モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

212 / 240
 チラっと感想みたら怒涛のように増えてて嬉しい作者です。
結果はもう決まっているので後は作者の書き方次第で幾らでも進められます。
今回はあんまり面白味のない結果で終わるかもしれません…


幕間の物語 神の使徒リベンジ③-b(前編)

 第二十一階層から檜山大介の悲鳴が聞こえたのは光輝達がいなくなった直後。

騎士団長メルド、一人残された騎士、永山パーティーの五人の表情が一斉に凍り付く。

それが自分達の()()()()()()()()()()()だと、この時は誰も気づかなかった。

 

「メルドさん、今のは!?」

 

「大介だ、二十一階層…光輝達が向かった方から聞こえた…急ぐぞ!」

 

「はいっ!」

 

 重吾は威勢よく返事をしてパーティーの四人に視線で合図を送る。

健太郎と浩介が周囲を警戒する形で展開し、中央に真央が後ろに綾子が続いた。

メルドと騎士に追従する形で永山パーティーは来た道を引き返そうとするが―――

 

―――ブゲッ!

 

「うわぁっ!?」

 

「っ!?どうした浩介ぇっ!!」

 

 突然暗闇から何かを吐き出す音と共に左を走っていた浩介が悲鳴を上げた。

すぐにメルドと騎士が立ち止まり、近くにいた重吾と健太郎が駆け寄る。

しかし松明で照らされた先にいたのは…

 

「浩介…お前、それ―――!?」

「おい…大丈夫かしっかりしろよ浩介ぇっ!」

 

 

「な、んだよ…これ…?あ、がぁぁっ―――!」

 

 紫色の粘着性がある液体を頭から被り、苦しんだ様子の浩介の姿だった。

彼の尋常ではない様子からそれが毒であるとすぐに分かって重吾は叫ぶ。

 

「辻!!治癒魔法だ、解毒を早くっ―――!」

 

「ぁ、ぁ、ひっ――――――」

 

 しかし重吾の叫びに対して綾子はある一点を見つめたまま小刻みに震えて動かなかった。

焦りと苛立ちから声を掛ける手間も惜しんで重吾が彼女のいる方へ視線を向ける。

そしてすぐに、彼女が返事もせず動けなかった理由が判明した。

 

―――ギィ、ギィ

―――ギィィ

 

「……なん、だよ……こいつ等!?」

 

 綾子が手にした松明の灯りに向かって暗闇から姿を現した不気味な魔物。

それには目に相当する顔の特徴が見当たらなかった。

潰れた蛙の甲高い鳴き声のようなものを発することから口があるのは分かる。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()

芋虫とも蛇とも違う…地面を這って現れた白い体色の小さな魔物。

その数は三匹、四匹と数を増していき綾子に一直線で向かっていく。

 

「い、や……」

 

 しかし二人がもっとも恐怖したのは足元を這うその小さな魔物だけじゃない。

暗闇から紫色に妖しく光る目のような何かを持った巨大な魔物が近づいていた。

飛竜のような翼を持っていながら関節部に爪らしきものが生え、原始的な骨格をしている。

 

 小さな魔物同様に白い体をしているが、松明に照らされたそれは光沢を放っていた。

この表皮全体をテカテカと光らせているものは液体、それの体内から分泌されたものだ。

液体は寒冷地域での体温の低下を防ぐための保温効果を齎す他、手足に浸透させることで音の響き易い洞窟内等でも移動時に音を立てにくくする事も可能とする。

 

 ()()オルクス大迷宮第二十二階層を縄張りとするモンスター。

飛竜種”ギギネブラ”別名を”毒怪竜”と呼ばれるモンスターである。

ギギネブラの足元を這って、綾子達と距離を詰める小型のモンスターは”ギィギ”

その正体はギギネブラの幼体だった。

 

「きゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!?」

 

―――ヴゴオオオォォォォォォォッ!

