モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

218 / 240
 前から書いてた奴を全消去して、結局一から書いてしまった……
アニメ2期から本格的に登場する彼が今回は出てきます(性格がやや変わってる?)


幕間の物語 魔王の片腕(自称)の日常①

 やあ皆、魔国ガーランドの首都バルバルスに居る清水幸利だ。

アダムと行った商業都市フューレンの一件から二週間くらいが経過したのか?

今の俺がどうしているかというと―――

 

「ぬぐ、ぉぉ……きっつぃ」

 

 アダムの屋敷で与えられた自室で本の山に埋もれて一人頭を抱えていた。

宣言通り、変成魔法の支配に消費する余分な魔力を抑える為に勉強中である。

凄いね魔人族の魔法技術というか知識量、王国に居た頃の座学で学んだ知識を例えるなら小学校の教科書、対してこの国で一般的に普及している本の内容が有名大学の参考書だよこれ。

 

 魔法の基礎的な部分を「え?これくらい生まれた時に喋る赤ちゃんの言葉並の常識だよね」って前提で省略して、個々の属性に関する調査や研究、考察が六法全書並の分厚さで記述されている。

ぶっちゃけ魔法舐めてました、魔王の片腕になるとか調子こいてすいませんでした……

 

「……こっちだと魔力操作が当たり前だしなぁ……」

 

 魔人族は魔力操作に特化した種族であり、魔法の使用に際して詠唱を用いない。

魔法の詠唱はあくまでその魔法に対するイメージを頭の中で固定する為の過程であり「この魔法は()()()()()()」と頭の中で完結出来る魔人族は詠唱無しの魔法でも最大限の力を発揮出来る。

因みにアダム曰く「人間でも努力次第で魔力操作の獲得は可能」とのこと。

 

 手っ取り早いのが魔力操作の技能を持っている生物の一部を摂取する方法。

王国ではモンスターが魔力操作を有していて、モンスターの肉を食ったら死ぬと教えられた。

けどそれは真っ赤な嘘であり、実際にはモンスターの肉を食っても死なない。

…まぁ、中には成分的に人間が食べ過ぎたら人体に害を与える物質なんかを栄養として取り込んでるモンスターもいる訳だし、食ったら死ぬってのもあながち間違ってはいないのか…?

 

 話を戻して…じゃあ魔力操作を持っている生物ってのは何を指すのか?

参考書によると人間、亜人以外の種族…竜人族、魔人族がそれに分類されるとか。

過去には吸血鬼族って魔法に長けた種族もいたけど、色々あって滅んだらしい。

竜人族は生き残って、今も何処かでひっそり暮らしていると書いてあった。

 

 この方法で魔力操作を得るのなら、魔人族の誰かから体の一部を貰うしかない。

しかしこれも問題があって、技能だけを取り込むというのは不可能であり、その一部を摂取した際に各種ステータスの上昇もあって、摂取した者は急激な変化に伴う激痛が起こるという。

これに耐えられなければ摂取した者は痛みのあまり、ショック死してしまうのだ。

……はいこの方法却下ぁ!!激痛に苛まれて死ぬかもとか嫌に決まってるじゃん!?

 

 そんでアダムから聞かされた魔力操作の獲得方法その他。

それが今俺のやっていること。様々な観点から魔法という概念を知識として深く理解することで、詠唱の省略から魔法の力を最大限発揮出来るようにして、最終的には無詠唱で魔法の行使が出来るようになれば、技能に魔力操作が追加されるとのこと。

 

「――――――どれくらい時間が要るのやら」

 

 自慢じゃないが学校の授業を真面目に聞いていない俺は、自主勉強が得意だったりする。

人の言葉で聞いて頭で考えるより、本に記載された文字を目で追っている方が理解が早いのだ。

数式や文法、法則やら何やら…そういったものを丸暗記するのが個人的に楽しいと感じた。

…現代文とかでよくある問題、人の心情とかを書けってのが苦手なのはここだけの話。

 

「ま、考えてても始まらねえか…」

 

 椅子に座って読みかけだった本の一冊を脇に、羊皮紙を広げて羽ペンを走らせる。

この羽ペンというのはインク要らずで無限に字が書ける優れたアーティファクトらしい。

以前アダムがこっそり一人で王国に潜入した時に貴族の屋敷からパクってきたのだという。

あいつ魔王として凄いこともやるけど、偶にしょうもないことやってるんだよな。

 

