王国:エリヒド、ルルアリア、リリアーナ、メルド、クゼリー
聖教教会:フォルビン司祭
帝国:ガハルド、バイアス、トレイシー
公国:ランズィ、レイネルク、ビィズ
神の使徒:雫
これにプラスで名もなき貴族達+衛兵の豪華?メンバーでお送りいたします。
少し前の話で書いた通り、他のメンバーは治癒院でお休み中です。
ランデル殿下も今は眠り姫と化した白崎さんに付き添ってるのかな(適当)
濃紺の夜空に煌く星々と欠けた月が浮かび王都と王城、その後ろにある神山を見守った。
王城の大広間では三国会議の晩餐会が開かれて、多くの要人が行き来している。
各地を纏める王国の貴族、帝国側からも少数派ながら貴族が数人、公国からはゼンゲン家の分家当主も呼ばれて久しぶりに顔を合わせる者達と話し合っていた。
数年に一度は開かれる三国会議の参加者は何時もと違う雰囲気に違和感を覚える。
まず王国貴族の数が前に比べて圧倒的に少なかった。
商業都市フューレンを取り仕切るミン家や冒険者ギルドの重鎮と友好な関係を築いているクデタ伯爵家の姿が見えない。
風の噂でミン家は館に押し入った盗賊に使用人含めて皆殺しにされた等という恐ろしい話が聞こえるも、楽観的な王国貴族の一部が「何か理由が到着が遅れているだけだろう」と笑って流し、それ以上は特に誰も気にする様子も無かった。
「リリアーナ!」
「レイネルク様……ッ!」
そんな貴族達を放置して三国会議の中心にいるべき人物の一人、レイは国王エリヒドと女王ルルアリアに挨拶を済ませ、リリアーナの下へ足を運んでいた。
表向きは愛想よく振る舞っているが、心労で顔色があまり良くなかったリリアーナは彼の姿を見て、一瞬だけ明るい笑顔を浮かべるも、視界の端に映る人からの視線に気づいてのハッとした表情からすぐに畏まった姿勢で頭を下げる。
「アンカジ公国次期当主レイネルク・フォウワード・ゼンゲン様、ようこそいらっしゃいました。今日より始まる三国会議のハイリヒ王国側代表を父エリヒドに代わって私が務めさせて頂きます。どうか宜しくお願い致します」
「――――――ああ、此方こそ宜しく頼む」
顔を上げたリリアーナの顔を見て、レイは息を呑んでほんの少し口の端を引き攣らせたがすぐに穏やかな笑みを浮かべて彼女の後に頭を下げた。
それから後ろで挨拶を待っている他の貴族に順番を譲り、レイはその場を離れる。
少しだけ、リリアーナが名残惜しそうにしていたのに彼は気づいていたが、
リリアーナ専属の近衛騎士であるクゼリーは華やかな大広間の雰囲気とは別に、嫌な空気を肌でピリピリと感じている。それは普段、彼女が感じることのないものだった。
(何もない……筈は、ないのでしょうね)
これまでの三国会議とは明らかに帝国側の醸し出す雰囲気が違う。
変にそわそわしている貴族が別の貴族に咎められて、それを王国側の貴族に指摘されると誤魔化して足早に距離を取る。
帝国側の貴族の視線は時折、皇帝ガハルド以下二人の王族に向けられていた。
それが意味するところは何となく察しがつくけれど、クゼリーは静かに目を瞑る。
(私がするべき事は変わらない…昔も、今も…姫様の為に…)
忠義を捧げた王女リリアーナの安全を第一に考えて行動するつもりだ。
その結果、王家から授かった近衛騎士の栄誉に泥を塗ることになっても…
そんな事を頭の片隅で考える彼女は大広間の中で唯一、気になる人物がいる。
先ほどリリアーナに挨拶へ来た公国の次期当主レイだ。
(彼は……いいえ、彼も
幼少期からリリアーナと接してきたレイとクゼリーの間に会話は殆どない。
まだクゼリーも騎士になったばかりで堅苦しい考えに縛られており、たとえ子供であっても高貴な身分の相手と騎士である自分が必要以上に言葉を交わすべきではないという考えから彼らに対し一歩引いたところで見守っていた。
これは彼女個人の希望的観測になるが、レイだけは帝国側でありながら、帝国側の思惑とは違う
(姫様の味方が、私以外にも一人でも多く居て欲しい……そう思わずにはいられない)
リリアーナの苦悩する姿を傍で見続け、なんとか彼女の心が折れてしまわないようクゼリーは支えてきたつもりだったが、それでも薄々気づいていたのだ。
(きっと私だけでは…姫様の心の支えとして弱すぎる…)
この後にクゼリーはその考えが間違いではなかったと知ることになる。
今はただ、全身で感じる空気の重さに耐え、主君から片時も目を離さない。
ただの近衛騎士である彼女に出来ることはそれだけだ。
*
「…メルドさん、私は…此処に居て良い人間なんでしょうか?」
「……居て良いに決まっているだろう。負傷した光輝に代わって、今は八重樫、お前が神の使徒の代表ということになっている。…それに、本来なら私もこの場に出席することなく自室で謹慎処分の身なのだからな…」
