モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 連休の真夜中にようやく最新話を投稿できる作者ェ……。
ようやくプロットが固まったかなーと思いつつ、少し前に書いていたプロットが消失していたという。



宴でイメチェン

 神代から残っている城壁に囲まれたヘルシャー帝国首都。

忙しなく働いてる人々の行き来に混ざり、アプトノスやガーグァといったモンスターが荷物を載せる仕事を手伝っていた。

 

 首都は大きく分けて5つの区画がある。

 

首都の南側は居住区、貴族や軍関係者といった帝国の重要人物と家族が多くを占めている。

 

西側は商業区、首都に住む一般人はここに住む。冒険者のギルドがある他、商人達の宿泊施設も集中している。

 

中央には巨大な広場と政務に使われる迎賓館、皇族が執務を行う為の城が象徴として建っている。

 

北側は帝国軍の重要施設が置かれているが、一般人は立ち入り禁止の他、情報規制されているため詳細が分からない。

 

そして東側、そこには帝国で最も活気に満ちた区は、ハンターズギルド本部とハンター達御用達の工房が、昼夜問わず稼働していた。

 

 

 ハンターズギルド本部施設は石造の3階建て。煙突から常に白煙を立ち上らせて、アイルーキッチンのアイルー達が料理の仕込みなどで奔走している。

 

 扉を開けた目の前には窓口があり、日中・夜の交代勤務で美人の受付嬢が事務仕事をしている。ハンターの多くが独身で仕事一筋の受付嬢に心惹かれて告白に踏み切り、あっさり断られるという光景も日常的に見られる。

 

 窓口から少し離れると、1階はハンター達が頻繁に利用するアイルーキッチンの食事場が広がっている。

そこでハジメとレイ以外の卒業試験合格者…新人ハンター達が大宴会を開いていた。

 

 長机には所狭しと肉や魚を載せた料理が置かれて、机の上に載せきれない果物や菓子の類が空いた椅子の上に寄せられている。食事場の近くには小さな踊り場があり、そこで音楽家達が軽快な音楽を鳴らして宴の席を盛り上げていた。

 

「よっしゃあぁぁ!!腕相撲するぞぉっ!!」

「望むところだコラぁ!地面にキスさせてやるぜえー!」

「ウアヒャヒャヒャ~もっとやれ〜!」

「ぅい^~……っくぁ!お"か"わ"り"ぃ!!……えっぷ」

「飲み過ぎだよアホ、便所で顔洗ってから出直しな」

 

 飲んで酔って騒いで暴れて眠って起きて、自由奔放とはまさにこのこと。

新人ハンター達に混じって、彼らのうちの誰かと面識のある先輩ハンターや、近くを通りかかった工房の職人などもちらほら見受けられる。

 

 ハジメとレイも既に顔を赤くしながら小さなテーブルを挟んで向かい合い――――

 

「だからイャンクックがああいう風に動いたら避けてから仕掛ける方がいいって」

「いやそれじゃ数秒無駄だろ。被弾覚悟で懐飛び込み攻撃のが効率いいっつーの」

 

 終わった卒業試験中のお互いの動きの改善点を出し合う話し合いだったのだが、何時の間にやら自分が動きやすいと思ったIF(もしも)の話でマウントを取るようになっていた。

 

「腐っても飛竜種(ワイバーン)の親戚の鳥竜種だぞ?懐入るなんて簡単に言うなよ」

 

 あくまで慎重な動きを心がけるガンナー志望のハジメは、右手に持ったアプトノスの塩焼き骨付き肉をイャンクックに例えて、口の中で頬張った瞬間に刺さる小骨のように油断大敵と言う。

 

 ガンランサーのレイはそれを鼻で笑い、右手に握るフォークで刺した火の上で炙ったチーズの塊をハジメの眼前に突きつけながら言い返す。

 

「甘いなハジメ~。このチーズのようにとろけそうなほど甘ちゃんだ、そんな心構えで中型の鳥竜種なんぞにビビってるようじゃあ飛竜種を倒すのも何年かかる事やら?同期として心配だぜ」

