モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 メリークリスマス読者の皆さん、神の使徒はベリー苦しみます。
恐らくですが、これにてリベンジ編は終了ですかね…リベンジ編は…ね。
後書きにてメモ帳に取っておいた例のダイスロールの結果を公表しますが、実はまだ結果の一部が処理されてないので…そこだけは文字化けさせておきます。


幕間の物語 神の使徒リベンジ④

 

「永山君ッ!」

「おぉ、八重樫か!?さっきの悲鳴は…!」

 

「光輝達に何かあったんだわ…早く、こっちよ!」

 

 二人の絶叫を聞きつけ、第二十一階層を全力疾走する永山パーティー四人と騎士一人。

途中で別の方から走ってきた雫達四人と騎士の二人、合計で十一人がこの場に集った。

雫は先頭を走る重吾に追いついて、肩越しに振り返っていないメルド団長のことを尋ねる。

 

「メルドさんは!?永山君達は一緒に居たんじゃなかったの!?」

 

「それが…!檜山の奴が、ほんの少し前に突然俺達の前に現れたかと思ったら、あいつおかしくなってて、そのまま二十二階層の方に走っていっちまったんだ!二十二階層にはヤバい魔物がいて、メルドさんは檜山を連れ戻しに一人で…!そっちはどうなってんだ!?」

 

「―――っ中野君が……死んだ……」

 

「ッ!?…マジかよ…クソッ!!」

 

 声量を下げて行われた二人の会話は後ろを追いかけてくる他のメンバーには聞こえなかった。

クラスメイトに犠牲者が出た事実に驚愕して、やりきれない思いを奥歯で噛み締める重吾。

雫は悲痛に顔を歪ませながらギリッと歯を軋ませて前を向く。

 

「とにかく、今は光輝達の方に行かないと…!」

 

「……あぁ!」

 

 そうして話している内に、雫は急に立ち止まった。

彼女の走っている側の分かれ道、暗闇の奥に灯る松明の灯りが見える。

重吾達もそれに気づいて、進路を変えて急いでその灯りの下まで駆け寄った。

 

「――――――ぁ」

 

 重吾より目が良かった雫は、不自然な形で地面に転がる松明の傍にあったそれを見た。

どうして松明が地面に転がっているのか?

()()とは影蜘蛛(ネルスキュラ)の幼体に襲われて体中を内と外から食い尽くされて、気が狂って目を剥いたまま未成熟な毒で生命活動を停止させた騎士マリオの死体だ。

 

「う、うぁぁっ」

「マリオ…良い奴だったのに…!」

「こんな…どうして…!?」

 

 騎士の三人が膝をついて同僚だったものを目にして悲しみに暮れる。

綾子と真央が恐怖で身体を小刻みに震わせると同時に健太郎は自分も怖くて震えだしたいのを堪えながら彼女達の前に立って「見るな」と言う。

悲痛な表情で鈴と恵理が顔を背け、香織は声を震わせながら雫に話しかけた。

 

「し、雫ちゃん…光輝君と龍太郎君は…大丈夫だよね…?」

 

「……そんなの…私に聞かれても…っ!」

 

―――キシャアアアアァァァァッ!

 

 直後、耳をつんざくような奇声が洞窟内に木霊した。

綾子達は悲鳴を上げて鈴と恵理と離れないようにくっ付こうとする。

恵理は内心鬱陶しいと感じたがそれを表に出さないようぐっと堪えた。

マリオの死体と松明の先、暗闇の方から呻き声がする。

 

「助けて…くれぇ…誰かぁ…」

「死にたくねぇ、死にたくねえよぉ…!」

 

「っ!!斎藤君と近藤君の声よ!」

「近いな…行くぞお前らっ」

 

 マリオの死を悼んでいる暇はない、落ちていた松明を雫が拾って重吾と並んで走り出す。

香織、健太郎、綾子達の順で二人に続いていき、死体からは目を逸らした。

騎士の三人は口を噤んで嗚咽を零しながら、手の甲で涙を拭って彼女らを追いかける。

 

 声の主、良樹と礼一はすぐ近くの壁際に寄り掛かっているところを雫が見つけた。

腹を押さえて苦しそうに呻いている二人に彼女が駆け寄ろうとするのを重吾が掴んで止める。

 

「っどうして止めるの永山君っ!」

「さっき言えなかったが…檜山は何かに襲われて…口から蜘蛛の魔物を吐き出したんだ!こいつ等も同じように襲われてんなら…不用意に触れるのは不味い!」

「っ!?」

 

 驚愕で目を見開いた雫が重吾から二人の方へ、恐る恐る確認の意味も込めて視線を投げかけた。

すると二人は恐怖に入り混じって罰が悪そうな顔で俯いて言葉なき問いに答えなかった。

しかし礼一が直後に胸を両手で抑えながら嘔吐する。

心配そうに手を伸ばそうとした雫は、吐瀉物の中に蜘蛛の姿を見て悲鳴を上げた。

 

―――キィッ!

