モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 クラスメイトが絡むとヤバくなるウチのハジメ君
そんな彼のプロローグが足りないかなぁと思い、書いてみました(ゲス顔)
ハジメ君の一人称で語られる、はじまりのお話



幕間の回想①・彼の傷は癒えない

 

 僕は月曜日が嫌いだ。

多くの人、僕に似た人は同じ事を思っているだろうね。

朝起きて携帯の画面を覗くと溜息が零れる。

 

「……いかなきゃ……」

 

 いつまでものんびりとはしていられない。

布団から抜け出してのそのそと寝間着から制服に着替える。

前日の夜、仕事の手伝いを始める前に予め準備してある鞄を持って部屋を出た。

 

【ハジメへ、父さんと母さんは寝てると思います。朝食食べて今日も学校いってらっしゃい!→】

 

 一階の居間に降りると、両親の残したメモと二つのおにぎりが乗った皿が置かれていた。

振り返って開きかけの両親の部屋の扉から微かな寝息が聞こえる。

二人とも僕が夜中に寝た後も頑張ってたんだなぁ……

そっと鞄の中からペンを取り出して、メモの隅に返事を残す。

 

【いつもありがとう!二人も仕事頑張ってね^^】

 

 ゲーム会社の社長と売れっ子少女漫画家の両親は忙しい日々を送っている。

僕もプログラマーの端くれとして、或いはアシスタントの卵として二人の仕事を手伝っている。

高校を卒業したら父さんの会社で働かせて貰いながら、自分で本を書いてみたいと思う。

 

 母さんの作ったおにぎりを鞄の中にラップの包みごとしまって家を出た。

空に昇る陽が玄関口から降り注ぎ、手を翳してそれを遮る。

 

「……学校……か」

 

 両親には悪いと思っているが、僕にはあまり意味のない高校生活だった。

中学生の頃からプログラムの勉強を独学でやってきた僕の将来は決まっている。

仮に父さんの会社で働けなくても、プログラマー(そっち方向)の道で稼ぐつもりでいた。

 

 元々コミュ力が絶望的に低い僕じゃ、一般の仕事に就いても長続きしないしね。

十代がそんな悲観的に将来の範囲を絞るもんじゃないって誰かは言うけれど、趣味でプログラムの勉強だけは長続きした僕の選択肢なんてあってないようなものだと思うけど。

 

 そうして一つのことに拘って趣味が普通の学生と少しズレるようになって、僕は古き良き―――一般的にウケがいいのかは分からないけど―――オタク街道まっしぐらとなったわけだ。

だから中学の後半では周りから変な奴扱いされることが多かった。

先生からも心配されて、両親からも「大丈夫か?」と声をかけられたが……

 

「平気だよ?趣味の合間に人生が僕の座右の銘なんだから」

 

……今思えばあの発言はあの先生や両親以外に知られたくない黒歴史発言だった。

でも僕という人間のスタンスはそれで変わらない。

両親からは情報系の専門学校に進むことを勧められたが、通学距離の短さや学費の安さを考えて僕は一般の公立高校に進んだ。

 

……それが人生で一番の失敗だったと思うようになったのは高校二年に上がってからだった。

 

 

「オラっ!!寝てんじゃねえよキモオタ!!」

 

「わっ!?」

 

 どうにか学校に辿り着いて、クラスメイト達から嫌ってほど睨まれながら着席。

ホームルームが始まる僅かな時間だけでも眠ろうとした僕の机を一人の男子が蹴った。

衝撃に思わず声をあげて顔を上げると、意地悪い笑みを浮かべた男子達四人が集まってきた。

 

「良いご身分だなぁ?キモオタの分際でよぉ」

「どうせ夜中までエロゲーでもやってたんだろ」

「きっもちわりぃ!」

「ぎゃはははっ、それなぁ!」

 

(あぁ……またこれか……)

 

 深いため息を……目の前でやったら余計に絡まれるから心の中で吐いた。

檜山大介、中野信治、斎藤良樹、近藤礼一……このクラスの不良グループ。

僕命名「小悪党組」である。

何かと僕に絡んで来ては笑いものにし、暴力を振るわれることも珍しくない。

 

 彼らの発言でクラスメイト達の視線が余計に集まる。

舌打ち、睨みつけ、小声で交わされる僕への中傷等々……

エロゲーなんてやっていないとムキになって声を上げれば反感を買うのは目に見えている。

愛想笑いを浮かべて流そうとした僕の所へ更なる厄介ごとが舞い込んできた。

 

「おはようハジメ君!」

「し、白崎さ―――」

 

「あ、うん…おはよう白崎さん」

 

 白崎香織が小悪党組の後ろからニコニコ笑顔を浮かべてやってきた。

顔を赤くして声をかけようとした檜山君は軽く素通りされて、ギロリと僕を一睨みしてから悪態をついて子分達を引き連れて自分たちの席に戻っていく。

……檜山君、白崎さんのこと好きなんだなぁ…とこの時なんとなく察する。

 

「今朝も登校ギリギリだったね?もっと早く来ようよ!」

 

「あぁ~うん、アハハ……色々と事情があって大変でさ」

 

 クラスメイト達には僕が両親の仕事の手伝いをしていることは黙っていた。

というか僕が余計な発言で両親の仕事が知られたりして迷惑をかけたくない。

誤魔化してまた愛想笑いを浮かべる僕と白崎さんのところに、()()もやってくる。

 

「香織、また南雲の面倒を見ているのかい?君は本当に優しいね」

 

「ハッ!そんなやる気ねぇ奴に何を言っても無駄だと思うけどなぁ」

 

「…おはよう南雲君、ごめんなさいね?毎朝」

 

