モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 ガバガバ戦闘描写、やっぱり実際にプレイすると書くじゃ差が出ますね……。
ゲームだと何十回と斬りつけて、何百発と弾ぶち込んでようやく倒れるんです…。


森丘のランポス討伐ツアー(下位) 後編

 

 自然が作り上げた木々のトンネルを抜けてすぐ左に曲がった途端、ハジメの嗅覚は強烈な臭いを捉えて、嫌そうに顔を顰める。

臭いの元は岩に囲まれた木漏れ日の差し込む広場に倒れたモンスターの死骸だった。

何かに襲われて食い散らかされてから数日は経っているのか、蠅と蛆が集っている。

 

 臆することなく死骸に近付いたハジメは剥ぎ取り用のナイフを腰から抜いて、切先に腐った肉を引っかけて弾力を確かめたり、辺りに散らばった肉片から、それが何のモンスターだったのか確かめた。

 

(犬より大きく、馬より小さい――――頭頂部の細い角……ケルビ……か?)

 

 ”ケルビ”は小型の草食種モンスター。

温暖な土地で暮らす個体が多いが、時には火山や砂漠といった過酷な環境にも適応している。

細い角に明るい緑の体色が雄、垂れ耳に深緑の体色が雌の特徴となっている。

 

 同じ草食種でもアプトノスより臆病なケルビは、左右に跳ねて移動する習性を持つ他、危険を察知してから雌の個体が逃げるまで、雄の個体は角を振りかざす事もある。

食通の間ではケルビの白い肝臓”ホワイトレバー”はトロリとした食感が人気であり、ケルビが他のモンスターに捕食されるのもこれが理由なのではという考察もあったり……。

 

(周りに他の雄や雌の死骸はない。………噛み傷や引っ掻き傷……死体の原形が残っている事を考えても、小型の鳥竜種の特徴(それ)と一致する……。あくまで想像の域を出ないが、襲われてから群れから逸れ、この森まで逃げて行き止まり、命運尽きたってところか)

 

 ハジメは一つの結論に至った。

このケルビを襲ったのは、彼が追う今回の獲物ランポスであると。

他にも手掛かりはないかと亡骸を調べようとしたハジメはふと、死ぬ直前に大きく見開かれたままのケルビの濁った瞳と目が合う。

 

 ハンターになる前の自分も似たような状況に遭った事を思い出して、ケルビの亡骸があり得たかもしれない自分の末路のような気がした。

ハジメはすっと立ち上がり、強気な笑みを浮かべる。

 

「く、ははっ!今の俺は逃げねえさ……今度は俺が()()()だ……!」

 

 既に痕跡らしいものは自然の中に埋もれてしまっているが、ケルビの死骸が捕食されてからすぐにランポス達が動いたとは考えにくい。

恐らくは木々のトンネルを南下した先にある森の中にいる。

 

 そこはかつて、旅人が使用して放置されたままのテントがあった。

そして、テントの周辺を小型の肉食モンスターが縄張りにしてきたという話を訓練所で聞いていたハジメは、そこに狙いを定めたのだ。

 

 仮にいなかったとしても、そこに身を潜めていれば必ず現れる。

ランポスが現れた時が―――ハジメの狩りの始まりとなるのだから。

 

 

(こんなのは所詮、俺の独り善がりなのかもしれねえな……)

 

 濃い緑に覆われた茂みの中で、ハジメは今の自分を省みる。

困っていた人を助けて、感謝されてヒーロー気分でも味わいたかったのだろうか。

それとも、かつての自分を殺そうとしたランポスという存在自体に対する、私怨込みの復讐なのだろうか……?

 

(せめて狩り尽くした後は、素材を大事に有効活用させて貰わねえとな……)

 

 ハンターにとって鉄の掟。

無意味、無価値、無情な狩りを行ってはならない。

そのモンスターを狩る事には何か理由があって、狩ったモンスターの素材には何かしらの使い道を見出すこと。狩った獲物に対する敬意を忘れてはいけない。

 

 チェーンブリッツの銃身を這う小さな虫を潰さないよう指で摘み、近くの地面に降ろすハジメ。

彼の耳は小さく、だが確かに独特な鳴き声をあげるモンスターの存在を捉えていた。

 

 バキバキっと地面の落ち葉や枝を踏み砕く足音、ハジメが警戒して周囲を見渡すと、岩の隙間に黒い斑点のついた青い鱗が見え隠れしている。

 

―――ギエェッ…!