 

 重吾が止める間もなく綾子が叫び、ギギネブラが咆哮するのはほぼ同時だった。

ギィギ達は親が戦闘態勢に入ったと分かるや否や、綾子に向かって飛び掛かる。

グネグネと体をうねらせて鋭い牙が無数に生えたギィギが迫った。

 

「おぉぉぉ!!辻に近づくんじゃねえぇぇぇっ!!」

 

「野村っ!?」

「健太郎っ」

 

 突然のギギネブラとの遭遇に誰もが唖然とし、咆哮に耳を塞ぎ怯んでいる中、健太郎だけが怒声を上げながら、いつの間にか杖に”纏岩”を発動させて振り被りながら綾子を庇う様に前に出ていた。

驚きの声を上げる真央と重吾の前で綾子の為にと健太郎は奮戦する。

 

 運良く纏岩で強化された杖の横薙ぎの攻撃は飛び掛かったギィギに当たった。

しかも当たり所が良かったのかギィギはギギネブラの遥か後ろへと吹き飛ばされる。

悲鳴を上げた後に綾子は恐怖のあまり腰を抜かしてその場にへたり込んでしまう。

 

―――ピギィッ!

 

「あ、ぁぁ…っ!」

 

 健太郎は綾子を気にかけたいが、戦闘に集中している。

まだまだ足下からにじり寄ってくるギィギの群れを振り払いながら怒鳴った。

 

「重吾ッ!突っ立ってねぇで辻と吉野連れて下がれ馬鹿野郎!」

「―――ッ、おうっ!分かったっ」

「綾子ッ、急いで立ってっ、逃げるのよっ!」

 

 はっと我に返った重吾に腕を引っ張って貰いながら綾子は何とか立ち上がる。

付与術師である真央はパニックを起こさないように自分だけは冷静にと心の中で言い聞かせながら、視線を前で戦う健太郎に向けて杖を構えて”付与”の技能を発動させた。

 

 因みに運悪くこんな状況でも気配の薄さで全員の意識が向かなくなった浩介。

毒に苦しみながらゼイゼイと息を荒くして状況を分析する。

 

(このまま、俺がいたら足手纏いだ…!俺に、今俺に出来る一番のこと…!)

 

 パーティーの全員と決めていた作戦に今の状況を打破する考えはなかった。

浩介は毒で苦しい状態にはあるものの、動くだけなら何とかなるだろう。

だがこのままこの場に居続ければ他の者達の足を引っ張ることになる。

 

 此処にいる戦力じゃ目の前にいるこいつ等に勝つことは出来ない。

毒に苦しめられても冷静に思考を回転させた浩介が出した結論はそれだ。

ならばどうすればいいのか?彼は答えを出すより先に体がを動かした。

 

「ッ!?浩介どこにっ―――」

「メルドさんっ…ぐっ…!?俺、助け呼んできますっ…!」

 

「待て、一人じゃ危険だ、おい浩介戻れっ!!」

 

「重吾達のこと、お願いします……!」

 

 口から血を吐いて、手で胸を抑えながら苦しいのを堪えて浩介は叫ぶ。

必死に走って目指すのは第二十一階層に繋がる階段。

彼はたった一人でこの大迷宮を脱出し、助けを呼びにいく判断をしたのだ。

 

(肺が痛い…!心臓が苦しい…!目が見えない…っでも―――)

 

 メルドが引き留めるよりのをすり抜けて、浩介は暗闇の中を走っていく。

幸いにも暗殺者の技能に”夜目”があったお陰で一人なら暗闇も平気だ。

モンスターに襲われる可能性も、今の彼なら普段より確率はゼロに近いだろう。

というのも…彼の体に付着した毒のお陰で、態々手を出そうとする魔物はいないからだ。 

 

「くっ―――こうなれば…俺らも重吾達の援護に向かうぞ!!」

 

「は、はひぃっ!!」

 

 すぐに思考を切り替えて、メルドはギギネブラと対峙している重吾達の下へ向かう。

階上からまた誰かの叫び声がして、悲鳴が聞こえた。

彼は奥歯を噛み締めながら、ただ部下と使徒達全員の無事を祈る。

今優先すべきは…この場の危機を誰一人欠かすことなく脱することのみ…!