―――キィ、キィ!

 

「ひっ!?」

 

「お゛ぇ゛ぇ゛!―――たのむ、みすてないで、くれよぉ」

「おねがいだ、なんでもする、なんでもするから…早く回復を―――う゛ぉ゛ぇ゛っ゛!!」

 

 血液混じりの吐瀉物を口からダラダラと零しながら礼一は泣きそうな顔で懇願する。

隣で良樹も杖を支えに助けを乞うが、直後彼も同じように蜘蛛の魔物を吐き出す。

雫は精神的に辛くなるのを寸でのところで堪え、後ろにいる香織と綾子に声をかけた。

 

「香織、辻さん…治癒魔法をお願い…!」

 

「わ、分かったっ…天恵よ、遍く子らに癒しを…”回天”」

「…うん…!傷を癒し給え”恵命”」

 

 二重の治癒魔法を重ね掛けされたことにより、二人の表情は幾らかマシになる。

しかしまだ腹の中に違和感を感じているのか、今にも吐いてしまいそうだ。

雫は苦い表情のまま足下を這う蜘蛛の魔物を踏み潰そうとして――――――

 

「……っ!」

 

 寸でのところで思い止まった。

踏みつけたら気持ち悪いからというのが一番の理由だが、子蜘蛛の魔物がいるということはそれを良樹達に生みつけた親がいる筈だ。

子を殺されたと知ったら親蜘蛛が激怒するだろうと思い、唇を噛みしめながら彼女はつま先で横穴に子蜘蛛達を払い退ける。

子蜘蛛達はキィキィと鳴きながら横穴の中に飛び跳ねて姿を消した。

 

「―――二人とも、事情は後で聞かせて貰うわ…光輝達は何処!?」

 

「あ、アイツらは…デカい蜘蛛の魔物と戦って、あっちに―――」

「でも、坂上は…そこでさっきあいつに―――」

 

「…分かったわ。二人は騎士の人達と一緒に後から来て!」

 

 吐き気を抑えながら二人は震える指で奥の方を指した。

雫はさっきの恐ろしい光景が脳裏で何度も繰り返されて、吐きそうになる。

しかし今ここで立ち止まり、吐いている余裕はない。

 

(―――お願い…これ以上もう…!)

 

 誰も死なないで欲しい、それが雫の切なる願いだった。

しかし…その願いを打ち砕くかのような一人の青年の絶叫が洞窟内に木霊する。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛っ゛!!!」

 

 声の主は光輝だ、雫は恐怖で目を瞑りたくなるのを堪えながら更に加速した。

すると松明で照らされた先で壁際に屈んでいる龍太郎と騎士クーパーの姿があった。

 

「龍太郎!…っその腕…!?」

「クーパー!無事だったのか…ヒッ!?」

 

「お前ら、手を貸してくれっ光輝が、このままじゃ―――!」

「蜘蛛の魔物に引きずり込まれてしまう!手を貸してくれ!!」

 

 屈んでいた二人に近付いた事で、雫は龍太郎が片腕を失っている事に気づく。

騎士クーパーが治癒をかけたのか肘から先の断面から血が出ている様子はない。

龍太郎が片手で、クーパーが両手で掴んでいるのは光輝の腕だ。

横穴の中に入ったネルスキュラが足を噛んだ光輝を引き摺り込もうとしている。

それを二人が腕を掴んでなんとか穴の入り口で止めて踏ん張っていた。

 

「ぐあぁあぁああああぁ!!?」

 

「早くしてくれ…片手じゃこれ以上持たねえっ!!」

「―――ッ!永山君、お願いっ香織と辻さん治癒の準備!」

「おぉ、分かったっ!」

「「う、うんっ!」」

 

 苦悶の表情で喉を締められたアヒルのように絶叫する光輝。

横穴に落ちそうな光輝に手を伸ばせる人数は限られている。

体が細くても力のある雫がクーパーの持っている手の方へ、大柄で一番力のある重吾が龍太郎の持っている方の手を掴んで、一気に引っ張った。

 

「「「「おおおぉぉぉっ!!」」」」

 

「ああああああああぁぁぁあああや、やめ―――」

 

 ブチッ!!

