彼の心情を理解しようとしたけどこれが限界でした…まだ小悪党のが分かりやすい。
因みに皆さんはクリスマスイブ、クリスマス如何お過ごしですか?
作者は不変のボッチですが、ちょっと変わった事がありました。
というのも昼間に久しぶりに歯医者にいってきました…虫歯のせいで硬い煎餅ボリボリが出来ずに悶々としてます(めっちゃどうでもいい事を前書きのネタにする作者の屑)
幼かった俺は弁護士だった祖父に憧れた。
秩序と法律の下、正義を貫いて悪を裁く…そんな存在になると思っていた。
正義は常に力強く在らねばならない。
だから俺は勉強も人一倍頑張る一方で、運動にも磨きをかけた。
幼馴染の雫の実家が開いている道場に入門して、そこで剣道を学んだ。
剣道の理念、それは剣の理法の修練による人間形成の道だ。
剣道を正しく真剣に学び、心身を錬磨して旺盛なる気力を養い
礼節をとうとび、信義を重んじ、誠を尽くして、常に自己の修養に務め
以って国家社会を愛して広く人類の平和繁栄に寄与せんとするものである。
修練の心構えこそ、俺が目指すべき理想の形をしていた。
努力の甲斐あってか、いつの間にか俺の周りは良い友人に恵まれていた。
雫は幼馴染で俺のことをよく理解してくれるし、友達想いの良い子だ。
香織も雫同様に友達想いで、力は弱くても心の優しさなら俺に並ぶ子だ。
龍太郎は熱い男で、ちょっと言葉遣いは荒いけど、いつも俺の言葉に関心してくれる。
小学校も中学校も、周りから賞賛の声を浴びて俺の心は満ち足りていた。
憧れだった祖父が亡くなった時は俺も悲しかったけど、大切な友達のお陰で立ち直れた。
大人になっても、こんな風に満ち満ちた人生が順風満帆に続くと……思っていたんだ……
高校に上がってから暫くして、香織が一人の男子生徒を気にかけていると知った。
南雲ハジメ、勉強は人並み、運動は平均よりやや下、オタク趣味を持つ怠け者だ。
最初は香織がクラスの中で浮いている南雲に声を掛けて輪に入れてあげているんだと、親しくすることを黙認していたが…彼はそれを良い事になんでも彼女に頼るようになっていた。
流石にそれを見逃せるほど俺はお人好しじゃないし、他人でも甘やかすなんて出来ない。
高校生にもなって、周りに世話を焼かせるなんて情けないとは思わないのか?
叱咤の意味も含めて南雲に俺は何度もそういった話をしたが、アイツは苦笑して誤魔化すばかり。
雫にあまり言い過ぎるなと言われても、俺には我慢ならなかった。
香織にだって人生がある、高校生活は先の人生を左右する大事な時期だ。
それを他人である南雲に感けて彼女の将来に汚点が付いてしまうなんて…俺は許せない。
進級してしまう前に、いつか彼とは決着をつける必要がある。
だけど、それを実行するより先に…俺達は常軌を逸した出来事に巻き込まれてしまった。
異世界トータスにエヒトと名乗る神様に召喚された俺達は、教皇のイシュタルと名乗る老人に魔人族を倒して人間族の未来を救って欲しいと頼まれる。
最初は何が何だか分からなかったけれど、身体に不思議な力が漲るのを感じて俺は悟った。
これはきっと大昔の歴史にあったような神様からの試練なのだと。
馬鹿げた話かもしれないが、状況的にそうとしか考えられなかった。
厳しい試練を乗り越えて、俺達は元の世界に帰れたら一人前になれる。
それに、困っている人がいたら助けるのが当たり前だから。
クラスの皆も俺に賛同してくれて、俺達は世界を救う神の使徒に、俺は勇者に選ばれた。
試練がどれだけ厳しいものであっても、皆で力を合わせれば乗り越えられる!
…そう信じていたが、一人のクラスメイトが大迷宮攻略の前夜に逃げ出した。
南雲だった、あいつは訓練をサボるばかりか、異世界に来てまで香織に迷惑をかけていた。
大迷宮で恐ろしい魔獣に騎士が殺されて、俺達が負けてしまったのはあいつが逃げ出したからだ。
そんな事を怒りに任せて口に出したら、雫に叩かれて、香織は泣いていた。
俺には分からなかった…どうして二人はそこまでして南雲を庇おうとするのか理解出来ない。
二人が優しいのは十分理解している。…けど、あいつはその優しさに甘えているだけなんだ。
何があっても俺は南雲を許すつもりはなく、クラスの皆と一緒に糾弾するつもりだった。
南雲がいなくなった直後、それに感化された一人の男子、清水幸利も姿を消した。
彼も積極的に人を関わろうとしない、集団生活に於ける問題児のような存在だったかもしれないけど、大それたことをするような奴じゃなかったと思う。
きっといなくなる前に南雲に何かを吹き込まれた…俺は言葉に出さずとも、それを確信していた。
結束が揺らいで、クラスの皆は次は自分が死ぬんじゃないかと不安になっていた。
ここで誰かが力強く引っ張らなければ、世界を救って元の世界に帰れないんじゃないかと思った。
だから俺は次こそ誰も死なせない、俺が皆を守ると高らかに宣言した。
……雫も、香織も、龍太郎も、クラスの皆も……絶対に俺が守る!
