モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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 これを書き終わってから、対人戦の参考としてボクシング見てました()



ハジメの恩返し

 ハジメのハンター登録祝いと帰還、アゥータ達のブルファンゴ討伐の労いも兼ねた宴が開かれることになった。ハジメはこれで二度目となる宴の主賓だ。

 

「この村の新しいハンターと、今日までの村の平穏を守ったハンターに!」

 

「「「「「乾杯!!」」」」」

 

 アボクの言葉に村人達は各々に飲み物が入った器を掲げる。

ハジメは宴の席の真ん中に座って、早々に左右の席を取ったアイテム夫婦にあれこれと世話を焼かれていた。

 

 本日の宴の料理は肉メイン、アゥータ達が狩ったブルファンゴをアイルーキッチンの料理長ウマアジ達が牙から尻尾まで惜しみなく使った料理が並んでいる。

 

 ルゥムはハジメの向かい側、子供達が集まった席にちょこんと収まっている。

アゥータはアボクの隣に座って、以前と同じくニッカ達に揶揄われていた。

以前よりは積極性を持ったハジメは、目の前に置かれた肉を平らげていく。

 

「――――はぐっ、んめ……!これも、うめっ!」

 

「あはははっ!あの2人に負けず劣らずの良い食べっぷりだね、ハジメ君」

「アゥータ君は食事より酒飲みだけどね。ほら、こっちの野菜も食べてみて?」

 

 アイテム夫婦はまだまだ子供らしく勢いのある食べ方のハジメを見て微笑む。

食べてばかりでは喉を詰まらせると、テムに渡されたジョッキを受け取って一気に飲み干す。

アイからは器に山盛りよそわれた野菜を受け取り、シャキシャキと気持ちの良い音を立てて咀嚼する。そうすればまた炭火焼にされたブルファンゴの肉の脂が恋しくなって、離れた場所に置かれた肉へと手を伸ばし――――丁度同じ机で肉を探していたルゥムと手が触れ合う。

 

「あ、すいませんルゥムさん!お先にどうぞ!」

「………(スッ)」

 

 ルゥムはしばらく山積みの肉が入った大皿とハジメの顔を交互に見比べていた。

そして椅子から立ち上がって大皿を手に取り、ハジメの近くまで歩いていく。

何をするのか察したアイテム夫婦がすっと席を空ける。

ハジメの隣に大皿を置いたルゥムが座り、ぐいっと手を掴む。

 

「あぁ~えっと。………一緒に食べろ……って事ッスか?」

「………(コクッ)」

 

「だぁ~っはっはっはっ~ニッカさんもう一杯~っ!」 

 

 ハジメが顔を赤くしながら、ルゥムと肉を分け合って食べる横で、すっかり酔っ払いとして出来上がったアゥータが大声で笑いながらジョッキを空高く掲げる。

横で呆れたアボクが軽く諫めるも、彼は全く意に介さない。

 

「………(スッ)」

「……これも食べろって事ッスか?」

 

「………(コクコク)」

「じゃ、じゃあ失礼して―――――」

 

*

 

 楽しい時間というのは早く感じるもの。宴の席はあっという間に終わってしまう。

酒の飲み過ぎで限界を迎えたアゥータが地面に寝転がっているのを、誰も助けようとしない。

すっかり満腹になって腹をさするハジメと、満足気に目を瞑ったルゥム。

ふとハジメは自分がやるべき事を思い出して立ち上がる。

 

「宴も終わった後で申し訳ないのですが、俺から皆さんに渡したいものが!!」

 

 マイハウスから持ってきた荷車、その荷台で山積みになったもの。

それはハジメが帝国で買ってきた村人達へのお土産だった。

首を傾げる村人たちの前で、ハジメは中身ばっと広げる。

 

「「「「おおぉぉっ!!?」」」」

 

「―――――村の皆に恩返しがしたくて、帝国(向こう)で買ってきました!」

 

 村人達の目を惹いたのは、夜の松明の灯りに反射する半透明な鉱石の煌めき。

それは目にする者達の心を穏やかにさせる、優しい光を放っていた。

トータス原産の”緑光石”を加工して作られたグラスが、木箱に収まっていた。

その数は丁度、ゲブルト村に住む人全員分である。

 

 更に別の、木の樽の蓋を叩き割ってハジメが取り出したもの。

鉄鉱石をベースに使った薪割りの斧や穴掘り用のスコップなど。

これらは開拓作業に従事する男達から驚きの入り混じった歓声に迎えられた。

 

 パンパンに何かが詰まった麻袋の紐を解いた途端、子供達が声を上げる。

それは帝国首都で商人達が売っていた、日持ちする菓子の類だった。

まだ開いてない土産物もある中で、子供達が一斉に集まっていく。

 

「皆さん、今まで本当にお世話になりました!これからも宜しくお願いします!」

 

「―――まったくハジメ。お前さんって奴ぁ、会う度に俺らを驚かせやがってよぉ……」

 

「―――ッおやっさん!!」

 

 喜んで土産物を手に取り眺める村人達の中から一歩進み出たヘファイ。再会の喜びで笑顔になったハジメは「あっ」と声をあげて、荷車の後ろから特別な封をした麻袋を抱えてヘファイの前に走ってきた。

