フロンティア界屈指の良モンスと噂の奴、ワールド屈指のクソモンス、アイスボーン屈指のクソモンスが相手になります!
シュネー雪原上空を、傷だらけのノイントがふらふら飛んでいる。
何処へ行けばいいか分からない。ただ、自分がこっちの方角から来たという記憶の残滓を頼りに、これからどうすればいいか途方に暮れていた。
バルバルスを出て暫くは泣きじゃくっていたが、涙は雲の上を越えた辺りで凍り付いた。
(私は、これから――――――――――――)
自分は何処から来て、何処に帰ればいいというのか。
何をするべきなのか、何をすることが自分の存在意義だというのか。
自問自答を繰り返しても、虚しいだけなのに………
そんな彼女に対して、空を統べる者達は容赦なく牙を剥いた。
――――――ヴゴオォォォォォォッ!!
「―――――ッ!?」
雲海を切り裂いて飛び出してきたのは黒緑色の外殻を纏った飛竜。
ハンターズギルドで初めてその個体が確認されたのはライセン大峡谷。
以降は各地の高所で姿を目撃されていたが、狩猟された個体はかなり少ない。
電光を放つ姿から
このモンスターは当時数々のモンスターを狩猟して伝説と謳われたギルドマスターをして「個体によっては実力だけなら古龍種にも匹敵する」と言わしめた飛竜である。
大型の飛竜種・
「来ないでッ……あっちにいってっ――――――!!」
何処から供給されているかも分からない不気味な魔力を、今だけは全力で飛行能力に使う。
ノイントが更に上昇すると、ベルキュロスもそれを追いかける。
黄緑色の髭を靡かせ、翼を大きく広げてベルキュロスは彼女に噛みつこうとした。
「くっ――――――!」
無理な軌道変更は体への負担が大きいがやむを得ない。
右へ旋回したノイントの判断はこの瞬間まで間違っていなかった。
直後、右へ避けたノイントの後頭部に何かが叩きつけられる。
「がっ!?」
それはベルキュロスの異様に発達した翼の後方に伸びる触手のような何か。
先端に鉤爪を生やした触手をベルキュロスは彼女に向かって叩きつけたのだ。
辛うじて鉤爪の直撃は免れたが、衝撃でノイントは雲海へ落下する。
視界の悪い雲海の中を進む彼女を次なる悲劇が襲った。
ベルキュロスの体が突如として電気を放つ、全方位に向けた放電。
落下の際に僅かに失速したノイントはそれをまともに食らってしまう。
「ぎ、あああぁぁがああぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――!!!?」
悲鳴を上げて、全身の骨と肉を焦がすほどの痛みがノイントを襲う。
彼女はそれでも気を失わない。
一瞬、後ろを飛ぶベルキュロスに向かって怒りの目を剥けたが、すぐ逃走に切り替えた。
(雲海の中は危険、高度を下げて山脈で撒くのが最適解……!)
雲を脱して凍える猛吹雪の中をノイントは進んでいく。
ベルキュロスは目の前の獲物が瀕死とみて追撃の手を緩めようとはしない。
しかし目先の事に拘ったが故に、
――――――ギイイィエエエエエェェエェェッ!!
(嘘……二匹目!?)
猛吹雪の中をベルキュロス目掛けて飛び掛かった飛竜。
風漂竜レイギエナの中でも極寒の地に適応し、更なる能力を得た特殊個体”凍て刺すレイギエナ”
翼や首元に氷の棘を生やしたレイギエナがその爪をベルキュロスへ突き立てる。
――――ヴオオオォォォッ!!
当然ベルキュロスも奇襲されたとはいえ邪魔されることを良しとせず、力を溜めて二度目の放電を自身の体に負荷が掛かることも承知の上でレイギエナに放った。
悲鳴を上げてレイギエナは一旦距離を置くが、再度強襲しようと旋回を始める。
ベルキュロスがそれを追いかけたのを見たノイントは好機と捉えた。
(今なら上に逃げ切って――――――!)
猛吹雪の中で銀色の髪の彼女は全裸に近くともそれが保護色となっている。
極力目立たぬよう、二匹の縄張り争いに巻き込まれないうちにと上空へ退散した。
「――――――はぁ、はぁ―――っく……!」
雲海を抜けて、温かな陽射しを浴びるノイントだが苦悶の表情を浮かべる。
触手の叩きつけで頭部の一部が裂けたのか、左目の視界が赤色に染まった。
更に放電を食らって、全身を極寒の猛吹雪の中に晒したことで負担が大きくなった。
(何処か……何処か休める場所を――――――――!)
――――――ヴオオオオォォォォオオオオオンッ!!!
