モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 投稿遅くなって申し訳ない……
モチベーション維持の名目でぐーたらし過ぎました;五章は文字通り大迷宮編になるので、それを書くついでに地上の出来事もパパッと仕上げてしまおうかなと……

お知らせという程の事でもありませんが、主要人物紹介②の項目に第四章までの原作キャラを一部追記してますので、気になった方は是非読んでみて下さい。


幕間の物語 ハジメの予防策

 ライセン大峡谷の地平線を越えた先に太陽が沈み始める夕暮れ時。

ハンターの二人、サー・ミッドガルとマリアンナ・ベスタの護衛もあって神の使徒達は無事に宿場町ホルアドへと戻ってこれた。

集会所で休ませていた永山パーティーの一人、遠藤浩介は仲間達の所に合流した。

松明の火で目を負傷した光輝や未だ目を覚まさない香織は町の診療所へと運ばれた。

 

「――――――やはり、私達が直接伝えた方が―――」

 

「いや、これは身内(ハンター)の問題だ。部外者の口出しはご遠慮願いたいね」

 

 ハジメが泊まっていた宿屋へ向かう道で、ミッドガルと王国騎士団長メルド・ロギンスがそんな話をしていた。メルドの後ろを八重樫雫が黙って付いて来ている。

マリアンナはこの場には居ない。先にホルアド集会所へ戻ってオルクス大迷宮で見てきたものと起きた事を詳細に報告しに向かっていた。

 

 宿屋が見えてきたと同時にミッドガルは入り口の脇で立っている隻腕の女性を見つける。

リンネだ、彼女は日が暮れるよりずっと前からそこに居続けてハジメの帰りを待っていた。

向こうも彼の存在に気づいたようで目を細めて薄ら笑いを浮かべながら口を開く。

 

「サー・ミッドガル、英雄狩人と称えられた貴方が……こんなところに何の用かしら?」

 

「ご挨拶だねえ剣聖リンネ。…いや元剣聖か?もう引退したって聞いたしな。――――――まぁ、そんな事はどうでもいいか。アンタなら俺が此処に来た時点で薄々気づいてるんじゃないのか」

 

「……そうね、後ろの暗い顔した二人の顔を見れば大体察しがつくわ」

 

 そう言ってリンネは壁に凭れ掛かったまま、メルドと雫に鋭い視線を向けた。

メルドが固く閉ざしていた口を開きかけたが、彼女はそれを手を上げて制する。

既にギルドの職員が昼の内に宿屋を訪れ、事情はリンネも把握していた。

 

「余計な感情入り混じった報告は聞きたくない。端的に言え、ミッドガル」

 

「神の使徒救出に向かったハンター四人の内二人、ルゥム嬢ちゃんとアンタが特別任務を依頼していた南雲ハジメ、二人はモンスターの足止めに大迷宮内に残ったまま消息を絶った」

 

「―――――――――」

 

 冷静沈着に見えていたリンネの表情が一瞬歪んだのをミッドガルは見逃さなかった。

実はミッドガル、地上に出た直後マリアンナに神の使徒達の事を任せきりにして大迷宮の中に引き返していたのだ。

 

 神の使徒が半日以上かけて二十階層まで進んだのに対し、彼は全力の走りだけで一時間の内に戦闘の痕跡があった二十二階層まで確かめたが、モンスターの姿も二人の足跡も残っていなかった。

 

 暫く無言を貫いていたリンネはフーッと長い息を吐きながら空を見上げて問いかける。

 

「……どっちも死体は無かったのね?」

 

「……あぁ、それは間違いねえ」

 

「……そう……報告ご苦労様、後はこっちで何とかするわ」

 

 淡々とした様子のリンネはようやくその場から動いて宿屋の中に入っていく。

ミッドガルは無意識の内に彼女から発せられていた重圧から解かれてホッとした。

結局ただ付いてきただけで何の話も出来なかったメルドと雫は困惑している。

 