 

 肉の裂ける音がして、光輝の体は引っ張り上げられる。

しかし下半身は、太腿から下にあるべき足が両方とも失われていた。

痛みで目を剥いて絶叫しそうな光輝に間髪入れず香織と綾子が治癒を発動させた。

すぐに出血は止まり、不規則だった彼の呼吸は安定していく。

 

 ネルスキュラは獲物が急に離れていったせいで横穴の奥に落ちていった。

狭い穴の中で足をモゾモゾ動かして、口に含んだ獲物の肉片を咀嚼するが、また硬くて食べられない鉱石部分…光輝が履いていた鋼鉄のブーツはペッと吐き出す。

殆ど食べずに吐き出したようなものだ、残りは足元の子蜘蛛達が穿って食べるだろう。

 

「永山君は光輝を担いで!此処を離れるのよ!!」

 

 雫はそう叫んで立ち上がろうとして、近くに置いてあった松明を掴む。

そしてそれを―――今度は躊躇うことなく横穴のネルスキュラ目掛けて投げ入れた。

獲物を追いかけようとしたネルスキュラは松明の火に怯え、子蜘蛛と一緒に奥へ後退る。

 

「今よ!!」

 

 しかし、再び走ろうとした一行に更なる悲劇が襲い掛かった。

連続しての治癒の発動で綾子と香織が足を縺れさせて転倒する。

なんとか手をついて綾子は怪我を免れたが――――――

 

「がっ……!?」

 

「ッ!?香織、香織ぃっ!!」

 

 香織は両手で杖を握り締めていたせいでまともに受け身が取れず、近くの出っ張っていた岩に頭を打ち付けて気を失う。

急いで雫が抱え起こすが、彼女は額から夥しい量の血を流して返事をしない。

更に運の悪いことに、別の穴から顔を出したネルスキュラは猛毒の鋏角で綾子を挟む。

 

「ぎ、いっ――――――!?」

 

「辻ッ!!?」

「ッ綾子ぉぉぉっ」

 

 幸か不幸か鋏角で胴体を圧し折られるのは避けた綾子だったが、脇腹を鋏角が掠めた。

出血性の猛毒がすぐに回って彼女は表情を歪めてその場で蹲る。

二人は駆け寄ろうとするが、近くにはネルスキュラがいた。

 

「”螺炎”!!」

 

―――ギイィィィッ!?

 

 恵理は内心焦りと怒りで荒ぶっていたが、状況には冷静に対処していた。

詠唱を省いた炎の渦が襲い掛かり、ネルスキュラは土竜のように穴の中へ引っ込む。

その隙を逃さず健太郎が綾子を背負い杖をその場に放り捨てて走り出す。

雫も気を失ったままの香織を抱え、二十階層へ戻る階段に向かって走るのだった―――

 

 

「止まれ!大介ぇっ!!」

 

「アヒャヒャヒャヒャ!!うへひゃひゃひゃひゃ!!!」

 

 狂ったように笑いながら走り続ける大介を、メルドは何とか掴もうと手を伸ばす。

しかし狂気の中に居ながらも防衛本能が働いているのか、大介はヒラリとそれを躱した。

軽戦士としての才能がこんなところで発揮されるのも皮肉なものだ。

そして、自らの天職の持つ個性を無我の境地で生かした大介の最期は呆気なく訪れる。

 

―――グルヴオオオォォォォッ!

 

 第二十二階層へ続く階段の穴を広げるように破壊して、ギギネブラが第二十一階層に現れた。

大介は笑みを浮かべ、白い皮と赤いうねうねと波打つ襞を何かと見間違えたのか――――――

 

「アアアアァァァァァァァ―――ッ!」

 

 甲高い声で両手を広げならギギネブラの方へ走っていく。

目の前に変な獲物が自分から食われに来たと、ギギネブラはパカッと口を開けた。

メルドが制止する声も届かず…檜山の体はおそろしい口にペロリと飲み込まれる。

 

「大…介…クッ!!」

 

 メルドは悲痛な表情で眉に皺を寄せるが、立ち止まってはいられない。

大介を助けて永山達、そして光輝達と合流するという流れは失敗に終わった。

だから今のメルドに出来る事はせめて、この魔物が彼らに追いつかないよう―――

 

―――ヴオオォォォ?

