やっと出番が回ってきたよ清水君!(幕間だけど)
この話は幕間の物語「清水幸利は勇者になれないと自覚する」の後の話です。
時系列的には畑山先生達がウルに着いた後くらいの話になります。
俺がカトレアさんの紹介で用意された業者にホルアドから連れていかれて三日が経つ。
まだ王国の領地内らしく、馬車の荷台で息を潜める俺の耳に、行き交う人の会話が届いた。
「――――聞いたか?帝国は亜人族の奴隷化廃止を宣言したって話」「知ってるよ―――」
「―――何でも今の皇帝は亜人族とも友好的になりたいんだとか」「神をも恐れぬ男の所業だ」
「異端者め……」「またこの世界に穢れが溢れるというのか……」
「南の方で魔人族の動きが活発になってるって本当かい?」「ただの噂だろ」
「けど、この間はライセンの荒野にも支配種が出たって」「忌々しい魔人族どもめ」
「きっとエヒト様が遣わした勇者様達が何とかして下さる」「ハンターの力など借りぬわ」
「アンカジ公国の方で疫病が流行ってるらしいな」「領主様もご苦労様だ」
「後を継ぐ筈だった長男がハンターになったらしいぞ」「何と愚かな」「馬鹿だな」
「そういえば公爵家の御子息も冒険者らしいが」「知らんのか、あの閃刃の―――」
どんな話も、聞いていて愉快になれるような明るい話題じゃない事だけは確かだった。
だというのに話をしている人々は決まって「エヒト様へ信仰を捧げれば何とかなる」と付け足す。
それだけで麻薬を打った人のように恍惚とした笑みを浮かべ、天を仰ぎ見る。
うわー典型的な狂信者だ、目を合わせたら武器を手に襲ってきそう。ヤーナムみたいに。
荷台の中で身体を少し動かして血の巡りをよくする。
馬の手綱を握る業者は、紹介されてから一度も話をしない。
元々寡黙な人なんだろうか?それとも――――喋れないように暗示か何かかけているのだろうか。
考えたら恐ろしくなって、ぶるりと体を震わせて荷車に再度潜った。
俺は何も知らない方がいい。……触らぬ神に祟り無しってね……!
そう思っていると、遠くから水の流れる音が聞こえてきた……川……か?
*
「ようこそ商業都市フューレンへ。ステータスプレートの開示を」
門番の男に言われて、業者の男はすっと胸元からステータスプレートを見せる。
それを手に取って門番の男は怪しいところがないかじっと荷車の中を見た。
一瞬、門番と目が合いそうになった俺は顔を伏せて見つからないよう祈った。
「………。確認しました、どうぞ中へ……」
門番の男は頷いて業者と荷車を通した。
中でホッと一息ついた俺は、ふと違和感に気づかされる。
他の者達がまっすぐ商業都市の町中へと入っていくのに対して、俺らの荷車だけは、街はずれの森の中へと進んでいた。
「―――よう。アンタが今回の依頼者か?」
森の中で突然、荷車の上から声が掛かった。
思わず返事をしそうになったが、初めて馬車の業者が「あぁ」と口を開いたので俺は黙った。
……喋れたんじゃないか!?
「随分とヤバい仕事って聞いたが、報酬はたんまり弾んでくれるらしいじゃねえか。……俺は此処フューレンを仕切る”フリートホーフ”の首領”ハンセン”……裏の世界でこの名前と組織を知らねえって奴は人族じゃいねえ。……アンタ等の所じゃどうか知らねえけどな、魔人族の旦那」
「そうか」
(――――ッ……裏の人間……!)
異世界ものあるある。壊滅させられる犯罪組織キター!と心中で歓喜する。
それを口にしたら命はないと分かっているから、心の中だけに留めておく。
というか……馬車の業者の人って魔人族だったの!?
当たり前のように紹介されて乗って、何事もなく都市の関所越えちゃったよ……。
思っていたより王国の警備ってガバガバじゃないか?
その気になれば王都侵攻とかパパッと出来ちゃわないかこれ。詰んでるじゃん、人族。
「依頼の内容は手紙に書いた通りだ」
「……けッ、世間話も無しか……愛想のねえこって」
悪態をつきながら、ハンセンという男は依頼の指示通りに進める。
フリートホーフに属する商人を通じての、湖の街ウルへの荷物運搬というカバーストーリー。
時期を同じくして伯爵家の三男が冒険者として山岳地帯へ向かう事が冒険者内の情報筋から伝えられており、護衛にフリートホーフの息がかかった者をつけることでいざという時の工作員として用意していた。
荷車の中に、ハンセンの部下たちが入ってくる。
俺は驚き”闇弾”を撃てるように身構えたが、そいつらは
……安心したけど、なんか寂しいな。
*
「よしっ、準備完了だ――――」
「感謝する」
フリートホーフの者達に見送られ、新しい香辛料などを積んだ馬車が来た道を戻る。
ちょっとだけ外の空気を吸いたかった俺は周りの景色を見渡そうとして―――――
特徴的な耳にエメラルドグリーンの髪の幼女と目が合った。
(――――ッ……奴隷……か)
森の中の小さな天幕。
そこには10歳くらいの子供達がやつれた表情で、服だけは良い物を着せられて檻の中で鎖につながれていた。酷い光景を目にして、さっきのようなテンションにはなれなかった。
特徴的な耳のエメラルドグリーンの幼女は、泣きそうな顔で手を伸ばす。
助けて……。そう言いたいのだろう。
「……助けて欲しいのは俺だよ……」
俺の小さな呟きは、馬車のガタガタと鳴る車輪の音に掻き消された。
別の関所を通って湖の街ウルへ向かう街道に出てからも、あの幼女の顔が忘れられなかった。
罪悪感って奴なんだろうか……。
……考えるのも疲れた……もう寝よう。
……馬車の揺れが最悪過ぎて、まったく眠気がやってこないけど。
Wikiの内容鵜呑みにして生まれた疑問&妄想
裏の世界で三本の指に入るフリートホーフってことは別の組織もある?
そいつらを中心とした二次創作なんかも生まれたり(止まらぬ妄想)
感想、質問、ご指摘など待ってまーす!
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