トータスに召喚されてから人生で初めての大広間での豪華絢爛なパーティーが自分達の為に開かれたのは、もう何か月も前の事だった気がする。
神山で門前払いを食らった雫は騎士団長メルドと共に大広間の隅で周囲の関心を惹かないように、なるべく目立たないように立っている。
まだ一部の者にしかオルクス大迷宮での一件は伝わっていない。
国王エリヒドは急いで使者を送り、ハンターズギルドに神の使徒の威光を曇らせるような事実を一切漏らさないように厳命し、当人達にも今回の失態は三国会議が終わるまで公にしないことを条件に晩餐会へ出席させた。
本当ならどちらも公の場に出さないのが一番だという意見もあった。
しかし以前、バイアス皇子が王国を訪れた際に揶揄われた事を国王エリヒドは忘れておらず、今度もまた不参加では何か小言を言われるんじゃないかと不安に駆られ、特に良い案も浮かばずに条件付きの参加という結果に収まったのだ。
礼儀としての一日目の挨拶さえすれば、後は居なくても問題は無い。
というか会議が中心なので二人が出る必要は殆どなかったのである。
「―――ッ!帝国の方々だ…失礼のないようにな」
大広間の中心から有象無象の貴族を掻き分けてメルド達の方へ歩み寄ってくる皇帝ガハルド、バイアス皇子の姿を見てメルドは声を小さくして隣にいた雫にそう伝えた。
彼女は緊張で頬を引き攣らせながら軽く頷いて、向こうが話しかけるのを待つ。
「久しいなメルド・ロギンス。腕のことはバイアスから聞いた…残念だったな」
「お久りぶりで御座いますガハルド皇帝。騎士団長としてお恥ずかしい限りで―――」
メルドとガハルドがそんな話をしているのに遠目で気づいたのか、大広間の中心で貴族達の相手をしていた国王エリヒドの顔が若干険しいものに変わる。
メルドは動揺を隠そうと口をキュッと真一文字に結んでやや俯いた。
バイアスは目敏くそれぞれの様子を察してニヤリと笑って話す。
「どうしたメルド?顔が引き攣っているではないか、受けた傷がまだ痛むのか?」
「…ッいえ、そのようなことは…ただ、私は――――――」
「まぁよい、バイアス。その悪い癖は控えろと言っているだろう馬鹿息子が」
「クククッ!悪いな親父殿、以後気をつけるよ。それで―――」
ガハルドとバイアス、二人の視線がメルドの後ろに控えていた雫に向けられる。
白髪か銀髪か、それを短く切りそろえた
ガハルドに似せて焦げ茶の髪を短く切り揃えたバイアスは、あからさまに相手を威圧しているように見えるが、その目は常に何かを企んでいるかのように爛々と妖しく光っていた。
「は、初めまして…私は神の使徒の代表…八重樫雫です」
「ほう、お前が神の使徒の代表だと?…俺はヘルシャー帝国の皇帝ガハルド・D・ヘルシャー」
「バイアス・D・ヘルシャーだ。随分と華奢で可愛らしい代表じゃねーの、エェ使徒様よ?」
華奢とか可愛らしいとか平時に言われれば雫的には嬉しい言葉なのだが、目の前の男から発せられた言葉には彼女を侮っているという空気がありありと醸し出されていた。
それを受けてムッとする気持ちはあるものの、ムキになって反論するのは不味いとすぐに判断して雫はお辞儀だけして愛想笑いで流す。
バイアスはそれを見て更に笑みを深めて言葉を続ける。
止めようとするメルドだが、皇帝と国王の手前、下手に口を挿めなかった。
「イシュタルのクソ「バイアス」…おっと、失敬。イシュタル教皇から少し前に珍しく手紙が送られてきてな。長きにわたる魔人族との戦争に終止符を打つ救世主が現れたと…お前らがそれか?」
「はい。それは私達のことで間違いありません」
「フーン。…こんな場所でこんな事を言うのは失礼だってのを承知の上で言わせて貰うけどよォ…お前さん、
彼の背後で聞き耳を立てていた王国貴族がそれを聞き騒然としていた。
偶々居合わせた司祭のフォルビンが顔を真っ赤にして憤慨している。
ガハルドが肘でバイアスの脇腹を突くが、彼は意に介さずヘラヘラした態度を崩さないまま、雫がなんて答えるのかを楽しそうに待っていた。
雫はほんの僅かな怒りを含めてどう答えるのが最善かを頭で考えている。
チラと横目でメルドに助言を乞うが彼も口を閉ざして何も言えそうにない。
メルドの視線は国王エリヒド、司祭フォルビン、皇帝ガハルドと忙しなく動いていて、自分がどう振る舞って雫を庇えばいいのかを考えるので手一杯だった。
だんまりでは余計に彼らの反感を買うのが目に見えている。
意を決して雫は嘘でも「自分達は強い」と言い返そうと口を開きかけ―――
「バイアス、公然の場で子供を虐めるのは感心しないな」
「…チッ、へいへい…さっきの言葉は撤回する。これでいいかよ
(――――――っ!)