 

 

「大地よ我が声に応えろ、この場にて盾と成れ”土壁”ぇっ!!

 

 一先ずギィギから飛び掛かられる危険を取り除いた健太郎。

しかしギギネブラが紫色の目を光らせて口を窄めて体内を膨らませたのを見て気づく。

何をするか察して土壁を展開し、自分と後ろにいる重吾達を守った。

 

 ブパッ!とその口から紫色の塊…毒液を吐き出しギギネブラは後ろに跳んだ。

土壁に当たって毒液は周囲に飛散するが、健太郎たちは直撃を免れる。

しかしリノプロスの突進も止められる頑丈な土壁が変形しているのを見て彼は焦った。

 

(あの恐竜みたいな奴とは格が違うってのか……!?)

 

 脳裏に過ぎるのは黒い魔獣の恐ろしい姿。

目の前にいるモンスターがアレと同等かは分からないが、少なくとも今の自分達が死力を尽くしたところで刺し違えることも叶わない強敵であると認識した。

 

「今の内だ健太郎下がれっ!!」

 

 背後の声にチラと健太郎が振り返ると、重吾が思わぬ攻撃手段に出ていた。

彼は重格闘家として備わった技能”身体強化”で近くにあった大岩を持ち上げながら頭上で構え、土壁を越えて暗闇にいるであろうギギネブラ目掛けてそれを投擲するのだった。

 

「―――っらああああああぁぁ!!」

 

―――グギョッ!?

 

 ギギネブラも獲物と思っていた相手が予想外の攻撃をした事に声を上げて驚かされる。

更に言えば視力が低下したギギネブラでは、熱を持たない岩の投擲を避けられなかった。

ゴッ!と鈍い音がしてギギネブラの頭部に大岩が直撃する。

 

「助かったぜ重吾!」

 

「礼は後だ!今の内に逃げんだよ!!」

 

「―――”土壁”っ!」

 

 礼を言いながら重吾達のいる方へ駆け出す健太郎。

彼は冷静にギギネブラが追いかけてくるだろうという事を想定して、道を塞ぐほどの土壁を振り返らずに発動させた。詠唱を省いて狙いを定めなかった為、壁の厚みは大したことはないが、それでもほんの僅かな時間稼ぎくらいにはなるだろう。

 

「今だ!メルドさんっ」

「済まないお前達ッ援護が遅くなった…!」

 

「謝るのは後にして、今は―――」

 

「…ああ!全員、二十一階層まで走れぇっ―――!」

 

―――ヴゴオオオオオオォォォォッ!!

 

 メルド達の背後で怒りに震えたギギネブラの咆哮が土壁越しに聞こえた。

ドス、ドスという地響きをさせながら走ってくる音がして、間もなく土壁は破られる。

しかしその僅かな時間を使って、浩介除く永山パーティーの四人とメルド、一人の騎士は第二十二階層から逃れる事に成功した。

 

 だがオルクス大迷宮に潜む脅威から彼らは完全に逃げられていない。

気まぐれな賽子が振られ続ける限り、盤上の駒は何時か来る終わりに向き合うしかないのだ。

 




 惚れた女の為に漢を見せた野村君、使徒で唯一ギィギを撲殺した栄誉を与えよう。
チッ、もうちょっとでギィギの薄い本な展開までいけたのに、ダイス神め…余計なことを…!

 また使徒の中で一番のタフさを発揮したのがまさかの遠藤君でした…全体的に殺す気満々で書いてたんですが、幸運が発動したみたいですね。
傍から見たら遠藤君、ひとりで仲間見捨てて逃げたようにも見えますが、一応助けを呼びに行くという体裁を保って原作にちょっと似せた展開だったり。

 原作ではあまり注目されないパーティーリーダーの永山君ですが、天職がなんかゴリラっぽいので見た目にピッタリのゴリラっぽい活躍をさせました。
流石のギギネブラさんも岩の塊顔面にブチ当てられたら怯むようです。

感想、質問、ご指摘等お待ちしております。

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。