過去の設定とズレがないかなと探しつつ、初期にポロっと出した設定であまり使われていない所とかを採用したりで回りくどい形になりましたが…
カルトゥスはティオを連れて、帝国の皇女トレイシーの下を訪れていた。
彼が竜人であった事を明かしてトレイシーはやや驚いた様子だが、真剣な顔で是まで自分がやってきた事やティオの暴走の件を伝えると、黙って話を聞いた。
ティオはまず自ら竜人族の長だったことを明かして、町中で暴れたことを謝る。
不幸中の幸いと言うべきか、彼女に襲われたノイント、彼女と戦ったハジメ以外に負傷者はいなかった。しかしそれでも彼女の行いは許される事ではない。
竜人族の長
ティオが自分の罪を告白した後で、カルトゥスも自身が間諜だった事を伝える。
是に関してトレイシーはそこまで驚く様子はなく、深い理由を聞くことはしなかった。
もうこの世にはいない友人が残した娘、自分にとっては姪のようなものであるティオを一人だけ罪を償わせる為に死なせるつもりはなく、彼も命を差し出して償いをすると言い出した。
「フム…覚悟は決まってるか」
急な話で内心混乱している事を悟られないように考えるフリをするトレイシー。
冷静になって考える内に、これはチャンスなのではないかと思い始める。
この場で即断即決せずに、彼らに貸を作っておけば後々に有利になるかもしれない。
亜人族との講和は失敗に終わったが、竜人族とは確実に友好を結ぶべきだと考えた。
帝国が今のように力を持ち始めたきっかけがハンターの存在が大きい。
そのハンターの大元、原点は竜人族の技術によるものだからだ。
自分が切れる交渉のカードはなるべく減らさないように、トレイシーは驚愕の事実を告げる。
「カルトゥス、お前は知っていると思うが…ハンターズギルドのギルドマスターは竜人族だ」
「…存じております。かつては流浪の民で、最も強い戦士と呼ばれた
ギルドマスターの存在はあまり公に知れ渡っていない。
知れば確実に教会が口を出してくるから、ガハルド皇帝が隠蔽しているのだ。
ハンターズギルドという組織はあくまで表向きは帝国の人間が管理・運営している。
しかし実際にギルドの職員は竜人や獣人が何割かを占めていた。
「私の義父、ガハルド皇帝と親しい仲であるというのは?」
「…!…それは、初めて聞きました」
「我々帝国は竜人族にずっと感謝している。お前達の同胞が伝えた技術が無ければ、我々が今のような暮らしを続けていく事は出来なかっただろうからな…そして――――――」
話している間にトレイシーの顔から笑みが消え、怒りの形相へと変わる。
歳の差数百歳だというのに、二人は彼女の王族として威圧に息を呑む。
「―――遠い昔の
「そ、れは…」
「数百年前の過ぎた事等と言うつもりはない。…
「――――――!」
「ヘルシャー帝国の皇女として、今回の件は不慮の事故という形で内々に済ませたい。私達は人間と竜人の関係を、数百年前と同じような結果にはしたくない…」
真摯に頭を下げたトレイシーの姿を見て、ティオは深い衝撃を受けた。
同じ
一体どんな人生を送れば、こんな風になれるというのか…
ティオの中でひっそりと彼女に対する、畏敬の念が生まれた。
命を捨てる覚悟で罪を告白しに来たというのに、逆に頭を下げられる。
ティオもまだ一族の長であり、此処で中途半端な答えを口には出来ない。
「…改めて此度の件、寛大な処置を下さった事に謝辞を…そして帝国との友好を結ぶ件。前向きに検討したいと、妾からも仙境の老人たちに進言する事をこの場にて誓おうぞ」
人知れず、後の歴史を変える権力者同士の話し合いが行われていた。
この場に居た誰もが、この事実を歴史の中に書き記すことはしなかったという。
*
「――――――のう、カルトゥスよ…妾は、もう里には戻れぬかの?」
「…掟を破った事を知れば、君の祖父は君を女王の座から下ろすだろうな」
トレイシーが馬車を手配してくるまでの間、人気のない川の傍で二人は話していた。
夕焼け空を眺めながら、笑っているのか泣いているのか曖昧な表情でティオは言う。
「そうか………………寂しいのう」
取り返しのつかない事をした、ティオ自身それは痛いほどよく分かっているつもりだ。