「――――――さぁて!これで報告の義務は終了だ、お疲れ様依頼人のお二人。王国騎士団長殿におかれましてはお疲れのところ申し訳ないのですが…報酬のお支払いについて、この後集会所の方にご同行お願い申し上げますと――――――」

 

 気持ちを切り替えてミッドガルは芝居がかった口調で振り返りながらメルドにそう告げた。

失った片腕と片目の応急処置を何とかさせてあげたいのは山々だが、今回の緊急クエストの依頼主が浩介で、形式上彼の保護者にあたるメルドがその支払いや手続きにサインをしなければならない。

 

「…分かった。八重樫、お前は先に宿で休んでいろ」

 

「……分かりました」

 

 雫は罵倒される覚悟で来たが、特に何も言われなかった事に思わずホッとしてしまう。

しかし、ハジメが消息不明となった事実に一番ショックを受けているのは彼女だった。

助けてくれた相手が、もしかしたら死んで――――――

 

(……っ!そんなこと……ない!)

 

 雫はそう信じたいだけかもしれない。

しかし大迷宮の恐ろしさを目の当たりにした彼女の脳裏には、ハジメとあの無口な女性も死んでいったクラスメイトと同じ末路を辿ったんじゃないかと嫌な考えが過ぎる。

恐怖や罪悪感で押し潰されそうになるのを我慢して、自分に大丈夫だと言い聞かせる。

 

 それはいつかの少女(優花)に似た、一種の現実逃避に近かったのかもしれない。

これから先、もっと大変な目に遭うなんて…この時、雫は想像もしてなかっただろう。

 

 

「――――――してリンネ殿、どうやって伝えるつもりかの?」

 

「あら!ティオ、盗み聞きしてたんだ~…気づかなかったなぁ」

 

「おぬし、最初から気づいておったじゃろうが」

 

 宿屋の中に入ってすぐ、部屋で待っている優花達の下に帰る前にティオとリンネが話していた。

ホルアドに来る前にハジメからもしもの時の事を頼まれていたティオは、そのもしもの事が現実になった直後にリンネに頼まれていた内容を打ち明けたのだ。

 

「夜明けまでに戻らなかったら、ノイント達をウルで預かっていてくれ」

 

「何時合流できるか分からない場合に備えて、伝書鳥をウルに向かわせる」

 

 先にリンネが口にしたのはギルド職員から伝えられたハジメの言葉。

後からティオが付け加えたのはそれより前にハジメから聞いた言葉。

伝書鳥というのはハンター達が集会所を通じて利用するギルドの連絡手段であり、ウルにも集会所があると知ったハジメは、万が一に備えて自分の生存を知らせる為の手段を残しておいたのだ。

 

「ホルアドからウルまでの道は大した距離もないし、護衛無しでも問題は無いんだけどねえ。……ハジメ君には申し訳ないけど、これで特別任務達成とは言い難いかなぁ」

 

「……こうなった以上、ハジメも重々承知の上じゃろう。問題は、()()()()()()()()()()じゃ」

「そうなんだよねえ。……ティオ、アタシの話に口裏合わせて貰える?」

 

「む、何か考えがあるのか。合わせるのは容易だが……良いのか?」

「全然オッケー。……こう見えて、私は嘘をつくの得意だから」

 

 二人は言葉を交わしながら階段を上がり、ノイント達が待つ部屋に入る。

扉を開けた音に反応して窓の外から景色を眺めていたミュウが駆け寄ってきた。

 

「リンネお姉ちゃん、ティオお姉ちゃん!ハジメお兄ちゃん帰ってきたの~?」

 

「うーん、残念帰ってきてないのよねえ。ちょっとその事で話があるから皆集まって頂戴」

 

 リンネの言葉に反応してノイント、優花の二人も集まってくる。

横に並んだティオに彼女はチラと横目で合図を送ってから、話し始めた。

 

「それがねえ!聞いてよミュウちゃん、酷いのよハジメ君ったら!!」

 

