モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 やっとこさ此処まで辿り着けた。


幕間の物語 三国会議・革命の序曲

 

 魔人族の軍勢が現れたと聞いて三国会議の場に大混乱が巻き起こる。

…実際に慌てふためいているのは王国の貴族ばかりで他の二国は落ち着いていた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、冷静に状況を把握しようと動き出す。

トレイシーが席を立って後ろに控えていた護衛に声を掛ける。

 

「急ぎ帝都へ早馬を出せ!連絡用のアーティファクトは使うな!敵に通信を傍受される。馬も一頭ではなく三頭だ!ルートは北の山脈と荒野のルートに分けよ。宰相ベスタに非常事態に於ける暫定的な軍統率指揮権の委譲を伝え、帝都の守りを固めるのだ!」

 

「了解しました!」

 

「お、おい!帝国の皇女!何を勝手に―――」

 

 王国の貴族で騒ぎから離れたところにいた一人の男がトレイシーに詰め寄ろうとする。

しかしそれを遮るかのように公国の領主であるランズィとその部下達が国王エリヒドに叫ぶ。

 

「エリヒド国王!!()()()()()()()()()()我が国は未曾有の危機に晒されております!国力の乏しい我が国の兵力だけで魔人族の侵攻を止めることは出来ませぬ!何卒、三国が生き延びる為にも王国軍に御助力を頂きたく―――御裁決を!」

 

 帝都の守りを固めたうえで、帝国軍を迎撃に向かわせたとしてもライセン側の対処で手一杯だ。

騎兵の数も三国で最も多いとされるハイリヒ王国軍であればアンカジ公国の救援に向かい、領土を幾らか侵略されたとしても魔人族の軍勢をある程度は抑えることも可能だろう。

ランズィの発言に間違いはなかった……しかし……

 

「な、ならぬ!!王国から兵は出せぬ!!!」

 

「っエリヒド国王!?」

「お父様!?」

「へ、陛下!?」

「それはっ…!」

 

 この時、ランズィ、リリアーナ、メルド、クゼリーの四人が驚きのあまり声を漏らした。王国が兵を出さないということは――――――()()()()()()()()()()と言っているようなもの。

その間、帝国側で下を向いて笑顔を抑えている者が一人いた事に誰も気づいていない。

言葉を失うランズィの横から進み出たビィズが怒りを露わに食って掛かる。

 

「どういうおつもりですかエリヒド国王!貴方は侵略を受けようとしている私達の国を、アンカジの民を見殺しにするのですか!?」

 

「だっ黙れい!口を慎め青二才が!!私はこの王国の最高権力者であるぞ!私にはこの国の富と民の平穏を守る義務があるのだ!!()()()()()()()()()()()()()!」

 

「何故です!?アンカジは国交を結んでからというもの、王国と教会にずっと忠誠を誓っていたではありませんか!?用途の分からぬ税を欠かすことなく納め、覚えるのも難しい信仰も覚え、私達は必死に努力して貴方達の言う事に従ってきたのですよ!?それを――――――」

 

()()()()()()()()()()()()()()!ならば、今こそアンカジの民の信仰を試す時!」

 

 なおも食って掛かろうとするビィズに怒鳴り散らそうとしたエリヒドを制し、割って入ったのは聖教教会の代表として来ていたフォルビン司祭だった。

司祭の帽子がずれ落ちて毛髪の薄れた頭頂部が見え隠れしていることも気にせず、狂信的な笑みを浮かべた彼の言葉にアンカジの者達は全員ショックを受ける。

 

「そんな………見殺しにするなんて…」

「私達の…国を……民を……」

「これが信仰の、見返りだと…?」

「錯乱したか、エリヒド国王…ッ」

 

 リリアーナはあの優しかった父のあまりの豹変ぶりに言葉を失い後退る。彼女の母ルルアリアですら訳が分からないといった様子で夫の横顔を呆然と見つめていた。

クゼリー、メルドの二人は不味い!と焦って早くエリヒドに今の言葉の撤回を求めようとした。

恐らくは二人が意見したところで無駄だろうが…

 

 この場に於いて更に注目されるべきは事の成り行きを見守っていた王国貴族達の反応である。

ランズィに助力を乞われた時、彼らは国王に揃って「否」と答えることを望んでいたのだ。

自らを十二分に肥え太らせた権力と富を、失う事を彼らは何よりも恐れた。

 

 たとえその代償として隣の国の民が滅びようとも、自分達に実害さえなければ良いのだと。

そして、そんな光景を前に二人と…放心状態にあるリリアーナが最も恐れていた事が始まる。

 

「……ククククククッ!」

 