ガハルドとバイアスの後ろから現れた美しい女性の凛とした声に雫は顔を上げた。
そこにはドレス甲冑とでも表現すべきだろうか、雫を含め多くの女性が白やピンクのドレスで参加しているのに対し、真っ黒な衣装に身を包んだ紅い髪の女性が立っている。
「…貴女は…?」
「ヘルシャー帝国の皇女トレイシー・D・ヘルシャーだ。先ほどは皇子が失礼したな。…此奴は人に失礼を働かなければ生きていけん頭の悪い馬鹿なのだ、許してやってくれ」
「ケッ!ひでぇ言われようだぜ」
(……凄い、綺麗な
助けて貰ったことに対し感謝の言葉を述べるより先に出てきた第一印象がそれだった。
雫から見てトレイシーの姿は、過去の自分が引き摺ってきた男女と呼ばれる印象をポジティブな方へ変える理想形だと思った。
言葉遣いや仕草、髪型から恰好に至るまで何もかも雫が欲して止まないものである。
可愛く着飾れないのならいっそ、雫も彼女のようになりたいと思わずにはいられない。
そんな雫の興味深い視線に気づいたのかトレイシーは柔和な笑みを浮かべた。
「…どうした?私の顔に何か付いているか?」
「あ、いえっ!何も…ただ、凄く綺麗なヒトだなって…あっ!」
思わず本音が口から出てしまった雫は顔を真っ赤にして口に手を当てる。
フォルビン司祭はあまり嬉しそうな顔をせず、国王エリヒドも苦々しい表情だ。
一方でガハルド、バイアス両名が「コイツはマジで言ってんのか?」と信じられないようなものを見るような目で雫の顔を凝視していた。
トレイシーはキョトンとした表情を浮かべ、次の瞬間「フフッ」と笑う。
「そうか、私は綺麗か…?ふふふっ!そんな事を嘘偽りなく面と向かって言われたのは久方ぶりだな。八重樫雫…だったか?
ガハルドとバイアスにそろそろ晩餐会の挨拶があると告げ、トレイシーは立ち去る。
雫は彼女の後姿が見えなくなるまで、その場で棒立ちになって見続けていた。
言葉の最後ら辺を強調して言われたことに気づかないまま…
*
主催者である国王エリヒドの挨拶から始まって、晩餐会は一番の盛り上がりを迎える。
近年の徴税が増える一方で国民の生活が豊かになっていると語るエリヒド。
彼の口からは一度も三国会議の主題である魔人族との戦闘の経過について話はなかった。
それに続いて公国の領主ランズィが先ずは王国に対し、常日頃変わらぬ友好関係を継続している事に感謝の意を伝え、それから帝国に対し、様々な支援活動を行ってくれたことに感謝の言葉を述べ、今後は帝国からの要望があれば出来る限り外交面で応えられるよう意思を表明する。
その際にフォルビン司祭が何か言いたげな表情だったが、ランズィはそれを無視した。
そして帝国の番、皇帝ガハルドが演説台に立って口を開くかと思われた次の瞬間―――
「皇帝陛下。挨拶の前に少し時間を頂きたいのだが、宜しいか?」
「っ…バイアス皇子?」
「な、なんだ…こんなの予定にないぞ」
「どうなってるんだ…」
困惑する王国貴族や聖教教会の人間が向けた視線の先にはバイアスがいた。
原作同様に朝練やってるところを見ていたらバイアス兄貴の評価も多少変わったのかな?(皇帝と同じように求婚してきそうなのはお察し)こっちのバイアス兄貴はいきなり押し倒して薄い本とかはしないのでご安心を
感想、質問、ご指摘等お待ちしております。
初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)
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続編にして
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このまま話数増やしてもいいんじゃね?
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打ち切りはヤメロォ!
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もっと周りの話補完して♡