モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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アンケート結果見たら意外に勇者君達の頑張りを見たい人多くて驚きました。
頑張ってもランポス系のドス個体を必死になってようやく倒せるくらいしか活躍の予定がないんですよね……orz
ちなみに今回はちょびっとだけ例の子が本性現します……コワイヨー
特に本編と関係はありませんが作者はボクッ娘好きです!



幕間の物語 一方その頃の勇者達(本編二章辺り)

 

「―――はあぁぁぁっ!”天翔閃”ッ」

「甘ぇ!”金剛化”ァ!」

 

 ハイリヒ王国の王都、王城の近くにある騎士団が使う訓練場にて……

神の使徒、天之川光輝と坂上龍太郎が剣と拳をぶつけ合っていた。

剣といっても実戦で使う聖剣ではなく、訓練用の木剣である。

対する龍太郎も殺傷能力の低いメリケンサックもどきを使用している。

 

 威勢のいい掛け声と共に上段から振り下ろされた木剣を、龍太郎は両腕を交差して技能”金剛化”を発動して軽々防いだ。

金剛化は魔法の適性無しに、魔力を膜状にして特定の箇所に纏うことで硬質化を行う技能のことである。……もっとも、防げる威力は人間基準のそれだが。

 

 上段からの斬撃を防がれた光輝は仕切り直しと後ろに距離を取る。

防御の構えを解いて再び拳を構える龍太郎に爽やかな笑みを浮かべた。

 

「また技能の使い方が上達したんじゃないか、龍太郎」

「へっ、そういうお前の剣も前より重く感じるぜ…!」

 

 切磋琢磨する光輝と龍太郎。

遠くからそれを眺める侍女たちは感嘆の息を漏らす。

本人たちが力を抑えて訓練を行っていても、一般人である彼女らには一騎当千の英雄が戦っているようにも見えるのだから。

 

「「おおぉぉぉっ!」」

 

 本来であれば2人の成長ぶりを見届ける監督役の騎士団がいなければならない。

だが騎士団はオルクス大迷宮での一件で数名の優秀な騎士を失い、団長のメルド・ロギンスも復帰したとはいえ万全の状態で職務に復帰できたとはいえなかった。

 

 メルドの代理になる筈だった騎士は次は自分が魔物の餌食にされるのではと恐れをなして早々に逃げ出し、そんなところにエリヒド国王やイシュタル教皇が騎士団に圧力をかけてしまえば余計に不安を煽る結果を招いてしまうということから、建前として神の使徒による自主性を尊重して訓練場や宝物庫の武具を自由に使わせているのだった。

 

 そんな問題が水面下で起こっているとは知らない侍女たちは今日も期待に胸を膨らませる。

いつか勇者様達が大迷宮の凶悪な魔物を一匹残らず滅ぼしてくれることを。

浅はかにもトータスを我が物にせんと侵攻する魔人族を討伐してくれると。

そのいつかが、明日かひと月先か一年先か百年後の話か……それすらも分からないというのに。

 

 

「ごめんねえりりん、手伝って貰って~」

「いいよ、気にしないで鈴」

 

 図書館から王城までの渡り廊下を歩きながら話をしている2人の少女がいた。

小柄で茶髪のおさげを揺らしながら少し前を歩く明るい笑顔の結界師”谷口鈴”

黒髪ボブカットに眼鏡をかけた温和な印象の降霊術師”中村恵理”

2人の両手には数冊の本が抱えられている。

いまは本を借りた図書館から部屋に戻る途中だった。

 

 2人も神の使徒、光輝率いる勇者パーティーの一員なのだが役割としては後衛。

鈴が結界を張って仲間達を守り、恵理は自分の天職が戦闘には不向きなものであると早々に気づいて自ら進んで適性のある魔法による支援攻撃に徹することとなった。

恵理は不思議そうに抱えていた本のタイトルを見て鈴に尋ねる。

 

「それにしても珍しいね、地球(むこう)じゃ自主勉強なんてあまりやらなかった鈴が自分から本を読みたいだなんて……」

「む~何よぉ。私だって本くらい読むもん」

「べ、別に馬鹿にしてるとかじゃないんだよ?でも……その……」

 

 怒った風に頬を膨らませてジト目の鈴に苦笑する恵理。

彼女は口にしかけた言葉を開きかけですっと下を向く。

キョトンとした鈴が言葉の続きを待っていると、恵理は意を決して口を開いた。

 