―――ギシャアッ!

 

(……1体、2体……まだ増えるか…)

 

 冷静さを装う心の中とは裏腹に、体の鼓動は徐々に早くなっている。

レザーライト防具の内側で、緊張と焦燥感を含んだ汗がしっとり染み込む。

まだ仕掛ける時じゃない。

 

――――シャアッ!

――――ギャオ、ギャオッ!

――――グエ、グエッ!

 

(3,4……計5体。――――――こいつ等に加えて……!)

 

 姿を現したランポスは5体。

しかし5体のランポスは何かを待ち侘びているかのように姿勢を低くして唸っている。

その場から動かない5体とは別の足音が聞こえてきた。

鋭い爪が地面を踏み鳴らす音、それは通常のランポスより少し大きい音を出している。

 

(群れで動いている以上、予想はしてたが……)

 

 ザッザッザッと足音が5体の前にある大岩の前で止まった。

ハジメが視線を上げると、そこには群れを統率する親玉の姿があった。

 

 ランポスが少し大きくなった姿、黒い爪の根本に赤みが増しており、群れのリーダーである証、朱色の鶏冠がそいつの凶暴さを物語っている。

ドスランポス”が、縄張りの巡回にきていたのだ。

 

 鳴き声一つ上げず、ドスランポスはしきりに首を振って左右を確認している。

その黄色く丸みを帯びた瞳は、縄張りへの侵入者であるハジメに対して、言葉では伝わらない威圧感を放っていた。

 

(…………仕掛けるなら、早い方がいいか……?)

 

 待ち焦がれた1人での狩りに心臓が早鐘を打つのを抑えて、ドスランポスとランポス5体の習性を考えて、移動する前に仕掛けるべきと考えたハジメ。

今なら5体もドスランポスも、貫通弾Lv1の射程距離に入っている。

 

(―――――――――やるか……!)

 

ガチャッ、ドンッ!

 

――――ッ、ギャオッギャオッ!

 

―――グエエッ!?……ギュゥゥ……

 

 茂みからチェーンブリッツの銃口を、一番近くにいたランポスに向けて引き金を引くのと、それに気づいたドスランポスが咆哮をあげるのはほぼ同時だった。

真っ直ぐ飛んだ貫通弾Lv1がランポス1体目の頭部に穴を穿つ。

姿勢を崩して横転したランポスは暫く藻掻き苦しむ。放っておいても死ぬ傷だろう。

 

「次ッ!」

 

 ドンッ!

 

―――ギャオォッ!?シャアァッ!!

 

 2発目、ハジメが狙いを定めたのはドスランポスから一番離れている2体目だった。

しかしハジメ、ドスランポス、2体目のランポスの間には彼が考えていた以上の距離が開いていたのだろう。飛んでいった貫通弾の威力は低減して、2体目の胴体に突き刺さって終わる。

鱗一枚は貫いたのだろう、鮮血が舞って、2体目は悲鳴を上げた後にハジメへと吠えた。

 

 ドスランポスの鳴き声が指示だった。

3体目、4体目、5体目がハジメに噛みつくないし爪を突き立てようと走ってくる。

 

「っしゃあ!そう来ると思ったぜ!!」

 

 ガチッ!ガチッ!ガチッ!

 

 チェーンブリッツへの弾の補給を中断して、ハジメは地面に3発の”起爆竜弾”をセットする。

三方向から牙、爪が彼の体へと触れる寸前まで銃身を両手で抱えた彼はニヤリと笑った。

銃身を、地面で赤い火花を散らす起爆竜弾へと叩きつけた。――――次の瞬間

 

 

ドゴォッ!!!