「ど、どうしたの!?」

 

「大迷宮が近くにあるからちょっと見に行くとか言って、アタシの可愛い後輩ちゃんと二人きりで潜ってから出てきてないのよ~!それで自分で伝えると反対されるからってギルドの人に伝言まで残して!ミュウちゃん達に先にウルの町で待ってろって言うのよ~!?」

 

「ええええっ!」

「だ、大丈夫なんですか南雲は―――」

 

 わざとらしい泣き真似でよよよ…とミュウの胸に縋りついて語るリンネ。

大迷宮に潜ったと聞いて優花は焦り、彼女の言葉を遮ってケロっとした表情でリンネは答える。

 

「あ、命の危険って心配はしなくて大丈夫よ優花ちゃん。なんせアタシが見込んだ一番の後輩ちゃんが一緒なんだから。その娘の名前ルゥムって言うんだけどね?あの子がハジメ君と一緒にいるなら、たとえ飛竜100頭が束になっても返り討ちにしちゃうんだから!」

 

「うむ。しかし約束を違えて帰りが遅くなるというのも問題じゃがな」

 

 真剣にリンネの話を聞く優花の隣でノイントだけが違和感を感じる。

オーバーな感情表現から伝わる言葉の端々に含まれた事実に混ぜられた嘘。

ティオが会話の最中に相槌を打つという点も自然に見せかけているようだ。

人間ではなかった者だからこそ、ノイントだけがそれに気づけた。

 

「―――という訳だから、明日の朝までにハジメ君が帰ってこなかったら、皆で一緒にウルに行くことになっちゃったのよ~。あ、念のために言っておくけど道中にライセン程の危険は無いから安心して貰っていいわ、いざとなればアタシが対処出来るし」

 

「は、はぁ……」

「ハジメお兄ちゃん、すぐ戻るって言ったの~!」

 

「そうなのよミュウちゃん!酷いわよねぇハジメ君!ウルに来たらお説教よ説教!」

「お説教なの~!」

 

 

 リンネはそれで話を切り上げて、四人に「夕飯にしましょうか!」と提案する。

すっかり話を信じ込んだミュウは元気よく返事をして彼女についていき、優花も若干心配はしているものの、リンネが信頼を置く程の人が一緒なら大丈夫だろうと思って納得したようだ。

優花達が階段を降りていくのを見送って、扉の前で立ち止まったティオが振り返って口を開く。

 

「さて、ノイントよ……おぬしは薄々気づいているようじゃな?」

「……やはり先ほどの会話は――――――」

 

「うむ……ちとミュウに事実を伝えるのは酷じゃったからの、少々脚色させて貰った」

「…断片的な情報から予想はつきますが、改めて詳細をお聞かせ願います」

 

「後々の事を考えるなら、おぬしにも協力を仰ぎたいのでな……妾は構わぬのじゃ」

「……命の危険がないというのも……」

 

「――――――ハンターとて人間、それが前人未踏の場所に足を踏み入れたとなれば……必ずしも生きて帰ってこられる等と誰が言えよう。リンネ殿も、それは分かっているじゃろう」

 

 先に優花達と降りて行った彼女の背中を遠目に見て、ティオは悲しそうに目を伏せる。

嘘をつくのが得意だと言った時のリンネは、少しだけ悲しそうな顔で笑っていた。

彼女達はただ黙って、嘘を本当の事だと信じ込むフリをすることしか出来ない。

ハジメが無事に帰ってくる、ただそれだけを願うのだった。

 

 




 実はオルクス大迷宮RTAしたら最速有力候補の一人>ミッドガル兄貴
ハジメが消息不明という事実を知ったのはリンネ、ノイント、ティオの三人だけになりました。優花が若干疑ってるかも…?
余談ですが、優花達は神の使徒が大迷宮に潜っている事やハジメが助けに行ったことの詳細など殆ど知りません(リンネが事情を察して情報を遮断していた)

感想、質問、ご指摘等お待ちしております。

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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