「………う、そ………」
彼女が飛んでいる方向から猛スピードで声を上げて何かが突っ込んでくる。
慌てて逆制動を掛けて突っ込んでくるそれを躱したノイント。
それは一度は雲海へと飛び込んだが、旋回して再び戻ってきた。
胴体と一体化したような太い首を持ち、丸みを帯びた体の上面と下面で鱗の色合い大きく変わる。
その飛竜は翼や尻尾、棘や角といった目立った部位に攻撃的特徴を併せ持たない変わりに、獰猛な性格と危険過ぎる特性から飛竜種としては異例の
空中にいれば、バゼルギウスの特性上危険は少ないだろう……と誰もが思った。
バゼルギウスの下面に垂れ下がる無数の鱗、これを体内の特殊な器官から分泌される液体で満たして体から切り離すことで生まれる
しかしノイントはバゼルギウスが
直後、頭上から降り注ぐ爆鱗が空気の変化によって彼女の周りで爆発し始める。
「っ……ぁ……このまま……では―――――――!!」
そうなってはあの二匹がまだ争っている猛吹雪の中に――――――
「……ッ!!そうか、これなら――――――」
彼女は雨のように降り注ぐ爆鱗を避けながら、
当然バゼルギウスはそれを追いかけるが、ほんの僅かなあいだ彼女を見失った。
雲の下で猛吹雪が荒れ狂い、放電と氷の棘が飛び交っている。
ベルキュロスと凍て刺すレイギエナの争いを前に、バゼルギウスの乱入という結果―――
―――グオオォォォッ!!
―――ギィエエエエェ!!
―――ヴオォォオオン!!
三匹の竜が入り乱れる激闘の幕が上がったのである。
再び気配を殺して上空へ避難しようとしたノイントだが――――――
――――――グウアアアアアァァァッ!!!
三匹の竜に目もくれず、ノイントを狙って黒い竜が襲い掛かった。
彼女はもう脇目も振らずに雲海を飛び越えて太陽にも届きそうな勢いで逃げ出す。
考える余裕などない。
大自然の脅威がこれ程だったとは知らなかった。
今はもう、生き残る事だけに集中して飛び続ける。
*
(まさか、仙境を出た直後に神の使徒と遭遇するとはのう――――――!)
黒い竜、ティオ・クラルスは困惑しながらも好戦的な笑みを浮かべる。
同朋達の意識改革を目的として、祖父と少数の信頼できる部下に後の事を任せたティオは人間族の暮らしを調査する為に仙境を飛び立ったばかり。
目の前で起こる三匹の飛竜による乱闘から逃れようとする怨敵を見つけたのだ。
真なる神の使徒。
かつて竜人族を襲った人間達を先導したのが彼女らであったという。
幼い頃のティオがそれを知った時、必ず彼女らを殺してやろうと怒り狂ったものだ。
女王としての立場になっていなければ、復讐に突き動かされた邪竜となっていただろう。
何故、神の使徒が単独で人間族と魔人族の境界線である雪原の上空を飛んでいたのか。
ティオはそれを疑問に抱きつつも、相手が答えてくれるような存在でないことを知っていた。
故に問答の必要はなし、幼き日の自分と死んでいった同朋、両親の分も含めて……
(神の手も届かぬあの世とやらに送ってやろう――――――!)
こうして始まった
かつては追う者が
三匹の竜の争いに目もくれず、一人と一匹は境界線を抜けて王国領の上空を飛ぶ。
それが、赤い彗星の逆鱗に触れた。
この時ばかりは他の飛竜も鳥竜も、彼のものが座す天空の縄張りに踏み入ろうとしなかったのに。
最初に両者の耳に聞こえたのは、空を裂く金切り声のような何かの音。
竜の羽ばたきとは似ても似つかない、
何かに見られていると直感で気づいた時には全てが遅すぎた。
空気の爆ぜる音と雲海を切り裂いて迫る紅い光。
両者の間を貫いたそれの衝撃で追撃戦は中断された。
ノイントは紅い光の一部が目に入り、絶叫する間もなく脇腹から血を噴き出して落ちる。
ティオはその場で錐揉み三回転半しながら体勢を立て直し、竜化を解いてそれの追撃を振り切る。
紅い光はまた遥か上空へと舞い戻って……両者を追いかける事はしなかった。
ただこの日……王国各地には人知れず赤い彗星の欠片が降り注いだという。
ティオは荒野を彷徨いながら、最後にノイントが落ちた方角をしっかり覚えていた。
(妾も傷を負ったが、奴はそれ以上の深手……!)
復讐に執着するつもりはないが、それでも両親の仇を討てる機会を逃すつもりはない。
ようやくノイントが落ちたであろう場所に竜化する力を取り戻したティオは現れたが………
そこに痕跡はあれど、ノイントの姿は無かったのである。
フロンティアのホームページ開いたらモンスターの一覧とか開けてちょっと楽しかったです(作業中の作者の感想)
というかこれからハジメ君はMHXXとかWorldのモンスターに加えてこいつ等とも戦わなきゃいけないんだよなぁ……エグスギィ
お空を汚されなければ凶兆君は怒りません(この後動かないとは言っていない)
本編の方と読み比べるとちょっと違和感あるかもしれませんが、ティオさん的には親の仇(人間をそう仕向けた連中)なのでキレ気味なところはらしくないかなぁと作者自身思いつつもご理解いただければ幸いです。
感想、質問、ご指摘等お待ちしております!
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