 声を押し殺した喉を鳴らす笑い声が一瞬静まり返った会場内に木霊する。

魔人族が近くに迫っているかもしれないという危機的状況にあって、ありえない反応だ。

全員の視線が声の主に…表情筋を震わせて笑い声すら我慢出来なくなったバイアスに注がれる。

 

「がはっはっはっはっはっ!!これが、半生を賭して国に身を捧げた男の姿か?なんと無様で醜悪なものか!愚かな神に酔い痴れる愚者の傀儡に成り果てて、失ってはならぬものすら捨てたと見える!なぁ、エリヒド国王サマよぉ!?」

 

「な、んだと!?バイアス皇子、貴様常々思っていたが陛下に対し何たる暴言!」

 

「愚かな神?貴様、エヒト様を冒涜するか!野蛮人め、こんな時に気でも狂ったか!」

 

「ハッ!野蛮人大いに結構!俺は蛮族の子だ!それに恥じ入ることもない!!逆に貴様等こそなんだ!?民の為の貴族が聞いて笑わせる!助けを求める同朋の声に手を差し伸べることもせず目を背けて自分達の保身ばかり!どいつもこいつも肥えすぎて戦えぬ家畜以下の屑だ!信仰の毒は恐ろしいもんだなぁオイ!?」

 

 そう大声で叫んだバイアスは椅子を蹴飛ばして場の中央に立った。

王国の貴族、エリヒド国王、フォルビン司祭と部下達が睨みつけるのを鼻で一笑する。

振り返った先で辛そうな表情をするランズィ達アンカジの人々に彼は拳を握り締め叫ぶ。

 

「どうだアンカジの民よ、俺達が想像していた通りの結果になった!これが王国の本性だ!連中は最初から俺達を対等の関係になど見てはいない!もう引き返す道はないと知った上で問おう!――――――これだけの事をされても、我らはこのままで在るべきか!?」

 

「な、なにを――――――!?」

「奴は何を言っているんだ…!」

「早くあの男をこの場から連れ出せ!殺しても構わん!」

「衛兵、誰ぞ、衛兵は居らんか!!」

 

 パニックの末、王国側の怒りや憎悪の矛先が一斉にバイアス一人へ集中する。

ランズィは強く目を瞑り、ゆっくりと開いた瞼の先に広がる光景が変わっていることを願う。

しかしエリヒド国王の表情は歪んだまま、その目には明らかな侮蔑の色。恐らくはバイアス個人に向けられたものであろうが、先ほどの発言から延長線上に自分達(アンカジ)があるように見えてしまった。

 

「……もう、終わりにするべきなのだな……このような茶番は…」

 

「その通りだランズィ殿。苦しい立場にありながら、よくぞ今日まで耐えてくれた」

 

 ここでバイアスではなく声を上げたのが黙って椅子に座っていた皇帝ガハルドだった。

驚き目を見開くエリヒド国王は一瞬にしてその目に敵意の色を滲ませる。

しかしガハルドは彼に見向きもせず、項垂れるランズィに優しく微笑んだ。

 

「……ガハルド皇帝。私達はもう、あなた達に縋る他……ない」

 

「ああ、手を汚すのは俺達の得意分野だ。お前達はそこで見ているがいい」

 

「ガハルド……貴様、なにをするつもりだ……!」

 

「何を?決まっているだろう、エリヒドよぉ……始めるんだよ――――――」

 

 刈り上げた髪を両手で撫でつけ、部下の一人が静かに差し出した外套を…()()()()()()()()()()()()()()()()それを見せつけるように羽織ってガハルドは犬歯を剥き出しにして笑う。

 

「ハイリヒ王国ぶっ潰す宣言。異世界じゃこういうのを遊戯(カード)でも革命って言うんだとさ」

 

 場の凍り付かせたガハルドの発言と同時に王国の兵士が動こうとするが―――

それよりも先に動いていた黒い装束の三人組が、次々と兵士の喉首を刃物で掻き切る。

王都の各所で一斉に爆発が起こり、立ち昇る黒煙が大広間の窓からも見えた。

唖然とした王国側の人間達を見つめて不敵に笑うバイアスが更に衝撃の一言。

 

「ああ、それとさっきの魔人族の話な?悪ぃけど作り話なんだわ。演出ご苦労さん」

 




 ここから一気に数を減ゲッフンゲッフン調整しようかなと思います。
文章内に一度も顔を出さなかった面々(雫とかレイとか)は思考フル回転中(前者はパニック、後者は後の嫁の為に)でしたとさ。
また遠くない日に紹介されるであろう黒衣の三人組ですが、作中戦闘力は(ハンターとか人外除いて)闇討ち限定なら五本指に入ります。

感想、質問、ご指摘等お待ちしております。

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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