ごみに紛れようとした時だった――――

 

「あら、清水君…?」

 

「―――ッ………や、八重樫さんか……」

(クソっ……もう少しだったのに、邪魔しやがって……!)

 

「檜山君達ってば……あなたに荷物持ちを押し付けて好き勝手して」

「い、いいんだよ……。僕が好きでやってる事だから……あはは…はは…」

 

 真っ赤な嘘だ。早く目の前の此奴がいなくなってくれると助かる。

だというのに、俺の心の声など知らず、彼女は俺を無言でじっと見つめてきた。

言いたい事があるならさっさと言えよ……!

 

「……貴方も南雲君と同じ目をするのね………」

 

 はぁ……と心の中でため息をついた。こいつが言いたかった事はそんな事か!?

人の顔見て、虐められていなくなった奴と同じ目をしてる?なら俺がどういう状況に置かれてるか、分からない程お前は馬鹿じゃなかっただろ八重樫!

何時も何時も俺を見下して、大人ぶって!ムカつく奴の癖に…ッ!

 

 

 ………いや、冷静になって考えれば此奴に俺の事を理解されても得にはならなかったな。

きっと俺が虐められてると八重樫が声高に叫べば、天之河は俺が「怠けている」「虐められる原因が僕にある」とか、南雲に言った言葉を繰り返して、今度は俺に向けるだろう。

 

 周りの奴らが賛同して、俺は八重樫に頼った卑怯者のレッテルを貼られる。

虐めは以前よりも苛烈に、今度は侮蔑と嘲笑を交えて行われるだろうさ。

 

 そう考えるだけで胃の中がムカムカしてきた。

目の前で南雲の事でも心配してる八重樫に向かって、俺は最大の嫌味を言ってやる。

 

 

「………どうだろうね……‥。少なくとも―――――()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「……ッ…!」

 

 あははっ、クールビューティー気取ってるお前でも悲痛に顔を歪める事があるんだな!

いなくなる前に意外な素顔を見れて、ちょっと得した気分だよ。サンキュー八重樫♪

……っと、あまり話してる時間はないな、俺はそっけない態度で踵を返す。

 

「もう僕は行くよ……。檜山君達に怒られちゃうからね……」

「……そう……」

 

 

 

 

 馬車から離れて、娼館が立ち並ぶ薄暗い横道へと進む檜山達。

背後に感じる八重樫の視線が遮られて、檜山達の背が点くらい小さくなったのを見計らう。

適当に目をつけた売り物やの扉を静かに開けて、今度こそフードを深く被った。

……元々根暗だって自覚はしてたけど、フード被ってる方が俺は落ち着くな。

 

「――――あら、いらっしゃい……」

 

「……(こくり)」

 

 真っ赤な髪に浅黒い肌、アメジストの瞳が綺麗な女の店員さんが店番をやっていた。

女の店員は眉毛をピクリと浮かせて俺を暫く見つめていたが、やがて店の外へと視線を移す。

 

……ちょっと美人かなって思うけど、多分……既婚者なんだろうな……。

俺も異世界に来て、あれくらい美人な女の人を抱いてみたいと思ったよ……。

 

 店の中には鉱石、薬草の他に何十種類もの色の酒瓶が棚に陳列されている。

値札の字が少し剥がれ落ちているが、0の数が尋常じゃない事から高価なものなんだろう。

………というか、この店に俺以外お客さんがいない……?偶然か?

疑問符を頭に浮かべた頃には遅かった、女の店員が俺の前にツカツカ歩み寄ってくる。

 

 

 

「まさかアンタ達の方から来てくれるなんてねぇ……。神の使徒様も一枚岩じゃないって訳か」

「……ッ!?」

 

 俺が声をあげるより先に、彼女の指が俺の唇にピタリと添えられた。

よくあるドラマや映画のワンシーンみたいで、心臓がドキドキ高鳴っている。

彼女は微笑を浮かべて、俺の耳元で囁く。

ってああぁぁっ、胸が、柔らかい感触が胸板に、俺の胸板にぃぃぃっ!!

 

「この店はね坊や。()()()()()()()()()()()()()()()()()よう魔術が掛けられてるんだよ」

「……そ、れって…つまり……」

 

 ようやく頭の中が落ち着きを取り戻して、同時に心臓が凍り付くような思いだった。

目の前の女は十中八九、俺らが教会に倒せと言われた()()()()()()()()()()()()()

そして何故か俺が神の使徒、勇者の一員であると知っている。

 

 ……冷静に分析しているが、未だ当たる胸の感触に、俺は下半身に血流が溜まるのを抑えようと必死だった。男の子だからね、反応しちゃうのは自然の摂理だってそれ一番言われてるから。

 

「……あら坊や、助けを求めないのかい?大声で叫べば、お友達が助けに来てくれるかもよ?」

「……ハハハッ。()に友達なんて居やしないさ。……あいつ等は只の知り合いか、それ以下だ」

 