それでも数百年間、移り住んだ土地とはいえ彼女が長となってから守り続けてきた第二の故郷は、もう彼女が二度と顔を出せない場所になってしまった。
茜色の空を飛ぶ黒い鳥が一羽、群れを離れて飛んでいくのが見える。
それがまるで自分の今を表しているようだと思ったティオの目頭が熱を帯びるも、涙を流す権利が自分にはないと言い聞かせて堪えた。
生き永らえる事が出来たが、復讐の炎が消え、過去に縛られなくなった。
それと同時に今のティオは立場を、居場所を、誇りを失った屍も同然である。
自分の犯したことを無かった事にして同族に顔向けなぞ、彼女の良心が許さない。
さっきと同じように罪を告白して許しを請うたところで、仙境の老人が認めない。
「――――――文を、里に出しますか?」
「…無論じゃ、元より後の事はお爺様に一任するつもりじゃった」
ティオが里を出た本当の目的は、自分の目で変わりゆく世界を確かめる事だった。
そうする事が長として見識を広めて新しい発想を得る事、一族の発展に繋がると思っていた。
しかし予期せぬ怨敵との遭遇が、全ての行動指針を書き換えてしまった。
トレイシーとの話し合いに嘘偽りを持ち込んだつもりはない。
ただ彼女は言いそびれてしまった。仮に帝国が仙境の竜人と友好を結ぼうとしても、そこにティオが協力してもあまり意味がないことを後から言い出せなかった。
けれどもトレイシーはそれを見越してあの場で話を纏めた。
「妾の言葉では老人共は嘘偽りであると疑うかもしれぬ。…カルトゥスよ、この期に及んで恥ずべき事ではあると自覚しているが…ぬしの名を使わせて貰ってもよいかの?出来るのなら、あの帝国の皇女が口にした友好の件も、ぬしがお爺様に伝えてくれぬか?」
「…それは構わない。…これから君はどうするんだ?」
「…さてな…行き場を失ってしもうた小娘一人、気に掛ける物好きは居らんだろうて」
彼女の罪に気づかない者は、美しい彼女と言葉を交わす事を喜べるだろう。
しかし彼女自身が、また何かの拍子に竜の形をした獣に堕ちる可能性を恐れている。
夕焼け空が藍色に移り変わっていく中、カルトゥスはゆっくりと口を開いた。
「ティオ、君は少し…子どもでいる時間が短すぎた…私はそう思う」
「………」
「是は星読みでも何でもない…私の独り言だ、聞き流してくれても構わない」
そう言って暗くなり始めた夜空に浮かぶ星々を眺めたカルトゥス。
凶兆の赤い星は何処かに姿を消しているが、またすぐに現れるだろう。
彼が探しているのはそれではなく、顔を出し始めた月の傍にある星。
その星は綺麗な青い光を灯しているが、月の傍であまり目立たない。
ある御伽噺では、導きの青い星を頼りに一人の青年が海を渡ったとされる。
また導きの青い星はかつて、竜の姿をしていたという。
「青年が星を縁にした。…その逆があっても、不思議ではない…私はそう思う」
「…妾に…こんな妾なぞに、誰かを頼れと…?」
「竜が星となったのは、命に始まりと終わりの望んだからだ。…では逆の立場だったら?竜が命の始まりと終わりを望んだ時、何を頼りに先へ進むというのだ」
「………」
「―――ティオ・クラルス、君は今から女王でも、復讐者でもない、ただのティオ・クラルスだ。君が再起を望むというのなら―――再起の鍵を握るのはきっと彼以外にいない。道標はもう示されている、後は君が心に従うかだけだ」
導きの青い星の下りはモンスターハンター・ワールド本編をやってる方じゃないと分かり難いですよね…申し訳ない(汗)気になった方は是非、PS4でもPC版お好きな方でMHWをプレイして下さい(ガバガバステマ)
いずれ例の奴とか出さなきゃいけなくなった時に御伽噺の類は纏めて設定として出そうかなと思っています(どんだけ先の話だよと内心自分に突っ込み)
やっと先に進めるのかな…うん?誰か忘れてるような気がするって…?
……まっ、いいか☆平気平気、この先いっぱい出番あるから。
いなかったいなかった、可哀想な王国のお姫様なんていなかった!!
(嘘です、ちゃんと次の町に進む辺りで幕間出します)
感想、質問、ご指摘等お待ちしております。
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