 

 3、4、5体の悲鳴を掻き消す起爆竜弾の爆発が巻き起こる。

土煙を盛大に巻き上げて、炎と熱の込められた爆風は3体のランポスを纏めて吹き飛ばす。

岩壁に叩きつけられ、盛大に地面へとバウンドしたランポス達は、二度と起き上がらなかった。

 

 しかし起爆竜弾の爆発がハジメの視界を遮ったのが悪手となった。

次の瞬間、黒煙を切り裂くようにして飛び掛かったドスランポスの爪が振り下ろされて、胴体を切られたハジメの体は後方へと吹き飛ばされる。

 

「がっ、ッは……ッ!?――――ッ…の野郎ォ……!」

 

 地面を転がる直前で受け身を取ったハジメはドスランポスを睨んだ。

ドスランポスも口先を小刻みに震わせながら、今にもハジメを食い殺さんとしている。

そこへ割り込むように、先ほどハジメに傷をつけられた2体目が追撃を仕掛けた。

 

―――ギャオッ!

 

「チッ!!」

 

 まだチェーンブリッツの再装填は終わっていない。ハジメは咄嗟に右斜め前へと転がった。

彼が受け身を取っていた場所に2体目のランポスが降り立ち、地面に爪が深く突き刺さる。

その間に距離を詰めてきたドスランポスが、今度は大口をあけてハジメに噛みつく。

 

―――ガブリ、ブシュ―――!

 

「が、あああああぁぁっ!!チックショ、おぉぉ――――ッ」

 

 武器を失う訳にはいかず、体も胴体への損傷は避けるために腕を出したハジメ。

レザーアームの皮と金属の板を貫いた牙に、彼は声をあげてドスランポスを振りほどこうとする。

しかしドスランポスの抵抗も激しく、簡単には牙が抜けそうになかった。

 

「――――っ、な、っめん……なあぁああぁっ!」

 

 ザシュッ!

 

―――グエェッ!?

 

 ハジメは咄嗟に噛まれなかった腕で腰の剥ぎ取り用ナイフを抜き、その刃をドスランポスの目に向かって突き立てた。嫌な感触と、悲鳴に合わせて牙が腕から抜かれて血があふれ出る。

ドスランポスが下がるのに代わって、2体目も噛みつこうとしてくるが……。

 

「どおりゃあぁ!」

 

 負傷したままの腕と、手にしたナイフを一度放り投げた腕で、地面に転がっていたチェーンブリッツを拾い上げたハジメは、その銃身でランポスの頭蓋を殴りつけた。

回避が間に合わず、鉄の塊で頭を強打されたランポスは目を回し、その場に倒れ込む。

 

 まだドスランポスは目を失ったダメージから回復していない。

ハジメはチェーンブリッツを一度背負い、近くの岩場まで移動する最中にアイテムポーチから回復薬を取り出して、一息で飲み干す。

 

 薬草の苦みとアオキノコの何とも言えない青臭さが口の中に広がって、気持ち悪さを覚えるが、彼の腕に出来た噛み傷は見る見るうちに塞がれていった。

 

 ようやくドスランポスが戦闘を再開出来るようになった時には、ハジメは徹甲榴弾Lv1の装填を既に終えていた。ドスランポスに向けて笑みを浮かべたハジメは、引き金を引く。

 

 

「終わりだ」

 

 

 一発の銃声、数秒後に小規模な爆発が森に響き渡った。

ドスランポスの悲鳴が聞こえて、その身体は数歩よろめいて、地面に倒れ込む。

最後に残った死にかけのランポスにも残った1発の徹甲榴弾Lv1を撃つ。

 

 ハジメの森丘における探索は、此処で終了した。

調査記録として、ランポスが襲っていたケルビの死骸などの特徴や痕跡などを提出。

ランポス及びドスランポスは討伐された直後に剥ぎ取った分の素材と、ギルドへの提出後の内訳で一部素材をハンター・ハジメに譲渡された。

 

ハジメの獲得した素材一覧

・ランポスの鱗3個+ギルドからの報酬分4個

・ランポスの皮1枚+ギルドからの報酬分2枚

・ランポスの牙1本+ギルドからの報酬分4本

・ドスランポスの皮1枚+ギルドからの報酬分2枚

・ドスランポスの牙1本+ギルドからの報酬分2本

他、薬草、アオキノコ、ハチミツ、カラの実など





 ハジメ君が独り言の多いヤベー奴に見えなくもない……。
そして唐突に素材を出してモンハンっぽさを出していくスタイル。
余談ですが、ハジメ君が見つけたケルビの死骸、ゲーム本編ではトンネルのエリアではなく、壊れたテント近くにあるという……(ここ記憶のガバ)

感想、質問、ご指摘等待ってまーす!

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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