 強がりを言ってはみたが、本当は叫び声を上げて店から飛び出したい気持ちもあった。

しかし目の前の魔人族の女は、俺が叫ぶより先に何らかの方法で黙らせるだろう。

この場は従順に、というか別に()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「さて―――坊やが逃げ出さないつもりなら、アタシはアタシの仕事をやらせて貰うけれど?」

「……ご、ご自由に……?」

 

 そう言い返すと、魔人族の女は更に笑みを深めて俺から離れていく。

あぁ…さよなら褐色やわらかおっぱい……。心の中で血涙を流した。

こんなに名残惜しい感触は人生で2度と味わえないだろうね…。

俺の心の声など知らず、魔人族の女は長い、とても興味惹かれる話をしてくれた。

 

「アタシの名前はカトレア、”カトレア・シェーリング”偉大なる魔人族の神アルヴ様にお仕えする魔人族の軍団長やってる者さね。ガーランド軍混成特殊工作部隊の指揮官……って言っても分かり難いかねぇ?分かりやすく言えば、モンスター……っと、この国じゃ魔物って呼ばれてるものさね。

 

 その魔物を魔法で操り、人族の領域内で破壊工作を行い、人族の動向を調査するのがアタシの主な任務だねえ。アンタを今この場で殺さなかったのは、ウチのお上から頼まれてね。異世界から召喚された勇者の一党は強力であり、今後の作戦遂行に於いて障害になりかねない。―――って訳だから、弱点を暴くのも面倒くさいし、結束力が緩い内に魔人族側(こっち側)にスカウトしてくれってねぇ。

 

 アタシもまぁ結婚して旦那と子供がいる身だから危ない橋渡るのも怖くてねぇ。アルヴ様のご神託とあっちゃあ従わない訳にはいかないし、坊やが偶然でもここに来てくれて助かった訳よぉ。

 ―――――――――選択肢はないに等しいけど、坊や。アタシ達の側に寝返らないかい?」

 

 女、カトレアは口元こそ笑みを浮かべているものの、目は真剣そのものだった。

……あの柔らかおっぱいで結婚、子持ちとかマジかよ……。ちょっとアブノーマルに目覚めそう。

俺は「少し考えを整理させてくれ」と言い、顎に手を当てて思考の海に沈む。…内股気味に。

 

(……よくよく考えれば、人族だけの視点に立って、この世界を救うとか……バカげてる。俺にとってこれは紛れもないどん底人生の転機(チャンス)だ……!考える必要なんてない、答えは……! )

 

「……仮に俺がYesと答えたら、アンタは俺をどうするんだ……?」

「ん~そうさね……。アタシはもう少し仕事が残ってるから、アンタがこっち側につくって話だけをお上に伝えて、アンタには南方のシュネー雪原に展開しているアタシ達の本隊と合流して貰う……それから魔人族の国”ガーランド”にご招待さね。それからアンタに何をして貰うかはお上次第だけど、アンタの()お仲間みたいに痛めつけたり、苦しんでもらうつもりはないよ。……望むのなら、叶えられるかは分からないけど、アンタ等は元の世界に帰って貰って構わないと、アタシは思うからねぇ」

 

 その言葉だけで思わず泣きそうになった俺は手で顔を覆った。

というか俺が虐められていた事も知ってるとか、この人ガチの諜報員かよ……。

カトレアはそっと手を伸ばして、フード越しに俺の頭を撫でながら言う。

 

「これはアタシ達とこの国の馬鹿共が始めた戦争(殺し合い)なんだ。アンタみたいな子供が巻き込まれて死んじまう姿なんて……出来る事ならアタシも旦那も見たくはないんだよ……」

 

「………っ…‥!」

 

 危なかった……もう少し優しい言葉をかけられていたら、確実に俺は泣いていた。

そうだよ。俺は巻き込まれただけだった!この世界の命運とか種族の生存競争とか知らねえよ!?

今すぐ回れ右して帰れるならとっくに帰ってるよ!

 

 俺は目元を袖でゴシゴシ拭った。カトレアは敢えてそれに触れず、俺が答えるのを待っている。

顔を上げた俺は――――前より少しだけ、気のせいかもしれないけど、自信に満ちた顔で頷く。

 

「俺なんかの力で良ければ……!」

 




 カトレアさんの下の名前は適当に本棚眺めてたら思いついたので決めました。
子持ち設定も多分、原作にはなかった筈です……。
旦那さんとその他魔人族にも活躍して貰うからなぁ(ねっとり)
アニメ版ありふれた見てて思うんですが、カトレアさんが一番スケベだと思います。
褐色おっぱい人妻とか誘ってんのか(豹変)

感想、質問、ご指摘など待ってまーす!

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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