 クラスの人気者、文武両道で学校一イケメンと評判の天之河光輝。

彼の友人で運動部の頼れる兄貴分で知られる坂上龍太郎。

そして白崎さんの友人、八重樫雫。

 

 白崎さんと八重樫さんは学校でも一、二を争う美少女で男子達から圧倒的な人気がある。

しかし幼馴染でイケメンの天之河君がいつも傍にいてアプローチをかけられないらしい。

 

「おはよう皆。…まぁ僕が悪いのは事実だからさ、アハハッ」

 

 三度目の愛想笑い。

今度は学校で人気者のグループと混ざって会話してんじゃねーよと嫉妬の声が上がる。

勿論、僕を除く当の本人たちは気づいていない。

僕の発言が気に食わなかったのか、天之河君は真剣な表情で言う。

 

「自分の悪いと思うところは早々に直すべきだぞ南雲。学校と生徒の評判が君のようにだらしない生徒一人の言動で著しく下げられてしまうんだからな。それに香織だって何時までも君に構っていられる訳じゃないんだ、子供みたいなことは―――」

 

 また始まった。

これも高校に上がってから見慣れた光景だ。

 

 天之河君の言うことは御尤も。

けれど僕一人だけにしつこく同じような説教をするのはどうしてなんだろう?

僕とは違う方向性で不良な檜山君達には何故そうしないのか。

天之河君の後ろで八重樫さんが申し訳なさそうに手を合わせていた。

 

(……申し訳ないと思うのなら止めて欲しいんだけどなぁ……)

 

 これくらいで僕は腹を立てたりしない。

そりゃ最初の頃は「なんだこいつ!?」とか思っていたけど、話している(というより一方的に話しかけられる)内に分かった。天之河君は僕みたいなクラスの輪に入らないオタクを嫌う典型的な善人なのだ。

この場合の善人というのは、大多数の人間にとって都合の良いが言葉の前につくけど。

 

 天之河君の後ろで僕の興味のない坂上君もうんうんと頷いている。

周りのクラスメイト達が小声で「そうだもっと言ってやれ」と野次を飛ばす。

檜山君もこれ見よがしに「ざまあ!」と笑っている。

 

 流石にクラス全員が僕を目の敵にして嘲笑っている訳じゃない。

少し大人でそういうクラスのもめ事を「子供みたい」と一蹴して相手にしないグループ。

彼ら彼女らは距離をとって先生が来るのをじっと待っていた。

……他の人達もそうしてくれると助かるんだけどなぁ。

 

「光輝君、何言ってるの?私は南雲君と普通に話をしたいだけだよ?」

 

 ぴしりと教室の空気が凍ってひび割れた音がした。

天之河君は半口開けてフリーズ、坂上君はうん?と首を傾げている。

八重樫さんは「またこの娘は」と呆れて額に手を当てていた。

…檜山君から射殺さんばかりの視線が来たのは言うまでもない。

 

「……そ、そうか!ハハッ、香織は優しんだな!アハハッ、ハハハハ―――」

 

 うわ出た。天之河君の必殺技・ご都合解釈(ハジメ命名)

自分の行いや発言は正しいと信じて疑わず、自分にとって不都合なことを見聞きすると何かに責任転嫁して都合の良い解釈をする。

これで男女からカリスマ性のあるリーダーと慕われているんだから凄いよね。

 

 というか白崎さんのその発言はどういう意味なのか僕にも分からない。

学校中の男子から話しかけられただけで喜ばれる白崎さんが、学校の不良に絡まれて嫌われものな僕に毎朝話しかけてくる理由が分からない。

僕も自惚れたりしない。彼女が好意を抱いているなんて可能性は万に一つもあり得ないだろう。

 

 それから間もなく教室に先生が入ってくる。

白崎さんは「また後でね」と手を振って自分の席に戻っていく。

天之河君も同じように戻るが、一度だけ足を止めて僕の方へ振り返ると―――

 

「………ッ!」

 

(……珍しいな。天之河君も人を睨んだりするんだ)

 

 本人に問えば恐らく「やってない」と答えるような無意識の行動。

まるで僕と白崎さんが話していることも妬ましく思っているような。

 

 …というか僕に嫌悪感剥きだして近づいてくるなら、ハッキリ言えばいいのに。

僕が気に入らない、今後白崎さんに関わるのを止めてくれって。

そうすれば僕もそれを口実に白崎さんと話さなくて済む。

自然と僕に対するヘイトは減るし、多分だけど檜山君の絡みも減ってくる。

 

 これもあくまで僕の想像だけど、檜山君が僕に絡んでくるのは世間一般的に嫌悪されるオタクだからってだけじゃなく、僕が白崎さんと親し気にしていることが気に食わないのだろう。

じゃあ不良のド根性みたいなもので白崎さんを押し倒すなり告白なりしてくれればいいのに。

間違っても僕は白崎さんに「檜山君が君のこと好きみたいだよ?」とか言えないよ。

言ったら確実に僕が殺されるからね、君に。

 

 まぁそんなこんなで、僕の月曜日は始まるのだ。

授業中は流石に三時間に満たない睡眠を満たそうと体が怠くなった。

皆に気づかれないよう、迷惑が掛からない程度に眠る。

そのあいだも、僕に向けられる刺すような視線と舌打ちは止まなかった。

 

僕はこんな日常が……月曜日が嫌いだ。

 

 




 回想の横に数字を振っているからお分かりと思いますが
こ れ で 終 わ り じ ゃ な い ん だ な ぁ ! !
(クラスメイトが関わる度に回想を挿みます)

ハジメ君にはたっぷり苦し…ゲフンもとい成長の土台を作って貰いましょう
主人公が精神的に成長する為には土台が必要ってそれ一番言われてるから……
(主人公の行動がマトモかどうかからは目を逸らし)

感想、質問、ご指摘等お待ちしております!

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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