「―――やっぱり、気にしてるのかなって……大迷宮でのこと」

「……うん」

 

 鈴の表情に暗い影が差して、恵理は慌てて話題を変えようとする。

しかし鈴は首を横に振って、渡り廊下から見える遠い空を見つめながら言った。

 

「あの時、騎士の人達が守ってくれたから鈴達は生き残れた。……本当は、私達がこの世界を救って、元の世界に帰る為に、この世界の人達も守らなきゃいけない筈なのに。…なのに私ね、あの黒い魔物を前にした時…怖くて動けなくて、結界を張れなかったんだ」

「……鈴だけのせいじゃないよ。あれは―――」

 

 愚かで蒙昧無知な檜山大介(香織バカ)のせいだから―――

素の状態でそう言いかけた恵理は慌てて口を噤んだ。

…どうもトータスにきてから、()()()()()()()()()()()()()()()

地球にいた頃と違って1人きりになる時間が減ったから、溜まっている鬱憤が発散できなくて本性が見え隠れしてきていた。

本来の一人称である「僕」が出てきたら、それこそ最後だろう。

 

「事故。……不幸な事故だったんだよ、鈴」

「……えりりんは優しいね。私なんかより、ずっと心が強いと思うよ」

 

「そんなことないよ。……私も怖くて何も出来なかったのは、同じだから……」

「……えへへっ、似た者同士なんだね……私達」

 

 ()()()()()()()()()()()()

くだらない友情ごっこを異世界に来てまでやるとは、なんという茶番か。

恵理は心の内で毒を吐いて、作り笑いを浮かべる。

 

「次に危ない目に遭ったら、()()()()()()()()()()

「うんっ」

 

 恵理の言葉を聞いて、鈴は明るい笑顔で無邪気に頷いた。

その言葉に含められた意味も、遠くない未来に迎える結末を知らずに……

 

 

 昼下がりの城下町を歩き回っているのは、白崎香織と八重樫雫の2人だった。

治安の良い王国の、それも王の膝下である城下町なら護衛の騎士も必要ないだろうということで、雫だけが剣を腰に帯びて町に出たいと言い出した香織に付き添っている。

 

「あ、あの――――すいませんっ」

 

 道行く人の中から、行商人らしい顔ぶれに手あたり次第で声をかける香織。

見目麗しい少女に声をかけられて少々面食らった行商人たちが立ち止まった。

もう何度目になるか分からない、香織は聞きたい事を口にする。

 

「人を探しているんです。背は私達と同じくらいで顔立ちの似ている黒髪の男の子、南雲ハジメって名前の少年をどこかで見かけたりしませんでしたか?」

 

「う~ん……知らないねぇ。お前らはどうだ?」

「いんや」「なんもなんも」「見とらんし、そんな名前の子は聞いたこともないねぇ」

 

 香織が話しかけた商人”モットー・ユンケル”は難しい顔をして首を横に振る。

後ろで積み荷を扱っていた同業者たちに尋ねるが、皆同じ反応をするばかり。

分かっていたことだが、香織は目に見えて落ち込んでしまう。

彼女と入れ替わるように一歩前に進み出た雫が申し訳なさそうに口を開く。

 

「ごめんなさい。その男の子は私達の友達で、ひと月くらい前から宿場町ホルアドで姿を消して、それ以降の行方が分からなくなってるの。もし迷惑にならなければだけど、他の町とかでそれらしい人を見かけたら教えて欲しかったのよ」

 

「うーん……余計なお世話かもしれんが、タダで人探しってのはなぁ。確かに私たちユンケル商会は帝国から公国の端まで手広く商売をやってるから出会った人の特徴とか覚えるのは得意だけれど、人探しを頼むのなら冒険者にでも依頼するのが一番だと思うけどねぇ……」

 

「そうですか……。ありがとう御座います、そっちを当たってみます」

 

 ユンケルはそう言って「ま、元気出しなよ綺麗なお嬢さん」と2個の赤い果実を木の樽から取り出して雫と香織に渡す。雫は笑顔で会釈し、香織もそれに倣って頭を下げ、2人は別の通りに向かっていった。

 

 雫は貰った果実を皮ごと丸かじりしながら「以前ならこんな食べ方しなかったのに。私も異世界に染まってきたのかなぁ」と思いながら、しょんぼりと俯いて歩く香織に気を遣う。

 