と、そんな事を思っていたら突然背後でドアが開け放たれた。

あぁ…と呆れつつも振り返る前に誰なのか分かっちまう、俺も此処での暮らしに馴染んだなぁ…

 

「幸利よ!!オレと共に浴場へ向かうぞ!!!」

 

「いきなり来て開口一番何言ってんのお前!?あとノックしろや!」 

 

 やっぱり、というかこの屋敷で人の部屋にノックもなしで入るのはアダムくらいだった。

エーアストさん達は必ず控えめなノックをしてから声をかけてくれるし、入室を許可しなければ絶対に向こうから扉を開けて入って来たりはしない。

 

 前にノックされた事に気づかなくて小一時間廊下に立たせっぱなしにしてしまい、物凄く罪悪感が押し寄せて俺が謝りまくるという事があった。彼女達はその事を怒ったり不満を感じたりはしないと言って許してくれたけど、あれ以来俺は周りの様子にかなり気を遣うようになった。

 

 俺のツッコミを華麗にスルーして、アダムは強引に俺の襟首を掴んで引き摺るように連行する。

俺が屋敷に住み始めてから、アダムが何の前触れもなく俺の部屋に押しかけてくることは日常茶飯事であり、それを見かけてもエーアストさん達は何も言わず、止めたりはしない。

自分勝手なアダムにその場ではイラッとしながらも、俺は嫌とは思わなかった

こうして誰かと一緒に何かをするって事が…俺にとって新鮮な体験でもあるから。

 

「……というか……浴場?」

 

「うむ浴場だ、着替えとタオルはエーアストらが持参してくれるから案ずるな」

 

「えっ、下着くらいは流石に恥ずかしいから自分で―――」

 

「もう遅い、既に準備を進めている。諦めろ」

 

「Oh…」

 

 

 浴場と聞いて思い浮かべたのが屋敷にある超豪華な風呂かと思った。

けどアダムが俺を連れてきたのは屋敷の外、歩いて五分くらいのところにある大衆浴場。

 

(…歴史の教科書とかで見た、古代ローマの奴そっくりだぁ…というかまんまそれだ)

 

 国のトップである魔王が来たことで利用客の魔人族達が声を上げて迎え入れる。

驚いてない様子から察するに、何度かこうして来てるんだろうなアダム…

 

「おぉ魔王様!お久しぶり御座います」

「お連れの方はミハイル様が話していたご客人ですか?」

「またこうして同じ湯に浸かれるとは、恐悦至極に御座います」

 

「屋敷の風呂も悪くないが、オレはこうして貴様達と気兼ねなく話せる場所で湯に浸かるのが好きでな。この場に限り、オレを貴様達と同列に、ただの湯治客として扱うがよい。オレが許す!」

 

「お、お邪魔します…」

 

 脱衣所でささっと服を脱いで腰にタオルを巻いて、いざ異世界テルマエ!

…というか、本当にごく普通に大衆浴場とかが設置されてるガーランド凄くない…?

そんな事を思っていると、一番手前の風呂場に浸かっていた魔人族の一人が驚き飛び上がる。

黒い肌と金色の瞳、紅い長髪を風呂に入る為に結っている魔人族の男だ。

 

「ま、魔王様!?」

 

「む、フリードか…そう畏まらずともよい!楽にせよ」

 

「―――ハッ!!」

 

(将軍かよおおぉぉっ!!?)

 

 思わず少年漫画の台詞を心の中で呟いて俺氏、大満足です。

”フリード・バグアー”はガーランドの軍勢を率いる将軍であり、魔王に次ぐこの国のNo.2だ。

桶を手に風呂の水を頭から被って、アダムはフリードの隣へとどっかり腰を下ろした。

恐る恐る俺もそれに倣って少し距離を開けたところに座るのだが……

 

「…む、貴様…ミハイルの話していた神の使徒か…」

 

「あ、はい…元神の使徒…ですけど」

 

「……フン」

 

 フリードはじっと俺を見て少し不満そうに鼻を鳴らす。

……ええ?いや、ええぇ~?俺なんか貴方に嫌われるようなことしました?