――――――だから、これは何かの間違いなんだ。悪い夢に違いない。
*
「檜山ーっ!中野、斎藤、近藤!どこだーっ!」
珍しく怒っている様子の雫に無理やり説得されて、俺は龍太郎と騎士マリオさん、騎士クーパーさんの三人と一緒にオルクス大迷宮の第二十一階層の中を歩きながら、いなくなった檜山達四人のパーティーを探していた。
雫には大声を上げるなと言われたが、俺は構わず大声で探している。
どこにいったか分からない人を探すのなら、これが一番効率的だと思ったからだ。
デメリットとして魔物が襲ってくるかもしれないけど、ここはまだ二十一階層。
あの恐ろしい魔獣ベヒーモスが居座る第六十階層からは遠く離れているし、ここら辺の魔物は上の階層で戦ってきた魔物と変わらず、一匹一匹の強さは大したことない。
いざとなれば俺が戦って倒してしまえば済むことだ。
龍太郎が後ろで何かを言いたそうにしていたが、俺の意図を察してくれたのか黙々と辺りを探索してくれている。…こっちに来てから、俺の考えを一番理解してくれる…流石だよ、龍太郎は。
「マリオさんとクーパーさんはそっちの方をお願いします」
「は、はい」
「了解です」
マリオさんとクーパーさんは、見る限り他の三人の騎士の人達と同じで実戦経験が少ないらしい。
大迷宮に入ってから隊列を組んで移動する間、五人の動きを観察して俺は何となくそれを察した。
前回の攻略時に同行していた騎士に比べて動きにキレがなく、言葉遣いなんかも違和感を感じる。
メルドさんは多くは話してくれなかったけど、騎士見習い辺りを無理やり動員させたのだろう。
前回のような失敗はしない、今なら魔獣ベヒーモスだって俺一人で倒せるかもしれない。
やってみなければ分からない事だから断言は出来ないけど、俺はそう確信している。
あの時よりも、ずっと俺の中に満ちる力は強さを増していた。
(…ベヒーモスを倒せば、きっとイシュタルさんも…)
イシュタルさんに世界を救うために休息ばかりしてないで動けと言われた時、俺はハッとした。
一度の試練で挫けたからといって踏み止まってばかりいたら、元の世界に帰れる可能性は失われる。
それに…俺がイシュタルさんに世界を救うと宣言した…その言葉を嘘にすることは出来ない。
「どうだ龍太郎、何か見つかったか?」
「……いや、何も見つからねえ……クソッ、アイツ等どこいきやがったんだ」
「冷静にな龍太郎。きっと檜山達にも何か事情があったに違いない」
悪態を突く龍太郎を言葉で落ち着かせながら思案する。
檜山達はきっと、通り過ぎた階層で俺達が倒し損ねた魔物を倒してくれているのかもしれない。
口が悪く、粗暴な行動で雫から怒られてばかりいる彼らなりに、皆の役に立ちたいと考えて行動しているのだろう。…事前に相談くらいはして欲しかったけどな。
(兎に角、四人が見つかったら俺が代わりにメルドさんに謝ろう…)
理由はどうあれ団体行動を乱した檜山達を、メルドさんは必ず怒ろうとする。
だから俺が彼らに代わって口に出し辛い事情を説明すれば、きっと許してくれるだろう。
そんな時だった、不意に後ろからマリオさんの声が響く。
「勇者様、見つけました!」
「…ッ…本当ですか!?今そっちにいきます!」
松明を持って声に反応した龍太郎に目配せして、来た道を引き返す。
すると壁際の小さな横穴の前でマリオさんがこっちに向かって穴の中を指差していた。
「この中にお二人!まだ息はあります!」
「二人?他にはいませんか!?」
マリオさんに松明を渡して、俺は横穴の中を覗き込んだ。
横穴の中は気持ち悪さを感じるほどの悪臭に満ちていた。
穴の中にいたのは斎藤良樹、近藤礼一の二人…檜山と中野の姿はそこにない。
「斎藤、近藤っ…大丈夫か!?今、引っ張り上げるぞ…龍太郎!」
「おうさ!」
龍太郎に片方の手を掴んで貰いながら横穴の中に降りて手を伸ばした。
斎藤と近藤は驚いたように目を丸くしたまま口をパクパクさせている。
何も喋ろうとしないことに違和感を覚えたが…きっと何かあるんだろう。
それは恐らくこの場にいない檜山と中野の事だ。俺はそう思って一人ずつ引っ張り上げた。
「ハァ、ハァ…二人とも、檜山と中野はどこにいったんだ?」
「――――――ぁ、っ」
「――――――ぅ」
「おい!黙ってたら分からねえじゃねえか!さっさと答えろよ!!」
「いいんだ龍太郎!落ち着け、ゆっくりでいいから、教えてくれ!」
二人は体の至る所に
四人で無理して魔物に挑んだから、怪我をしてしまったんだろう。
香織を呼んでから治癒と応急処置をして、メルドさん達の所に戻る。
そう思っていたら、不意に二人の目に光が灯る。
さっきまでは何が何やら分からないといった様子の二人が、急に慌てた様子で―――
「お、おい…天之河、早く逃げろ…!」
「た、助けてくれ…バケモノ、バケモノがここに居るんだ…!」
「なっ!?どうしたんだ二人とも、逃げろって…それにバケモノ?何を言って―――」
直後、口を閉ざした二人の視線が俺ではなく、斜め後ろの天井に向けられている。
嫌な予感がして俺は龍太郎が脇に置いた松明を掴んでその方向に放り投げた。
松明の炎に照らされて…天井の暗闇に潜んでいた巨大なそれの姿が露わになる。
「なっ――――――!?」
「何だコイツ!?」
「「く、蜘蛛の魔物ッ!?」」
―――ギイィィィィィッ!!
