モンスターハンター・トータス   作:綴れば名無し

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第二章「ゲブルト村編①・樹海編①」
ゲブルト村での初仕事は…


 幕を開けたハジメのゲブルト村ハンター生活。

訓練の賜物で、朝早くに目を覚ましたハジメ。しかし前夜の酒宴のダメージが体に残っていたのか、二日酔いで頭に痛みが残っている。

 

「―――――う゛ぁ~……ぁったま痛ぇ……」

 

 次からは飲み過ぎに注意しようと決心するハジメだが、心の中で別の自分が「嘘つけ絶対に次もやらかすぞ」と笑っていた。

故郷へ帰る前に、ハジメは自分の飲酒量をコントロールする事を視野に入れる。

 

 マイハウスの台所に立って、まだ寝惚けて半開きの眼で手元の食材を適当な大きさにナイフで切り分けて、炉に火をつけて、水を沸騰させた鍋の中に放り込む。

 

 棚の小さな壺から塩を摘まんで鍋に入れるのを数回繰り返して、自作のオタマで中の具材に火が通ったのを確認してから、味見して塩加減を調整する。

 

 机の上にある木製の網目状に編んだ籠に入れたパンを一つ掴んで皿に置く。

やがて日替わりの自製スープが出来上がったのを確認して、ハジメは別の器にオタマでスープをよそう。朝の食事としては普段より少な目だが、二日酔いで若干胃の調子が悪い今の彼にはこれが適量なのだろう。

 

「いただきまぁ~す……」

 

 立ち込める湯気に混ざる香ばしい野菜の香りに誘われて、ハジメの目がようやく開いた。

自作のスプーンでスープを掬って一口啜ると、自分好みの味つけが口いっぱいに広がる。

コクリと喉を鳴らして一口目を飲み終える。

 

 スプーンを握る手とは反対の手でパンを掴み、口で丁度いいサイズに噛み切る。

あまり上等なパンではないが、スープのお伴としては悪くないものだ。

モソモソと口の中が乾いて来れば、またスープを啜って口の中を潤す。

 

 しばらく無言で、ゆったりとした動作の朝食が行われた。

彼が最後になったパンの一切れを咀嚼して、器からスープを直飲みし終えるころには、すっかり外は明るくなっていた。

 

「ふぃ~……ごっそさん。――――っと、行くか」

 

 洗い物を水に浸けたハジメは鍋に残ったスープに蓋をして、籠の中のパンに布を被せる。それからアイテムボックスの中を漁り、新しい装備を身に纏う。

 

(意外に悪くないもんだな……。自分で狩った奴の防具を身に着けるってのは……)

 

 ハジメが前回手に入れたランポスの素材と、森丘で採取した素材から生産した防具。

頭装備”ランポスキャップ”と足装備”ランポスレギンス

商業地区で買った”ケルビの皮” ”ガウシカの毛皮” ”鉄鋼石” ”カラ骨”から作られた防具。

胴装備”バトルレジスト”腕装備”バトルガード”腰装備”バトルコート

そしてルゥムから貰った”光る護石”をブレスレットにして、右腕に巻く。

 

 腕に巻かれた途端、淡い光を放つ護石をぼんやり眺めるハジメ。

理由は不明だが、この護石が放つ光が狩りの邪魔になることはないという。

ルゥムから渡された餞別の品を、しっかりと狩りに役立てようと彼は心に誓った。

 

 アイテムポーチを腰装備の上から取り付けて、最後にチェーンブリッツを背負う。

今はまだ彼以外は誰も住んでいない家の中に振り返った彼は、一言だけ告げて歩き出した。

 

「―――――いってきます」

 

 

「あっハジメ兄ちゃん!おはよーっ」

「おう、おはようさん」

 

 ハジメが家の外に出ると、丁度アプトノスを引く子供とばったり出会った。

子供はハジメの纏う防具をキラキラとした目で見つめている。

行く先が一緒だと気付いたハジメは、微笑んで子供に言う。

 

「村の広場まで、一緒にいくか?」

「―――うんっ!!」

 

 それからテンションダダ上がりの子供に引っ張られるアプトノスに歩調を合わせながら、ハジメは周りの景色をぼんやり眺めて子供との会話を楽しんだ。

 

「この間ね、おっきなピンクパレクス釣って褒められたんだよ!」

「おぉ~そりゃ凄いな。今度は俺も混ぜてくれよ?」

 

「うんっ!それからね、樹海の開拓作業がじゅんちょーだって父さんが言ってた!」

「そっか、早くお父さんと遊べるようになればいいな……」

 

「今度は僕も開拓作業手伝うよって言ったら、お父さん頭撫でてくれたんだよ!」

「あぁ―――その時は、俺が作業の邪魔するモンスターをしっかり狩ってやるさ」

 

 そうこう話していると、村の広場が見えてきた。

アボクは杖をついたまま椅子に腰かけて、ハジメ達に手を振る。

 

「そんちょーおはようございまーす!」

「アボクさん、おはよう御座います」

 

「あぁ2人とも、おはよう」

 

 子供はそこで向かう先が別にあったので、ハジメとアボクに手を振りながら去っていく。

それを見送ったハジメは改めてアボクに向き直り、礼儀正しく一礼する。

 

「村長、依頼を受けにきました」

「ふむ……仕事熱心なのは良い事だ……」

 

 そう言ってアボクは立ち上がり、家の中から一冊の分厚い本を取ってきた。

本の中はクエスト一覧。それぞれハンターランクに応じた星の数がついている。

今のハジメが受注できるのは☆1~☆2のクエストだ。

 

☆1クエスト

・村民からの依頼「特産キノコ集め」

・農場長からの依頼「草食竜の卵運搬」

・料理長からの依頼「サシミウオの納品」

・料理長からの依頼「特産キノコの納品」

・村長からの依頼「開拓作業地域の見回り」

 

☆2クエスト

・樹海の素材ツアー

・大峡谷の素材ツアー

・ランポス達の親玉討伐

・お騒がせブルファンゴ達の狩猟

・巨大昆虫ランゴスタの掃討

・大峡谷の生態調査「特産品3種類の納品」

 

その他

・商人からの依頼「村から町までの護衛」

・帝国兵からの依頼「村から首都までの護送」

・鍛冶屋からの依頼「開拓作業地域での雑用」

 

 ハジメは静かに、クエスト一件一件の内容を吟味する。

☆1の報酬額はそこまで高くないが、依頼主全員から何度も助けて貰った彼としては、少しでも恩返しのつもりで受けたい気持ちはある。

☆2はハンターとして、自分の実力を更に高める良いものが揃っていた。

 

 ドスランポスやランポスを討伐して、更にランポス系統の防具や武器を揃えたいと思う。

更に樹海や大峡谷で素材を集めれば、かなり上質な鉱石が手に入ることは間違いない。

 

 その他のクエストはモンスターの討伐や素材の採取ではないが、これも恩返しをしたい相手ばかりだった。最近は自主練習ばかりだったが、ヘファイの下で再び錬成師としての経験を積むこともハジメはやりたいと思っている。

 

 10分から20分の間、ハジメはアボクからクエストの書かれた本と村長宅の椅子を借りて、どのクエストを受けるのかを考えるのだった。

 





感想、質問、ご指摘など待ってまーす!

初期で構成していたプロットより大幅に話数が増えてしまったので、本作を第一部として続編(2nd的な)を作り本作を完結させようか迷ってます。(それで投稿ペースが遅れる等はありません)

  • 続編にして
  • このまま話数増やしてもいいんじゃね?
  • 打ち切りはヤメロォ!
  • もっと周りの話補完して♡

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