モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 注文したswitchがまだ届かないのでMHW:IBやり込んでた作者でした。
救難で入った黒龍戦が思いのほか苦戦しまして、昼から始めて夕方までかかってやっと倒せました。ドラゴン装備無双たのちぃ(思考放棄)

 ご指摘がありましたので、今回から追記していこうと思います。
この話は「幕間の物語 荒野の出会い」の続きにあたる話です。
ご指摘して下さった読者の方、ありがとう御座いました。
今後も「こうした方が読み易い」といったご指摘などを頂ければ、可能な限り変更していこうと思いますので、宜しくお願いします。



幕間の物語 湖の街にて…

 

「………はぁ~……」

 

 何も考えずにお風呂に浸かるのは何日ぶりだろう?と畑山愛子は思った。

暖色系の木で囲まれた一人用の風呂場で、彼女は蕩けた顔をしている。

此処は湖の街ウル、あれから愛子達は偶然荒野を訪れたハンター・リンネの護衛もあって道中を無事に進むことが出来たのだが―――――

 

「とりあえず貴女は、ウチの風呂で洗って来なよ。……()()放っておいたら臭いがね……?」

 

 切迫した状況が立て続けに起こった事で忘れていたが、実は愛子、ドスジャギィと対峙した時に失禁していたのをすっかり忘れていた。

街に着くなりデビット達や男子生徒が離れたのを見計らったリンネに囁かれて、顔を真っ赤にした愛子は水妖精の宿に駆け込んで、風呂場で身体を洗っていたのだ。

 

(リンネさん……とてもカッコいい人でした……)

 

 青白い長髪を靡かせて太刀を振るうリンネの姿が、愛子の脳裏に焼き付いている。

背が高く、腕一本でモンスターを圧倒する力強さ、街に入った時に街の人達から慕われる彼女の姿を見た時は、これぞ愛子の理想だと思わずにはいられなかった。

 

「―――――――はぅ」

 

 学生時代からあまり育っていない自分の身長と胸を鏡で見て、愛子はしょんぼり項垂れる。

そんな時だった、ガラガラと音を立てて風呂場の戸が開いたのは。

流石に長く入り過ぎたかと湯から立ち上がり振り返った愛子は、入ってきた人物を見て驚く。

 

「り、リンネさん!?」

「うん?そうだけど。……なんか驚くような事ある?」

 

 タオルを首にかけて、全裸になったリンネが風呂場の戸を閉めながら答える。

一瞬の間に入ってきた外の空気の寒さに、思わず愛子はぶるっと身震いした。

リンネは何食わぬ顔で浴槽の隣にある椅子に腰かけて、桶の水をざばっと頭から被った。

 

「い、いえっ。……すみません……特に何も……」

 

「そう?―――――――ぶぅっはあぁ~ぁっ!……一仕事終えた後のこれがたまんないわぁ……」

 

 まるで仕事終わりの社会人みたいな台詞を吐いて、リンネは再度長い息をつく。

愛子は何も言えずに浴槽の中に戻ったが、視線だけはリンネの体に釘付けだ。

 

 引き締まった太腿と腹回り。ムダ毛は一切なく、普段は隠れている白い肌が露わになっている。

彼女が身震いする度に、立派に育ったリンゴくらいの大きさはある胸が揺れた。

体を洗い終わったリンネがすっと立ち上がって湯舟の方へと歩いていく。

 

「あ、あの…すいません。私あがったほうがいい……ですか?」

「ん~?気にしなくていーよ~。……てか、従業員兼オーナーのアタシの方がお客さんである貴女に遠慮して風呂を譲るべきなんだけどね~……こればっかりは譲れないものがあるんだな~……」

 

「は、はぁ――――――ッ!?」

 

 湯船からリンネを見上げていた愛子はリンネの胸を凝視していたが、ふと体の右側にある筈の腕がなく、代わりに生々しい傷跡が残る右肩の付け根に目がいってしまい、思わず息を呑んだ。

リンネは「おん?」と首を傾げて、愛子の視線が何処に向かっているかを知って苦笑する。

 

「あははっ、タオルで隠しときゃよかったかな?」

「い、いえっ―――。……あの……ごめんなさい」

 

「貴女が謝る事じゃないでしょ~?こういうのは気配りの出来ない店側の責任って奴で~。―――――嫌だったら、貴女が風呂からあがるまで外で待ってようか?」

「だ、ダメですよ!そんなことをしたら風邪ひいちゃいますよ!」

 

 たった今桶の水で身体を濡らしたリンネが踵を返そうとして、愛子が慌てて引き止める。

この風呂場、設計上のミスで脱衣所から風呂場までは外の空気が入り込む通路になっているのだ。

風呂に入る前からタオルを巻いて通路を歩いた愛子が震えて縮こまる程の場所に、リンネはあっさり出て行こうと言うのだから正気の沙汰ではない。

 