 

 ピキッ―――ハジメの眉間に僅かだが皺が寄った。

レイはフォークの自分の口元へ持っていき、頬を緩ませてチーズの味を堪能する。

左手の近くに置かれていたジョッキを掴んで一息に中身を飲み干したハジメが笑う。

通りかかった給仕のアイルーが空のジョッキと交換して、泡が零れ落ちるくらいビールがなみなみ注がれた新しいジョッキをハジメとレイの机に置いて去っていく。

 

「俺も心配だなぁレイ。自分の足元をしっかり見ないで上ばかり目指してる間抜けな同期がうっかり小型モンスターに囲まれて袋叩きあわねえよう、クソッタレ神に祈っておくぜ!」

 

 ぴくッ―――レイの頬が引き攣って、普段から浮かべる笑みがより一層凄みを増した。

周りの者達は酒に酔って騒いでいるため、2人の発する異様な気迫に気づかない。

ゆっくりと椅子から立ち上がり、2人は笑顔を浮かべながら距離を縮める。

 

「やんのかヒョロヒョロ」

「テメエに言われたくねえんだよガリガリ」

 

 

 

「「………………」」

 

 2人の間に漂う不穏な空気が膨れ上がり、段々と無表情になる2人。

周囲の喧騒が2人の耳から遠のいていき、モンスターと対峙している時のような濃厚な殺気を含んだ取っ組み合いが始まろうかというとき――――

 

「レイ君ハジメ君~お取込み中ちょっと悪いんだけど、こっち来てー!!」

 

 卒業生の1人である新米少女ハンターが手を振って声をかけてきた。

お互いに横目で少女をちらと見て、そっと距離を取りながら吐き捨てる。

 

「命拾いしたな?」

「お前がな?」

 

 ハジメとレイのこうした喧嘩は今に始まった事じゃない。気の置けぬ友人同士だからこそ、酔いが回った拍子に意見の食い違い等で口論や取っ組み合いなんて訓練所では日常茶飯事だった。

そうして喧嘩した後に自然と仲直りするのも、2人は早かったりする。

実はハジメだけこうした経験がなかった為、最初はかなり戸惑っていたり……。

 

 

 

 

「んで、呼びつけて何の用だ?」

 

 同期達が一つの長机に集まる中で、レイが代表して声をかけてきた少女に聞く。

ハジメはレイから少し離れた椅子に座って、近くの皿に盛られた果物を摘まんでいる。

少女”リーナ”は笑みを浮かべながら、手元に卒業生の人数分はある木の棒を見せた。

 

「じゃじゃーん!!これから卒業生1人1人に、この木の棒を一本引いて貰います!中には一本だけ赤い色をつけたアタリ棒がありまして、それを取った人には”ある事”をやって貰いまーす!」

「ある事?」

「それは当たってからのお楽しみ!さぁ、みんな引いて引いて!」

 

 リーナの言うとおりに、何か面白そうな事が起こると思った卒業生たちは興味津々にリーナの手から木の棒を引いていく。順番が回って来たハジメが一本引いて――――

 

「あっ」

「おおぉ~!ハジメ君が当たりだー!」

 

「ハジメかぁー」「何すんだ?」

「今からモンスター1匹狩ってこいとか」

「それかビール一気飲みとか?」「樽で飲ませてやれ」

 

 口々にある事の予想を立てる卒業生たちに混じって、レイがニヤニヤ笑う。

ハジメは注目されて内心恥ずかしい反面、目立ててちょっと楽しいとか思ったり。

そんな彼の前にやってきたリーナは満面の笑みで宣言する。

 

「じゃあハジメ君にはこれから”イメチェン”してもらいまーす!」

 

「「「「「イメチェン……?」」」」」

 