するとフリードを挟んでアダムが呵々大笑しながらその訳を話してくれる。

 

「クハハハハッ!相変わらず偽神絡みの相手には辛辣だな!―――が、幸利は今や俺の友だ。そう邪険にするなフリード、お前と同じように…幸利もこの国に必要な存在なのだ」

 

「…魔王様がそう仰るのであれば、努力はします」

 

「……ええと、その……なんかスイマセンでした」

 

「……気にするな。これは元々アルヴ様に心酔していた私の癖みたいなものだ、たとえお前が下等な人間であろうとも魔王様が必要と言うのなら、私もお前を受け入れるつもりだ」

 

(後半の棒読み感ハンパねぇ!?けど納得だわ、そういう事ね…)

 

 フリードは元々魔人族の神アルヴ(本当の名前はアルヴヘイトらしい)の信者だったらしい。

しかしアダムが魔王の座に着いて、圧倒的な強さを前に信仰心が揺らぎ、色々あって今に至った。

 

 魔人族の崇める神アルヴの教えは、分かり易く言うなら人間族と全く同じ。

自分達こそが至高の存在であり、他の種族は下等な存在であると見下している。

第一印象は良くないけど、そういう風に生きてきたなら仕方ないと俺が割り切るしかない。

別に仲良しこよしがしたくてアダムの下に付いてる訳じゃないしな。

 

 またアダムより先に変成魔法を獲得した大迷宮の攻略者だった筈が、実はアダムの方が先だ。

というかアダムは変成魔法どころじゃない……俺にも理解出来ない色々な魔法を持っていた。

 

(そりゃあ服従せざるを得ないよなぁ…何があっても敵に回したくないだろうし)

 

 アダムはアルヴの思想を好んでいないが、完全に否定をするつもりはないという。

どんな思想も絶対的な悪とは呼べず、それ自体を持つことは個人の自由として許すのだ。

しかしそれを周りに強要し、全体の常識とするのは認めない。

 

 それを認めさせたければアダムを倒して実力で勝れば良いらしいけど……うん、無理だろ。

核ミサイル百発ぶち込んでも、あいつはヘラヘラ笑ってそうなくらい強いだろうし。

 

「時に魔王様、フューレンに潜入していたとミハイルから聞きましたが…」

 

「ああ。此方と協力関係にあった人間の組織が危うくカトレアの存在を漏らしそうになったのでな、オレが直接出向いて存在を抹消しようと思っていたのだが、連中一人残らず死んでいた。情報を持つ者は一人も残っていない。ミハイルも安堵していた」

 

「そうでしたか。…カトレアの方からは、まだ連絡は来ていません」

 

「奴も自分の存在が明るみに出ないよう慎重になっているのだろうさ」

 

「…王国で集められる情報も、あまり有益なものが無いようですね」

 

「シュネーの戦線を維持しているのは帝国軍だからな。かといって連中の所に潜入するのはリスクが大きすぎる。王国は身を隠すための隠れ蓑として有効活用させて貰うとしようじゃないか。――――――む、潜入で思い出したが…ダヴァロスとセレッカはどうしている?」

 

「申し訳ありません。二人が沼地に拠点を移してから定期連絡が来ていません」

 

「ほう?解剖狂いのセレッカは別として、あの几帳面なダヴァロスが連絡を怠るとは…」

 

「確認の為、特殊部隊所属のレイスを向かわせようか検討中です」

 

「確かに…奴なら適任かもしれんな。いいだろう、供に支配種を連れていけ」

 

「ハッ!支配種の方は此方で選別し、後ほど許可を頂ければ―――」

 

……それって大衆浴場に訪れた一般客()がする会話なんですかね……

俺は口を挿むつもりもないし、久しぶりの風呂を堪能したいから黙って聞いていたけど。

でも、こうして湯に浸かっていると…なんとなくだけど、肩の凝りが解れていく。

ずっと勉強しっぱなしで机に向かっていた体に、あったけぇお湯が骨まで染みる。

 

 今更だけど、屋敷の庭で放し飼いにしているクルルヤックの生態調査もしないとなぁ…

今の俺は自分から前に出て戦わず、クルルヤックを操る訳だし…特徴とか理解しておかないと…

あぁー…それにアイツが大事に抱えてた謎クリスタルの調査もしねえとな。

やることは山積みだけど…今は一旦、考えることを止めてお湯に浸かろう…

 




 レイスって聞くとAPEXやってるから瞬間移動してるお姉さんしか出てこない…
原作のハジメが魔物の力を手に入れて強くなる描写の独自解釈を最初にチラっと書きましたが、細かいことを気にしてはいけません(その場で思いつきガバガバ解釈)

感想、質問、ご指摘等お待ちしております。

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。