悍ましい何かの皮を被った巨大な蜘蛛の魔物が天井から降りてきて俺達を威嚇した。
俺はこの時、後ろの二人がどうして傷だらけで、檜山達がどこにいったのか察する。
目の前の蜘蛛の魔物に襲われて、散り散りになってしまったんだろう。
剣を抜いて両手で持ち、肩の前で上段に構えながら俺は怒りを露わにして叫んだ。
「お前が檜山達をやったんだな…!」
返事は無い。魔物は悪しき存在であり、獣同様に人の言葉を解する事はないという。
命を奪う事に対して、罪悪感がないと言われれば嘘になるけれど、こいつらは魔物。
人の生活を脅かし、こうして仲間を殺そうとする…悪だ。
悪は許しておくわけにはいかない…正義の名のもとに、裁くしかないんだ!
「うおおおぉぉっ”限界突破”!」
技能”限界突破”は一時的に身体能力を倍以上に引き出してくれる。
代償として使用後は体に負担が掛かるから、何度も使うことは出来ない。
速攻で勝負を決めるべきと判断した俺は地面を蹴って空中にジャンプして剣を振り下ろす。
剣の重さと、空中から落下する俺の体の重さを加えた頭骨を狙った一撃。
巨大な魔物とはいえ所詮は蜘蛛…その頭部さえ潰れればこの一撃で終わるだろう。
…そう思っていた。
ガキンッ!
俺の剣、王国で数百年間使い手が現れなかった聖剣が、弾かれた。
蜘蛛の魔物は鬱陶しそうに身震いして、前脚の一本で空中にいた俺を横殴りにする。
全身をシェイクされたような衝撃に苦悶の声も上げられず、俺は吹き飛ばされた。
「光輝!?……てっめえぇぇぇ!!」
「ま、て…龍太郎っ、駄目だ…そいつは!!」
剣を一撃で弾かれたこと、今までの魔物とは比べ物にならない攻撃のダメージ。
それだけですぐに分かる…目の前の
けど、俺の制止の声よりも先に怒り心頭の龍太郎がナックルダスターを装備して突っ込む。
斬撃は効かなかった…だが殴られれば多少の怯みは与えられるだろうと…そう思いたかった。
ガバッと蜘蛛の魔物が大口を開けたのを見て、俺は咄嗟に龍太郎を止めるべきだった。
彼は止まらずそのまま口の中の上顎目掛けて鋭いアッパーを繰り出したが、口は閉ざされて―――
ブチッ!という何かが切れる音がした直後、龍太郎が後ろに仰け反って絶叫した。
「ぎゃああああああぁぁぁ!!」
「がアアアアアアアアァァァァァッ!!?」
この時、俺はあまりのショックで気づかなかった。
俺と龍太郎が戦っている間、斎藤と近藤に異変が起きていたこと。
横穴から湧いてきた小さな蜘蛛の魔物の群れに、マリオさんとクーパーさんが襲われていたこと。
足下の注意が疎かになったマリオさんは地面に尻もちをついて倒れ、そこに無数の蜘蛛が集る。
鋼色の鎧が黒々とした斑点のような蜘蛛に埋め尽くされていく。
龍太郎が離れた後、蜘蛛の魔物を殴ったはずの彼の肘から
蜘蛛の魔物はグチャグチャと不気味な咀嚼音の後、ペッ!と何かを吐き出す。
それはさっきまで繋がっていた手についていた筈のナックルダスターと、僅かな肉片と骨。
(……嘘だ……こんなの…何かの間違いだ……)
こんな上の階層の魔物に俺や龍太郎が手も足も出ない筈がない。
だって俺達は、あんなに訓練して、前とは比べ物にならないくらい強くなったんだ。
これは夢だ…きっと緊張して宿屋で悪夢を見ているに違いないんだ。
(……覚めてくれ……こんな悪夢……)
騎士マリオ、小蜘蛛に集られハーレム状態(マンマミーア…)
斎藤、近藤の二人は辛うじて生きてる(なお腹の中にry)
脳筋こと坂上君、ネルスキュラの口(鋏?)で腕一本バイバイ。
感想、質問、ご指摘等お待ちしております。
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