モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 アンケート見ながら息抜きついでになんとなく思いつき投稿。
今回の話は本編時系列の第二章「夜明けと新しい居場所」の後の時間です。
全体通して清水君視点で書くので読みづらいかもしれませんがご容赦を……



幕間の物語 魔国ガーランド 前編

 やぁ皆、清水幸利だ。

一面の雪景色が広がる山脈と高原を抜けて、ついに魔人族の国ガーランドが目の前に見える。

高度1500フィートくらいを竜の羽を生やしたアダムに抱えられて数時間のフライトを堪能した。

極寒の空で死ぬかなぁとか思っていたらそんな事はなく、上からものを見下ろす楽しさを久しぶりに思い出せた有意義な時間だった。

 

 後でアダムにどうして俺の体に何も負担が掛からなかったのか聞いてみるとアダムが上昇と同時に無詠唱の魔法で周囲の環境を温暖な気候の地上と同じレベルに設定したからだと答えた。

ちょっと何を言ってるか分からないけどアダムはファンタジーな世界におけるチートの権化とも云える存在っぽいから突っ込まない事にする。

 

「どうだ清水。俺の国ガーランドの王都”バルバルス”は?」

 

「す、凄いです。それ以上の言葉が出てきませんよ」

 

「そうか、凄いか!クッハッハッハッハッ!

 

 高度をゆっくり落として目の前に広がる広大な都市の門に向かっている。

空中から地上へ降りると当然の如く重力に曳かれる感覚に気持ち悪さを覚えながら、改めてアダムと共に見渡すガーランドの街並みに驚いて言葉が出てこなかった。

 

 比較対象とするのもどうかと思うけど、ハイリヒ王国の王都を俺は覚えている。

バカデカい神山や豪華絢爛な王宮に目を奪われがちだったが、城下の町はいかにもといった感じの家屋が建ち並び、フランスにあったコルマール旧市街を連想させた。

王家と貴族にのみ全ての贅沢が凝縮されたような……俺にとって居心地の悪い世界。

 

 一方でガーランドの王都は圧巻の一言に尽きる。

日没と共に都一帯を青白い街灯が照らして、建物の窓から赤や黄の光が漏れていた。

オレンジ色の陽の光に照らされて輝く中央の城が象徴となっていた。

歴史の教科書なんかで見る19世紀のイギリス、ロンドンを彷彿とさせる。

何といっても目を惹くのは、町中を走る電車のようなもの。

 

「な、なぁ……アダム。あれは?」

 

「む?――――――あぁ魔導列車か。アレは俺が魔王になってすぐにバルバルスのインフラ整備に取り掛かった際に科学者共に俺から提案して生み出したものだ。町中を移動をわざわざ徒歩、馬車など面倒臭いだろうし、魔法で空を飛ぼうにも都市の魔人が全員そんな事をしていたら交通整備が大変だろうと思ってな。動力は文字通り乗車する魔人達の魔力で補われるが、低燃費だからお前が一人で乗っても動かせるぞ?」

 

「そ、そうなのか」

 

 魔人族だけ文明の進歩が異様に早い気がするのは俺の気のせいじゃなかった。

俺を小脇に抱えて地面に降り立とうとしているこの男(アダム)が魔人族達の頭脳(ブレイン)なのだ。

そうしてバルバルスの景色を一望した俺は地面に降りようと真下に目を向けようとした。

すると後ろの方から地面が崩れ堕ちる地鳴りの音が聞こえてきた。

 

「っ!?」

 

「……ほう、此度は随分と早い始動だな……老山龍」

 

 アダムの呟きと共に振り返った先で、今まで見てきた魔物とは比較にならない程の巨大な魔物が、山の麓を掘り進んで地面へと潜っていくのが見えた。

俺がその魔物は何かと問うより先に下の方から声が掛かる。

 

「魔王様ーーーっ!!」

 

 その声に俺とアダムが下に視線を戻すと、藍色の燕尾服を来た魔人の男が馬に跨っている。

さっと地面に降りると同時にアダムが目線で合図し、俺は自分の足で地面に立った。

燕尾服の魔人がチラと俺に視線を送るが、アダムがすぐに答えた。

 

「この者は敵地に潜伏しているカトレアの勧誘に応じた勇者の一人だ」

 

「なんと……!これは失礼しました。……私は”ミハイル・シェーリング”、君が会ったカトレアの夫だよ。私達の招きに応じてくれたこと、心から感謝しているよ」

 

「お、俺は別に何も……」

 