首を傾げるヘファイの前で、ハジメは麻袋の中身を見せつける。

 

「~っ!?お、お前……こいつぁ……!」

「へへっ、おやっさんなら驚いてくれると思いましたよ」

 

 それはハジメが帝国のハンターズギルド前にある工房で見ていた数々の工具だった。

しかし只の工具ではない、それらは全て真っ黒な鉱石が表面にコーティングされている。

熱にとても強く、鉱石の硬度としては上位に名を連ねる”タウル鉱石”

それが全ての工具に使われている……だがそんなものは市場に出回っていない。

疑問符を浮かべたヘファイはハッと口を開けてハジメを見つめる。

 

「お前さんまさかとは思うが―――――!?」

「その通りッス。この工具は全部俺(・)が(・)一(・)か(・)ら(・)錬(・)成(・)で(・)作(・)り(・)上(・)げ(・)ま(・)し(・)た(・)!!」

 

 言葉を無くして、ヘファイは喜びのあまり泣き出しそうになる。

バッと誰もいない方へと体を向けて、零れ落ちる涙をぐしぐしと腕で拭う。

 

「生意気に恩返したぁ太ぇ野郎だ……!ありがとよ、ハジメ!」

「どういたしましてっ師(・)匠(・)!」

「んなっ―――――!!」

 

 突然の師匠呼びにヘファイは驚き、照れ隠しのつもりでにやける頬を隠そうと手で顎を擦る。

それから村人達1人1人に感謝の言葉を送られて、ハジメはマイハウスに帰る為歩き出す。

そこに土産を抱えたルゥムが駆け寄って、くいっと彼の袖を引く。

 

「―――――ルゥムさん?」

「………」

「お?ちょ、わ――――――」

 

 すっと掲げた片手で、自分の家を指すルゥムにハジメは連れていかれる。

何をしたいのか分からないハジメは、とりあえず彼女に従う事とした。

―――その後ろで、やっと酔いから覚めたアゥータがむくりと起き上がる。

小走りの2人の背をじっと見つめて、にやりと笑いながら後を追いかけた。

 

*

 

 ハジメがゲブルト村に来て少しの間、世話になったルゥムのマイハウス。

何も変わっていない家の前で袖から手を放したルゥムが家の中へと入っていく。

ハジメは「とりあえず待ってればいいか…」と家の戸を見つめていた。

 

トトトト……!

 

「………」

 

 程なくしてルゥムは家から出てきた。

家の窓から彼女のオトモアイルーが顔を出して手を振る。

ハジメはにこやかに手を振り返す。

ルゥムの手には、光る石のようなものが握られていた。

 

「ルゥムさん?――――――それは……」

「ハンターが装備する”護石”だよ、ハジメ」

「……(こくっ)」

 

 いつの間にか追い付いてきたアゥータが護石の説明をする。

ハンターが身に着ける防具に付与されている様々なスキル。

それには数値が存在し、一定数値を満たすことでハンターはスキルを発動させる。

護石はそれらのスキル数値を底上げするアクセサリーのようなものだ。

 

 護石は、多くが自然の中で蓄積した魔力や不思議な力などが含まれた”お守り”を鑑定して生み出されるもの。

最近では工房で護石を作り出す技術もあって、ハンター達は自分の狩りに必要なスキルを発動させるために護石の生産を依頼することもあるという。

 

「これを……俺に……?」

「……(コクコクッ)」

 

「受け取ってやれよハジメ。――――――ルゥムの奴、最初からお前がハンターになれるって確信してたみたいでな。大峡谷の採掘ポイントをクエストの合間に駆け回って炭(・)鉱(・)夫(・)みてえにひたっすらピッケル振ってたんだからな?」

 

 彼の言う炭鉱夫というのは、本来であれば炭鉱で働く男たちを指すだが、ハンター達の間ではお目当ての護石を一心不乱に探し続けてピッケルを振るうハンターにつけられる呼び名である。

 

 前述で工房が護石を生産する技術も出来たとあるが、実際には生産可能な護石のスキルはごく普通のものばかりで、自然で発見されるお守りの方が複数のスキルを付与されていたり、数値が高かったりと良い物が多い。

故に護石にまで拘るハンター達は武器ではなくピッケルを担いで、フィールドを駆け回るのだ。

 

 キリン装備のまま、淡々と無表情+無言でお守りを掘り続けたルゥムの姿を思い浮かべて、ハジメは嬉しい反面申し訳ない気持ちで頭を下げる。

 

「わざわざ俺の為に………ありがとう御座います……!」

 

「………?」

 

 しかしルゥムはそれを苦とは感じていないようだ。

ハジメは顔を上げて、ルゥムが差し出したままの光る護石を手に取った。

そんな彼の肩を叩きながらアゥータが改めて告げる。

 

「ハンターとして期待してるからな。――――これから宜しく頼むぜ?後輩」

「―――――(コクッ)」

 

「―――――――はいっ!!」

 





ハジメが炭鉱夫になる話も書けたらいいなぁと思う今日この頃

感想、質問、ご指摘など待ってまーす!

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡
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