「本当にいいの~?」

「何も嫌な事なんてありません!私は気にしていないので、どうぞ中へ!!」

 

 悪戯っぽく笑ったリンネが愛子を見つめると、彼女は毅然とした態度で両手を広げる。

まるで「こっちに来なさい!」と怒る小さい母親のように見えた。

リンネは何か思うところがあったのか、じっと彼女を見つめて……微笑み頷く。

 

「――――そ、じゃあお隣に失礼させて貰うわね」

「どうぞっ」

 

 何故か食い気味に答える愛子、リンネはゆっくりと湯船に足から浸かった。

1人で足を伸ばせば肩まで浸かるくらいの湯船に2人が入った事で、少しだけ溢れた湯船が風呂場の床にざぱっと広がっていた。

首のタオルを右肩の方へと降ろして、愛子は溢れた湯を眺めて困ったように笑う。

 

「あっちゃ~……やっぱ零れちった……。後でフォス君に怒られるかなぁ。ハハハッ♪」

「……すいません」

 

「あっはっはっ!これも貴女が謝るような事じゃないでしょ~。どっちかって言うと後から入ってきたアタシが―――――ていうか、貴女さっきから謝ってばかりね?」

「…………うぅ……」

 

 暫く陽気に話しかけていたリンネだが、顔を赤くして己の未熟を恥じている愛子が何も言えずに俯いているのを察して、笑みを浮かべたまま目を閉じて、黙って湯舟に浸かるようになった。

 

ピチャッ、パチャン、チャプチャプ―――――

 

 風呂場には浴槽の中で小さく波打つお湯の音だけが響いていた。

温まってきたリンネは身体を解そうと足を伸ばすが、愛子の足が伸ばした先にあった事に気づいてそれを止めて、首だけくるりと回してコキコキ鳴らす。

 

「――――――ふぅ……」

「……………」

 

「――――――………ん~……」

「……………」

 

「………んあ……?」

 

 

「―――――――――――きゅぅ」

 

 あまりに黙っている時間が長すぎるなと、不穏な空気を感じたリンネが横に目を向ける。

そこには、考え込み過ぎと湯船に浸かり過ぎで顔を真っ赤にしてのぼせた愛子の姿があった。

 

「ちょっとっ!貴女、大丈夫!?しっかりしなさいよぉっ」

 

 悲鳴をあげるようにしてリンネは片手で愛子の肩を掴んで湯船から引きずり出す。

慌てて肩にかけたタオルを使って彼女の体を拭きながら、リンネは風呂場を脱出する。

目指すは通路先の脱衣所。

彼女の日課にして娯楽の一つである入浴は、こうして終わってしまった。

 

 

「―――――申し訳ありません、ウチのオーナーがお客様に失礼を……」

 

「い、いえいえ!私がのぼせて危なかったところを、リンネさんが助けて下さったので!」

 

「…………それを目が覚めて先に言って欲しかったかなぁ……」

 

 水妖精の宿、受付広間のソファーにちょこんと座らされた愛子の正面でオーナー代理のフォスが深々と頭を下げる。その隣には半乾きの髪を指先で弄るふくれっ面のリンネ。

 

 愛子の体を拭いて、代わりの服を着せるまで手伝ったリンネだったが、様子を聞きに脱衣所の近くまで来ていたフォスが事情を聞いて呆れ半分にリンネを説教。愛子の意識が完全に戻ってきたのを見計らって、謝罪に来たのだ。

 

 ちなみに今のリンネは防具を脱いでおり、町の住人達と共通の厚手の服を身に纏っている。

右腕の部分はカットされていない代わりに、ぐるっと玉結びにされて下に垂れていた。

髪だけはオルムングの頭装備と同じ状態の為、腰まで伸びている。

 

 お詫びの品と言わんばかりに、愛子の座るソファーのサイドテーブルに湯気の立つ良い香りのお茶が入った高級そうなティーカップと小皿に乗った焼き菓子が置かれていた。

 

「今日から大事なお客様が来るから、入浴は後でと話していたのを忘れたんですか!?」

「だって~……急に備蓄の香辛料が切れるなんて聞いてなかったし~……だからアタシが近くの街まで買い付けにいこうと思ったら、モンスターに出くわした挙句の果てに出戻りだなんて予想外過ぎて~……こりゃあもうひとっ風呂浴びるしかないじゃんって」

 

「香辛料の件は確かに備蓄管理を怠った私の責任です、それは素直に謝りましょう。ですが!それを理由にオーナー自らが街を出る必要は何処にもないでしょう!街に来る行商人から買い付けるとか、他の宿から借りるとか手は幾らでもあったでしょう!私があれほど オーナーはじっとしていて下さいね と言っていたのを素直に聞き入れて下さればこんな―――」