 カトレアさんは相当な美人だったが、ミハイルさんもそれに見劣りしないイケメンだ。

差し出された手をオロオロしながら握ると彼の肌はひんやりと冷たい。

目を合わせると歯が少し見えるくらいの微笑を浮かべる。

 

「ミハイルは諜報部の書記長だ。カトレア共々よく働いてくれている」

 

「魔王様……!勿体無きお言葉、感謝の念に尽きません」

 

「は、はぁ……」

 

「それでミハイル?態々俺を呼びに来たのは急ぎの用があったのだろう」

 

「ハッ!数時間前、シュネー雪原を偵察中の部隊が帰還。冬眠から目覚めた老山龍が活動を開始、北を目指して移動を始めたと報告が――――――」

 

「あぁ、それはたった今この目で見た。前回に引き続き監視は不要だ、進路上にいる国境沿いの兵は活発化したモンスターに対処するんだ。後の事はフリードに全て一任する」

 

「了解しました!」

 

 ビシッと敬礼を決めてミハイルは馬の腹を蹴って駆け出していく。

甲高い声で嘶く馬を見て、俺は数時間前の光景を思い出してしまい身震いする。

暫くは馬に乗らないと密かに自分の心に誓った。

 

「さて……清水。城まで歩きになるが構わないな?」

 

「あ、あぁ……大丈夫だ」

 

 余談だが俺とアダムは空の旅で気軽に話せるくらいの仲に発展した。

……というかアダムの方から「暇だ。俺の話し相手になれ」と強引に誘われて、あれやこれやと話をしている内に緊張が解けていた。

魔人族が魔物を使役している事とか、魔人族の中にある優劣思想とか、王国(人間)側の視点でしか語られなかったトータスの状況もかなり複雑化している事を聞いた。

 

「都の中には娼館等もあるが、今は我慢してくれよ?」

 

「ばっ!?そ、そんなん興味ねーし!」

 

「クククッ、そうか……それは残念だ」

 

 

 都市は全体を30メートルはある壁で囲まれている。

これはモンスターの侵入を防ぐためにアダム自らが魔法で作ったものらしい。

軽く1600㎢は超えているバルバルスを囲む壁を一人で作ったと聞いて耳を疑ったが、彼が規格外な存在であると再認識して納得せざるを得なかった。

 

 入り口に差し掛かると壁の上には大砲やら据え置き型の大型弩砲が見える。

聞くと「ヘルシャー帝国にあったものを一つ強奪―――もとい拝借して同様の物を量産化させて対モンスター用として活用しろと命じた」とのこと。……拝借って言い直す必要……あったかなぁ?

 

 監視の兵士が立っていないことを指摘すると、アダムはクスクス笑って壁の一部を指差した。

そこには半透明のキラキラ光る何かが埋め込まれている。俺が何かと尋ねると壁の裏側に配置された詰め所の兵士が遠隔操作で遠距離まで視認出来るアーティファクトだと言う。

監視カメラみたいなものだろう。……やっぱり時代の最先端をいってるじゃないか。

 

 するとアダムと俺の姿を視認したからか、或いは先に都市へ戻っていったミハイルさんから伝達があったのか、兵士達が整列して出迎えようとしていた。

それぞれが刀やら銃やら王国には無かった武器を背負っている。

聞いて返ってきた答えは「ヘルシャー帝国のハンターが使っていた武器を真似たもの」である。

 

 ヘルシャー帝国……名前しか聞いたことなかったけど、あんな凄い武器使える人がいるの?

剣からビームもどき撃つ天之河よりよっぽど強いじゃん……俺達を異世界から呼ぶ意味あった?

刀みたいな武器は太刀、銃みたいな奴はボウガンと呼ぶらしい。

ちょっと触ってみたかったけど、兵士達の好奇の視線が怖くて言い出せなかった。

 

 町中まで兵士の護衛を伴い―――アダムは要らないと言ったが、隊長らしき魔人が頑なに首を縦に振らなかったため―――魔王城(俺の中での仮称)を目指していると……

 

「アダム様ー!」

「魔王様、おかえりなさいぁい!」

「我らが魔王!繁栄の象徴よ!」

「ガーランドに栄光あれ!」

 

 と口々に歓喜の声を上げる住人達が手を振ってきた。

アダムは笑みを浮かべて彼らに向かって手を振り返す。その度に歓喜の声は一段と大きくなり、俺はそんなアダムの横を歩くのが場違いな気がして焦る。

するとアダムに代わって横を歩く護衛の兵士が優しく笑って話しかけてくれた。

 

「バルバルスでは、いつもこの調子なのです。アダム様が魔王になられてからというもの、我らの国は瞬く間に栄華の極みへと至った。アダム様の素晴らしい政策によって」

 