「落ち込んでても南雲君は見つからないでしょ。とりあえずさっきの商人さんの言ってた冒険者のところとか、それっぽい情報持ってる人のところを当たれるだけ当たってみましょう、香織」

「うん……」

 

 普通の店が建ち並ぶ大通りから少し脇道にそれていくと、2人以外で周辺を歩いている人々の顔つきもだいぶ様変わりしてきた。

粘りつくような、それでいて全身を嘗め回すように視線を送る強面の男達。

娼館の娼婦はあからさまに2人を見下しており、先ほどのユンケルとは違った怪しげな商人達は2人を値踏みするように首を傾げて何やら羊皮紙に書き込んでいた。

中には2人の通った後の道で大きく深呼吸をするような変人まで現れる始末。

 

(とても城下町の風景とは思えないわね……)

 

 いざとなれば剣を抜いて香織を守りながら戦わなければならない。

そんなことを思って周囲を警戒しながら歩く雫の目の前に、冒険者ギルドの名前が書かれた古ぼけた建物が見えてきた。

入り口には昼間から酒を呑んで酔い潰れた男が寄り掛かっている。

 

(……やめた方がいいかもしれないわ……)

 

 雫は足を止めてきた道を引き返そうとする。

隣を歩いていた香織もそれに気づいて足早に立ち去った。

 

「別のところから来た人が居そうなところを探しましょう。……宿屋とか」

「そうだね、雫ちゃん」

 

 一刻も早くその場から離れたかった2人は小走りで大通りに出てしまった。

小さな石門を通り抜けた直後、一歩先を歩いていた香織の目の前に巨大な魔物が現れる。

 

「きゃっ―――――!?」

「香織ッ」

 

 雫は驚いて硬直した香織の肩を掴んで後ろへ引き、入れ替わるように前へ出る。

魔物は声のした2人へとゆったり顔を向けた。

ここが城下町であることを忘れ、魔物との突然の遭遇に驚いた雫は剣を抜こうとして――――

 

 

 

「ほいストーップ」

 

 

 

 魔物の背に跨っていた男が地面へと降り立ち、雫が握った剣の柄の先を()()()で抑える。

邪魔をしないで!と声を荒げて剣を握る手に力を込めた雫だったが……

 

(嘘ッ……抜けない!?)

 

 鞘から剣を抜こうとする雫の手はそこから動けず小刻みに震えていた。

剣の柄を抑えている男の指先は微動だにせず、それを抑えているのだ。

焦りを浮かべる雫の前で涼し気な表情の男はゆっくりと口を開く。

 

「落ち着けよおチビちゃん達。コイツぁ何も悪さをしてないだろう?」

「で、でも魔物よ。町中にいたら―――」

 

「”アプトノス”は草食種のモンスターなんだが……おっと王国(こっち)では魔物呼びで統一した方が分かり易いか。兎に角、危害を加えなきゃ襲って来たりしない臆病な奴だから勘弁してくれよ」

 

 雫は男に言われて背後の魔物…アプトノスの挙動をじっと観察する。

ぼんやりとした瞳で3人の姿を捉え、不穏な空気を感じ取ってか口元が忙しなく動いた。

怒っているというよりは怯えているのだろう。

背後で不安そうにしている香織に目をやり、冷静さを取り戻した雫は剣から手を離す。

 

「……ごめんなさい。町中で見るのは初めてだったから」

「王国の人間じゃ仕方ないね。これからは気ぃつけろよ」

 

 剣の柄から指を離した男は手をひらひらと振って背を向ける。

男が背を向けたことで、雫は彼が背負っている巨大な武器に気が付いた。

身長2メートルはある男の背に隠れて見えなかったそれを見て、彼女は戦慄する。

 

 やや反り返った刀身、刃の中腹が窪んだ特殊な形状の大剣。

男が斜め掛けに背負ってるとはいえ、全長は男の背を軽く超えている筈だ。

筋骨隆々な男でもそれを使うのは不可能だと雫は思った。

鍔に相当する部分には不気味な赤褐色の角が大小2本ずつ伸びている。

中心には青い目玉のようなものが埋め込まれており、雫はそれと目が合った瞬間、体中が燃え盛る炎に包まれたように錯覚してその場から一歩後退る。

 

「し、雫ちゃん……?」

「……っ、貴方のそれ―――」

 