 

「っ…!」

 

(こいつ…俺には見向きもせず…火を見ている?)

 

 ゲップリと満足げに息を吐いたギギネブラは首を捻らせて足下を見た。

そこには檜山が食べられる直前に手放した、松明が燃えている。

メルドはその行動を見て、この魔物の特徴的な目からある事に気づく。

 

(まさかコイツ…熱を探知して獲物を襲っているのか…!?)

 

 それなら時間稼ぎのためと戦う必要はない。

メルドは一歩ずつ後ろに下がっていき、バッと駆けだそうとする。

しかし不意にギギネブラがブッ!と何かを吐き出して、彼は咄嗟に腕で顔を庇う。

ベチャリと粘着性のある液体が腕に、飛散した一部がメルドの片目に入った。

 

「ぐ、おぉぉぉ…!?」

 

 ジュゥと目を焼く痛みに苦悶の声を上げるメルドは体に巡る毒の熱に気づいた。

片腕もすぐさま毒に侵され、このままでは逃げたとしても毒に侵されて死ぬ。

彼はギリッと歯を噛み締めて毒に塗れた片腕の鎧を外して腕を曝け出す。

腰の剣を抜いて刃を肩に宛がい、ぐっとそのまま刃を食い込ませた。

 

「ぬぅぅぅぅぅっ!!!!”恵命”っ…」

 

 ボトリと自身の剣で切り裂かれたメルドの片腕が落ちる。

すぐさま詠唱を省いた治癒魔法で傷口を塞ぎ、彼は駆けだした。

ギギネブラは追いかけようとはせず、地面に転がった彼の腕を口に銜える。

そして二十一階層に背を向けて、元の二十二階層へと戻っていった。

毒塗れだったメルドの腕は、後にある形で発見される事になるのだが―――

それはもう少し、先の話。

 

 




 ドキドキ★神の使徒ダイスロールの結果と詳細

1 天之河光輝    
2 白崎香織     
3 八重樫雫     
4 坂上龍太郎    
5 谷口鈴      
6 中村恵理     
           
1 檜山大介     
2 中野信治     
3 斎藤良樹     
4 近藤礼一     
5 騎士の誰か    
6 メルド・ロギンス 
           
1 永山重吾     
2 遠藤浩介     
3 野村健太郎    
4 吉野真央      
5 辻綾子    
6 メルド・ロギンス 

1 腕
2 足
3 五感
4 精神
5 中毒
6 死

3D6 4/2/2(1/5/5)
 4:坂上君 1:腕を食いちぎられる
 2:中野君 5:毒で苦しみのたうち回り死亡
 2:遠藤君 5:毒に侵されながら戦線離脱

3D6 3/5/6(4/6/3)
 3:八重樫さん 4:精神が疲弊する
 5:騎士マリオ 6:モンスターに殺される
 6:メルドさん 3:毒の影響で片目を失う

3D6 2/6/5(6/1/5)
 2:白崎さん  6:頭部を強打
 6:メルドさん 1:片腕を損失
 5:辻さん   5:毒を食らう

特別枠(絶対に殺すor地獄に叩きとしたい)
3D6 2/4/3(天之河光輝)
 両足を失い、〇〇、その後〇〇
3D6 5/6/5(檜山大介)
 毒にやられ(体内に子蜘蛛)死亡(数字が被ったので確定で発狂)

救済枠
2D6 奇数なら生存、偶数なら死亡 結果:11
 対象:特別枠を除く一部の人間のみ

 なぁにこれぇ(作者心の声)
ちょっと一部の人に殺意が高かったり、優しかったりするのはご愛敬。
このダイス結果をベースに色々と工夫して書いたのがリベンジ編です。
(最初は全員殺す気で1~6の死に様を考えてたのは此処だけの話)
檜山君は最後に白崎さんがベッドに誘ってくれてる幻覚でも見たんじゃないですかね(適当)
クリスマスですから、最期に幸せなプレゼントを送ってあげる作者の優しさ。

感想、質問、ご指摘等お待ちしております。

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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