「そうイメチェン!さっき受付嬢さんに聞いたんだけどねー?此処、ギルド本部にはハンターの身だしなみを整えてくれる美容師のアイルーがいるんだって。受付嬢さん曰く「鋭いハサミの代わりに長い爪で縦横無尽、自由自在に髪を増やしたり減らしたり、瞳の色から肌の色まで魔法のようにちょちょいと変えてくれるらしいよ?」

 

(魔法のようにっつーか、それほぼ100パーセント魔法じゃねえか)

 

 世の中の髪で困る人が聞いたら血涙不可避の事実に苦笑するハジメ。

リーナの説明を聞き終えた卒業生たちがハジメをじっと見つめて―――不意に全員が意地悪い笑みを浮かべて、何処からともなく取り出したカタログを手に話し出す。

ハジメは流れを察して「俺の意思は通りそうにねえな」と諦める。

 

「それじゃ、美容師アイルーさん。お願いしまぁす♪」

「ニャッハー!おいらに掛かればお茶の子さいさい、どんな事もやってやるニャー!」

 

「……ぶっ!?」

 

 暫くして椅子に座ったハジメの前に、リーナが手を引いて連れてきた美容師のアイルーが現れる。ハジメはその姿を見て思わず飲みかけのビールを吹き出してしまい、周りの卒業生たちも一様に半口開けてアイルーを凝視する。そのアイルーは目の部分にサングラスをかけて、頭に明らか地毛ではない真っ黒なボンバーヘッド”アフロ”を装備していたからだ。

 

「さぁさぁお客さんのオーダーニャ、お兄さん。ちょいと目を瞑るニャー!」

「みんなも一緒に目を瞑ってー!私がいっせーので声かけたら開けてよー?」

 

(頼むからまともなオーダーであってくれ……)

 

 信仰者のように両手を組んで天を仰ぎ見たくなる衝動に駆られるハジメを他所に、アフロのアイルーはシャシャッと爪を振り回してハジメの髪の毛を変えていく。時折手を翳して何らかの魔法を唱えたりして、ハジメは頭の上が若干むず痒い気分に襲われる。

 

 アフロのアイルーが試行錯誤を重ねること数分が経過。

リーナが「いっせーの!」と声をかけて、全員が一斉に目を開くと同時にハジメに視線が集まる。

ハジメはご丁寧にアフロのアイルーが置いてくれた鏡を見て――――目を覆いたくなった。

 

 そこには髪の色を全て銀色に変えられて、瞳が赤く染められた中二病っぽい何かが立っていた。

 

「ぶ、は――――」

「うは、うひゃはははは!!誰だよこんなオーダーにしたの!」

「あ、銀髪は俺がチョイスしたわ!」「お前かぁ!」

「だからって赤目はねーわ赤目は!」「クッソイケメンじゃねーか!?」

「くっは…っべえ!腹痛ぇ……!超面白ぇ!」

 

 

「お、前、ら、なあぁああああああああああ!!!」

 

 

 怒りを露わにして笑いまくる卒業生たちに詰め寄ろうとしたハジメ。

そこへばっと俯いたままのリーナとレイが手を広げてゆく手を阻む。

怪訝な顔をするハジメの目の前で―――2人は笑いをこらえながら言った。

 

「だ、大丈夫だよハジメ君。とってもププッ、カッコいいから…クフフッ!」

「クックククッ!流石は俺の相棒だぜ、暫くその姿で居ろよな?面白いから!!」

 

 

「~~~~ッッ!!!全員ぶっ殺しゃああぁぁぁぁあぁーーー!!」

 

 

 




ハジメ君がやっと原作オルクス大迷宮での魔物の肉食って変化後みたいな状態になりましたね(ガワだけ)こっちではまだ腕も目も健在ですが。

補足しておきますと、ハジメとレイの喧嘩はよくあるじゃれ合いみたいなものなので、本格的に仲が悪くなるみたいな事にはなりません。
週単位で河原で殴り合って和解する青春をやってるみたいなもんです。

感想、質問、ご指摘などお待ちしております!

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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