「やめんか、(本人)を前にして煽てるのは。むず痒いではないか!」

 

(―――なんて言いながら顔は笑ってるから、内心凄く嬉しいんだろうな……)

 

 さっき上空で見た魔導列車が近くを通過するが、また驚かされる。

列車が通過すれば必然的に騒音に悩まされる筈だが、魔導列車はそれらしい音がしなかった。

地面に敷かれたレールの上を魔導列車が走っても周りの窓が揺れる事はなく、視界に入らなければ魔導列車内から生ずる駆動音は気になるほどでもない。

魔法で動いているから排気ガスなども漏れない。……俺達の世界の文明越えてない、この国?

 

 すると手を振る住人達の中から一人の子どもが駆け寄ってくる。

その手には明らかに高級そうな宝石が散りばめられた金のゴブレットが二つ握られていた。

兵士が一歩前に出ようとするが、それをアダムが手で制する。

 

「エリスか」

 

「はいっ魔王様!お父様から魔王様がおかえりになられたから、お飲み物をお持ちしろって!」

 

 お父様……そう聞いて俺の脳裏に過ぎったのはミハイルさんとカトレアさんだった。

カトレアさんはたしか子どもがいると言っていた……成程、目元が確かに似ている。

あと5年……いや10年もすれば超が付く美少女に成長するんだろうなぁ。

 

「フッ…そうか、大儀であるな。褒めてやるぞ」

 

 ゆっくりと膝を折ってエリスに視線を合わせたアダムはゴブレットを受け取る。

そしてニコニコ笑う彼女の頬を撫でて、もう片方の頬へ軽くキスをした。

突然の事に俺はギョロっと目を剥いてその場で棒立ちする。

傍らで見守る兵士が「これも何時もの事です」と苦笑して言った。

エリスは顔を真っ赤にしてペコリと頭を下げる。

 

「あ、ありがとう御座いまひゅ!魔王様っ」

 

「気にするな。我が臣下の子であれば我が子も同然。寵愛を授けるのは当然のこと」

 

「は、はひっ……」

 

(ああぁぁぁロリコンだぁぁぁ!!)

 

 なんて叫べないから心の中でだけ叫んでおく。

……べ、別にロリとキャッキャウフフなんて羨ましくもなんともないからな!?

するとアダムは俺に向き直ってゴブレットを一つ差し出しながら微笑んだ。

 

「勘違いするなよ清水。これは俺の、王として部下を労う当然の行いだ。お前も今後の働き次第では俺の寵愛を受けられるのだからな――――――光栄に思えよ?」

 

(しかも同性愛者(バイ)だぁぁぁぁぁ!!?)

 

 それからバルバルスの町中を歩きながら、俺の突っ込みが止まる事はなかった。

アダムは先ほどのように近づいて来る魔人族の女性を片端から興奮させていた。

ある若い女性には握手をして満面の笑みを送り、ある老婆には抱擁を、娼婦には手の甲にキスを。

魔王城に着くまで歓声と黄色い声、俺の心の悲鳴は続いたのである。

 

 




 魔王様は等しく万民を愛する(老若男女問わず)
詳しくは書きませんでしたが、それぞれの国が持つ文明レベルを比較すると

 魔国ガーランドは魔法に依る19世紀ヴィクトリア朝(異世界風中世ヨーロッパ後期)原作同様に種としての優劣思想が一部の魔人から支持されているが、アダムはそういった事を好まず、純粋な生存競争のみを好む。
農業も工業も人間の国と大差ないが、魔法技術の研究だけは一番進んでいた。


 ヘルシャー帝国は蒸気機関や竜人の伝えた技術により魔国に近い(魔国にやや劣る)
現代人の思想に近いが、力で全てを捻じ伏せて従わせる原作の部分も残っている。工業が盛ん。

 ハイリヒ王国は18世紀の文明レベルに近付こうとしますが、聖教教会の教義等が足枷となり啓蒙主義が生まれない為に停滞しています(王国は主に農耕と貿易を中心に力を入れているが、帝国の奴隷制廃止により衰退している)

 アンカジ公国は詳細を伏せますが、現状最も文明が進んでいません。
自然が決して豊かとは言えず、過酷な環境に囲まれた土地ばかりですが天然自然の産出量は北の大陸一、漁業等の中心地でもある。

 例の如くガバガバ知識の適当なオリ要素混ぜた設定でした。
要望があれば一番上のキャラ設定等の話の一つとして書き足すつもりです。

感想、質問、ご指摘等お待ちしております!

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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