「あん?あぁ、オレが背負ってるコイツのことか。チョイと赤竜の―――――――おっとっと?今は”グリューエン火山”って名前だったか。そこでちょっとヤンチャしてた炎王龍(子ネコ)から剥いだブツを基に作った自慢の一品だぜ。銘を”炎王獄大剣【覇王】”

 

「貴方……冒険者なの?」

 

 自慢気に背負った武器の柄を撫でる男。

グリューエン火山のことを知っていた雫は思わずそう聞いた。

トータスでも屈指の危険地域と呼ばれるグリューエン火山に足を踏み入れる者など、彼女が王国の図書館で調べた限りは歴史に名を刻むような冒険者くらいしかいない。

雫の言葉にキョトンとした男は唐突に腹を抱えてブフッと吹きだす。

 

「ダハハハッ!!王国の書物じゃ()()()()()()になってンのか!そいつぁ面白ェ、爺皇帝共にいい土産話が出来るってもンだ。―――ん~残念ながらオレは冒険者じゃあないんだよなぁこれが」

 

「そ、それじゃあ貴方は――――」

 

 一人で勝手に納得して満足げに顎を擦りながら頷いている男。

更なる質問を重ねようとした雫が口を開いた途端――――

 

「サー、何をしているんですか?ギルドから急ぎ出頭せよと命を受けているでしょう」

 

 声のする方に視線を向けた雫と香織は、その姿を見て再び驚き目を見開いた。

 

「悪ィなマリアンナ。若い娘とのお喋りに、年甲斐もなくはしゃいじまってよォ」

 

 マリアンナと呼ばれた黒髪セミロングの女性はジト目で男を見ている。

その手には青い金属質の丸盾と、腰から同色の片手剣が覗いていた。

なんとなくだが、雫はマリアンナと呼ばれた女の武器と男が背負っている武器が元は対の存在であるような気がした。

 

 マリアンナに腕を引かれてアプトノスに再び跨ろうとする男。

雫は2人の勢いに呑まれていたが、自分達の目的を思い出してハッとして呼び止める。

 

「あ、あのっ―――――!」

「おっ何だいおチビちゃん」

 

 冒険者ではないにしろ、彼も王国以外の場所を歩いているような人だ。

ならば何か知っているかもしれないと、香織と同じようにハジメのことを聞いた。

男は眉間に指をトントン当てて暫く思い出す素振りをみせていたが――――――

 

「ダメだ、俺に心当たりはねぇ」

「そう……ですか……」

 

 香織ほどではないがあからさまに落ち込む雫を見て男はちょっとだけ申し訳なさそうに笑って「探し人、見つかるといいな」とだけ言い残してアプトノスに乗って去っていった。

事情をあまり把握していなかったマリアンナは一礼だけして足早に男へついていく。

雫は振り返って不安そうな表情を浮かべる香織に言った。

 

「大丈夫よ香織、まだ探し始めてひと月も経ってないじゃない」

「そう……だね。……うんっ、私あきらめないから!」

 

 雫に励まされて香織は天を仰ぎ見て歩き出す。

その心中は決して穏やかとは言えないが、ある決意を固くしていた。

 

(南雲君に会ったら言うんだ……南雲君は無能なんかじゃないって……!今まで笑ってたクラスのみんなにも謝ってもらって、今度はみんなで一緒に協力して、元の世界に帰るんだから…!)

 

 この後、王城に戻った2人は清水幸利がいなくなった事を正式に騎士団から知らされて人探しの時間をクラスメイト達と共に増やすことになるのだが…それはまた別の話。

 

 

 

 

 

「……ところでサー。先ほどの少女達とは何を?」

「なーんか人探ししてんだと。……ハジメって名前に、オレは覚えねェンだけど。お前どう?」

 

「……本国から送られてきた今季の訓練所卒業生の中にそのような名前があったかと……」

「マ?――――まぁ、今度会ったら教えてやりゃあいいか!!」

 





ちゃっかり登場ユンケル兄貴、名前でしか呼ばれていない例外ハンターコンビ
この例外コンビは幕間の物語最初の話のケツに出てきた2人でした

作者の勝手な妄想ですが男の方の声は某勇者王、08の小隊長っぽい感じ
女の方は池袋の首なしライダー、SAOのシノンっぽい声のイメージ

 他の作者は分かりませんが、自分は頭の中で動いて喋るイメージを浮かべてからキャラの台詞とか動きを書いたりしてます(隙あらば自分語り)

感想、質問、ご指摘など沢山お待ちしてまーす!

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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