 

「何さ~客の危ない所を救ったオーナーに、労いのひとっ風呂くらい良いじゃんかー」

 

「それでお客様が体調を崩されたと!?水妖精の宿始まって以来の大失態ですよ!」

 

「フォスのケチ~、守銭奴~、管理不行き届き~、一生独身~」

 

「ん゛ぁ゛ァ゛も゛ぅ゛、貴゛女゛っ゛て゛人゛ぁ゛ぁ゛っ゛!!」

 

 客の前では普通、店員同士で言い争う等日本ではありえない光景なのだが、愛子の前で怒り狂うフォスに対してブーブーと唇を尖らせて不満を言うリンネ。

遠目に見守っていた神殿騎士達が困惑の表情を浮かべ、優花達もどう声をかければいいのかと愛子に目線でヘルプサインを送り、愛子からも「分かりません」と逆ヘルプを求められる。

 

「あぁー……ごほんッ!いいかね、店主?」

 

 言い争う2人に間に入ってきたのは、呆れ顔のデビットだった。

フォスが「も、申し訳ありません神殿騎士様。当店を利用して頂く皆様の前で…」と頭を下げて、リンネは「風呂に入り直すぞ~」とこっそり抜け出そうとするが、腕だけばっと伸ばしたフォスに肩を掴まれて、再び仏頂面を浮かべる。

 

 

「本日より我々はウルの稲作を手伝うよう、ハイリヒ王国国王エリヒド陛下より勅命を受けている。宿泊する部屋への案内と、街の責任者の居場所を教えて貰いたいのだが――――」

 

「は、はい!お部屋の方は彼女に案内をさせますので。町長の家までは私がご案内致します」

 

 やっと護衛の騎士隊長らしいところを愛子の前で見せられたと、内心誇らしげに笑うデビット。

しかしアピールすべき愛子は貰ったお茶へと向けられており、空回りだった。

フォスに脇腹を肘で突かれたリンネがため息一つ吐いて優花達へと歩み寄る。

 

「それじゃあお客様、今からお部屋にご案内致しますので。お荷物などは御座いますか?必要であれば、私共が部屋までお運び致しますので……」

 

 先ほどとは打って変わって、ピンと背筋を伸ばしたリンネが優雅に一礼すると、髪がまたふさぁと靡く。中途半端だったとはいえ、風呂上りのリンネからは良い香りが少しだけ漂っており、それを嗅いだ男子生徒達が思春期らしく顔を赤くして動揺する。

優花の後ろで奈々と妙子が男子達をジト目で睨む。

 

 大した荷物はないので大丈夫だと答えようとした優花。

そこにフォスとの会話を中断したデビットが鼻で笑いながら割り込んでくる。

 

「ハッ!片腕のない貴様が荷物を持つ?バカも休み休み言え。もし貴様が荷物を落としたりでもすれば、水妖精の宿の質が問われるというのに―――――」

 

「ッ、デビットさん!?そんな言い方……!」

 

 声を荒げようとした愛子の代わりに、リンネとデビットの間へと今度はフォスが割り込む。

ニコニコと笑みを浮かべたフォスがデビットの手を取り、強引に外へと連れていく。

リンネは頭を下げて笑みを浮かべたまま微動だにしない。

 

「ささっお客様、町長ご夫妻も神の使徒様を心待ちにしておいでですし――――」

「なっ、おい貴様!何をして、離せ……!」

 

「さぁさぁ行きましょう騎士様!オーナー、お部屋へのご案内、お願いしますよ!!」

 

 先ほどまでの穏やかで老成した笑みとは違う、張りつけたような笑顔でフォスはデビットを連れて水妖精の宿の正面玄関を開け放ち、優花達に振り向きもせず行ってしまった。

半口開けて驚いたままの優花達にそっと近寄ったリンネが告げる。

 

「お見苦しいところを見せて申し訳ありません、改めてお部屋にご案内を―――」

「あ、はい……!―――――あの……」

 

「……何でしょう?」

 

「デビットさんが失礼な事を言ってしまって……その、ごめんなさい……」

 

「……()()()()()()()()()、何も問題は御座いません」

 

 気まずい空気の中、愛子と優花達は水妖精の宿の中を歩いていく。

先頭を歩くリンネの背中が、ハンターとして戦っていた時が別人であるかのように小さく見えた。

 

 




 笑いあり、険悪ムードあり、シリアスありの忙しい話でした。
本編に並行して今のところサブキャラ勢力2つが動こうとしている感じかな?
次も作者のモチベーション次第ですが、清水君の話を書こうと思ったらユエとティオが潤んだ瞳で此方を見ているような気がしてならない……。

感想、質問、ご指摘など待ってまーす!

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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